GPD Win MiniとGPD G1(eGPU)についての情報まとめ

GPD Win Mini G1PC

かつてのGPDの名機(?)であるGPD Win 2。その実質的な後継機となるGPD Win Miniの情報が少しずつ明かされてきました

※4月26日追記

公式より名称が「GPD Win2 remake」になるとの話もありますが

GPD Win 2 remake

未確定のため当記事では修正はせず「GPD Win Mini」のままでいさせていただきます

それと関連して、対応が囁かれているGPDのeGPU(外付けGPU)であるG1の情報もちょっとずつ出てきているのですが、海外の情報ばかりなのでこの記事で主にそれらをまとめてみたいと思います

同時に、ちょっと関連があるASUS ROG ALLY、AYANEO2 S、GPD Win Max 2 2023、GPD P4 Maxといった最新UMPC情報や、小型eGPU(主にADLINK Nvidia Pocket AI)についても絡めて書いていきたいと思います

なお、公式からは何も発表されていない機種たちですのであくまでもリーカーや、公式の代理人として動いている方からもたらされた未確認情報や噂である点にはご注意ください

情報元は主に以下になります。感謝!

Discord

Phawx氏

DroiX

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GPD Win Miniとはどんな機種?

GPD Win Mini概要

GPD Win Miniは、かつて6インチのハンドヘルドUMPCとして一世を風靡したGPD Win 2の実質的な後継機とされる機種です

6月~7月頃にIndiegogoに登場予定とのこと。発売は11月ごろでしょうか

GPD Win Mini

画像出典:Discord

GPD Win 3やGPD Win 4はスレート型のスライドキーボード方式でクラムシェルタイプではありません。そこで、GPD Win 2とほとんど同じ筐体サイズでありながら狭額縁ベゼルによって7インチにサイズアップしたクラムシェルUMPCとして開発が進んでいる機種になります

GPD Win Mini

画像出典:Discord

Win 4が出たばっかなのにもう次の機種かよ!

という気持ちはよく分かります。Phawx氏も動画の中で「GPDのやり方は、旧機種を売ってどんどん新機種に乗り換えていくことで実出費を下げて最新モデルを使っていくというビジネスモデル」と語っていますのでね。賛否はありますよね

GPD Win Mini

画像出典:Discord

ただ実はGPD Win MiniはGPD Win 4とはちょっと位置づけの違う機種になっています

GPD Win 4はGPDの機種の中ではハイエンドと位置付けられています。これはクオリティの話ではなく性能面で、です。だから強力な冷却機構を有し、デフォルトで28W TDPでかつBIOSによりそれ以上のTDPに設定できるようにもなっているのです

それに対してGPD Win Miniはミドルレンジとして位置づけられている機種であるというのが今のところ語られている情報になります

CPUはRyzen 7ではなくRyzen 5 7640U(オプションで7840Uあり。後述)で、デフォルトTDPは15Wとなっています

もちろんZen4+RDNA3の組み合わせになりますから、15W駆動でも20W超動作におけるRyzen 7 6800U相当の性能は発揮できると思いますが、より冷却に余裕があり、かつ上位の7840Uを採用するとされるGPD Pocket 4やGPD Win Max 2 2023モデルと比べると性能は控えめになるかもしれません

ですのでGPD Win 4を買った人もそこまで悲観しなくてもいいのかも? 位置づけの違う製品ですので

GPD Win Miniのスペック(2023/4/20時点での噂)

ではGPD Win Miniのスペックを一覧表で確認していきます

なおROG ALLYも比較として掲載していますがこれには理由がありますので後述します

GPD Win Mini 7640U
GPD Win Mini 7840U
ASUS ROG ALLY
CPUAMD Ryzen 5 7640U
6C/12T
AMD Ryzen 7 7840U
8C/16T
AMD Ryzen 7 7840U Z1(Extreme?)
8C/16T
GPURadeon 760M RDNA3
8CU
Radeon 780M RDNA3
12CU
Radeon 780M RDNA3
(カスタム?)
12CU
メモリ16GB LPDDR5 7500MHz32GB LPDDR5 7500MHz16GB LPDDR5 5500MHz
ストレージ512GB SSD1TB / 2TB SSD512GB PCIe 4.0 SSD
ディスプレイ1920×1080 120Hz1920×1080 120Hz
500nits 応答時間7ms
TDP15W35W(?)
特筆事項Oculink対応
着脱式グリップ
XG Mobile対応
バッテリー45Wh不明
サイズ167 mm×108 mm×25 mm280 mm×113 mm×39 mm
重量不明608 g
予想価格約$700(?)不明$649(?)

