SGWZONE Gaming & AI BOX eGPU 実機レビュー(仮)

sgwzone gaming ai box レビュー PC

GPD G1やONEXGPU、古くはSonnet eGFXに代表されるように、今までモバイルできるeGPUにはAMD製GPUを採用したものしかなく、Nvidia GPUを持ち歩きたければGigabyteあたりの大型のeGPU BOXを持っていくしかありませんでした

しかしこの度ついにNvidia GPUを採用し、現実的にポータブル可能なeGPUがリリースされました。それがSGWZONEのGaming & AI BOX eGPU Dockになります

ADLink Pocket AIは性能が低すぎますし、ASUSのXG Mobileはクソ専用特殊コネクタで対応PCしか使えないのでノーカウントです

どマイナーなガジェットで「詐欺か?」と心配になってしまいますが、遅延に次ぐ遅延と言い訳の果てに、この度ついにクラファン出資分が届きましたので、GPD G1との比較も交えながらレビューしていってみたいと思います

なお最初に言っておくと、このeGPUは普通の方には全くおすすめできません。ある程度知識があり、かつ根気強くトラブルと向き合える方じゃないと厳しいと思います

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残念なお知らせ

タイトルにある(仮)って、ナニ?

と思われた方もいるかと思います。冒頭にも書いたように私がこのガジェットに興味を持ったのは、NvidiaのGPU(RTX4060のデスクトップ版)を採用したeGPUだったからです

なので、発送日が2月から3月に延び、4月にずれ込み5月になってもスルーされ続けましたがそれでも辛抱強く待っていました。そして6月も終わろうかというこの時、とうとう到着したというわけです

ワクテカが限界を迎え大喜びで開封! ……したのですが、なんとメーカーが発送の取り違えミスしまして、私のところに届いたのはRadeon RX 6600M版でした

フ ザ ケ ル ナ ヨ ?

これには怒りが爆発し(Indiegogoのコメ欄にも感情的に書いてしまいました……反省)、大至急RTX4060版を送りなおすように文句を言いました。結果大急ぎで送りなおしてくれることにはなったのですが、そんなわけで未だ手元にRTX4060版がありません

ただ、お詫びというわけではないのでしょうが、RTX4060版が届くまではRX6600M版を使い続けてもいいというお許しをもらったので、せっかくなのでレビューにまとめさせていただくことにしました

RTX4060版のベンチマークは残念ながらまた次回なのですが、筐体やソフトウェアは同一ですのでどんな製品なのかイメージを掴んでもらえたらと思います

しかしながら冒頭にも書いたように、正直あまりおすすめできません。性能うんぬん以前に、まずメーカーのあまりにも杜撰な体質と、ただでさえトラブルの多いeGPUの中でも最上級にクセのある機種だからというのがその理由です

それでも興味があるという方は良かったら参考にしてみて下さい

開封&ファーストインプレッション

テンション爆上がりしたのにその後地獄に突き落とされた荷物がこちらです

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いつもの中国からの荷物という感じです。ちなみにメーカーは「ヤマトで送った」と言っていましたが、ヤマトの追跡でも17tracksの追跡でも全く追跡できませんでした。結局佐川急便さんが持ってきてくれました

メーカーは「先月送った」とも言ってきていたので、もし本当だとしたら追跡できないのは配送事故!? とも心配になるところですが、もうこのメーカーが噓ばっか言ってることは分かっていたので黙って待っていたら、発送連絡のメールから7日間ほどで到着したという感じです

ま、中身は間違ってたんですけどね(怒)

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開封するとこんな感じで、特に化粧箱は無いのですが頑丈な緩衝材で梱包されていたことは好感が持てました。すき間まで埋める配慮をする中国メーカーは意外と少なかったりしますので

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標準で付属するキャリングケースに紙パックが巻き付いており

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裏面が簡単なマニュアルになっています。これ以外にマニュアルの類は一切ありません。ただメーカーサイトにはすごく細やかなマニュアル(英語/中文)やFAQがありますので、そちらを見れば基本的には問題ないと思います

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キャリングケースはこんな感じで厚いです

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未開封を証明するための封印がなされていました

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開けるとこんな感じです。キャリングケースが厚いのは、本体自体の厚さもありますがケース自体が二室構造になっているためです

