大幅な進化を遂げたiPad miniの第6世代モデル「iPad mini 6」がついに我が家にもやってきました! 長らく愛用してきたiPad mini 5ともそろそろお別れする時がやってきたようです
今回はiPad mini 6の開封・ファーストインプレッションレビューと、実機を使って前世代であるiPad mini 5とどれだけ性能が違うのか、ベンチマークを計ってみたいと思います
果たしてAppleが言うように最大80パーセントの性能差があるのでしょうか?
iPad mini 6 レビュー
と、意気込んで始めるつもりだったのですが、既にいんふるえんさー()の方々には先行配布されてレビューも発表されていることを知りテンションだだ下がりです……
ただ彼らはApple神()に施しを受けてレビューを書いてるのであまり悪いことは書けないようですので、ここでは『気になる点・残念な点』を正直に書いてみようと思います。これが自腹レビュワーの強みだぜ! と強がりを言いつつ、悔し涙を流しながら書いていきます
箱はいつもの箱で届きました
化粧箱。フィルム無くなるかも? って見ましたけどいつも通りフィルムかぶってます
ピリピリ
と思ったら本体にかぶってるフィルムが紙製になってました。エコ! ……なのかな?
付属品もいつもの感じ。ACアダプタもある
画面はテッカテカ! どんだけキレイか知りませんが、使うたんびに変なおっさんの顔が写るのは嫌なのでソッコーでアンチグレアフィルムを貼ります
背面。個人的にはもうちょっと黒くても良かったんだけどなぁ
ケース、アンチグレア(ペーパーライク)フィルム、Apple Pencilを装着したところ。この機構はやっぱ良いですし、サイズ的にもminiがベストマッチ感があります
前モデルのiPad mini 5と比較。大きさはほぼ変わらないけど表示領域が増えたのと、4:3のアスペクト比が崩れたので、動画鑑賞とかで出る上下のブラック領域は減ってます。この点はナイスかな
ただこれだけは言いたい
これのどこがベゼルレスなんだよ!
そりゃ前モデルよりは細くなったけど、長辺側はむしろiPad mini 5よりも太くなってるんですが?
これがApple以外の製品だったらみんなこぞって叩くはずなんですよ。なのに先行レビューでは馬鹿の一つ覚えみたいに「ベゼルレスデザイン!」「ベゼルレスが最高~」「ベゼルレスになり~」って絶賛ばかり、アホかと
製品に文句があるわけではありません。レビュワーの態度やAppleにへーこら忖度する姿勢に腹が立ちます
音量ボタンの挙動はちょっと特殊で、画面の向きによって常に右側or上側が『音量アップ』に割り当てられる設定なのは賛否ありそうです
例えばiPadを180度さかさまに持ったとしても、右側のボタンが『音量アップ』になるので、元々の割り当てとは逆になるってこと
iPad mini 5まではそうではなく、どの向きで持っても『音量アップ』ボタンはそのまま『音量アップ』でしたので、個人的にはその方が良かったです
この機種はランドスケープモード(横長)で使うことがかなり重視されていて、その関係でどうしても『音量アップ』ボタンを上側に配置したかったからなんだろうなと。スピーカーが上下のステレオ(ランドスケープモードでは左右)になったことからもAppleの思想がすごくよくわかる設計です
あと気になったのはバッテリーで、正直なところ持ちが悪くなったと感じます。私のiPad mini 5は2年以上酷使してきてバッテリーが劣化してますが、それよりも減りが早いと感じます。どういうこと!?
