ようやく……ようやくっ! AYANEO2 B.Duckが届きました
どれだけ待たすんだよ……
AYANEO2自体にはもう新鮮さはありませんが、B.Duckエディションについては情報も少なく希少で、自分的にも大好きなデザインですのでレビューをまとめていきたいと思います
Ryzen 7 6800U機ですので、スペック通りに「可愛らしい見た目とは裏腹に高性能」となってくれたら最高なのですが果たして・・・
それでは見ていきましょう
開封~梱包状態・内容物・付属品など
クラファンでの出資から4カ月ほど待たされたブツがこちら
うちは田舎なのでDHL→佐川というコンボで到着。硬めの段ボールで外装はつぶれもなくしっかりした感じでした
中身はこんな感じ。割と箱の大きさがジャストだったので緩衝材はほとんど入ってませんでした。無事で良かったです
本体・保護フィルム・ケース・サムスティックキャップが入っています。潰れなどもなくキレイ……と思いきや
サムスティックキャップの箱がつぶれてました。まあこのぐらいは仕方ないですかね
可愛らしい化粧箱の蓋を開けていきます
まずマニュアル等の紙類が入っており、その下には
バァ~ンッ! B.Duckさんが鎮座していました。さらにその下には
アクセサリーのガイドを兼ねたセパレーターがあり
最下段は各種付属品が収納されています。B.Duckエディションはこちらの付属品も一部特別仕様となっています
USBケーブルの方は残念ながら箱だけですが
充電器の方はしっかりとプリントされています。特別感があって嬉しいです。ちなみに充電器は出力65Wでプラグに丸穴のある日本でも合法的に使えるタイプでした
実使用には汎用品を使い、これらの付属品は使わず大事にしまっておきたいところです
本体まわりのレビュー
続いて本体です。なお、私はゲームはやりませんのでボタンやスティックに関しての事柄は書けません。申し訳ありません
キャップを着けてみました。神……尊いです。可愛すぎです。キュン死してしまいそう
ボタンやトリガーの色合いも可愛いですし十字キーの角が丸っこいのもこの機種に合ってます。性能が他機種より劣っていても全然愛せます
裏面も可愛すぎ♪ ……なんですが、ちょっと気になる点も
技適の印字無くない?
取得はしてるんだけど記載を忘れたのか・・・?
技適を通っていても技適マーク&認証番号の表示が無いとダメという意味不明なルールが日本の電波法。馬鹿かな? 国内モデルには刻印されているんだろうか。うーむ
ということで電波暗室にて、念のためWi-Fiやbluetoothといった無線通信も全て無効にしたうえで電源を入れていきます(笑)
純正ドックを購入しているので有線LAN接続が可能です
こちらのドックは他にもUSB Type-Aが2基とType-Cが1基、HDMIもありますのでかなり便利です
画面はかなりキレイですね。他のUMPCとは一線を画す感があり、Razer、Alienware(DELL)、ASUSなどのゲーミングノートが採用するDCI-P3カバー率100%のディスプレイ達に近い印象を受けました。有機ELに近い発色と言われるのも納得です
あとAdobe RGBカバー率が他のUMPC機より圧倒的に高いのもポイント
ゲームメインの方ならsRGB100%で十分なので他のUMPCでいいと思いますが、写真現像やグラフィックデザイン、映像制作等に使いたいなら、AYANEO2のディスプレイは他UMPC機種に対して大きなアドバンテージになるかもしれません
ただ、作業がしやすいとは言えないです。7インチですのでね(笑)
いつも私はUMPCにはノングレアフィルムを貼るのですが、この機種だけはディスプレイのキレイさを損ないたくなかったので透過度の高い高光沢フィルムを選びました
液晶だけではなく全面ガラスを全て保護してくれるタイプのやつです(Amazonに売ってないのでリンクを貼れませんでしたが、私はPDA工房さんではなくミヤビックスさんのものを使っています)
SDカードスロットが蓋つきなのもお気に入りポイントです
少し膨らんでいて印の付いてるところを押しこむと開きます。ネットで色々言われていましたが、私の個体はちゃんと蓋も閉まりました
最後に電力についてなのですが、65W以上のPD充電器を接続しても65W上限でそれ以上電気が入っていかない様子を確認できました
この動画にあるようにデフォルトでは100W急速充電はONになっていないようです
この機種は大事に使いたいので純正チャージャーを使うべきかとも思っていたのですが、B.Duckオリジナル充電器は未使用のまま保管しておきたいという気持ちもあり悩んでいました
しかし、汎用的な100W充電器でも安全に使っていけそうだと確認できたので一安心です
収納ケースについて
続いてケースについてなのですが、実は純正のケースがイマイチです
ケースを閉じるとスティックが圧迫されてしまい、使い続けると故障の原因になりはしないかと不安になります
色違いで2個とも買っちゃったのに……(泣)
そこで私はこちらのケースを購入して使用することにしました
スカルのデザインが可愛くて好きでこの機種にも合ってる気がします
