前回の実機レビューに続き今回は各種ベンチマークを計測しましたのでそちらをまとめていきます
今回もGPD WIN 3はTDPの変更が可能となっておりますが、他機種との比較にあたって公平を期すため、TDP20Wのデフォルト状態で計測しております。25Wまで上げればあとわずかに性能が向上すると思われます
なお、私が購入したのはCore i7モデルになりますのでi5モデルを購入(検討)された方とは多少違ったスコアになってるかもしれませんのでご注意ください
あと、文章で読むのがメンドクサイ・読みにくいって方は各章の終わりの方に一覧比較表を載せてありますのでそちらをご覧ください
GPD WIN 3 対 WIN Max 対 OneGX1 Pro ベンチマーク
前モデルのGPD WIN Max、そして同じIce Lake Core i7であるOneGX1 Pro(あちらはUP4でこちらはUP3ですが)との比較という形でお届けいたします
どのぐらい性能アップしているのか、あるいは、同じTDP20WでありながらUP3とUP4の差はどのぐらい出るのか? といった点が自分でも楽しみです
※OneGX1 ProのスコアはGPD WIN 3と同じ「TDP20W」に設定した状態でのスコアです
PassMark(CPU Mark)
いつものように、CPU性能のバロメーターとなるCPU Markから行います
CPUマークスコア:11574
OneGX1 Proよりもだいぶ良いスコア(2割増しぐらい)となっています。比較表は以下
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
CPU Mark | 11574 | 9168 | 9820 |
WIN 3が採用する1165G7と、OneGXが搭載している1160G7は、TDPを揃えれば性能的には同じだと言われていましたが意外と差があります。熱処理のうまさの問題? この辺はさすがGPDってことなんですかね
とりあえず満足です
その他の数値は以下(2Dグラフィックは何度やってもエラーで出来なかったため、PassMark総合スコアは参考程度でお願いします)
- CPU Mark:11574
- 2D Graphics Mark:
- 3D Graphics Mark:3284
- Memory Mark:2836
- Disk Mark:16219
- 総合スコア:5207
GeekBench 4&5
続いてGeekBenchです
いつも書いてますがこのテストは負荷が軽いため、多コアであればそれだけで高スコアが出やすいという特徴がありますので参考程度に
まずは現在ほとんど参考にならないGeekBench4です
- シングルコア:6661
- マルチコア:18808
- OpenCL:58393
比較表はこちら
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
シングルコア | 6661 | 6172 | 5325 |
マルチコア | 18808 | 19854 | 16393 |
GPU(OpenCL) | 58393 | 55067 | 38185 |
OneGX1 Proとの差はどれも1割未満の差ですので誤差の範疇――差は無いのかなという感じです
一方でWIN Maxとの差は無視できない差でしたので、前モデルからは確実にスペックアップしたと考えて良いでしょう。ベンチが古すぎてあまりあてにならないかもですけどね
次に、現行のGeekBench5です
- シングルコア:1549
- マルチコア:4828
- OpenCL:18968
そしてGeekBench5での比較表がこちら
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
シングルコア | 1549 | 1398 | 1202 |
マルチコア | 4828 | 4435 | 4129 |
GPU(OpenCL) | 18968 | 16522 | 4538 |
こっちの方がまだあてになりそうです。やはり微妙にですがOneGX1 Proよりも性能で勝るようですね。WIN Maxからは着実にパワーアップしています。特にGPU
オフスクリーンでのスコアなのでどこまで信じたものかですが、やっぱIce LakeのXe GPUはすごいですね~
CINEBENCH R20/R23
もう少し負荷をかけるようCINEBENCHを実施。こちらであればもう少し差が出てくるような気がするのですが……
- CINEBENCH R20:1835pts
- CINEBENCH R23:4612pts
シングルコアスコアについては画像で確認して下さい。比較表は以下です
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
