iPadを音楽制作やライブに使うなら、iPad Proを選ぶべきなのか?

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当サイトではiPhone・iPadで音楽を作る『DTM』についての連載を行っています

今回はちょっと趣向を変えてというか、根本的な話として、iPadを音楽制作やライブツールとして使うのに必要なスペックってどんなもんなのか、ということを書いてみたいと思います

iPadで行う『重い作業』としてよく挙げられるのが、動画編集、3Dバリバリの重量級ゲーム、そしてDTMだと思いますが、あまりスペックとか詳しくない方ですと

重い『DTM』をやるんだから、iPad Proを買う必要があるんだろうなぁ

と思ってしまうのではないでしょうか

これはある意味間違いではないのですが、必ずしもiPad Proが必要になるかというとそんなことはありません。iPad miniの最新モデルはかなりiPad Proに肉薄する性能を持っていますし、用途によってはそれよりもスペックの低い、古いiPadであっても間に合ったりします

何をやるのにどれだけのスペックが必要になるのか……実際にminiとProを比較してみたりもしながら検証してみたいと思います

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音楽制作の『何』が重いのか?

重い作業だと言われる音楽制作・DTMですが、用途によっては大してリソースを必要としない作業も存在します。実際にマシンにかかる負荷は

音楽や動画を再生する <<<< DAW上でオーディオをエディットする < DAW上でMIDIを鳴らす

という感じかと思います。これは、オーディオエディットもMIDIエディットもプラグインを使っているのが前提です

このプラグインは何をどれだけ重ねているかによって負荷が変わってきます。場合によってはMIDI打ち込みよりオーディオの方が重いというケースもあると思います

では、なぜ上の不等号ではMIDIの方がリソースを食うと書いてあるのかというと、オーディオエディットをする際に使われるプラグインはエフェクト系中心なのに対して、MIDI打ち込みではエフェクトに加えてインストゥルメント(音色)プラグインも必要とすることが多いからです

このプラグインというのがリソース食いで、CPUやメモリを大きく消費します。逆に言えば、多くのプラグインを必要としないのであれば、比較的低スペックのiPadであっても演奏を楽しむことが可能となるわけですね

例えば、既存の楽曲にエフェクトをかけたギターやボーカルを重ねるような「歌ってみた」、「弾いてみた」と言われるようなことをしたいだけなら、iPad Proなんて必要ありません。同様に、ライブでマルチエフェクターの代わりとして使いたいというような場合でも、スペックにこだわる必要はないでしょう

バンドマンの方がDAWを使ってシングル/マルチトラックレコーディングする時であっても、iPad Proほどのスペックが無くても大丈夫ですので安心して下さい

しかし、エフェクトを多用したりMIDI打ち込みで音色をたくさん使いたい人は、iPad Proもしくは最新のAirやminiでないと厳しい場面が出てくることもあると思いますし、プラグインによってはMIDIで演奏したいというだけでもリソースを馬鹿食いすることがありますので注意して下さい。音のいいピアノ音源なんかだと、スタンドアロンで起動してもかなりリソースを食ったりします

ということでまとめると

  • プラグインをほとんど扱わない人(1~2個以内):iPad Proじゃなくても大丈夫
  • プラグインを多用する人:状況によってはProが必要になる可能性がある

というような感じでしょうか

iPad Proを使うと具体的にどのぐらい違ってくるのか

そうは言ってもそこまで違うのか? ということを調べるために、CPUの使用率が分かるアプリ(DTM系のアプリは大体備わっている)を使って実際に比較してみたいと思います

まずはオーディオファイルだけを扱うDAWでの音楽制作

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素の状態ではほとんど差がありません。ごくわずかにiPad Proの方が負荷が少ないですかね。16トラックを使っていますが負荷は皆無と言っていいレベルですね。iPad Proでなくても、マルチトラックオーディオを気兼ねなく使っていけそうです

