Mavic Miniって、グローバル版買った方が良くない?

Mavic Mini 海外版 日本 ガジェット

ドローンインストラクターをしています、りんごロイドです

もうじき海外に出張に行くことになっています。ドローン(の産業利用)を海外に普及させるための半官半民の事業なのですが、ちょうどその時期とMavic Miniの発売日が被ってしまっていました

受け取りのことなんかも考えて購入を迷っているうちに、公式サイトのフライモアコンボは売り切れて納期が延びています……。ちくしょー!! と悔しい思いをしたのですが、そこでふと冷静になる時間を得ることができました

もしかして、Mavic Miniを買うなら海外版の方がいいのでは?

という思いです

もちろんいくつか条件もあるので、今回はそのあたりの点について思ったことを書きたいと思います

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Mavic Mini 日本版と海外版の違い

そもそも海外版と日本版で何が違うのかという話なのですが、これは知ってる人も多いでしょう。両者は機体重量が違っています

機体+バッテリーの合計重量が、海外版は249gであるのに対して、日本版では199gとなっています

これはそれぞれ代表的な規制に合わせたもので、アメリカFAA(連邦航空局)の規制が250g未満、日本の航空法では200g未満の機体はそれぞれ航空法の適用を受けないため、このギリギリのラインを狙って作られた機体ということになります

Mavic Mini 海外版 日本

画像引用:DJI

ちなみにこの重量は最低限飛行に必要なシステムの合計重量となっていますので、SDカードを挿入したりプロペラガードを取り付けた結果重量オーバーしてしまうのはOKですので安心して下さい

さて

日本版はグローバル版よりも50g軽いわけですが、何が犠牲になったのかというとバッテリー容量を犠牲にしています

両者のスペックは全く一緒のため、飛行に必要な電圧は7.4V(=2セル)と同じです。ということは、バッテリーを軽くするなら容量を削るしかないというわけなんですね。バッテリー容量はグローバル版の2400mAhに対して日本版は1100mAhと半分以下!

これにより、グローバル版では最大30分のフライトが可能だったものが、日本では最大18分と大幅に短くなってしまっています

あまり注目されませんが「アンダー300gの機体で飛行可能時間が30分」というグローバル版Mavic Miniの数値は驚異的なものです

Mavic Mini 海外版 日本

画像引用:DJI

30分というフライト可能時間はPhantom 4 Proなんかと同じであり、低電圧を考慮しても23分ぐらいは飛んでいることが可能。Mavic Miniの性能を考えると、これらとかなり近い運用方法も可能になるでしょう

ところが日本版ですと正味15分弱しか飛んでいることができないため、せっかくの耐風能力や伝送能力があってもフライト時間が気になってしまい、遠距離への飛行はためらわれてしまいます

また、耐風能力についてもカタログスペック上は全く同じ(風速8m/s以下)となっているわけですが、重量があるぶん物理的に考えてグローバル版の方が風に強いのは明白です

もし日本版が全く同じ耐風性能を有しているのであれば、その分モーターの姿勢制御にエネルギーを割くはずですので、バッテリーもちはさらに悪くなっていると思われます

ドローン選びはまず「何に使いたいか」がかなり明確でないと、結局宝の持ち腐れになってしまうというケースが非常に多いです。「航空法の制限受けないぜヒャッホー♪」と思っても、自分の思うような使い方ができないのであれば結局は飛ばさないですよね……

日本版Mavic Miniにも守らなければならないルールはある

個人的にはこの点も大きいです

何だか『航空法の制限を受けること』がとても重大な欠点――というか大きな違いであるかのように喧伝されていますが、本当にそれほど大きな負担となるのか? という話です

航空法で制限されている内容は『絶対にやってはダメなこと』ではありません。申請をしてそれが許可・承認されれば、それらの方法を超えて運用することも可能になっています。こちらの記事で詳しく解説しています

2020年 ドローン飛行申請の「包括申請」を徹底解説 条件・申請方法など
当記事ではドローンの年間包括飛行申請の取得方法を解説しています。紙ベースとDIPSの両方に対応。包括申請についての解説や注意点なども、プロの目線からできるだけ分かりやすく解説を心がけました。正しい知識で安全フライトを目指していただけたら幸いです
誰でも無料でできる! ドローン飛行申請の提出方法 2020年版
ドローンを自由に運用するために必要となる航空法の制限に対しての飛行許可・承認申請。当記事では現役のドローンインストラクターが、紙ベースで申請する方法と電子申請する方法(DIPS)の両方を徹底解説しています。ドローンのことをしっかり学びたい方は参考にしてみて下さい

申請ははじめこそとっつきにくく感じるかもしれませんが、慣れれば30分もかからずに終わる作業です。この30分をケチるために、Mavic Miniの飛行可能時間が半分近くも減ってしまうというのは割にあわない気がしてしまうのです

また、航空法の制限を受けないと言っても結局様々な制限を受けることは変わりありません。具体的には

  • 無人航空機等飛行禁止法(ドローン禁止法)
  • ラグビーワールドカップ特別措置法
  • 道交法
  • 民法
  • 刑法
  • 省令
  • 条例

で飛行が禁止されている場所では、普通のドローン同様飛行に制限がつきます。さらに言えば航空法についてもオールオッケーなわけではなく

  • (一部の)空港周辺
  • 150m以上の上空(航空機との衝突の恐れのある場所)
  • 危険物の輸送
  • 飲酒時の操縦
  • 他人に迷惑を及ぼすフライト

については禁止、もしくは守らなければならないとされている点についても変わりありません

つまりMavic Miniのメリットは、申請をしなくても人口密集地域でも飛ばせること。夜飛ばしたり目視外飛行(FPV)も気軽にできること。第三者から30mの距離をとらなくてもいいよ、というぐらいしか無いということになるのです

そしてくどいようですが、これらの内容は30分程度頑張って申請作業をすれば基本的にどのドローンでも可能な内容となっているのです

どちらを重視するかは人それぞれだと思いますが、個人的には飛行可能時間を犠牲にしてまで得たいメリットだとは思えません

海外版のMavic Miniを日本で使えるのか?