恐らくこれは、iPad ProやiPhoneと同じように画面タッチでディスプレイONにするよう、待機電力を消費し続けているからではないかと予想。初めてiPad Proからホームボタンが消えたバージョンを買った時にも同じことを感じましたが、今回もなのかぁ
あとはまぁ、先行レビュワー様が書いてるように満足度は高い機種かなと思います。微差ですが確かに軽くなったとは感じますし、第2世代Apple Pencilもやっぱ使いやすくて素晴らしいですね
比較する実機のスペック
それではベンチマークと比較検証に入っていきたいのですが、最初に両者のスペックをおさらいしておきます
iPad mini 6 |
iPad mini 5 |
|
チップ(SoC) | A15 Bionic | A12 Bionic |
メモリ | 4GB | 3GB |
ストレージ | 256GB | 256GB |
という感じ。ちなみにどちらもWi-Fi+Cellularモデルです
これについても先行レビューで明かされてしまったので今更感ありありなのが悲しいんですけど、他所があまりやらないベンチもやって差別化をはかりたいと思います
……という負け惜しみを胸に秘め、泣きながらベンチ回しつつ書いてます
各種ベンチマーク比較
Antutuベンチマーク(Version9.x)
まずはAndroidとも比較できて直感的に分かりやすい(勘違いしやすい?)Antutuベンチマークから行っていきます。バージョンは9ですので、他サイト様などのVer.8以前とは比較できませんので注意して下さい
iPad mini 6 |
iPad mini 5 | |
総合スコア | 758098 | 551954 |
CPUスコア | 191324 | 127553 |
GPUスコア | 315763 | 221433 |
MEMスコア | 122146 | 97110 |
UXスコア | 128865 | 105858 |
んー……こんなもんなんですかね? 前世代との性能比で見ると、CPUが150%、GPUが142.5%という感じ。あれ、クックさんは「GPU80%増しです!」とか言ってなかったっけな?
A15 Bionicという言葉に踊らされ過ぎたのかもしれません。やはりiPhone 13シリーズと違ってクロックダウンされている影響が出ているのかなと思いますが、もう少し検証してみます
Geekbench(5.4.1)
続いてはWindowsだろうがMacだろうが何とでも比較できてしまうGeekBench 5を実行します
こちらも、同じ「GeekBench 5」となっていてもバージョン5.3以前とは比較できませんので注意して下さい。以前のGeekBench 5はマルチコアのスコアリングが2倍ぐらい高かったですので
あと、いつも書くのですがこのベンチはコア数が多いとそれだけで有利なスコアが出やすいですのであまり鵜呑みにし過ぎない方がいいです
iPad mini 6 |
iPad mini 5 | |
CPU Single | 1586 | 1102 |
CPU Multi | 4414 | 2649 |
GPU(Metal) | 13387 | 5460 |
ああ、GeekBenchで見るとCPUはシングルで144%、マルチで166.6%、そしてGPUは245%という性能比だと出ますね
しかし先にも書いたようにGeekBenchのスコアはすごくシンプルなアルゴリズムで求められているのでこれを鵜呑みにしてキャッキャウフフと喜ぶのも何だかなぁという感じがします
なお画像にあるように、CPU・GPUどちらも動作クロックが2.92GHzであることが分かります。うん、下げられてますね
実際に手に取るまでは『iPhone様との差別化のせいかも』と思ってましたが、もしかしたら先ほど書いた、バッテリーの持続時間減ってる問題を少しでも解消するためなのでは? とも思い始めました
GeekBench ML
モバイルプラットフォーム用に用意されたGeekBenchの新ベンチマークではどうでしょうか
iPad mini 6 |
iPad mini 5 | |
CPU | 905 | 575 |
GPU | 2134 | 1154 |
Core ML(機械学習) | 2534 | 1315 |
うーん、正直なところこのベンチは出たばかりで、正確性は私もまだよく分かってません。しかし計測時間の短さから、GeekBench 5と同程度の信頼性なのかなというつもりで見ています
性能比で見るとCPUが157%・GPUが185%ですので、GeekBench 5のめちゃくちゃなスコアよりはまだ信頼性があるのかなという気がします。いくらなんでもGPU性能が145%もアップしたなんてことはあり得ないでしょうからね
GPUについてはのちほど、単体でじっくりと検証します
PerformanceTest Mobile(10.0.1)
有名なPassMarkが提供するPerformance Testのモバイル版です。これまたiPad mini 5リリース時とはスコアリングの仕方が変わっているため、今回新たにmini 5の方も測定し直しました
iPad mini 6 |
iPad mini 5 |
|
