田舎の我が家にもようやくGPD WIN Maxがやってきました
早い人は1日前に受け取ってすでに情報を発信されているので思いますので、この記事で今さら「開封レビュー! ババンッ!!」みたいにしても興味ないでしょうから、このあたりはサラっと流す程度にしておきます
その代わりにこの記事ではGPD WIN Maxでの単体性能、及びeGPUと接続した際の性能を知るためのベンチマークを中心に書いていってみたいと思います
開封・ケース&保護フィルム・セットアップの注意点
サラっと流す関係で、この章にだいぶ詰め込んでしまいました(笑) つまんない情報を書いてしまってごめんなさい
梱包箱がこれ。配送業者は佐川急便でしたので公式から買う場合もたぶん佐川と思います
中華製品ですが以外にもプチプチタイプの緩衝材でちゃんと保護されてました
化粧箱はこう。「高級感ある」とかいう意見を見た気がするのですが……そうかなぁ? ちょっと質感が安っぽく感じました。私だけかもしれません
中蓋あり
中蓋をめくったところ
本体をどけると付属品を全て確認できます。付属するのはACアダプタ、Type-Cケーブル、簡易マニュアルというシンプルな構成です
そのアダプタなのですが
いちばん左のが付属のアダプタです。比較しているのはApple純正の65Wアダプタ、及びENERGEARの65Wアダプタです
GPD WIN Maxに付属するアダプタはGaNアダプタで確かに小型なのですが、他の65WPDアダプタとそこまでの大きさの差は感じませんでした。私は安全性という観点からもENERGEARのアダプタを使用しています
本体を取り出し、カバーを付けたiPad miniと比較。GPD WIN Maxは裸の状態ですがケースをつけたiPad miniよりデカいです
前情報通りキーボードは単色になりました。青色のFn表示は好みがあり私はそれほど重視してませんでしたが人によってはツライところですね
ただ、ボタンは写真で見ていたほど悪くはないです。当初のイメージに近いボタンに仕上がってると感じます
サンボルポートには刻印があります。「無い」という情報を見た気がしますけど薄いだけでした
あと個人的に高評価ポイントなのが、マットブラックだけど指紋がつきにくい仕上がりだと感じるところです。体感ですが、OniMixとかRazer Bladeのブラックモデルと比べて全然指紋がつかないと思います
前にこちらの記事で紹介した保護フィルム
案の定サイズがイマイチでした。気泡も入りまくるし……仕方ないから貼りましたけどね
ケースについてはこちらを使っています。BUILTの9.7インチiPad用エンベロープケースです。大昔の9.7インチiPadですので、10インチ用と思う方が良いサイズ感。ピッタリではなくすき間はありますが、ブカブカという感じではありません
逆にこうした8インチタブ用ケースには入りませんでした。WIN Maxはかなり厚さがあるためです。ジャストサイズを探している方は注意して下さい
セットアップを開始しますが、GPD WIN Maxに搭載されているOSはWIndows10 シングルランゲージバージョン(単一言語版です)
そして初期言語設定は簡体中国語となっていますが
すぐに日本語が選択できますので安心して下さい。言語パックの追加も不要です。シングルランゲージ版の取り扱いも昔より簡単になったものですね~
ここで重要な注意点があります
ローカルアカウントで使用したい方は、セットアップの際にネットワークの設定はせず後から設定することをおすすめします
いちどネットにつないでしまうと電源切ってもMicrosoftアカウントの設定を強制されます。その際にはLANケーブルを抜く/ルーターの電源を切る等して、ネット接続を切断するとローカルアカウントでセットアップできます
以上で『今さらの紹介』は終わりです。続いて
一緒に使っていくeGPUとのサイズ比較です
え? eGPUはどこに・・・?
