iPad Pro 12.9インチ(2022 メモリ16GB版)レビュー ハード&ソフト編

iPad Pro 2022 レビュー Apple

世の中のガジェット製品、特にApple製品は提灯レビューと信者レビューが溢れかえっていてもうウンザリ。それを有り難がる風潮にもうんざり……

ということでしばらくの間ブログ更新する気がおきなかったのですが、今回のiPad ProについてはiPad OS 16.1になりリモートデスクトップ機として見た場合にだいぶマシになってきたかなと感じたので、ちょっと書いてみようかと思い立ち久々にキーを叩いています

iPad ProのおかげではなくOSのおかげというのが悲しいところです

今回購入したのはiPad Pro 12.9インチ 2022 M2/1TB/16GBモデルになります。当然自腹です。忖度なく正直に、不謹慎な発言もしてますので不快に感じる方は読まないで下さい

まずはじめに、今回のiPad Proの感想を端的に述べるなら「今はぼったくりのオモチャ。将来性は◎」となります

これは仕様が発表された時から分かってたし実際に手に取ってみてもその感想は変わっていません。多分、本当にガジェットが好きな人はみんな同じように感じたんじゃないかなと思います。絶賛しているのは商業目的の似非ガジェット好きだけ

今回の記事はそんな内容です。アホゆーち〇ーばーが「ステージマネージャーすげぇ!」とか「ホバーすげぇ!!」言ってるのに納得できない方向けですので、逆にそういうガジェット系ゆー〇ゅーばー()が好きな人は読まないで下さい

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iPad Pro 2022の特徴

最初におさらいになります。iPad Pro 2022モデルの何が優れているのかというのを、個人的注目度の高い順に書き出してみます

  • Apple Pencilがようやくホバーに対応☆
  • メモリ16GB(モデル限定)
  • mini LEDディスプレイ(12.9インチ限定)
  • JIS配列キーボードに対応(ハードウェアではなくiPad OS 16.1の恩恵)
  • ステージマネージャー(OSの恩恵なうえにiPad Airでも可)
  • M2プロセッサ☆

☆印のものが2022モデルオンリーのメリットですが、M2を搭載したこととApple Pencilがホバーに対応したことだけです。それ以外の恩恵は前モデルや他モデルでも受けられますので、こうしてみると2022モデルのメリットはかなり少ないということが分かります

個別に見ていきます

Apple Pencil ホバーが活きるのはまだ先になる

最大の恩恵はこれで、このためにiPad Proを買い替えるというのは理由として最も納得がいきます

ただし、現時点でこの恩恵を受けることはほとんど無理です。ホバープレビューに対応しているのは純正のメモアプリのみで、その他のアプリではアプリ側の対応を待たないと全く使えないからです

iPad Pro 2022

メモアプリを起動してホバーを使い「すげぇ!」とか言ってる動画を見ると悲しくなります。何がすごいのかと。それよりも伝えるべきは、プレスリリースで公開されたProcreateですら未だ対応できていないという事実の方ではないでしょうか

ちなみに、プレビューを伴わないホバーなら様々なアプリやホーム画面などでも使えます。使えるのですがその際にポインタは表示されません。触れる前に反応があるよってだけ。意味ないです

iPad Pro 2022

しかし長くWacomの液タブ・デジタイザを使ってきた身としてはホバーが非常に重要な機能だと分かっています。これが無いせいでiPadでイラストを描いてこなかったと言っても過言じゃありません。今後サードパーティアプリがホバーカーソル表示に当たり前に対応してくれるようになった時、iPad Proは真の評価を受けるようになることでしょう

残念ながら今はまだ用意が出来ていませんので、現時点でホバー目的で急いで買う必要はありません。「ホバー機能すげぇ!」ともなりません

ここを承知で先行投資で買うというならいいと思います

また、後述しますがリモートデスクトップ機として見た際にはこのホバーが中々便利ですので、iPadをiPadとして使わない人なら今でも恩恵が受けられます

M2プロセッサ

前モデルのM1と大して性能が変わらないというのは周知の事実なのでそれはいいとして

私が気になるのは、Appleシリコンがとんでもない高性能なCPU(SoC)であるかのように勘違いしている人があまりにも多いという点です。Appleのプロモーションがうまいというか情弱をうまく騙すものになっているというのもあるのでしょうが、くされユーチュー〇ー共の罪も大きいと思っています

Appleシリコンが優れているのはワッパ(電力あたりの性能)であって最大性能ではありません。M1もM2も8コアのうち高性能コアは4つで、あとの4つは高効率コアで構成されており最大消費電力も低いです(iPad Proの場合で最大20W)

当サイトでも何度も書いてきていますが電力=パワーなので当然、より高電力で動作かつ高性能コアだけでも8コア以上を備えるRyzenやIntel Coreには性能で勝てないわけです