ちなみに本体はケースとサイズが合っておらず上げ底のための緩衝材が入っています。専用ケースなのになぜ? と思わなくもないですが、この製品はローンチまでに数回デザイン変更が行われていますので仕方ないところなのかな、とも思います

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内容物を全部出しました。本体は厚いです。実はフットプリントはGPD G1よりもわずかに小さい(と言っても体感ではほとんど同じ)なのですが、厚さが2倍あります。GPD G1を二段重ねたサイズなのは厳しい意見を持つ方も多そうですね

それ以外の付属品として、電源コード、TB3ケーブル、OcuLinkモジュール&ポートパネル、トルクスレンチ、ゴムシート(3M両面テープ)、となっています

各詳細はまた追って書いていきますが、気になった点として

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コンセントは穴の開いていないタイプになっていました。これは電気用品安全法違反となります。と言っても私たちが使うことは違法ではありませんが、これを日本向けに売っているメーカーは違法の可能性があるということになりますね

しかしながらクラウドファンディングでの出資と返礼品が所謂「販売」にあたるのかはグレーゾーンなのかもしれません。いずれにしても気になる方は電源ケーブルを別途用意するのが良いでしょう。普通の眼鏡コードですので

本体を見ていきます

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うーん、なんとも言えないデザインですね。ちょっと恥ずかしい。中二だったら良かったのですが

黒窓のところは液晶になっていて、ここに日時や天気、好きな画像や動画、CPUやGPUの情報を表示させておくことができます。表示自体はなかなかキレイでした

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分かりにくいですが、液晶の丸窓の少し下にはLEDライティングも備わっています

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ポート類はこんな感じで、下にはスリットが入っています。このスリットはファンが備わっているわけではありませんが放熱のためのものと思われました

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裏面と上面はこんな感じです。裏面の丸穴は吸気口で、上面のスリットが排気口となっています

もうお分かりかと思いますが、このような仕様からSGWZONE Gaming & AI BOX eGPU Dockの設置方法はかなり限定されます

両サイドには放熱孔があり裏面は吸気、上面は排気。表面には液晶があるわけですので、必然的に置き方は底面を下にした縦置きしかありません

SGWZONE Gaming & AI BOX eGPU Dock

GaN電源が備わっているのは底面側なので重心自体は低め。多少の安定感はありますが、それでもケーブルなどつながっている時はやや心もとないです。付属品にあったゴムパッドはこのためだったというわけですね

あとは液晶表示を諦めるなら、思い切って表面を下にして平置きしてしまうというのも良いかと思います。液晶は、

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こんなようなユーティリティを使って

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こんなふうにCPUクロックや温度、利用率なんかを確認できたりもするのですが、いまいち洗練されてない感じがして使いにくいように思いました

アプリがアップデートされたらまた違うかもしれませんが、それまでは液晶が見えなくなっても構わないので安定設置のため平置きがいいのかなぁと思っています

続いて本機のウリであるモジュールについて

SGWZONE Gaming & AI BOX eGPU Dockは、現時点でもThuderbolt 3とOcuLinkをモジュールで切り替えたり、GPU(MXMモジュール)を取り替えたりすることが可能なのがセールスポイントです

将来的にはThuderbolt 5モジュールだったり、RTX4080クラスのハイエンドGPUモジュールのリリースも計画しているそうで、“本当に”発売して正しく流通させてくれるならうれしい限りですね

今回は返品しないといけないものなのでGPUまでは覗いてませんが、ポートモジュールの換装についてはチェックしておきます

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まず、表面の4つのトルクスボルトを外します。このために付属品にトルクスレンチが含まれていたというわけですね

ネジが外せたらフロントパネルを外すのですが、このとき注意点として

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液晶パネルと基板が接続されているリボンケーブルを切らないようにする必要があります。メーカー推奨の方法ではコネクタを外すように指示されています。が、

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私は外さないまま作業しました。ケーブルは外しておけるだけの長さはありますので特に問題は無かったです

カバーが外せたら今度はモジュールを外します。精密プラスドライバーが必要でこれは付属していませんので、各自用意する必要があります

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プラスネジを外すとモジュールが持ち上がりますので引っ張れば外せます。モジュール交換時にはポートパネルの交換も必要になりますので、こちらも持ち上げて外します