ということで買いそびれた悔しさもあるものの(笑)、結果としては海外版の方が欲しいなと思い始めたわけなのですが、では海外版のMavic Miniは日本で使えるのでしょうか?

これには2つのパターンが考えられると思います

  1. 日本版Mavic Miniに、グローバル版の大容量バッテリーをつける
  2. グローバル版Mavic Miniのフルセットを買う

この2つのうちどちらが良いかというと圧倒的に1です

1番の方法であれば電波の問題は全てクリアされていますので、飛行許可・承認申請さえ行えば普通に日本で使っていくことが可能となるからです

Mavic Mini 海外版 日本

画像引用:DJI

しかし現時点では『日本版Mavic Miniに海外版の大容量バッテリーを装着するとアプリに警告が表示される』ということがDJIから発表されています

この『警告が表示される』という内容がどういうものなのかは不明ですが、もし『航空法の適用対象です』という警告が出るだけで普通に使えるなら全く問題は無いということになります。逆に『このバッテリーは使用できません』という警告が出て使用不可なのであれば、次の方法を考えなければいけないということになるわけですね

どうか1の方法で使えますように……と願っておきましょう

さて。そんな祈りも虚しく使用不可だった場合には2の方法を検討する必要が出てきます

2の方法で運用するために大きな壁となって立ち塞がるのが電波の問題です

DJIドローンの日本版とグローバル版の大きな違いに、使用している電波が異なるというものがあります。グローバル版は通常の2.4GHzに加えて5.8GHzの電波も使用できるように設定されています

この5.8GHzの電波は日本では無許可・無免許での使用が不可能となっているため、無線従事者免許が必要です

Mavic Mini 海外版 日本

趣味で飛ばすならアマチュア無線免許でOKです。業務利用の場合は3級以上の陸上特殊無線技士の免許が必要となります。さらに無線局自体の免許も必要となるため、無線局開設届を提出する必要もあります

この無線局の開設にあたっては、日本の技術適合認証(通称:技適)を受けているかどうかが非常に重要となってきます。技適を受けている場合は、基本的に届け出(とお金)だけでOKです。しかし技適を受けていない場合には、送信機の回路図の提出が必要となってきます

ということで、Mavic Miniの送信機モデルを調べてみました。すると……

Mavic Mini 海外版 日本

おお! グローバル版と日本版の送信機は同一のモデルとなっているようです。ということは、グローバル版でも日本の技適マークが刻印されている可能性は非常に高いです。これは朗報♪

しかし注意しないといけないのは、グローバル版にも2種類のモデルが用意されているようであるという点

5.8GHzだけを使用する「MT1SS5」というモデルは十中八九日本の技適を受けていないでしょう。つまり、海外版を買うのなら日本と同じ「MT1SD25」というモデルの送信機を使用したバージョンを買うべきである、ということになります

なお、最悪のケースとして「MT1SD25」は日本モデルにしか使われていないという可能性も存在します

そうなるとなぜ5.8GHzも使えるようになっているのかが謎ですが、その可能性もあるということは覚悟しておく必要がありそうです。もしそうだった場合にはDJIに頼んで回路図を提出してもらえないと、日本でグローバルモデルを使うことは一気に厳しくなりそうです

まとめ

ということで色々と書いてはきましたが、私の個人的な予想では恐らく1番の

日本版Mavic Miniに、グローバル版の大容量バッテリーをつける

という運用方法が可能になるのではないかと考えています。もしかしたらリリース直後は無理かもしれませんが、ハードウェアではなくアプリによる制限ですので、ユーザーの声を受けて緩和されるのではないかと思っています

いずれの場合にせよ発売された後の様子を少し見守る必要がありますので、発売日に買いそびれたのはむしろラッキーだった♪ と、自分を慰めて動向を見守りたいと思います(笑)。海外バッテリーが使えるなら、フライモアコンボを買う理由は無いですからね

でもほんと、バッテリー容量は多い方がいいですよ。これだけは自信をもって断言できます。申請も全然難しくないですので、ぜひ挑戦してみていただけたらと思います

それではまた~

コメント

  1. ちなみに、海外版を持っています。
    この地域ではどうのという、警告は出ます。
    ただ、OKを押すと普通に使えます。

    • Hiroさん

      コメントありがとうございます
      とても貴重な情報で嬉しいです。やはり法規制の警告が出るだけで、ロックがかかるわけではないのですね
      それでしたら日本でグローバル版を使うという選択はだいぶ現実的になります
      あとは、日本モデルにグローバル版のバッテリーをつけられるかどうか――ですが、たぶんいけそうですね

      ありがとうございました