【連載第2回】iPadを最高のモバイルPCにする リモートデスクトップアプリ比較

iPad モバイルPC化Apple

連載2回目となります

iPadを最高のモバイルPCにする

計画です

前回の記事 でiPad単体で見た生産性と、iPad単体での限界についての概要をお伝えしました

結論としてはやはりPCをiPadに置き換えるのは厳しい側面があり、特に「iPadではマウスが使えない」というのがネックになることが改めて分かりましたね

そこでリモートデスクトップを使ってiPadを最強のモバイルPCにしてしまおうということ方針に決めたわけですが、今回からいよいよ実践に入っていきます

スポンサーリンク

リモートデスクトップアプリを選ぶ

リモートデスクトップには色々と不安要素があることも前回お話ししましたが、それは後程解説するとして、まずはiPadをPCと接続するためのリモートデスクトップアプリについて見ていってみたいと思います

有名どころを比較してみました

※表は左右にスクロールできます。モバイルの方はスワイプで

アプリsplashtopsplash topjump desktopJump Desktopchrome remote desktopChrome Remote Desktopmicrosoft remote desktopMicrosoft Remote Desktop
値段同一LAN内:無料
WAN利用:年約2,000円
1,800円(買い切り)無料無料
動作性☆☆☆☆☆
文句なしのNo.1動作。ヌルヌル動くうえ音も綺麗に出るので動画も観れる
☆☆☆
splashtopと比べると画面がカクつく
音はRDPを使用してストリーミングされるため、windows Homeエディションでは基本的に無音
☆☆☆☆
比較的ヌルヌルしている上に音も出る。ソフトウェアキーボードとソフトウェアマウス(トラックパッド)は使い物にならない
☆☆☆
比較的滑らかに動作し、音も再生できる
動作環境が合わないと使えないのが最大のネックか
ユーザー登録必要場合によっては必要不要(Googleアカウントは必要)不要
設定の分かりやすさ☆☆☆☆☆
設定がものすごく簡単なうえに、UIの分かりやすさ+ヘルプが充実しているのでまず悩むことがない
☆☆☆
初期設定がやや分かりにくい。操作画面は分かりやすいが、設定できる箇所も少ない
☆☆☆☆☆
Google様の言うとおりに設定していけばOK。必要最低限の機能しかないので迷うことも無さそう
☆☆☆
Microsoft謹製だけあり設定項目が少ないため迷うことはなさそうだが、何をどこに入力するのかのアドバイス等も無い
マウス使用可(iOSは不可)可(iOSは不可)
平均通信量
※30分あたり
1.01GB(550KB/s)
※フルHDディスプレイ。FPSは「最高」設定
2.6GB(1.45MB/s)
※フルHDディスプレイ。これだけ音無しで映像のみ
1.02GB(550KB/s)
※フルHD+1024x768pxデュアルディスプレイ環境
未計測
独自長所FPSの変更により質と通信量のバランスも自分で調整できる
パスワードを設定していないホストPCにも接続できる
キーボードをほぼデスクトップ同様に使える(windowsキー、F1~F12キー、altキー、shiftキーなどがそのまま使える)無料なこと
パスワードを設定していないホストPCにも接続できる
wake on lanまである程度自動で対応(ただしバグりやすい)
無料なこと
注意点料金が年額のサブスクリプション方式なこと(毎年お金がかかる)ログインパスワードを設定していない端末には接続できないPC独自キー(windowsキー、F1~F12キーなど)が使えずソフトウェアキーボードにすら無いWindowsのみ。しかもHome版は利用できないので注意

このような感じになっています

ちなみに全てのアプリに共通する点として

  • 母艦側にクライアントソフトのインストールが必要
  • WAN(ネット)からの接続が可能

が挙げられます

 

表を見比べてみて、通信量の多さに戦慄されたでしょうか?