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交換するモジュール(今回はOcuLink)とポートパネルを用意して、逆の手順で取り付けていけば換装OKです

説明を見ながらやっても5分。一回やれば慣れるので、そうしたら2分程度でこの作業は終わります。個人的には全然負担にならない作業量でした。難易度も激低です

ちなみにOcuLinkモジュールにはヒートシンクがついていませんでした。一度そのまま使ったらかなり熱くなったのでヒートシンク(水色のプレート)の載せ替えもした方がいいと思います。シリコンで貼りついてるだけなので簡単に剥がせます

使用感とベンチマーク

では実際に使っていくわけなのですが、これがまぁ苦労しました

メーカーには懇切丁寧な使い方が解説されていますのでこれに目を通してその通りに進めていくことをおすすめします

Shenzhen trend play zone technology Co., LTD-使用说明

が、それでもうまくいかないことも多々あると思いますので、トライアンドエラーを繰り返してめげずに頑張る気持ちが大切です

詰まりやすそうな(というか私が詰まった)ポイントをちょっと書いておきますと

まず、私はG1を使っているわけですので既にAMDドライバは入っていました。が、どうしたことかこれではちゃんと動いてくれませんでした。面倒くさがらずにDDUを使って一度キレイさっぱりドライバを消してから、改めて公式サイトの案内通りにインストールし直すことをおすすめします

しかしそれでもうまくいきませんでした。具体的には、ハードウェアが検出されずドライバがインストールできない

DDUを使ってドライバをキレイに消したあと、eGPUを接続するとデバイスマネージャーからは「Microsoft 基本ディスプレイアダプター」が見えます。が、ほんのちょっとの間にWindowsが余計なことをして気を利かせてWindows Update経由で勝手にドライバを入れようとしてきます

ですのでWi-Fiを一時的にオフにする等ネットワークから切断して作業を進めるようにした方が良いと思います

また、この作業を行うときにはOcuLinkではなくUSB4(Thunderbolt)接続で行う方が良いとも思います。OcuLinkは相性問題等が多く問題の切り分けが難しいうえ、ホットプラグに対応していないので都度システムの電源を落とす必要が出てきて非常にストレスになります

手順としては

  1. あらかじめドライバ(パッケージ版)をダウンロードしておく
  2. ネットから切断する
  3. DDUでいちどドライバ周りをキレイにする
  4. 再起動したらUSB4(Thuderbolt)で接続する
  5. ドライバインストール

というのが良いのではないかと思います

私のケースではこれでうまくいったわけですが、実はこれでもまだOcuLinkでの接続は成功していません(泣)

厳密に言うと認識自体は成功はしてるんですが、エラーの多発や断続的な接続切断の繰り返し、突発的なリブートやブルスク等でまともに使える状態まで持っていけてない感じです

どのみち間違って届いた使わない製品なわけですのでそれほどトライアンドエラーを繰り返していないというのもありますが、それでも公式サイトに書いてあることは全部試しましたしケーブルの交換とかもしてます。というかG1はちゃんと繋がってるし

挙動を見ているとIntel Arcドライバとのコンフリクトが大きな問題っぽいのでeGPU側の問題だけではないでしょうが、それでも同じGPUを搭載したG1では(ほぼ)問題なくSGWZONE Gaming & AI BOX eGPU Dockでは問題が起きてるという点については見逃せないポイントかなと思います

ということで使い始めるまで苦労し、OcuLinkについてはまだ使えないままではありますが、それでもUSB4に関しては一度接続してしまえばあとは安定しており、特に不具合なく使えていたように感じます

筐体が大きいことに加えてファンの消音テープが貼られていることもあり、騒音に関してはわずかにSGWZONE Gaming & AI BOX eGPU Dockのほうが低い(静か)と感じました

ただしこれはデフォルトのTGPの違い(SGWZONE 80Wに対してG1 100W)による部分も大きいかもしれません。RTX4060版のTGPは115Wですので、そちらではG1以上にうるさい可能性が高いだろうと覚悟はしています

ベンチマーク

これはオマケです。せっかくなので簡単なベンチだけは回してみようかなということで

比較対象としてG1のスコアも載せてますが、先ほども書いたようにそもそものTGPが違います。さらに、SGWZONE Gaming & AI BOX eGPU DockはOcuLink接続に成功していません。スループットの低下するUSB4接続でのスコアとなっています