CINEBENCH R20 | 1835 | 1393 | 1554 |
CINEBENCH R23 | 4612 | 3959 | 3449 |
現行のR23の方で判断するべきだと思いますが、GPD WIN 3は同じIce Lake 20WのOneGX1と比較して116%のスコアを。前モデルのWIN Max比では133%のスコアを出していますので、CPU性能も着実にアップしていると考えていいのではないでしょうか
PCMark10
PCの総合性能を実使用に近い形で計測するPCMark10です
メモリやストレージ速度も影響してきますがハードウェア全体としての仕上がり具合はどうなのでしょうか
- Essentials:9867
- Productivity:6756
- Digital Contents Creation:4600
- 総合スコア:4834
となりました。悪くはないですがやっぱりUMPCのスコアであり、最近のノートと比べるといまいちなスコアですね
比較表は以下です
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
Essentials | 9867 | 8844 | 8533 |
Productivity | 6756 | 4838 | 5182 |
Digital Contents Creation | 4600 | 3890 | 3807 |
総合スコア | 4834 | 3943 | 3958 |
GPD WIN 3のスコアが良いというより、OneGX1 Proのスコアの低さが気になります
Productivityが低いのは自社製の粗悪SSDを使ってるせいで速度が出てないからだと思いますが、Digital Contents Creationが低いってのは……
Fire Strike(3DMark)
ここからは純粋なグラフィック性能を見ていきます
第11世代(Ice Lake)の最大のウリがIris Xe GPUですが、こちらはWIN Maxと比較してどれだけ性能アップしてるのかが注目です
まずはFIre Strikeから
- Graphicsスコア:5559
- 総合スコア:4957
内臓GPUでこれだけ出ればかなりのものだと思います。以前に言われていた通り、GTX1050 Max-Q版に近いぐらいのスコアは出ているように思いますね
比較表はこちら
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
Graphicsスコア | 5559 | 4170 | 2641 |
総合スコア | 4957 | 3701 | 2483 |
GPD WIN Maxと比べるとかなり性能が向上しています。が、それは当然としてやはりOneGX1 Proのスコアの低さが気になります
先ほどのPCMarkのスコアを見ても思いますが、同じTDP 20WといってもOneGX1はUP4のCPUを強引に20Wで使用しているため色々と粗が出てしまっているのではないかと思います
いや、解像度が違うからでしょ
と思われる方もいるかもしれませんが、ベンチ取得の際にはGPDと条件を揃えるためOneGX1 Proも解像度を1280×800ピクセルに設定してあります。それでこのスコア差なのです。うーん……
ゲーム目的で買うならGPD WIN 3をおすすめします(値段も全然安い!)
Time Spy(3DMark)
iGPUには荷が重いですが一応Time Spyも計測します
- Graphicsスコア:1589
- 総合スコア:1748
このクラスのゲームをやるのは難しいでしょうね……
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
Graphicsスコア | 1589 | 1203 | 771 |
総合スコア | 1748 | 1327 | 874 |
これだけ重い処理になるとUMPCではどれを選んでもどんぐりの背比べです
ドラクエ10ベンチマーク
軽量で余裕過ぎてGPD WIN MaxやOneGXとは差が出ないかもしれませんが、ドラクエ10ベンチマークも実施しておきます
設定は全ての機種で共通で『最高品質・1280×720・フルスクリーン』です
- スコア:16602
- 評価:すごく快適
となりました。比較はこちら
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
スコア | 16602 | 14085 | 11919 |
評価 | すごく快適 | すごく快適 | すごく快適 |
差は満足感の違いでしかなく、どの機種でも全く問題なくプレイできますね
FF14ベンチマーク
この機種の性能的にちょうどよい(やや重?)ぐらいのゲームであるFF14ベンチです