と思いますが実は
WIN Maxの下に重ねてありました。なんとeGPUとほとんど同じサイズという(笑)
eGPUが小さいのか、それともMaxがデカすぎるのか……。今回はこのeGPUでのベンチも紹介します。なお、私はケチってGTX1060を使っていますが、このケースで最大RTX2070までいけます
ちなみにeGPU使用時であってもGPD WIN Maxはかなりファンが回ってうるさいです。eGPUを使うメリットの一つにCPUの負荷を下げるという点があると思うのですが、そのあたりは期待できないかもしれません
最後に動作性の感想を簡潔に
- 動作の快適さ:機敏で、突っかかるような部分は無い
- ファンの音:うるさい。静かな場所での使用は無理(他人の迷惑を考えない人ならいける)
- バッテリー:100%→ほぼ丸1日スリープで放置して94%
- サンボルポートでの充電:全く問題なし
- タイピングしやすさ:キータッチは普通だが慣れるまではツライ。個人的にはエンターキーとバックスペースをよく誤爆する
- スティック:PS Vitaより少し固いぐらい。個人的には好き
- ボタン:かなり固めでしっかりしている感じがする。WIN2より壊れにくそう
- LR123ボタン:相変わらず柔らかいが、WIN2よりは固くなった
- 持ってゲームする:長時間は厳しい
という感じ。こればかりは人によって感じ方の違う部分もあると思いますので参考程度にして下さい
なおサイズがデカいせいで、ゲームパッド操作に少し違和感を抱く人がいるかと思います。ボタンと十字キー(左側アナログスティック)とが離れすぎてるからです
これはRazer Edgeの時にも感じた違和感ですので、慣れるしかないんだろうなぁと思ってます
GPD WIN Max各種ベンチマーク結果
ではいつものように諸々のベンチをとっていきたいと思います。テスト結果は全て電源接続時のものです
なお、グラフィックテストについてはeGPU接続時のスコアも併せて掲載します。映像は外部ディスプレイではなくGPD WIN Maxに戻す設定としますので、外部ディスプレイ接続ならもう少し良いスコアになります
PassMark(CPU Mark)
まずは、きっとあなたも参考にしたことがあるはず! なPassMark(CPU Mark)です
CPU Markスコア:9820
Core i5-1035G7の平均スコアよりもかなり良いです。なぜなのかはちょっと分かりませんでした。いつものようにGPDがうまくチューニングしてくれているのかもしれません
その他のスコアは以下
- CPU Mark:9820
- 2D Graphics Mark:305
- 3D Graphics Mark:2138
- Memory Mark:2484
- Disk Mark:15324
- 総合スコア:2873
総合スコアが低いのは3Dグラフィックが足を引っ張ったせいですね。それでもUMPCであることを思えば素晴らしスコアだと思います
GeekBench 4&5
続いてGeekBench4と5の両方を計測します
GeekBench4
- シングル:5325
- マルチ:16393
- OpenCL:38185
良さげですがこの世代のCPUではGeekBench4のスコアはほとんど公開されてませんのでイマイチ判断できません。持ってる人はGPD Win 2のスコアと比較するのにでもお使いください
現行のGeekBench5のスコアがこちら
GeekBench5
- シングル:1202
- マルチ:4129
- OpenCL:4538
となっていました。誤差レベルですが、こちらもCore i5-1035G7の平均よりも少し良いです。いい感じですね
CINEBENCH R15/R20
続いてCPU/GPUの総合性能を計測するCINEBENCHです。こちらも現行のR20だけでなく、Win2と比較したい方なんかのためにR15でも測定しておきました
CINEBENCH R15
- CPUスコア:587cb
- OpenGLスコア:60.47fps
私自身はWin 2の頃のスコアを忘れてしまいましたが、確か200cb台だったような記憶があるので倍以上の性能になったようですね
CINEBENCH R20
- CPUスコア:1554pts
こちらは同CPUを採用した他機種と大きな違いは出てないですね
PCMark 10
続いて機種全体の性能を測るPCMark 10を実施しました
- Essentials:8533
- Productivity:5182
- Digital Contents Creation:3807
- 総合スコア:3958
んー…UMPCだということを思えば悪くない――どころか十分なスコアなのですが、欲を言えば4000点台にはのって欲しかったような
特にGPU性能が重要となるDigital Contents Creationが振るわないのは『ゲーミングPC』としてはどうなのかなぁという感じ
Fire Strike(3DMark)