というような感じになっています

基本スペックとなる7640UモデルではCPUのコア数のみならずGPUのCU(Compute Unit)も少ないですので、7840Uと比較すると微差ではなく明らかに性能が一段落ちることが予想されます。それを補うためのeGPUなのかもしれませんが

上位モデルに位置づけられるオプションの7840UモデルでもTDP 15W用のヒートシンクが採用されているとされていますので性能を発揮できるかは微妙かもしれませんね

なお、TDP15Wというのは機体コンセプトがそうなっていてそれに応じたヒートシンクが採用されているということであり、TDPキャップ(上限)があるのかどうかはPhawx氏なども「分からない」としています

Discordでも「GPDが15Wの性能で満足するとは思えない」という意見が圧倒的多数ですので期待してもいいのかも・・・?

比較してみるとROG ALLYのコスパの良さが光りますがこちらはスレート型で表を見ての通り巨大ですので比較対象にはならないかもしれませんね

ASUS ROG ALLY

画像出典:ASUS

ちなみに純粋に性能の発揮できる7840U機が欲しいということであれば他にも

  • GPD Win Max 2 2023モデル
  • GPD Win 4 7840Uモデル
  • GPD Pocket 4
  • GPD P4 Max
  • AYANEO2 S
  • AOKZOE Pro

など、続々と噂や情報が出てきますのでそちらを検討してもいいかもしれません

ではなぜ今回わざわざASUS ROG ALLYだけを表に掲載して比較したのかというと、特筆すべき点にいくつか共通点があるからです

まず、ディスプレイについてなのですが両者とも解像度1920×1080ピクセルの120Hz液晶を採用となっています。実はこれ、同じパネルであるということが噂されています。真偽は定かではないですがもしそうだとしたら、GPD Win Miniの方も500nitsで応答時間7msというパネルだということになりますね

そしてもう一つの特徴がオリジナルのeGPUに対応している点です

eGPUはサンボル接続で最近のUSB4.0機種ならほぼどれでも使えるじゃん

と思うところなのですが、サンボル接続のeGPUはどうしてもスループットが低下してしまうためグラボ本来の性能が発揮できないという問題が出てきてしまいます

この問題に対処するために存在するのがサンボル接続以外のeGPUで、かつてのAlienware FXでありASUSのXG Mobileであり、そして今回GPDからもリリースされるG1ということになります

これらは基本的にPCIe接続のインターフェースとなるわけなのですが、ASUSのXG Mobileが独自規格で汎用性が無いのに対してGPD G1は汎用規格であるOCuLink-2接続ですので他の機種でも(ポートさえあれば)使用可能な点が大きなアドバンテージです

実際GPD G1は、Win MiniだけではなくGPD P4 Maxにも対応すると言われていますので今後登場するGPD機はみなOcuLinkポートを搭載してくるのかもしれません

eGPU GPD G1について

既に実機の写真も出てきておりDroiXさんに掲載されておりますのでそちらをご覧になってください

GPD G1 Portable eGPU – All we know about this high performance eGPU Dock
Everything you need to know on the GPD G1 eGPU dock

GPD G1概要

先に書いた通りGPD G1はOcuLink接続によるeGPUです

PC自作をしたことがある人なら一度は見たことがあるであろう、あのPCIeコネクタがポート状になったもので、ケーブルも基本的にPCIeケーブルと同じものになります

GPD G1はGPD Win 4などの従来機種でも使えるようサンダーボルト接続もサポートされていますが、その際の速度が5GB/sであるのに対して、OcuLinkによる接続時は16GB/sの速度となっています

※追記

その後GPDから仕様が発表されまして、G1はPCIe 4.0×4接続であることが分かりましたので理論速度は8GB/s(64Gbps)となります。実効値は63.015Gbpsですので、GPDは63Gbpsと発表しております