これは私の環境がデュアルディスプレイのために増加してしまったものと思われます
例えば『出張前にはケーブルを抜いてシングルディスプレイにしておく』などの配慮をしておけば、通信量をもう少しは抑えられるかもしれません

それにしても膨大な通信量ですので、キャリアのプランでは40GBプラン等を契約していたとしてもあっという間に足りなくなってしまいます。定額制のWiMAX2+やどんなときもWi-Fiの契約が必須と言っていいと思います

 

さらに言うなら通信速度も問題です

550KB/sはビットに直すと4.4Mbps、Jump Desktopの1.45MBpsに至っては11.6Mbpsですので、これは格安SIMが安定して出せる速度を超えてしまっています

ですので、リモートデスクトップをある程度快適に使おうと思ったら3大キャリア(とYモバイル、UQモバイル)の契約が必要となりますが、これらは定額プランを導入していませんので、実質まともに使うのは困難ということになってしまうのです

りんごロイド

WiMAX2+であれば環境によっては10Mbps出ますが、3日で10GB制限があり、制限がかかると1Mbps程度まで速度が低下しますのでこれも厳しい…

どんなときもWi-Fiであれば、docomo・au・ソフトバンクの回線を全て無制限で使うことが出来ますのでワンチャンあるかもしれません
ただ、現時点では10Mbps以上の速度が出ていますが、利用者が多くなってくると遅くなると思われますのでどうなることやら……

唯一可能性があるとすればsplashtopでFPSを中~低に設定することでしょうか・・・近い将来5Gが導入されればまた状況は変わりそうですが

※【6月15日追記】

どんなときもWiFi、未だに30Mbpsほど安定して出てます。そして先日リモートデスクトップをやってみました。普通に遅延なく使えました(笑)感動しすぎて笑ってしまいましたよ

 

もうひとつ補足

この通信量は「どのようなことをやったか」によっても変わる場合があります

上記の例でいうとJump Desktopだけ通信量が多いですが、これはSplashtopとchrome remote desktopが、動きの無いときには通信を抑制しているからに他なりません

派手にギャンギャン動かしているときは画面の切り替えが頻発しているので通信量が多くなり、画面に変化が無い時は通信量が抑えられるという仕組みになっているのです

※参考値:Splashtopにてブログ更新作業(ネット閲覧、画像編集、記事更新)で30分400MBほどでした

今回のテストでは、動きの激しい動画をひたすらループ再生していました
こういった、画面が目まぐるしく変わるような操作でなければ通信量はもう少しおだやかになると思われます

 

各アプリの比較もかねて、動画を作成しましたので見ていただくのが早いと思いますのでご覧ください(条件付きながら使用を許して下さったAvex様、ありがとうございます)

【iOS】千本桜で見る 3大リモートデスクトップアプリ動作比較

ちなみにですが、iOSの録画アプリは可変フレームレートで録画されてしまうため、比較動画を作成するにあたって29.97fpsの固定に変換してあります
変換の際にわずかに劣化もあったかもしれませんが、ほとんどこの動画の通りの挙動をし、カクツキや音飛びも映像の通りですのでそこだけ補足しておきます

結局どのアプリがおすすめなの?

動画でも分かるかと思いますが、動きの軽快さ+FPS調整可能という点でリモートデスクトップアプリは「Splashtop」一択かなと思います(Splashtopは冒頭でやたらブロックノイズが出てますが、編集の際に乗ってしまったようで、実際はキレイに映ってました)

chrome remote desktopも悪くないように見えますが、後述するように「普通のPCのように使う」には機能が不足していますので選択肢には入ってきません。動画を見る、とかならいいのかもしれませんが…

それとMicrosoft謹製のアプリはwindows限定なうえに、ホスト側のOSがHomeエディション以外である必要があるため人を選ぶためここでは候補から外してあります

でも実は裏技もあって、RDP Wrapper Libraryを使うとHome版でもリモートデスクトップが使えるようになるんだよ

今回の話とは関係無くなっちゃうからまた別の機会にでも教えてよ

Splashtopは設定の分かりやすさ、使い方の分かりやすさでも他のアプリを凌駕しています

また、Splashtopの良いところとして、インターネット接続のための有料版を購入するとAndroidやPC版でも同じように使えるという点があります

Anywhere Access Packという名前のこの拡張機能はアカウントに紐づけられているので、端末問わず利用できるのは本当にありがたいです

もちろんSplashtopにも弱点(というかJump Desktopしか持っていない利点)はあるのですが、ソフト面でかなり対策してくれているのでChrome remote desktopに比べるとはるかに使いやすくなっています

詳しくは次のセクションで説明していますのでそちらをご覧ください

Splashtopの弱点とJump Desktopのメリット

ということでSplashtopの弱点です

サブスクリプションで毎年(毎月)お金がかかることはまあ仕方ないんですが、Splashtop経由では一部のキーが正常に動作しません

元々iOSに備わっていないファンクションキー(F1~F12キー)やAltキー、shiftキー、windowsキーなどが該当するのですが、これらを利用するショートカットキーがリモートデスクトップ経由では使えないということになってしまうのです

これは不便!