ということでそんなGPU性能を測定していきます。まずは3DMark Fire Strike。ここからはeGPU(GTX1060 3GB版)接続時のスコアも併せて書いていきます
iGPU(Iris Plus 940)使用時
- Graphicsスコア:2641
- 総合スコア:2483
正直、うごきカックカクです。FPSは一桁台もザラでした。このクラスのゲーム(DirectX 11世代のAAAゲーム)をプレイしたいと思ってる方はちょっと厳しいと思っておいた方がいいと思います
eGPU(GTX1060 3GB)使用時
- Graphicsスコア:10047
- 総合スコア:8876
いくらIce Lakeのグラフィック性能が上がったとはいえ、そしてeGPUでは性能の7割程度しか発揮できないとはいえ、dGPUの力は圧倒的です
本気で『ゲーミングUMPC』を目指すなら、やはりeGPUの導入は検討する価値ありと思います。せっかくサンボルも付いてることですし。レトロゲー・エミュでの使用の方には不要でしょうけどね
Time Spy(3DMark)
Fire Strikeであのザマですからやるまでもない気もしますが…Time Spyです
iGPU(Iris Plus 940)使用時
- Graphicsスコア:771
- 総合スコア:874
……うん。
eGPU(GTX1060 3GB)使用時
- Graphicsスコア:3530
- 総合スコア:3591
eGPUをつないでもまだ性能不足ですね。ただeGPUはGPUが交換できるのがいいところですので、こうした使い方をしたければRTXを積んで使用していくことが視野に入ってくるでしょうね
Ice Storm Unlimited(3DMark)
ここで少し箸休め
せっかく3DMarkを起動しましたので、同じモバイルデバイスとしてのiPad Proや、ほぼ同サイズのiPad miniと比較するためIce Stormを実行してみました
- Graphicsスコア:131832
- 総合スコア:101236
という結果でした。ライバル(?)となるiPad ProのスコアですがGraphicsスコアが218305、総合スコアが110293ですのでGPD WIN Max、負けてます。Oh No……
なお同サイズ感のiPad miniはGraphicsスコアが124204、総合スコアが69420ですのでこちらには勝ってます。これらのスコアは私の所持する実機の測定結果です
このあたり、興味がありましたら他の記事も読んでみて下さい
ドラクエ10ベンチマーク
またベンチマークに戻ります。今度はドラクエ10。設定は最高品質・1280×720・フルスクリーンで実施しました
なおドラクエ10は、GPD WIN Maxの解像度の関係で他の機種よりも少し良い結果が出やすいですので参考程度に
iGPU(Iris Plus 940)使用時
- 評価:すごく快適
- スコア:11919
eGPU(GTX1060 3GB)使用時
- 評価:すごく快適
- スコア:17853
目で見る分にはどちらも動作に違いを感じられませんでした。このクラスのゲームプレイを考えている方は、内蔵GPUで十分快適に楽しめると思います
FF14ベンチマーク
次のFF14なのですが、今までの機種と比較したいという思いから私は未だに蒼天のイシュガルドを使っています。ただ、いい加減に漆黒のヴィランズにしなければとも思ってますので、このベンチは今回で最後にします
次回からはちゃんと最新版を使いますので、今回だけは蒼天のイシュガルドでご容赦ください。なお設定は、DirectX 11、最高品質、1920×1080、ウィンドウモードです
iGPU(Iris Plus 940)使用時
- 評価:快適
- スコア:3647
eGPU(GTX1060 3GB)使用時
- 評価:非常に快適
- スコア:14739
評価は「快適」とかなってますが、想像以上にiGPU動作時の動きがカックカクでした。画質設定を落とさないと快適にプレイするのは難しそうです
eGPUとiGPUの違いを最も感じたのがこのベンチでした。快適さが段違いだと思います
FF15ベンチマーク
最後にFF15ベンチです
重いのは分かりきってますので、このベンチだけは高画質設定にせずデフォルト設定である標準画質・1920×1080、ウィンドウモードのまま実行しています
iGPU(Iris Plus 940)使用時
- 評価:動作困難
- スコア:1337
eGPU(GTX1060 3GB)使用時
- 評価:やや快適
- スコア:5125
iGPUはゲームにならないレベルでした。さすがにこのクラスのゲームプレイは厳しく、もしやりたいならeGPUの導入は必須レベルと言っていいと思います
CrystalDiskMark
最後に、体感上の快適さに直結するSSDのテストをCrystalDiskMarkで実施しました
なお、ソフトのバージョンは8です。5以前のスコアとは仕様が違うため、単純な比較はできませんのでご注意ください