技術仕様は以下の通り。XG Mobileと比較で見てみます

※XG Mobileはいくつかのバリエーションがありますが価格の近いローエンドモデルで比較

GPD G1
XG Mobile
GPUAMD Radeon RX 7600 XTAMD Radeon RX 6850M XT
TGP120W165W
CU数3240
VRAM8GB GDDR612GB GDDR6
ゲーム周波数2300 MHz2463 MHz
最大FP32演算性能21.4 TFLOPs13.3 TFLOPs
最大メモリ帯域幅288 GB/s432 GB/s
IOポートPCIe OcuLink×1(接続用)
USB Type-C×1(接続用)
USB Type-Aポート×3
SDカードリーダー×1
DisplayPort×2
HDMIポート×1
XG Mobileコネクタ×1
USB3.2 Type-Aポート×4
SDカードリーダー×1
DisplayPort×1
HDMIポート×1
有線LANポート×1
電源240W330W
サイズ205 × 110 × 29 mm217 × 165 × 32.6 mm
重量不明約1.26 kg
この構成での
実売価格
約$700124,800 円

というような感じになっています。GPD G1の性能はおおよそRTX3070 / RTX4060と同じぐらいのようです

グレード的にはXG Mobileの方が上でカタログスペックでも上回っている点が多いのですが、世代の暴力で理論性能はG1が上回っています。サイズもG1の方が(少しですが)小型なのも良いですね

ただTGPはXG Mobileの方が高いですので実際の性能は同等になるのではないかと予想します

GPD Win MiniはTDPが15Wベースになるようですが、G1を接続すればその電力をCPUに全振りできるわけですので28Wの6800Uと比較しても性能が下がってしまうということは無いでしょう。そしてGPU性能は段違いなわけですのでなかなか魅力的なセットアップではないでしょうか

PC単体で完結できないという点は好みが分かれる点だと思いますので

eGPUなんて持ち歩いてられっかよ!

という人は28W仕様の7840U機を選ぶ方が良いかもしれません

おまけ:Pocket AIという選択肢は……

これは比較対象にならず書くまでもないかと思ったのですが、私がプレオーダーしたという非常に個人的な理由から触れておきます(笑)

GPD G1は確かに非常に魅力的な性能を持っていますが、GPD Win Mini自体よりデカくて重いという点でちょっと持ち運びを躊躇してしまいます。重さデカさを許容できるのなら

それってゲーミングノートでいいですよね?

と論破されてしまったりなんかして

そんな時、ADLINKが販売するPocket AIが選択肢になる……と言えないこともないかもしれません

ADLINK Pocket AI

画像出典:ADLINK

Pocket AIはNvidia RTX A500を搭載するeGPUなのですが、特筆すべきはそのサイズです

GPD Win Mini

106 × 72 × 25 mmという小型サイズで、重量もわずか250 gです。電源も40WでOKで、電力要件を満たすPD給電で動作するというお手軽さです

これなら小型が魅力のWin Miniを活かしつつグラフィック性能を担保することができ、ひいては15Wの電力をCPUに全振りすることも可能ですのでね

ただそんなにうまい話もあるわけはなく、色々と諦めなければならない部分もあります

まず、大前提としてこのeGPUはそもそもゲーム向けではありませんのでゲーム性能の大幅な向上を望むものではありません

採用されているGPUはNVIDIA RTX A500というもので一応Quadro系のラインナップですが、これはRTX3050 Mobileとほぼ同じ構成でコードネームGA-107のAmpereアーキテクチャとなっています

が、CUDAコア数は2,048基と減少しておりメモリーバス幅も半分の64bit、メモリー帯域幅も112 GB/sに、ブーストクロックは1335 MHzになっています。またPocket AIはTGPが25Wと非常に低く、VRAMも4GBしかありません

これでもまだ使う価値があるの? と思われるかもしれませんが一応いくつかメリットはあります

  1. 25W TGPなので未知数だがそれでも780Mよりは少し高性能(と思われる)
  2. GPUの負担をPocket AIに投げられるためWin Miniの電力をCPUに全振りできる
  3. RTXに依存する機能を使うことが出来る

