レビュー第2回。続きです。1回目はこちら

今回はONEXPLAYER2のベンチマークの方をまとめていきたいと思います。既にネット上にたくさん情報もありますが、UMPCのベンチは特に3DMarkとゲームのFPSで比較するものばかりになってしまったので、当サイトでは従来の一般的なベンチマークを中心に行っていきます
TDP変更が6800U機のウリでもありますので、変更してみてのリザルトの変化など見ていければと思います。TDPの変更はユーティリティ「GAME CENTER」で超簡単に変更できるので良い時代になりましたよね
なお、毎度同じこと書いて申し訳ないのですが私はゲームをほとんどやりません。ゲーム目線でのベンチマークではありませんのでその点はご承知おき下さい
ONEXPLAYER2 ベンチマーク概要
今回のベンチマークにあたっての前提条件を書いておきます
- 機体は32GB RAM / 1TB SSD / ホワイト モデルです
- Windows Update及び各種アップデートを全て適用しバックグランドで余計な負荷がかからないよう対処した状態です
- 電源接続状態
- 環境温度10度前後
- 日本語環境(一部のPugetbenchのみ英語環境)
- 解像度2560×1600・拡大率200%
その他の設定は基本的にいじってません
ONEXPLAYER2 ベンチマーク
15Wだけ太字でスクリーンショットを掲載しているのもデフォルトだからです
PassMark(CPU Mark)
全体的なパフォーマンスをざっくりと見るために実施です
9W |
15W | 28W | |
PASSMark | 5191 | 5991 | 6508 |
CPU Mark | 13957 | 19055 | 22876 |
2D Mark | 608 | 710 | 785 |
3D Mark | NA | NA | NA |
MEMORY Mark | 2374 | 2436 | 2451 |
DISK Mark | 23537 | 23179 | 23787 |
3Dグラフィックテストだけエラーで実行できなかったのでそれ以外のスコアをまとめています
9Wから15Wに上げた時のCPUの伸びはすごい(40%程度UP)ですが、15Wから28Wにした時の伸びは激変というほどではないですね(20%程度UP)。意外と15W運用もアリなのかな?
ただGPUが計測出来ていないため判断が付きませんので、そのあたりは他のベンチに譲ります
GeekBench 4&5
GeekBench 6が登場しましたので今回はそちらも実施。それに伴い、GeekBench 4での検証は今回で最後にしようと思います
9W |
15W | 28W | |
GeekBench4 シングルコア |
5761 | 6284 | 6426 |
GeekBench4 マルチコア |
18137 | 26584 | 32847 |
GeekBench4 GPU(OpenCL) |
87309 | 93465 | 90533 |
GeekBench5 シングルコア |
1393 | 1534 | 1536 |
GeekBench5 マルチコア |
4675 | 6766 | 8117 |
GeekBench5 GPU(OpenCL) |
20115 | 28348 | 31552 |
GeekBench6 シングルコア |
1776 | 1944 | 1945 |
GeekBench6 マルチコア |
5241 | 7336 | 8411 |
GeekBench6 GPU(OpenCL) |
14702 | 21964 | 25851 |
いつも言うようにGeekBenchは時間が短すぎてどこまで正確に計測出来ているのか疑わしいのですが……PassMarkと同様、15Wと28Wとでは消費電力から想像されるほど性能差がありませんので、特にバッテリー駆動時には15W運用でもいいのかなと感じさせます
他のテストも見ていきます
CINEBENCH R20/R23
CPU性能をじっくり見るために実施
9W |
15W | 28W | |
CINEBENCH R20 シングルコア |
525 | 574 | 597 |
CINEBENCH R20 マルチコア |
2199 | 3410 | 4426 |
CINEBENCH R23 シングルコア |
1269 | 1529 | 1518 |
CINEBENCH R23 マルチコア |
5202 | 8768 | 11180 |
こちらで見る限りでは、あまりGPUを必要としないCPUに依存した作業をする時にも28W駆動にする恩恵がありそうだと分かります
ただ、こうして見てみると9Wは実用上やや不満の出そうなスコアですが、15Wは思ったほど悪くないスコアだと思います。日常使用においては特に不満なく使っていける気がしますので、バッテリーとのバランスで判断するべきなんでしょうね
PCMark10
各種用途における使用感をある程度実践的に探るために実施
9W |
15W | 28W | |
Essentials | 8229 | 8872 | 9832 |
Productivity | 8020 | 8674 | 8821 |
Digital Contents Creation | 4639 | 6201 | 7936 |
総合スコア | 4831 | 5602 | 6330 |
28W動作時はGPU周波数が1800MHzとなりますので、その恩恵がそのままDigital Contents Creationに反映されていますね
クリエイティブな作業をする時には28W動作させるのが前提になるのかなという感じです
一方で、ライトユースやオフィス用途といった使い方では9Wの省エネ動作でもある程度のパフォーマンスを発揮できていることも分かります。意外と日常用途・一般業務用途でもバッテリーを気にせず使える良い機種なのかも?