半導体の集積密度やコアの効率性、クロック、帯域幅等による差もありますがプロセスルールの近い同世代のチップであればおおまかにはこう捉えられます

GPUについても同様です。そもそもシステム全体として20Wしか消費しないM2が、GPUだけでも60W~100W消費するラップトップ用dGPUに性能で勝るはずがありません

つまりノートパソコンより性能がいいというのは全くの勘違い。タブレットとして見ればまずまずの性能ですが(来年にはAndroidのDimensityに抜かれそうだけど)、ノートパソコンが不要になるというのはやや誇大広告です

これには「性能的に及ばない」という意味と「出来ることに限界がある」という意味との2つの理由があります。普段からラップトップの性能を持て余してて大したことに使ってない人なら当てはまるかもですが

ただし同じ消費電力で比較した時の性能はAppleシリコンが優れておりこの点は素直に評価できますし、SoC内蔵のGPUとしてみた時の性能も他社のiGPUより優れています

性能面でiPad Proを検討している人は、こうした特徴を理解してiPad Proなのかノートパソコンなのかを選ぶべきだと思います。もしかしたらノーマルiPadでも十分かもしれませんよ

以前からの利点

メモリ16GB、mini LEDディスプレイについては前モデル同様に評価できるのですが、なぜ今回も11インチにはmini LEDを搭載しないのか。そして1TB以上でないとメモリ16GBにならないのか? 納得いきません

オンチップメモリ(ユニファイドメモリ)だからSoCを固定化してコストを下げるというのは分からなくもないのですが、iPad Proより安いMacbook Airは自由に選べるわけですからこれは全然無理な話じゃないはずです

差別化するなら128GB/8GB、256GB・512GB/16GB、1TB・2TB/24GBにしてくれたならまだ良かったなと思います

あとmini LEDは相変わらずキレイですがハローが直ってないですね

iPad Pro 2022

ハード的に同じものなので仕方ないのかもしれませんが……。まあ普通に使う分には気にならないという点でも前モデルと一緒ですのでいいっちゃいいのですが、なんだかモヤります

iPad OS 16.1の利点とリモートデスクトップ

これはiPad Proの利点ではないですがiPad OS 16.1になったことで便利になった点があります。その最たるものはJISキーボードに対応したという点です

今までは自社とApple様お気に入りのメーカーしかJIS配列キーボードに対応しなかったわけですが、OSの仕様変更によりサードパーティ製の多くのJIS配列キーボードが正式に対応することとなりました。これはiPad OS 16にアプデできるならどのiPadでも可能なわけですので多くのユーザーにメリットがあります

ちなみにiPhoneでも可能です

ただし悩みもあります

今まで存在していたJIS配列キーボードはApple純正とロジクールの一部のキーボードのみだったわけですが、これはどちらもJIS配列とは言ってもMacキーボードです。しかもファンクションキー(F1~F12)が備わっていませんでした

これで困らないという方はいいのでしょうが私は非常に困っていました。リモートデスクトップを行う時です

リモートデスクトップ機として使いやすくなった

iPadは所詮タブレットですのでどうしても単体では出来ない作業があります

そんな時には母艦PCにリモートデスクトップ接続するのですが、クリエイション系のソフトというのはファンクションキーを使うものが多いため、ファンクションキー(F1~F12)を備えていないMagic KeyboardやCombo Touchではそうした操作が出来ないんですよね

これを乗り越えるためには↓のように不格好な状態で使用するか

iPad Pro 2022

リモートデスクトップアプリでオンスクリーンキーボードを表示(泣)

やむなくサードパーティのキーボードを使うことになるわけですが、それらは強制的に英字キーボードとして認識されてしまうため、JIS配列の母艦PCと齟齬が生じ操作がしづらくなってしまっていました

信者の人とこの手の話をすると「母艦で英字キーボード使えばいいじゃん」とか「キーの割り当て変えればいいじゃん」て話してくるから好きじゃないです。iPadのためにメイン側いじるとか本末転倒です

しかしiOS16.1になりサードパーティキーボードもJIS配列として使えるようになったことでこれが解消されました!

iPad Proはmini LEDでディスプレイについてはある程度満足いくものに仕上がっています。ですのでリモートデスクトップ時には、ディスプレイの色域にある程度満足できるクリエイションに使用できる機体へと進化しました

iPad Pro 2022

もっともそれにはファンクションキーのあるJISキーボードを別途持ち歩く必要があるので、キックスタンドを備えキーボードを分離できるCombo Touchはともかくとして、Magic Keyboardは完全に無用の長物でサヨナラすることになります。今振り返ってみると無駄に高い買い物だったなぁ……