といった具合です

特に3.は中々ユニークで、例えばStable Diffusionをローカルにインストールして使いたいとなったらNvidiaのグラボは必須となります。Radeonはまだ最適化が済んでいないので高性能グラボでも厳しかったりしますからね。VRAMが4GBしかないのでジェネレーティブAIのローカル使用はまずやらないでしょうが

まあこれは極端な例ですが、これ以外のケースであっても「GPUの性能そのものよりも、Nvidia eGPUを使う付加価値に魅力がある」と思えるのなら、250 gしかなくガジェットポーチにポンと放り込んでおけるeGPUというのは一考の価値ありなのではないかと思います

Pocket AIの最大FP32演算性能が6.54TFLOPsに対して、7840U(780M)はTDPによるけど8.909TFLOPsなので、28Wデフォの機種の場合にはiGPUの方が性能も高いかもしれません

NVidia GPUのメリットを活かしたい、あるいは用途が限られるけどより高性能なTensorコアを使いたいという人なら面白い選択肢かもしれないね

私は注文済みですのでこちらについては届いたらまたレビューを書ければと思っております

まとめ

ということで今回はGPD Win MinieGPU G1、そしてそれらに関連するUMPC周りのことをザックリと書かせていただきました

もう本当に買っても買っても次が出てきてキリないよって感じではあるのですが、ワクワクするのも事実。特にeGPUはどんどん小型化も進んできてポータブルすることが現実味を帯びてきましたので、そうなるともうPC本体の性能は二の次になってきますよね

すると重要なのはPC自体の使いやすさとディスプレイの美麗さということになろうかと思います。そう考えるとやっぱAYANEO2が最適解ということになるのかな。AYANEO2のディスプレイはほんと、UMPC界では奇跡の品質だと思います

Win Mini及びG1は私もたぶん買いますがこれらはちょっと試すぐらいになりそうかも。sRGBカバー率100%は既に当たり前ですが、AYANEO2と同じDCI-P3及びAdobe RGBカバー率90%オーバーのディスプレイとか載せてきてくれたら使い続けたいのですが……無理だろうなぁ(泣)

Discordでもみんな言ってますがWin Miniに120Hzなんていらないから有機ELにしてほしかったです。そうすれば最強の機種になったのに

当面はAYANEO2 B.Duckを愛機として使い続けていくことになりそうです

それではまた~

コメント

  1. GPD WIN mini…こういう小型PC好きなんですよね。
    GPD Micro PCだと少しパワー不足…と思っていたので
    続報が楽しみです。

    別記事ですが私もGPD WIN 4ではなくOneXPlayer2を選びました。キーボードの磁石いくらか強化されてたのですね。
    AYANEO Slideも気になっているのですが、続報…。

    あとPocket AI ! PD給電出来てコンパクト!って
    イイですね。しかも専用ケーブルじゃないのも◎
    レビュー楽しみにしています。

    ポチりたくなったのですが、
    注文方法がよくわかりませんでした(T^T

    中国のショップで予約する…ということなのでしょうか?
    注文方法を教えていただけるとありがたいです。

    • mogiさん

      コメントありがとうございます
      WIN miniは「ポケットに入る」PCが好きな人にはたまらない機種で期待されてますね。WIN 4やASUSのROG Allyみたいなスレートタイプではスティックがむき出しでそのあたりが難しいですもんね
      WIN Max 2 2023のキャンペーンが終わってから登場になってしまう気はしますが楽しみですね

      Pocket AIについてですが、今は注文できないと思います
      厳密に言うと中国のいくつかのサイトへの注文ボタンが表示されてると思いますが、転送サービスでも使わないかぎりは日本への配送はできないのではないかと(未確認)
      ちょっと前までは同サイトにてグローバル向けに先行予約を受け付けてまして私もそれで申し込んだ感じです。先行予約申し込み→メールで支払情報が送られてくる(PayPalか電信送金)→購入、という流れでした
      しばらく待てばまたグローバル向けの注文も再開すると思うので公式情報をチェックしておくと良いと思います
      記事中にもあるように性能的にはそこまで高くないですので、Tensorコアを活用したいとかRTXの機能を有効利用したいなどゲーム以外の目的が無いと期待外れに感じてしまうかもしれませんので注意でしょうか

      参考になれば幸いです
      良かったらまたレビュー記事なども見に来て下さいね