ですのでGPD G1のスコアの方が良いのは当然となります。このクラスのミドルレンジのGPUの場合だと、大体20%前後の性能減。対してOcuLinkではほとんど無視できるレベル(5%未満程度)の性能減となりますので、G1のスコアを15%ほど減じてみて同じぐらいの値であれば、ほぼ同じ性能だと判断できるかと思います

ちなみにCPUの設定も違います(TDP 28W VS 33W、Intel Turbo 無 VS 有)のでCPUが関係する結果は無視して下さい

GeekBench 5&6

sgwzone gaming ai box ベンチマーク sgwzone gaming ai box ベンチマーク

SGWZONE Gaming & AI BOX GPD G1
GeekBench5 GPU(OpenCL) 59967 86482
GeekBench6 GPU(OpenCL) 60922 72612

このような結果でした。GeekBench5の方は何だかおかしいです(複数回やって全部こんな感じでした)が、GeekBench6の方を見るとほぼ同等なのかなという気もしてきます

CINEBENCH 2024 GPU

sgwzone gaming ai box ベンチマーク

SGWZONE Gaming & AI BOX GPD G1
GPU スコア 3758 4644

こちらもほぼ同等かやや低いぐらいかと思える結果になりました

3DMark Fire Strike

sgwzone gaming ai box ベンチマーク

SGWZONE Gaming & AI BOX GPD G1
Graphics Score 17169 24302
Physics Score 17877 25295
Combined Score 7882 10814
総合スコア 15441 21720

CPUが関係する3項目は無視するとして、Graphics Scoreに予想よりも大きな差があります。これはよろしくないですね

RTX4060版が届いたらUSB4とOcuLinkのどちらでも測定し、スループットの低下による性能減なのかそれともSGWZONE Gaming & AI BOX eGPU Dock自体の性能が低いのかを確かめたいと思います

3DMark Time Spy

sgwzone gaming ai box ベンチマーク

SGWZONE Gaming & AI BOX GPD G1
Graphics Score 6525 9201
Physics Score 7861 11137
総合スコア 6695 9447

これもFire Strikeと同様の結果で芳しくないですね。けっこう大きな開きがあります。RTX4060版で検証します

FF14&FF15

設定は

  • FF14:1920×1080・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウ
  • FF15:1920×1080・標準品質・ウィンドウ

となっています

sgwzone gaming ai box ベンチマークsgwzone gaming ai box ベンチマーク

SGWZONE Gaming & AI BOX GPD G1
FF14スコア 10295 12637
FF14評価 快適 とても快適
FF15スコア 7840 12198
FF15評価 快適 非常に快適

FF14は予想通りですがFF15は予想よりかなり悪いですね

このベンチはわずかですがCPUも関係するため数値だけを見るわけにはいきませんが、それでも無視できない違いがあります

ベンチ全体を通して、負荷の軽いものであれば想定通りなのに対し、DirectX 12世代の負荷のかかるベンチではスコアが予想以上に悪いという結果でしたね

このあたりはRTX4060版で掘り下げますが、とはいえ何度も言うようにRX6600M版は予期しないトラブルによってたまたま手元にあるものにすぎないので、このベンチは本当にオマケの気まぐれです。いつもと違って条件とかも揃えてませんし

なので「あ、はい」って感じであまり気にしないでおいてもらえるといいのかもしれません

まとめ

ということで今回はNvidia GPUも選べるSGWZONE Gaming & AI BOX eGPU Dockのレビューをお届けしました

とにかくいちばんに言いたいのは

メーカー、ちゃんとせいっ!!

ということなのですが、今月末には送ってきてくれるそうなので大人しく待ちたいと思います。4か月以上も嘘と無視でかわされながら待ち続けてきたのであと10日ぐらいどうってことないですね♪

あとはAMD版ではなかなか難しさを感じたセッティングですが、Nvidia版ではもっとマシなのか、それとも同じぐらい難しい子なのか、はたまたこれ以上に手のかかるとんでもない問題児なのか!? そのあたりも気にしながら、ドライバの用意などしておこうかと思います

筐体関係のレビューはしたのでRTX4060版はベンチだけになると思いますが、到着しましたらまた記事にしますのでよかったら読んでいただけると嬉しいです

それではまた~

 

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