と言ってもこれはSplashtopの問題ではなくiOS側の問題とも言えます。Splashtopやchrome remote desktopではiOSで入力したキーをホストPC側に送るという処理をしているため、iOSに無いキー入力はどうしようもないという側面があります

PCから使えば問題ないけどね

ただ、Splashtopは頑張っていて、ソフトウェアキーボード上で全てのキーをカバーしてくれている他、一部キーはwindows同様に入力が可能になっています(例えば「全選択」がcommand+AではなくCtrl+Aで入力できる、など)

chrome remote desktopはそのあたり全く配慮されていません
ソフトウェアキーボードにすら表示されませんのでどうしようもないです

この点でchrome remote desktopは実用的ではないと判断せざるを得ませんでした

リモートデスクトップ 設定

 

ところがJump Desktopだけは違います

Jump DesktopはiOS側ではなくホストPC側のIMEを使用してキーボード入力を行うため、全てのキーが入力できるようになっているのです。この点が最大のメリット

ファンクションキーショートカットを多用する3DCG系ソフトも問題ないですし、windowsキーと組み合わせたショートカットも全て使用可能です
後変換(F7キーを押してカタカナにする、みたいな)も完璧に動作します。最高!

……なのですが、この仕組みを実現するためにキーボード配列は英字に固定されます

たとえホスト側が日本語配列設定をしていたとしても、英字配列に変わってしまいますので注意して下さい。代表的なところでは『@』が『Shit+2』になる、とかですかね

 

ただしJump Desktopには注意が必要な点が一点だけあります。それは

ログインパスワードを設定していない端末には接続できない

ことです

セキュリティ的に考えてそんな人はほぼいないと思うのですが、毎回の入力が面倒でパスワードを設定していない場合というのがあると思います(私のサブPCにも1台ありました…)

Jump DesktopはPCのユーザー名とパスワードを送信することでリモート接続できる仕組みになっており、パスワードを設定していない場合には接続が出来ないため、「ASK」を送信してホスト側で「承認」を押してあげる必要があります

でも、外出中で母艦の前にいないのに「ASK」を「承認」してあげることはできないですよね?

ということで、Jump Desktopを使うならパスワードはきちんと設定しておきましょうということになります(仕事で使うPCなら当たり前にやっているとは思いますが)

iPadリモートデスクトップにおススメのキーボードは?

どのリモートデスクトップアプリを使うかによってキーボードの選択も変わってくるかと思います

普段ショートカットキーやファンクションキーを使わないという方で、Jump Desktop以外のアプリを使われる方は現状唯一iOSで日本語配列にも対応しているsmart keyboardが良いのではないかと思います

一方でショートカットキーや特殊キーを多用する運用をされる方は、配列のしっかりしたbluetoothキーボードを購入される方が良いと思います
実際に私が使っているのはこちら

折りたたみ式で文庫本程度のサイズになりながら、キーピッチ19mmでキーストロークも1.5mmという本格仕様のbluetoothキーボードです

キー配列もクセがなく、日本語配列なところがグッドです
何よりお値段が、スマートキーボードの半額以下なのが魅力(笑)

iPadで使えるマウスは?

こちらは残念ながら普通のbluetoothマウスは使えませんので、実質一択となります。それがこちら

Swiftpoint GTというマウスになります

慣れれば素晴らしいマウスなのですが、超小型なので最初は敬遠したくなるかもしれませんね
ただ、iOSの仕様上、そこらへんにある普通のマウスは使えませんのでこれを使うしかありません

厳密にはもう1種類あるのですが、そちらはクセがありますのであまりおすすめしません。Jump Desktopを使うつもりの方で、興味あるという方は「citrixマウス」で調べてみて下さい

 

話を戻しますと、このSwiftpoint GTというマウスはiOS上ではマウスではなくペンとして認識されますので、そのあたりをうまく活用してリモートデスクトップ上で扱えるようになっているようです