と言ってもこちらは見た目だけで選んだわけではなく実用性も兼ね備えています
ケースは↑こんな形状をしてるのですが、まず真ん中のくぼみに周辺機器を入れます
中蓋をする。この蓋はソフト生地ですが中に芯が入っていてけっこう硬く、たわんだりすることはほとんど無さそうです。そうしたらこの上に
本体をこの向きで収納します。サイズはジャストフィット。左右のスペースにスティック部が来ますので圧迫されることはありません
もちろん正しい向き(画面が上)に収納してもいいのですが、ケースを閉じた時、下側はかなり頑丈で全くたわまないため、上蓋側のメッシュのところの伸縮で“あそび”を調節することになります。つまり、いちばん出っ張っているスティックがメッシュに圧迫されるということ
メッシュという柔らかい素材とはいえ、スティックの圧迫は避けたいのでこの向きがベストかなと
もう一つの中蓋をしてベルトで固定すれば本体もしっかりとホールドされます
Switch用のケースですがこの機種のために生まれてきたようなケースで非常に気に入っています
AYANEO2 ベンチマーク概要
可愛いだけで満足なのですが、ライバル機と性能を比べる為ベンチマークも行っておきます。今回のベンチマークに当たっての前提条件は以下です
- 機体は32GB RAM / 2TB SSD / B.Duckモデルです
- Windows Update及び各種アップデートを全て適用しバックグランドで余計な負荷がかからないよう対処した状態です
- AYASPACEにてパフォーマンスを「プロ 33W Max」、ファンを「暴れる MAX」に設定した状態です
- 電源接続状態(純正ドック)
- 環境温度18度前後
- 日本語環境(一部のPugetbenchのみ英語環境)
- 解像度1920×1200・拡大率150%
その他の設定は基本的にいじってません
AYANEO2 ベンチマーク
今回は同じ6800Uを搭載するONEXPLAYER2(28W)と比較します。ONEXPLAYER2自体の詳しいベンチを見たい方は別記事をご覧ください
なお、AYANEO2にはSmart FanやSmart TDPは入れていません。ですのでTDPは固定でファンの音も爆音です
実用上はこれらのユーティリティアプリを入れ、6800Uに推奨される28W上限のTDPにした方が良いのかもしれませんが、今回はあくまでも最大TDP同士のベンチ比較ということで
AYANEO2は冷却性能が弱いんですよね。この間改良版ヒートシンクが発表されましたので、そちらを装着すればまた変わりそうな気はします
PassMark(CPU Mark)
全体的なパフォーマンスをざっくりと見るために実施です
なお、3D Markについては一部のテストがエラーとなり実施できませんのでスコア無しです。どちらの機種でも同じですのでこれはRadeonに起因するものだと思います
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
PASSMark | 6660 | 6508 |
CPU Mark | 21357 | 22876 |
2D Mark | 826 | 785 |
3D Mark | NA | NA |
MEMORY Mark | 2397 | 2451 |
DISK Mark | 40855 | 23787 |
このような結果になりました。ONEXPLAYER2の方が低電力なのに性能は上ですね
いや、PASSMARK(総合性能)は勝ってるじゃん
と思われるかもしれませんがこれはストレージの差で、AYANEO2がPCIe 4.0のSSDなのに対してONEXPLAYER2はPCIe 3.0ですのでその差があらわれただけです
PCIe 4.0 SSDのせいで余計に発熱してAYANEO2は放熱が苦しくなってしまっているのかもしれませんね。とはいえカワイイ見た目でこれだけの性能があるなら全然オッケーです
GeekBench 4&5
GeekBench 5と6を実施。今まで行ってきたGeekBench 4は前回の予告通りやめました
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
GeekBench5 シングルコア | 1486 | 1536 |
GeekBench5 マルチコア | 8044 | 8117 |
GeekBench5 GPU(OpenCL) | 31377 | 31552 |
GeekBench6 シングルコア | 1880 | 1945 |
GeekBench6 マルチコア | 8633 | 8411 |
GeekBench6 GPU(OpenCL) | 26691 | 25851 |
やはりAYANEO2の方がわずかにスコアが低いところが多いかなといった印象。ただこのぐらいなら誤差の範囲とも言えますかね
CINEBENCH R20/R23
CPU性能をじっくり見るために実施。時間がかかるテストなのでアチアチのAYANEO2にはツラいところかもしれませんがどうでしょうか?