SYSTEM(総合) | 35717 | 26922 |
CPUスコア | 9673 | 6093 |
Memoryスコア | 51222 | 37989 |
DIskスコア | 28011 | 18158 |
GPU 2Dスコア | 43835 | 32089 |
GPU 3Dスコア | 19088 | 18263 |
という感じです
iPad mini 5の方は長らく使ってきたのでストレージにあまり空き容量がありません。そのため速度が極端に低下(Read/Writeどちらも500MB/sぐらい)していたので、スコア上はやや不利かもです
CPUは159%、GPUは2Dが136.6%、3Dに至っては104.5%という性能比で、他のテストが示したほど良い結果が出ていません。が、このベンチのGPUテストは負荷が軽いものが多く、カンスト状態になっているものもあります。ですのでこれも参考程度がいいかも
個人的にはメモリスコアがかなり向上したのが嬉しいところでした。両SoCに搭載されているメモリはどちらもLPDDR4X-4266で同一なのですが何故? 1GB増えた恩恵なのでしょうか
3DMark Wild Life
こちらも有名な3DMarkが提供する、クロスプラットフォームテストの最新版になります
iPad mini 6 |
iPad mini 5 | |
Overallスコア | 9155 | 6144 |
平均フレームレート | 54.8FPS | 36.8 FPS |
回った分だけスコアとFPSが上がるベンチでの結果がこれ
スコアは149%・FPSも149%でした。これまでのベンチ結果も踏まえると、前モデルと比較したGPU性能は約150%! つまり約50%アップと思っていいんじゃないかと思うのですが……
しかしまだ断定するには早い気もするので、もっと詳しく見ていきます
3DMark Ice Storm Unlimited
今さら!? なテストですが、海外のサイトでは未だに使われているので、Windows機との比較もしやすいかもということで一応実施
iPad mini 6 |
iPad mini 5 | |
Graphics |
247375 | 136104 |
Physics |
42707 | 27475 |
総合 | 119794 | 72449 |
こちらのテストでは性能比がGPUで181.7%、CPUで155.4%となってます。これってApple発表会で語られていたのとほぼ同じ数字ですね(ティムクック氏は、CPUが40%・GPUが80%向上してると語っていました)
CPUはどのテストでも概ね40~50%の性能向上ですのでほぼ間違いなさそうですが、GPUの方は先ほどほぼ断定しかけた性能向上率50%とはまたも違う結果に……
GFXBench Metal
最後に、GPU性能を計測する本命のベンチです
この中の「Aztec Ruins(アステカ遺跡)High Tier」は、近年M1マックとWindows機の性能を比較することでも使われることが増えたベンチとなっています。FPSでの比較なので分かりやすいですね
試験項目が多岐にわたるため、今回は「高レベルテスト」の結果だけまとめておきます(小数点以下3位以降切り捨て)
iPad mini 6 |
iPad mini 5 |
|
1440P Aztec Ruins High Tier | 31.99 FPS | 27.49 FPS |
1440P Aztec Ruins High Tier(Offscreen) | 34.52 FPS | 23.23 FPS |
1080P Aztec Ruins Normal Tier | 50.47 FPS | 43.59 FPS |
1080P Aztec Ruins Normal Tier(Offscreen) | 98.87 FPS | 63.87 FPS |
Car Chase | 43.60 FPS | 34.26 FPS |
Car Chase(Offscreen) | 85.22 FPS | 51.11 FPS |
1440P マンハッタン(Offscreen) | 69.91 FPS | 45.51 FPS |
マンハッタン エンハンスド | 57.15 FPS | 50.38 FPS |
マンハッタン エンハンスド(Offscreen) | 129.88 FPS | 78.56 FPS |
マンハッタン ノーマル | 59.92 FPS | 58.85 FPS |
マンハッタン ノーマル(Offscreen) | 221.51 FPS | 122.18 FPS |
ティラノサウルス レックス | 60.01 FPS | 59.97 FPS |
ティラノサウルス レックス(Offscreen) | 343.249 FPS | 251.77 FPS |
このような結果になりました。面白い傾向が見えてきたかなという気がします
結果をよく見ると、Appleが言うような80%程度の性能向上を見せているのは、負荷の低いベンチマークやオフスクリーン(仮想画面)でのベンチマークばかりだなということに気づけます。そういえば80%を超えていたGeekBenchもIce Stormも、どっちもオフスクリーンテストです
どういうことなのか?