当然ソフト側が対応している必要がありますが、Jump DesktopとSplashtopは公式に対応を表明しておりますので完璧に動作します

iPadがモバイルPCになりました…が

ということでここまでで、iPadがキーボード+マウスを備えた高性能モバイルPCになりました
でもまだ、解決していない問題がいくつかありますよね

  • 外出先(インターネット)からでも接続できるの?
  • 電源オフやスリープからの復帰はできるの?
  • 有線LAN無いんだけど

次回以降の連載ではこれらの点について解説していきます

 

ルーターのポート開放とか出てきますので頑張りどころになると思いますが、なるべく丁寧に解説しようと思いますのでご覧いただければ幸いです

あと、動画の音を聴いていただいて分かったかもしれませんがDTM用途としてのリモートデスクトップはかなりツライものがありますのでその点もご注意下さい

 

……ちなみに

勘のいい方は気づいたかもしれませんが、実はこの方法が最も適しているのはiPadじゃないんですよね
AndroidやWindowsマシンを使ってリモートデスクトップを行えば、マウスやキーボードはそのまんま使えるんです…

わざわざ苦労して設定したり、高いマウスを購入する必要もありません。安いノートPCでも買ってきてリモート接続すれば、数十万円するゲーミングノート以上の性能を持ったモバイルPCにすることもできます

だから言ったじゃないですかー!

ぐぬぬ……

ただ今回の連載では「iPadを最強モバイルPCにする」という点に焦点を当てていますのでこのまま進めます(笑)

でも、例えばGPD WIN2やGPD Pocket2のようなUMPCをお持ちの方は、それらを使う方が効率が良いと思いますので、持ってる方は記事を読み替えて見てもらえれば幸いです

次のステップはこちらです

【連載第3回】iPadを最高のモバイルPCにする WoL(Wake on LAN)でどこからでもPC起動~前編~
この記事ではリモートデスクトップに必要な「Wake on LAN」について、戸惑いやすいポイントを中心に分かりやすく解説しています。iPadを快適なモバイルPCにするための連載の一環ですが、WoLを行いたい方であれば同様に参考にできると思います

コメント

  1. 大変詳細な記事でとても参考にさせていただいております。
    色々と調べたのですが、情報が少ないため、一つご質問させてください。

    現在、PCはMACBOOKを使っております。
    Googleスプレッドシートを仕事でメインでつかっており、ショートカットキーを多用していることから、Jump Desktopでipadを使っています。

    記事の中に、

    >ファンクションキーショートカットを多用する3DCG系ソフトも問題ないですし、windowsキーと組み合わせたショ>ートカットも全て使用可能です
    >後変換(F7キーを押してカタカナにする、みたいな)も完璧に動作します。最高!
    >……なのですが、この仕組みを実現するためにキーボード配列は英字に固定されます
    >たとえホスト側が日本語配列設定をしていたとしても、英字配列に変わってしまいますので注意して下さい。代表的なところでは『@』が『Shit+2』になる、とかですかね

    こちらの記載があったので、ipadにつないでいるbluetoothキーボードを英語配列を用意しました。
    しかしながら、MACBOOKが日本語配列の場合、コマンドボタンのショートカットやPC側での文字変換が正しくされません。
    対策方法はございますでしょうか?

    • 田中さん

      コメントありがとうございます
      ご質問の件なのですが、私はJumo Desktopの使用をやめてしまった(しかも払い戻しまでしてしまった)ため確認ができません
      お力になれず申し訳ありません

      私の環境は、ホストPC→Windows10 PC(日本語配列キーボード)、クライアント→iPad(英字キーボード)です
      このことから、ホストが日本語配列だとダメということはないと思います

      気になる点としてまず、私はWindowsユーザーのためWindowsでしかリモートデスクトップを試していませんので、ご質問の件がMac OSでの使用を想定しているのだとすると当方未検証となります
      『Macだからダメ』という可能性があるのかないのか、試したことがないため分かりません

      そして、もしBootCampで使用している場合なのですが、BootCamp時のMacBookのキー配列は少々特殊な気がしています
      例えばWindowsのCtrlキーを用いた操作は、MacではCommandキーに割り当てられることが多いですよね? しかしBootcamp時にはWindowsのCtrlキーはMacBookのControlに割り当てられてしまいます。このあたりが悪さをしているという可能性はないでしょうか?
      もしこうしたことが原因だった場合、Bootcamp使用時でもレジストリをいじればキーを入れ替えることも可能となっていますので、それが解決の糸口になる……かもしれません(!?)

      お力になれず申し訳ありません……orz