今でも一部のキー(全角/半角キーや一部の記号キー等)は対応していないので、リモートデスクトップするならPCからがいちばん便利というのは変わってないのですけどね

無変換/変換をIMEの切り替えに使用するMacライクな使い方が流行りましたが私は昔ながらの全角/半角切り替えが好きなのです。でも仕方ないのでリモートデスクトップ用に設定しました。ぐぬぬ……

あと、リモートデスクトップ時にもApple Pencilホバーの恩恵を受けることが出来る点も確認しました

iPad Pro 2022

遅延とフレームレートの関係でリモート液タブとして使うのは厳しいのですがホバーが効くのでポインティングデバイスとしてかなり使いやすく進化しています

未確認ですがAstropadやduet display等の液タブ化を想定したアプリでホバーが使えるならさらに恩恵がデカいのではないか? 今後調査します

ステージマネージャーの方は……

JISキーボード対応はかなり重要なアップデートだったくせにAppleは全然アピールしていませんでした。ではさんざんアピールしていたステージマネージャーの方はどうなのでしょうか?

iPad Pro 2022

うーん……悪くはない…か。いややっぱイマイチだなぁ

という感想です

何が良くないのか自分なりに考えてみたのですが、端的に言うならばこれはマルチタスクとは言えないから。今までのSlide OverやSplit Viewの発展形にすぎないと思うからで、そう感じるのはウィンドウサイズ変更や位置調整がシームレスでなかったり半自動化されてるせいかと

ここは説明が難しいし自分だけなのかもしれませんが、PCでマルチタスクをする時って画面をキッチリ2分割とか3分割にしたりするんじゃなくて、ウィンドウサイズや位置を作業に応じて適宜調整しながら作業する感じになります

ステージマネージャーの場合、例えばサイズ変更はヌルヌルと変化するんじゃなくてステップ変化のような感じでグンッグンッという感じで変わっていくのがどうにも使いづらい。位置変更の方も同様なうえ、別のウィンドウを動かすと勝手にずれ込んできたりしてイラつく場面があります

これを積極的に使いたいかと言われると、今はまだいらねぇやって感じです

今後Davinci ResolveやOctane Xが出てきたらプレビューウィンドウをステージマネージャーで独立させられるとの噂もあるのでそうなったら使うと思います

まとめ(なぜ買ったのか?)

ということで新しいiPad Proは今の段階ではイマイチに感じてしまうことも多く、リモートデスクトップを多用する人には恩恵はあるけどそうじゃない人にとっては高いお金を出してまで買うような機種じゃないと書かせてもらいました

でも、「じゃあなんで買ったの!?」って思いますよね。これは将来性と制約のためです

例えばDavinci Resolveは私も仕事でメインで使う動画編集ソフトですが、このアプリのiPad版はM2/12.9インチ版に特に特化して制作されていることがほぼ確実です。というかエンコードの最適化については既にそう明言されていますし、恐らくUIもそうなっているのではないかと予想しました

となるとM1の12.9インチでもM2の11インチでもダメなのでこれしか選択肢が無いということになってしまいます。今はリリース前なので全く使えないわけですが年末にDavinciが出た時に初めて恩恵が受けられるようになります

ProcreateやPhotoshopも同じです。今はまだホバーの恩恵が受けられませんがいつか対応してくれた時のために今のうちから買っておいたというただそれだけです

だから今のiPad Proに感動することはないし「すげぇ!」と感じることもない。Youtubeの提灯レビューがムカつくのもそういった理由からです。ていうか他の視聴者の方はムカつかないんですかね? 彼らが似非ガジェット好きなのか、意図的に嘘ついてるのかは分かりませんが

こいつらに正直に詳しく話しても分かんねぇだろ、レビュー依頼来なくなっても困るし。適当にスゲースゲー言っときゃ馬鹿どもが喜ぶしApple様も喜ぶし俺も儲かるしでWIN WIN WINじゃね?

て感じで視聴者なめてるとしか思えないんですよね。海外レビュワーにはそんな人はいません。いや、いるのかもしれませんが全然再生数が伸びていませんので見かけません。受け入れられないからでしょう

なのに日本だけは提灯レビューを喜んで思考停止で製品を有り難がる。ハッキリ言って異常だと思います。それを喜んでしまう日本人ユーザー側・視聴者側にも問題があるのでしょう

でも、レビュー依頼を受けるレビュワーさんというのはそれなりに発言力のある方なのだと思います。しかもそれを仕事として行っているプロであるのだと思います。であるならば、自分の発言の力とプロとしての責任を持って正しい情報を発信して欲しいと思うのです

とはいえやっぱりこういう考えの方が異常だと思われてしまうのでしょうね。悲しい時代になったと感じてしまいます

愚痴をまとめてしまいました、すみません。興味ないでしょうがもう一つの制約についても一応書いておきます

何度も言ってるようにiPadは少なくとも現時点ではまだまだPCを置き換えるものになっていません。なのでこだわって作品を仕上げようと思ったらやっぱりPCを使うことになります