PugetBench
私がメインで使用するAdobe系ソフトのベンチです
9W |
15W | 28W | |
PugetBench for Premiere Pro | 126 | 238 | 298 |
PugetBench for Photoshop | 724 | 836 | 959 |
PugetBench for After Effects | 441 | 551 | 641 |
これはもうTDPの差が如実にあらわれた結果となりました
GPU性能をそこまで必要としないPhotoshopならまだ良いですが、動画編集・動画制作に使いたいと思ったら28W駆動でないと厳しいですね。それでも重いですが……

フルHD程度の動画編集ならその限りではないと思いますが
このベンチは実アプリを動かして計測する形になっているのですが、そこでかかったタスク終了までの時間も段違いでした。9Wと28Wでは電力差の通り3倍ぐらい時間が違いましたので、ベンチマークのスコア以上に開きがあります
28W駆動であれば、ガチのメイン機としては厳しいですが出先でちょっとした編集や、簡単な一部のポスプロぐらいなら行える性能と液晶色域はあるように感じました
Fire Strike(3DMark)
ゲームのことは分かりませんが、GPUの性能を探るために各種GPU系のベンチも回しています
9W |
15W | 28W | |
Graphics Score | 3762 | 4799 | 7250 |
Physics Score | 11946 | 16835 | 20215 |
Combined Score | 1260 | 2099 | 2525 |
総合スコア | 3433 | 4698 | 6645 |
こうして並べて比較してみると、GPUの方が性能向上幅は大きいですがCPUについてもきちんと性能が上がっていることが改めて確認できます
となると、バッテリーの心配が無いのならGPU不要の場面でも28Wで運用する方がいいのかなと感じます
Time Spy(3DMark)
9W |
15W | 28W | |
Graphics Score | 1270 | 2009 | 2488 |
Physics Score | 4119 | 6485 | 7627 |
総合スコア | 1417 | 2241 | 2767 |
同上の感想です
Port Royal
9W |
15W | 28W | |
総合スコア(Graphics Score) | 646 | 962 | 1186 |
同上の感想です
Speed Way
かなり無理めかと思いましたがせっかく新登場しましたのでこちらも実施です(笑)
9W |
15W | 28W | |
総合スコア(Graphics Score) | 249 | 360 | 402 |
VRMark
VR Readyではありませんがどの程度いけるのかを探るため実施
9W |
15W | 28W | |
Orange Room | 1567 | 2883 | 3646 |
Cyan Room | 1164 | 2009 | 2578 |
Blue Room | 337 | 530 | 663 |
コンテンツにもよりますが、軽めのものなら思いのほか楽しめるのかも?
ドラクエ10ベンチマーク
全く参考にならないでしょうが、個人的に好きなベンチマークなので懲りずに実施
設定は1920×1080・最高品質・フルスクリーンです
9W |
15W | 28W | |
スコア | 5475 | 8889 | 11685 |
評価 | 快適 | とても快適 | すごく快適 |
Atom機の時代からずっとUMPCでこのベンチをやり続けてきて、当時は1280×720・標準品質で3000とかいったら感激してた記憶があります
UMPCもほんの5~6年でここまで性能が上がったと思うと感慨深いものがありますね
FF14ベンチマーク
他所ではちっとも見かけなくなりましたが、DirectX 11世代ベンチの代表格(?)として未だに実施しています
設定は1920×1080・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウです
9W |
15W | 28W | |
スコア | 5062 | 7900 | 8842 |
評価 | 普通 | やや快適 | 快適 |
9Wだとちょっと厳しいですかね。15Wでも、IntelのXeグラフィックとあまり変わらないスコア
Ryzen 6800U機を買う人はグラフィック目当てでしょうから、ゲーム目的の人はやはり28W(以上)駆動一択になるのでしょうね
FF15ベンチマーク
こちらも、今時やってる人を見かけないですが個人的に他機種のスコアと比較しやすいので実施しています。今時のゲーム系ベンチはやれなくて申し訳ないです
設定は1920×1080・標準品質・ウィンドウです
9W |
15W | 28W | |
スコア | 1594 | 2805 | 3606 |
評価 | 動作困難 | やや重い | 普通 |
iGPUで評価「普通」まで来ましたね
ただ、Kaby Lake-Gに採用されていたVega M GH(厳密にはiGPUじゃないけど)はCPU一体型グラフィックながら4000以上のスコアを出していましたので、RDNA2にももう一歩頑張ってほしかったかも?
