こんにちは、ドローンインストラクターのりんごロイドです
ドローンに関する航空法の規制が嫌で、200g未満のミニドローンだけを楽しんでいるという方も多いのではないかと思います
このカテゴリはマイクロドローンやレース用ドローンが多いと思いますが、「空撮」を楽しむという意味ではRyze Tech(代理でDJI)のTelloを購入するというのがこれまでのスタンダードとも言えました
しかしここに来て、Tello以上に飛ばしやすいドローンが登場しました。その名は「INGRESS」
果たしてミニドローン界の革命児となれるのか……特徴やスペックをTelloと比較しながら、検証していってみたいと思います
INGRESSの特徴
冒頭にも書いた通り、INGRESSは航空法の規制対象から外れる182gという超軽量ドローンです。発売は株式会社ジーフォースという会社さん
形状はMavicのような折りたたみ式で、購入時に付属するケースも高級感があっていい感じ。プロポが付いているのも満足度が高いです
とはいえこれだけだとそこまで珍しくはないのですが、INGRESSが革命的と言えるのはこのサイズでありながらGPSを搭載し、姿勢の安定はもちろんのこと、リターントゥホームをはじめとするGPSを用いた様々な飛行機能(インテリジェントフライト機能)が使えることです
その内容はというと
- 地図上のポイント通りに飛行する「マルチポイント」モード(いわゆるウェイポイント自動航行)
- パイロットに追従する「フォローミー」モード
- 一定の距離で円飛行する「サークルフライト」モード
など、DJI GO 4に搭載されているような機能が使えるというのです
GPS搭載のミニドローンではかつてZeroTechのDobbyなどが流行ったことがあります
が、やはり満足度が高いとは言い切れなかったのも事実です
あれから何年かが経ち、ミニドローン界隈もTelloやManboのように根本的に安定性の高い機種が登場するようになってきました
INGRESSはこれらの利点を受け継ぎつつ、GPSによる恩恵をどこまで活かせているのでしょうか?
INGRESSのスペックをライバルと比較
先ほど比較として名前を挙げさせていただいたTello、及びDobbyと比較しながら、INGRESSのスペックを見ていきます
INGRESS | Tello | Dobby | |
サイズ | 162 × 162 × 52 mm | 98 × 92.5 × 41 mm | 135 × 36.8 × 67 mm |
重量 | 182g | 80g | 199g |
飛行可能時間 | 13分 | 13分 | 9分 |
通信距離/高度 | 300m / 120m | 100m / 30m | 100m / 50m |
GPS | GPSのみ(?) | 無し | GPS・GLONASS |
センサー | 無し | ビジョンセンサー、気圧センサー、距離計 | ビジョンセンサー、超音波センサー |
カメラ性能 | 不明 | センサーサイズ・焦点距離不明だが、FOV(水平画角)は82.6° | 1/3.06インチCMOS F2.2 焦点距離28mm(フルサイズ換算) |
ファイル形式 | 200万画素 JPEG フルHD MP4 |
500万画素 JPEG HD MP4 |
1300万画素 JPEG フルHD MP4(H.264) |
特筆機能 | インテリジェントフライトモード(要専用アプリ「GF GPS」) | 電子式手振れ補正 | プロポ非対応(非公式でTelloと同様ゲームコントローラーの利用可) |
付属品 | 2.4GHz 4ch送信機 バッテリー(2セル) 予備プロペラ×4 プロペラガード 工具 USB充電ケーブル 日本語取扱説明書 |
バッテリー(1セル) 予備プロペラ×4 プロペラガード 工具 |
バッテリー(2セル) 充電器&ACアダプタ USBケーブル 変換アダプタ 説明書 |
価格 | 24,800円 | 12,800円 | 実売40,000円前後 |
このようになっていました
うーん……
こうして見比べてみると、ものすごく魅力的に見えていたINGRESSですが、何だかチグハグなスペックであることに気が付きます
INGRESSのカメラスペックは他の2機種に劣っており、空撮を楽しむためのカメラとは思えません。「Telloの方がスペック低いじゃん」と思われるかもしれませんが、ドローンにおいてブレを補正出来るか否かは天と地ほどスペックが違うことを意味します
3機種とも電動ジンバルは搭載していませんが、電子式とはいえ手振れ補正を搭載しているTelloはセンサーサイズやレンズ性能なども考えると、最もバランスのとれたカメラであると考えることができます
INGRESSについているカメラは、レーシングドローンなどで使われるタイプのカメラのように思えます。これは作品を残すためのカメラとは言えません
飛行性能や操作性については、プロポが付属することもあってINGRESSが断トツだと思います。動画で見る限り最高スピードも速そうです
ただ、プロポが付属するのは嬉しいのですがスティックの形状がゲームパッド状になってしまっているのはちょっといただけません。ドローンの『操縦』を楽しもうと思ったら、微細な操作のできるスティックの方が良いのですが
まあその点は他の2機種も同じですし、飛ばして楽しむという観点では、かなり魅力的な機種だと思えますね
しかしそうであるならば、売りにしている機能が「GPS搭載」とか「インテリジェントフライトモード対応」というのは真逆の方向性ではないかと思ってしまいます。これらの機能は全て空撮を楽しむための機能だと思うのですが……
メーカーさんの公開してくれている動画があるのですがやはりイメージ通り、飛ばすこと自体はめちゃ楽しそうなんだけど、撮影性能は「うーん」て感じでした
そもそも屋内ではGPSは使えません。これによって、アピールポイントであるインテリジェントフライトモードの一部、例えばマルチポイント機能などは使えないわけです
さらに言うなら、GPSを搭載した安定飛行を売りにしているわりにビジョンセンサーや超音波センサーなどの位置特定システムを積んでいないのも気になります。屋内で練習する時は、フラフラと流れるいつものトイドローンになってしまうのではないか?
このあたりはライバル機種に大きく負けているポイントですね
まとめると
どうもINGRESSの特徴を一言でまとめると、「入門レーサー機でありながらGPSを搭載しているから安心して練習が出来る機種」、であるような気がします
ライバル機種と比較して優れている点は
- GPSによる安定&安心フライト
- 屋外でもプロポを使った本格的なフライトが楽しめる
- 飛ばしている間は楽しめそう
という点でしょうか
一方でイマイチだと感じる点は
- 空撮を助けてくれる機能がウリだが、空撮するためのカメラシステムがお粗末
- レーサー入門機として考えても、それにしては性能が足りない
- GPS以外のセンサーが無い
といったところです。つまりINGRESSは
航空機ラジコンとして飛ばして遊ぶならとても楽しめる機種だけど、空撮を楽しみたいとか、レーサー機の練習したいとか、具体的な目的を叶えるには力不足な機種
というのが私の感想になります
実用という点では厳しいかもしれませんが、飛ばすのは本当に楽しそうですので、私も1台購入して遊んでみようかと思います。買ったらもう少し具体的なレビューもお届けしますね
それではまた~
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