確かにGPUの演算能力はA12と比較して最大80パーセント程度の性能向上を見せているのでしょう。しかしそれは設計上の話であって、“実際にこの筐体で描画しながら使おうとすると”、グラフィック性能の向上は、最も差が表れたCar Chaseにおいても127%止まりということになります
さらに、ヘビーな処理をさせるほど向上率が悪いというのも気になります。この中でいちばん重量級のベンチはアステカ遺跡(High Tier)ですが、その性能比は前モデル比較で116%です
今までギリギリ30FPSに届かなくてカクカクしてたゲームも、アベレージで45FPSぐらい出るようになるのかな(ワクワク)
と期待していたのに、蓋を開けてみたら相変わらず30FPSを割るかどうかギリギリぐらいにしか向上しなかったということになってしまってるわけです
多くのユーザーは、向上したGPU性能を“実際の画面上で”ゲームだったり動画編集だったりに使いたいのではないでしょうか? しかしそうした使い方では『80%性能アップ』の恩恵は受けられないということになります(動画編集の場合はGPUレンダリングができるアプリなら恩恵はある)
AI開発等されていて機械学習などでiPadを使っている方には今回のチップの性能向上は意義があるのかもしれませんが、既にiPad mini 5を持っているユーザーの方は、ことGPU性能に関してはそんなにムキになって買い替えなくてもいいのかなぁと感じてしまいました
このベンチだけの結果なら「GFXベンチはおかしい」とも考えるところなのですが、他のベンチを見渡してもオンスクリーンのものは結果が揮わず、オフスクリーンのものはおしなべて好結果ですので、この仮説は結構正しそうな気がするのですが……
まとめ
ということでiPad mini 6の性能を見ていったわけですが、確かにこのサイズでこの性能はすごいと思うのですが、うーん……。ちょっと期待外れだったかもしれません
悪い機種とは思いません。パフォーマンスだけではない、あらゆる点が改善されていると思います。ベゼルが太くなったのは腹立ちましたがあとは概ね満足ではあります
多分期待が大きすぎたんだと思います。Appleの発表会と、その後の絶賛しかない先行レビューを見ていたので、どれほど素晴らしい神機種が手に入るのだろうとハードル上がりすぎちゃってたんでしょうね
ただ、夜中の3時に速攻予約して発売日ゲットできることになったあのワクワクからすると、どうしてもモヤモヤするものが残ってしまうのです
クロックが抑えられているので性能的にiPhone 13に負けてしまっているのもちょっと残念。と言っても普通の人は全く気にならないレベルでの話なので問題ないかと思いますが。私と同じくDTMやる方は少し気になるかも? です
グラフィック性能も微妙に抑えられていて、こちらも同じ5コアGPUを搭載するiPhone 13 Proシリーズには及びません。しかも、ベンチマーク上は良い結果でも、実際の仕様においては数字ほどの性能向上の恩恵は無いということも分かりましたし……
Apple発表会で語られていた性能向上率(GPU80%)は、オフスクリーンのベンチでは確かにそのスコアは出ましたが、オンスクリーンでの実動作ではそこまでの向上率ではありませんでした。良い結果の出てるGeekBenchもIce Stormも、どっちもオフスクリーンテストなんですよね
先行レビュワーがみんなGeekBenchしかやってなかったのもこれが原因かぁ。アイツらって、本当にもう……っ!!
全体的に満足感は高いっちゃ高いんですが、上記のような理由から躍り上がって喜ぶような機種ではないかなというのがちょっと残念です
あと、やはりFace IDは欲しいところ
コロナ渦ではFace IDよりTouch IDの方が便利
というレビューをよく見るんですが、そういう人はログインとか認証にしか使っていないんだと思います。Face IDの真価は、その深度検出機能を利用したアプリでの活用にあるんですよね。LiDARと同じです
使わない人には全くいらないんでしょうが、やはりPROシリーズだけがFace IDやLiDARを使っていけるという差別化は続くのかもしれませんね
しかしまあiPhone 13 Proシリーズよりは遥かに安いわけですし、5コアGPU搭載A15の性能を体感できる端末としては最安(無印iPhone 13シリーズはGPUが4コアなので)となるため、Appleの本気が感じられる製品なのは間違いないのかなとも思いました
それではまた~
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