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
CINEBENCH R20 シングルコア | 567 | 597 |
CINEBENCH R20 マルチコア | 4040 | 4426 |
CINEBENCH R23 シングルコア | 1392 | 1518 |
CINEBENCH R23 マルチコア | 10387 | 11180 |
やはり……。28WのONEXPLAYER2に5%~10%程度性能が劣っています。AYANEO2は33Wなのに
PCMark10
各種用途における使用感をある程度実践的に探るために実施
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
Essentials | 10096 | 9832 |
Productivity | 9041 | 8821 |
Digital Contents Creation | 7912 | 7936 |
総合スコア | 6432 | 6330 |
こちらのベンチではAYANEO2の方が全体的に良いスコアになってます。ただこのぐらいだと誤差の範囲とも言えますのでヌカ喜びはできません
でもONEXPLAYER2と同等の性能というだけでも十分に満足です
PugetBench
私がメインで使用するAdobe系ソフトのベンチです
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
PugetBench for Premiere Pro | 303 | 298 |
PugetBench for Photoshop | 956 | 959 |
PugetBench for After Effects | 624 | 641 |
悪くなってしまうことを覚悟していたのですが、予想に反してONEXPLAYER2と同等のスコアを出してくれました
B.Duck、可愛いけどちゃんと使えるぞ! これは嬉しい♪
Fire Strike(3DMark)
GPUの性能を探るために各種GPU系のベンチも回してます
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
Graphics Score | 7709 | 7250 |
Physics Score | 21433 | 20215 |
Combined Score | 2606 | 2525 |
総合スコア | 7009 | 6645 |
どうしたことか、AYANEO2の方が5%程度良いスコアになりました
あまりピンと来ませんがゲームやる人にとってはこのぐらいの差でも重要だったりするんですかね
Time Spy(3DMark)
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
Graphics Score | 2509 | 2488 |
Physics Score | 7736 | 7627 |
総合スコア | 2791 | 2767 |
こちらも同様の結果ですが1%~2%差なので誤差の範囲ですね。AYANEO2意外と冷却出来てるのか!?
Port Royal(3DMark)
重いのであまり参考にはなりませんが
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
総合スコア(Graphics Score) | 1216 | 1186 |
同じく、誤差と言える微差だけどAYANEO2の方が高スコアでした
Speed Way(3DMark)
かなり無理めだけど最新ベンチなので実施です
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
総合スコア(Graphics Score) | 402 | 402 |
最後はキレイに同点でフィニッシュでした(笑)
3DMarkのベンチはどういうわけだかほぼ全てAYANEO2の方が優れていますね。といっても誤差と言えるほどの微差ですので、同等と判断していいのかなと思います
28W対33Wのくせに同点なんだけどね
5W分のロスは筐体の可愛らしさでじゅうぶん元が取れるからOK♪
VRMark
VR Readyではありませんがどの程度いけるのかを探るため実施
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
Orange Room | 3359 | 3646 |
Cyan Room | 2635 | 2578 |
Blue Room | 669 | 663 |
Orange Roomだけ無視できない差(10%弱)がありますが、重いテストになるほど差がなくなっていきます。これが本当の『どんぐりの背比べ』ってやつでしょうか
実際どちらの機種も「重いなぁ」って感じです。やはりVRでの使用は難しそうですかね
ドラクエ10ベンチマーク
参考にならないことは分かっていつつも、特にUMPCの検証だとやりたくなってしまう思い出のベンチマークです
設定は1920×1080・最高品質・フルスクリーンです
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