設定は全機種共通で『1280×720・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウ』です
- スコア:7455
- 評価:非常に快適
UMPCの内蔵GPUのスコアとしては十分ではないでしょうか
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
スコア | 7455 | 6723 | 4573 |
評価 | 非常に快適 | とても快適 | 快適 |
このクラスのゲームになってくると機種間の違いが表れてきますね
GPD WIN 3を選ぶのが良さそうですが、先に書いたように設定が『高品質(デスクトップPC)』ですのでノートPC向けの標準設定とかに落とせばどれでも楽しめるでしょう
FF15ベンチマーク
逆に、設定を落としてもかなり厳しいかな? というクラスのFF15ベンチです
このベンチはHD設定が無いため、設定はどの機種でも『標準品質・1920×1080・ウィンドウ』です
- スコア:2388
- 評価:重い
となりました。iGPUのスコアとしては破格だと思いますが、とはいえやはりストレスなくプレーするのは難しそうです
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
スコア | 2388 | 1779 | 1337 |
評価 | 重い | 動作困難 | 動作困難 |
着実に性能アップはしているんですけどね
CrystalDiskMark
最後はストレージ性能を測定するCrystalDiskMarkです
- SEQ1M Q8T1 Read/Write:2013.04 / 1921.87
- SEQ1M Q1T1 Read/Write:1717.83 / 1843.54
- RND4K Q32T1 Read/Write:762.41 / 685.62
- RND4K Q1T1 Read/Write:65.18 / 240.54
この価格で容量が1TBあるストレージであることを考えると十分及第点のストレージなのではないかと思います
GPD WIN 3 | OneGX1 Pro | GPD WIN Max | |
SEQ1M Q8T1 Read/Write | 2013.04 / 1921.87 | 1243.53 / 835.87 | 2036.54 /1860.91 |
SEQ1M Q1T1 Read/Write | 1717.83 / 1834.54 | 1037.07 / 740.60 | 1694.71 / 1804.19 |
RND4K Q32T1 Read/Write | 762.41 / 685.62 | 321.88 / 357.91 | 542.38 / 492.46 |
RND4K Q1T1 Read/Write | 65.18 / 240.54 | 37.81 / 86.15 | 70.13 / 186.32 |
GPDはWIN Maxの頃と同じクラスのSSDを採用してるようですね。OneGX1 Proの遅さは悲しくなるレベルです。しかも基板に直付けだから交換もできないという……
まとめ
ということで今回はいつものベンチマークをお届けしました
前モデルのGPD WIN Maxからは確実にパワーアップしています
とはいえ『PC』としての使いやすさは圧倒的にWIN Maxの方が上なので悩ましいところですよね。ゲーム目的ではなくUMPCとして使いたいという人はGPD WIN Max 2021モデルを待つのがいいかもしれません
もうすぐ受付が始まりますよ
OneGX1 Proと比較しても全ての項目で上回っていますが、これは体感できるレベルではないので好みでいいと思います
ただOneGX1 Proの方がファンの音がだいぶうるさいのと、値段が1.5倍ぐらいするというのがネックになります。インターフェースも良くない(HDMIから音が出ないとか)ですので、OneGX1 Proのキーボードに5万円ほどの価値を見出せる人以外はチョイスしない方がいいかもしれません
GPD WIN 3を触っていて「この大きさのPCがここまでの性能を持つようになったのか』と感慨深いものがありました。Atomを搭載したUMPCや7インチWindowsタブレット等を、モッサリに我慢しながら使っていたあの頃を思い出しましたよ(泣)
そんなわけで性能は満足なのですが、PCとして使うつもりの人にはあまりおすすめできません。その辺は次回のレビュー記事「実使用編」でまとめたいと思います
※5月18日追記:記事公開しました
それではまた~
コメント
基盤とありますが、基板じゃありませんか?
匿名さん
教えていただいてありがとうございます。早速修正しておきました
読み返しはしてるんですがこういうのって意外と気付かないので助かります。また何かあったらご指摘いただけたら幸いです