間もなく登場するRDNA3になればVega M GHを超えるのではないかと今からワクワクします
CrystalDiskMark
SSDとmicroSDカードスロットのテストです。使用したmicroSDカードはこちら
ちなみにメーカー公称スペックはSSDがPCIe 3.0×4、SDスロットは4.0 TF Card対応となっています
本体SSD | micro SDカードスロット | |
SEQ1M Q8T1 Read/Write | 3461.87 / 2939.02 | 99.05 / 87.42 |
SEQ1M Q1T1 Read/Write | 2262.30 / 2771.89 | 99.15 / 88.36 |
RND4K Q32T1 Read/Write | 596.13 / 447.45 | 14.01 / 3.21 |
RND4K Q1T1 Read/Write | 74.40 / 192.24 | 13.63 / 3.15 |
ONEXPLAYER2のSSDはPCIe 3.0接続と公表されていますが、もっと粗悪品が載るかと思ってたので想像以上に高速なSSDが採用されていてビックリしました
ちなみに搭載されているSSDは「ONE XPLAYER Q1」という自社製(?)のもののようです
マイクロSDカードスロットについては限界スペックを探れたわけではないですが、少なくとも今回使用したカードに関しては一般的な読み書き速度を担保できていることが確認できましたので私には十分です

同カードで公称値に近いRead 120MB/s程度の速度を出せるリーダーもあるようですが、さすがにそこまではいきませんでした。が、このカードが苦手とされるWriteは速いし、実使用でより重要になるランダムリードもまずまずですので悪くないと感じました
4.0 TF Cardが何を指しているのか分かりづらいのですが、メーカーの言い分をそのまま信じるのならUHS-Ⅱ対応のカードリーダーということになり、理論値は300MB/sとなります
このカードが手元に無いため試せず申し訳ないです
まとめ
今回はONEXPLAYER2の各種ベンチマークと雑感をまとめさせていただきました
正直なところ、この機種はもっとダメなところが目立つ機種なのではないかと思っていたのですが、想像以上によくできているぞ! っと感じて良い意味で驚きました
ボタンに割り当てられた「GAME CENTER」アプリによるTDP変更はスムーズで直感的だし、特に不具合を出すこともないですので作業内容や電源環境によって切り替えてくのも苦じゃないです
28W駆動時も動作は安定していて、例えばこのメーカーの今までの機種ってTDPを上げるとものすごいファンの唸り音が轟いていたのですが、それもかなり改善されています(冬だからかもしれませんが)
無骨で野暮ったく、ちょっと厨二なデザインを受け入れられるなら普段使いのサブ機としてもいけるのではないかと感じています
コントローラーが外せて、華奢だけどキックスタンドがあって、出来はイマイチだけど専用キーボードカバーもあって、液晶品質も及第点。そして8.4インチというのはデスクに置いて作業できるPCとしての最小限を満たしているのかなと
私は7インチのAYANEO2の方をメインのサブサブ機にする予定ですが、7インチってやっぱりハンドヘルドのサイズなんですよね。手持ちならいいですがデスクに置いての作業はちょっと厳しい。その点ONEXPLAYER2は、ほとんどの作業がデスク上でノートPCの感覚で行えたというのは驚きでした

特に私の使用目的であるAdobe系のソフトは、ウィンドウも多いしメニュー項目も細かくて多いので7インチの机上作業はやっぱり難しいです
この機種は主に見た目が私の好みとは少し違ってはいて自分で使っていくことは無さそうではあるのですが、想像よりもずっとよく出来ていて多くの方々にすすめることの出来る機種なのかなと思います。でも、厚さと野暮ったさだけは覚悟が必要ですけどね(笑)
それではまた~
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