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スコア | 10303 | 11685 |
評価 | すごく快適 | すごく快適 |
共にすごく快適評価ながら、ONEXPLAYER2とは少しスコアが開きました。動作にカクツキなどは無くサクサク動くと思います
FF14ベンチマーク
こちらもいつものテストって感じで実施します
設定は1920×1080・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウです
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
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スコア | 8384 | 8842 |
評価 | 快適 | 快適 |
やはり評価は同等ながらも少しONEXPLAYER2の方がスコアが良いです。こちらも画面の動作はスムーズでつっかかりなどは見られませんでした
FF15ベンチマーク
最後はFF15ベンチです
設定は1920×1080・標準品質・ウィンドウです
AYANEO2 33W |
ONEXPLAYER2 28W |
|
スコア | 3136 | 3606 |
評価 | 普通 | 普通 |
またまた評価は同じながらも、スコアは20%弱ほど開いています
このベンチ中はAYANEO2の方が明らかにカクツキが目につきましたので、フレームレートは意外と差があるのではないかと感じました。評価「普通」になってますが設定落とさないと厳しいように感じます
CrystalDiskMark
SSDとmicroSDカードスロットのテストです。使用したmicroSDカードはどちらも以下のもの
ちなみにメーカー公称スペックはSSDがPCIe 4.0×4、SDスロットはread 300MB/s Card対応となっています
本体SSD |
micro SDカードスロット |
|
SEQ1M Q8T1 Read/Write | 4839.93 / 4389.74 | 94.26 / 84.93 |
SEQ1M Q1T1 Read/Write | 4450.95 / 3802.35 |
93.72 / 84.85 |
RND4K Q32T1 Read/Write | 543.48 / 407.91 |
11.47 / 3.76 |
RND4K Q1T1 Read/Write | 70.86 / 194.63 | 9.77 / 3.75 |
発送が遅れまくったAYANEO2ですが唯一良かった点があるとすればこちらで、以前はCingkoというSSD(自社製?)が使われていて色々と問題を起こしまくったのですが、今回のSSDはレビューユニットにも採用されていたLexarブランドのSSDに戻っていました
PCIe 4.0接続なのでONEXPLAYER2より速いですが、とはいえPCIe 4.0接続のNVMeの中では遅いSSDですね。実用上は特に困ることはないでしょうが
SDカードスロットは及第点といったところでしょうか
SDカードを多用する人は、なぜかいつもSDカードスロットの性能が良いGPD製品の方がいいのかもしれませんね
まとめ
ということで今回はAYANEO2 B.Duckについてのレビュー&ベンチを書かせていただきました
いやぁもう本当に久々に満足感高いです。この機種は型落ちになっても売らず大事に保管しておこうと思いました
個人的に今回いちばん嬉しかったのはPugetBenchの結果でした
私はPCをクリエイションのために使います。デスクトップでもノートでも、たとえUMPCだろうがハンドヘルドだろうがクリエイションのために買っているのです
そんな私にとって、メイン使用ソフトであるこれらがちゃんと動くのかどうかというのは最重要ポイントなのですが、今回の結果で、ファンの爆音にさえ我慢すればAYANEO2は他の6800U機と同等の性能を発揮できることが分かりました
ここさえ確認できれば、ディスプレイの質の良さのことも考えると、ある意味
クリエイティブワークに最も向いているハンドヘルドPCはAYANEO2である
と言ってもいいのかなという気すらしてきます
見た目が最高に可愛くて、ディスプレイの色域もどのライバル機より広く美しい。マシンパフォーマンスも他の機種に勝るとも劣らないならこれはもう最高の機種でしょう!
このへんが私の意見とゲーム目的の方とで意見が合わないポイントなのだと思います
ゲーム目的の方からしたら、AYANEO2は ダサい・値段高い・持ちにくい・G〇Dの液晶でも十分キレイ……となって、逆にこの機種には魅力を感じないと思います
『道具』のレビューをする時には「誰が」「どのように」使うのか、ということまで伝えないと正しい思いは伝わらないだろうなぁということも改めて感じました
可愛いもの好きなクリエイターの方はきっと気に入ると思いますので、この記事が気になったら購入を検討してみてはいかがでしょうか
それではまた~
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