ここに空間系やマスタリング系のエフェクトをかけてみました

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1~2トラックであれば問題ありませんが、16トラック全てにエフェクトをかけるとCPUメーターが振り切ってノイズが乗るようになりました。また、両者を比較するとiPad Proの方がノイズが少ないことが分かりました

ちなみにノイズが乗り始める閾値は、iPad miniが3トラック以上から。iPad Proが6トラック以上からとなっていました

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これは使用するプラグインによっても違ってくると思いますが、同じ使用状況では、iPad Proの方が耐性が高いという証左となります

iPad Proを使うことでエフェクトを同時にかけられる数的リミットが上昇する、ということになるわけですので、自分の使用スタイルと併せてどの程度必要なのかを判断するといいのではないかと思います

もしiPad miniでエフェクトをいっぱい使っていこうと思ったら、こまめなフリーズが必要になりそうですのでエフェクトを多用する人にはちょっと面倒かもしれませんね

ではこれがMIDIになるとどうなるのか

まずは私が使っているDAW「CUBASIS」に最初から備わっている音源「Micro Sonic」にて試してみます

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今回テストした曲は14トラックのオールMIDI打ち込み楽曲です。プラグインは使っていませんが、やはりオーディオトラックの編集と比べてCPU消費が増えていますね。しかしこれだけだとまだ普通に編集・再生できています

ここに重量級のインストゥルメントプラグインを、ひとつだけ追加してみます

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すると一気にCPU使用率が跳ね上がりました

スクショがうまく撮れずあまり変わりないように見えますが、リミット近くまでメーターが振れています。このたったひとつのプラグインを追加しただけで、iPad miniの方にはノイズが乗ってしまいました。iPad Proはノイズが乗りませんがけっこう限界近い感じです

この状態でインストゥルメントを複数重ねたり、さらにはエフェクト系プラグインまで使っていくのは厳しい……というか無理ですので、やはりフリーズが必要になりそうです

iPad Proなら大きな余裕が生まれるのかというとそんな感じでもなく、多少余裕はできたとしても複数掛けをするならやっぱりフリーズが必要という感じですので、iPad Proを選ぶメリットはそれほど大きくはないのかもしれません

では最後に、MIDI演奏ツールとして使った場合はどうなのかを確かめておきます

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こちらもなかなかの重量級プラグインで、スタンドアロンとしても機能するピアノ音源です

上の黄色いバーのところがCPU使用率を表しているのですが、iPad Proの方がバーが短いことが分かります。しかしその差はわずかで、どちらも問題なく演奏することができました

まとめ

ということで今回、簡単にではありますが「iPadで音楽制作や演奏を楽しむために、iPad Proは必要なのか?」ということを探るため比較を行ってみました

今回の検証で分かったことをまとめると

  • iPad Proはたしかに他のiPadと比較してアドバンテージがある
  • しかし最新のiPad miniやiPad Airとの差はわずか
  • そのわずかなアドバンテージを活かせる場面は、DTMにおいてはあまり無さそう

という感じかと思います

このほんのわずかの差が必要であれば、iPad Proを購入されるのが良いのではないかと思います。しかしそれほどでもないのであれば、iPad mini5やiPad Air3を選ばれるのがコスパ的にも良いのではないかと思いますよ

ただiPad Proは画面が広い(11インチor12.9インチ)という、DTMをやるうえでの大きなメリットも持ってますけどね

当サイトでは他にも、iOSでDTMを楽しむための記事をいくつか公開していますので良かったらそちらも読んでいただければ嬉しいです。全ての記事へ通じる目次ページは以下です

iPhone・iPadで音楽を作る方法まとめ DTM・宅録
iPhone・iPadで音楽を制作する「DTM」の手法について総合的にまとめた解説記事です。ここから各アプリの詳細解説へもリンクしています。生サウンドにこだわった楽曲の作成方法が中心になっていますので、バンドサウンドやポップスを作りたい方向けかもしれません

それではまた~

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