でも今回、敢えてここに挑戦してみようかなと思いました。iPadだけでどこまで出来るのかと

もちろん仕事としては無理なので趣味としてですが、絶対にPCには及ぼないながらも全部をiPadだけでやったらどこまで出来るのか試してみたいと思ったんですよね

画像編集や動画編集、イラスト制作やコーディング等はPCにかなり近いことまで出来るようになってるのは分かってますが、今回はさらにDTM、3DCG(特にトゥーンシェーディング)、アニメーション制作、VFX(After effectsで行っている作業全般)まで全部やってみたいなと

これらはどれもまだまだPCに及ばない分野ながらも、リリースが発表されているOctane Xのように少しずつですが本格アプリが登場してきています。DTMはだいぶ前にAUに対応したもののまだ不十分(特に打ち込み)ですし、アニメーション制作やVFXに関してはほとんど未開拓分野となってしまっています

Adobeが頑張ってくれるのがいちばん早いのですが(笑)

ですので、仕上がる作品はPCで作ったものに及ばないでしょうが、いつか来る真の「iPadだけで完結できる時代」のために、現状最先端であるM2/RAM 16GBのiPadを買ってみて慣れていきたいというのが購入動機になっています

さらに言うと、現在AIの台頭がすさまじく今後は品質勝負ではAIに勝てなくなっていくと思うので、敢えて制約のある中での手作り感みたいのをウリにするのはひとつの手ですよね。それを「全部iPadだけでやってます」って言えるとアピールポイントの一つになるかなという考えもあります

全く役立たない愚痴記事ですが、世界中の誰か1人にでも参考になったなら幸いです

コメント

  1. りんごロイドさんこんにちは。ぜひ教えていただきたいことがあります!

    12.9インチiPad Pro 第5世代(メモリ8gb)を使っていて、動画編集をやっていますが10分を超えると重くて動作が悪くなってしまいます。第6世代のメモリ16GBをお使いとこと。動作環境はいかがですか?お値段が高いので悩んでいます。
    16gbと8gbのパフォーマンスの違いを知りたくてお伺いしました。

    ご回答いただけましたら嬉しいです。
    どうぞよろしくお願いします。

    • リエさん

      こんにちは、コメントありがとうございます
      ご質問の件なのですが、10分を超えると動画編集で重くなるというようなことはありませんよ
      ただ、この回答だけだと語弊があるかもしれないので、以下に思うことを書いてみます
      興味と読む気力があったら参考にしていただければと思います笑

      M1を搭載するiPad Pro第5世代はiOS端末の中ではかなりの高性能で、普通に考えてこちらで10分程度の動画編集で重くなることは考えづらいです
      以下の点を見直してみると良いと思います

      • 使用している動画編集アプリ
      • 編集元の動画元素材(4K・8K素材をたくさん使っていたり、ProResを使っていたり等)
      • 編集の内容(VFXエフェクトを多用している等)

      動画編集アプリについてですが、例えば鳴り物入りで登場したiPad版のDavinci Resolveは動作が安定しません。端末側の問題でなくアプリ側の問題です
      一方でLumaFusionのような優秀なアプリは、メモリが3~4GBしかないようなiPad miniでも4K編集がサクサク行えます
      このように、同じ編集をする場合でも使用するアプリによって快適さや安定度が違ってくることはよくありますので、そちらも試されてみるといいのではないかと思います

      次に編集の内容なのですが、iOSはメモリ管理が優秀なため4K編集はかなりスムーズにできますが、それでもクリップを多用していたり長尺の動画になってくると重くなる可能性はあると思います
      元々のデータ量が大きな8K素材やProResだとさらに影響が大きいかと思います。こちらについては私がこれらの素材で試したことはないので断言はできないのですが……
      またエフェクトを多用していると重くなることもあると思います。これはメモリというよりCPUやGPUの問題ですが、M1とM2は性能的にそこまで大差なく現状最高峰に近い性能を持っていますので、第5世代で重くなるなら第6世代でも重くなる処理である可能性が高いのではないかと思います

      繰り返しになりますが、iPad Pro第5世代(メモリ8GBでも)で10分程度で重くなってしまうというのはちょっと考えづらいです
      使用しているアプリ、素材の詳細(解像度、コーデック、ビットレート)及び数、タイムラインの数、動画の長さ、などなど詳細を教えていただければもう少しハッキリしたことが言えるかと思いますが、たぶんそれはメンドクサイだろうと思いますので上に書いたことを参考にしてみていただければ幸いです
      もし面倒でなければ教えていただければ、こちらで再現実験をすることも可能ですのでお気軽にコメント下さい

      では