Read 2000MB/s程度のSSDにしてはWriteが速いですので、同クラスのSSDを使用した機種よりもサクサク感を得られるかもしれません。実際私も、母艦PCから10GB近いソフトを移動させたとき
何だか少し速いような? ファイル移動が快適な気がするぞ
と感じました。上記で書いたように気のせいレベルの違いですけどね(笑)
まとめ
ということで今回はGPD WIN Maxのベンチマークを色々と行ってみました
感想を正直に書くと、確かにすごいけど思ってたほどじゃなかったかな という感じです
UMPCであることを思えば素晴らしいのは分かってるんですが、どうしても『ゲーミング』をキャッチコピーにしていることがチラついて、それにしては力不足だなぁと感じてしまいます
これが2年前に出ていたら本当にものすごい機種だったと思います
CPUやSoCはどんどん高性能なものが登場し、今後もさらなるiGPU性能の向上が確実であり、しかもそれが目前に迫ってきています
それと呼応してなのか、ゲームもどんどん要求スペックが上がってきており、今のAAAゲームをプレイするにはIce LakeのiGPUでは力不足を感じるようになってきてしまいました
そういう意味ではSMACH Zは本当に惜しかった。あれが2年前にちゃんと出てればかなり素晴らしい機種だったのですけどね……
エミュ機としては十分過ぎる申し分ない性能を持っていると思いますが、本体の重さとサイズが大きいことに起因する操作(グリップ)の違和感がありますので、これを許容できるかどうかが評価の分かれ目になりそうです
今回GPD WIN Maxが届いたら、今使っているノートPCは処分するつもりでいました
しかし上記のような理由と、それに加えてファンの爆音という問題もあり、ちょっと公共の場所で使うのが厳しい気がしてきましたのでノートPCを売却するのは一旦保留することにしました
検討の結果、もしかしたらGPD WIN Maxの方を売るかもしれません。うーん……悩ましいところです
コメント
WIN Maxのファン音がうるさいという事ですが
「Fn+F」キーでオンに出来るという静音モードは試されたのでしょうか?
私自身はWIN Maxは所持していませんがよそのサイトのレビューだと静音モード時に
IceLakeのcTDPの上限であるPL1=25WPL2=30Wに設定した場合サーマルスロットリングを起こし
フレームレートが不安定になる事もあるが標準の20Wではゲームにおいても常用可能との評価でした。
tigerlakeの性能はNVIDIAが読み間違えをしていない限りMX450以下の性能でしょうし
MX450も正式なスペックはまだ公表されていませんがGTX 1650以下だとされているので
あまりに過大な期待をかけていると大きく失望する事になると思います。
(以前期待出来ると書き込みましたがあくまで常識の範囲内でという事です)
むしろicelake世代10nmプロセスでは周波数を上げようとすると物凄く発熱してしまうという
問題があるのですがtigerlakeではプロセス自体をこれまでに無い位に改良したと発表している
のでどこまで弱点が緩和されたか=低いTDPでどこまで性能がだせるようになったのか
同時期にrocketlakeを展開するのだけど生産量はどれくらい改善しているのか
などが一番の見どころだと思います。
iGPUでもKabyLake-Gの要領でHBM2+Willow Cove+RDNA2あたりを統合すれば
フルHDゲーミングとして十分な性能が出せるでしょうけど
仮に作られたとしてもUMPCの様な小型の端末に乗っけられるようなものでは無く
無駄にコストが高いだけの需要不明な製品にしかならないでしょう。
(KabyLake-Gが事実そんな感じでほとんど採用されなかったし)
aotyaさん
こんにちは。いつも詳細な情報を載せたコメントありがとうございます
静音モードは試しました。もちろんそれで音はだいぶ静かになります
ただ、私の性格的な部分もあってファンを制限して使用することに抵抗があるため、あくまで標準状態での使用感を感想として書かせていただいています
特に今は夏ですし、私はあまりお金持ちでもないためエアコンも入れていないことが多く、そのせいで余計に不安ということもあります
私の用途はゲームでは無いですが、フライトシミュレーターやsfmソフトを起動した際
・ファンを静音にする:即座にファンが低回転になる
↓
・ファンを通常にする:即座にファンが唸り始める
という感じですので、やはり静音モード時はロジックボード等に負担がかかっているのではないかと感じてしまうのです
このあたりの評価は人それぞれだと思いますが……
tigerlakeについても情報ありがとうございました
今のところはintelの公表した演算値しか指標がないですので、まああの通りの性能は出ないですよね(笑)
やはりKabyLake-GのようななんちゃってiGPUにしないと、内蔵GPUでの高性能化は難しいのですかね
ちなみに私KabyLake-Gノートも使ってますが、やっぱりファンは爆音ですのでこのあたりは仕方ないのかもしれないですね
いつも貴重な情報をありがとうございます