前回はOneXPlayer X1のレビューとベンチをまとめましたが、今度はポータブルeGPUのGPD G1を接続した時の挙動についてまとめていきます
One-Netbook社としては当然ONEXGPUを接続することを望んでいるはずで、実際にその組み合わせで使ってる方が多いと思います
しかし私はONEXGPUのあのクソデカACアダプタがどうにもダメで使う気になれないのです。普通のeGPUならともかく、ポータブルであれはダメでしょと感じてしまいます
自宅での据え置きを狙ってるのかもしれませんが、だったら普通のeGPUドックにNvidia GPU積む方が値段も性能も使い勝手もはるかに良いわけですので、いまいちターゲットが謎な製品だと思います
と、話が逸れましたがそんなわけでこの記事ではGPD G1を接続した時の挙動とベンチ結果をまとめていくのですが
eGPUなんだからどのPCにつないでも大差ないでしょ
という疑問も当然かと思います
この記事で検証したいのは、まずそもそもGPD G1が正常に動作するのかという点と、それに加えてAMD+AMDの組み合わせではなく、Intel Core Ultra+AMDの組み合わせではベンチ結果がどのように変わってくるのかということを確かめたいという点になります
ですので今回もまた、条件を揃えてX1とWIN Max2で比較をしていきます。同じeGPUを使っていてもCPUの違いによって差は出てくるのでしょうか……?
OneXPlayer X1+GPD G1の組み合わせは問題なく使えるのか?
結論から言うと1回目はなんの問題もなく使えたけど、2回目以降は怪しくなった――です。詳しく説明していきます
はじめての使用時
そもそもなんでこんなことを心配していたのかというと、GPD G1はなかなか不安定なところがあってGPD WIN Max2で使う際にもBIOSでいくつか設定してあげないとパフォーマンスを発揮しないことがある、といったやんちゃな様子を見せていました
このBIOS設定項目がOneXPlayer X1は絶望的に少ないです。ほとんどいじれないと言ってもいい
なので心配していたのですが、結果として問題なく使えました
幸いResizable BARはいじれるうえにデフォルトで有効になってます。同様にAMD AdrenalinのResizable BARもデフォルトで有効ですので、基本的にドライバを入れてやればそれだけでも普通に使えます
ただし一点だけ。これはGPD WIN Max2でも同じだったのですが、電源オプションからPCI Express→リンク状態の電源管理に進んで省電力設定をオフにする必要はありました
これをしないとベンチによっては結果が1~2割ほど低下するものがありましたので、ポテンシャルを発揮したい場合はここは忘れずに設定しておきたいところですね
これで一度目は全く問題なく使えました。ところが……
2回目以降の使用時
実ははじめてGPD G1を使った後に、OneXPlayer X1の持病である『充電できなくなる病』が発症しました
G1のせいで発症したという意味ではなく、タイミング的にはじめてG1を使ったのより後に発症したという意味です
で、仕方ないのでサポートからバッテリーフラッシュツールを貰って修正したのですが、その後からちょっと製品の挙動がおかしくなりました
具体的には、どうもArcドライバとAMDドライバが競合しているみたいな(実際には違うようにも思える)感じで、OcuLink接続で起動するとブルスクが発生したりArcドライバが破損→修正が必要になったりとどうも安定しません(サンボルでは比較的安定してました)
バッテリーフラッシュツールが絶対の原因かどうかは分からないのですが、タイミング的には合ってました
G1の方もピーキーなところがあるので、問題があるのはONEXPLAYER側なのかG1側なのか、問題の切り分けをするのにけっこう時間をかけてトライ&エラーをするはめになってしまったんです
現在は無事に使えるように回復しましたが、PCをいじることにあまり慣れていない人だとどうしようもなくなってしまうかもしれないよなぁとも思いました。ちなみに切り分けの結果G1に問題はなく、問題があったのはX1側でした。うーんこの
充電できなくなる病はOne-Netbook製品のお家芸みたいなところもあるので、誰にでも起こりえることだと思います。そうしてフラッシュツールを使用するとこうしたトラブルに見舞われるという可能性も否めません
なので対処する自信のない方は、同社製品のONEXGPUを使う方がいいのではないかと思います
OneXPlayer X1 + GPD G1によるベンチマーク
ということで無事に使えるようになりましたので、実際にベンチを回していってみたいと思います。今回も比較のため、可能な限り条件を揃えたGPD WIN Max2 2023との違いを見ていきたいと思います
検証環境は以下
- OcuLink接続
- 内蔵ディスプレイに出力
- 画面リフレッシュレート 120Hz、及び、60Hz
- Resizable BAR 有効
- driverバージョン:24.3.1
- 64GB RAMモデル
- RAM速度7467MT/s、及び、7500MT/s
- Windows Update及び各種アップデートを全て適用しバックグランドで余計な負荷がかからないよう対処した状態です
- 各ユーティリティソフトにてTDPを「35W」、ファンスピードを「最大」に設定した状態
- 電源接続状態(非純正100W)
- 環境温度20℃前後
- 日本語環境(一部のPugetbenchのみ英語環境)
- 解像度2560×1600・拡大率150%
となっています。GPD WIN Max2のみ、PCIe速度をGen4に固定のオプションも入れてあります(ONEXPLAYERのBIOSにはそのオプションは無い)
では見ていってみましょう
GeekBench 5&6 GPU
まず、お手軽な反面スコアが怪しいGeekBenchから
OneXPlayer X1 with G1 |
GPD WIN Max2 with G1 |
|
GeekBench5 GPU(OpenCL) | 86482 | 78097 |
GeekBench6 GPU(OpenCL) | 72612 | 70638 |
このような結果になりました
このスコアを見て「やったぁ~、Core Ultraと組み合わせた方がG1の性能が出るぞ」と単純に喜んではいけませんね。GeekBenchはお手軽短時間、かつクロスプラットフォームな点に価値があり、ベンチの正確性は「?」ですので
CINEBENCH 2024 GPU
ということでしっかりとGPUのみに負荷をかけるべく、CINEBENCHのGPUモードです
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
GPU スコア | 4644 | 4639 |
このようになりました。当然ですが同じスコアです
このことから少なくともこのベンチにおいて、BIOSでPCIe速度を固定できないOneXPlayer X1においてもきちんとPCIe 4.0×4の速度が出ているということが確認できたかと思います
もちろんGPU-Zでも確認してますが表示上もPCIe 4.0×4です
3DMark Fire Strike
ではここからが本題
CPU性能もスコアに関係するベンチにおいて、同じeGPUを使った場合に何か差は現れてくるのか? 確認していってみたいと思います
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
Graphics Score | 24302 | 24737 |
Physics Score | 25295 | 20605 |
Combined Score | 10814 | 10051 |
総合スコア | 21720 | 21031 |
このようになりました
このテストにおいてはGPUに差は見られませんが、CPUスコアについてはX1が15%程上回っています。にもかかわらずCombinedではWIN Max2を下回るという、なんとも判断が難しい結果となりました
どういうことなんでしょう。時間があればじっくり調べてみたいところですが、いずれにしても大きくは変わらない、つまりは社外品のGPD G1を接続するのでもちゃんと性能が出てくれるということが確認できただけで良しですかね
3DMark Time Spy
こちらはどうでしょうか
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
Graphics Score | 9201 | 8960 |
Physics Score | 11137 | 8842 |
総合スコア | 9447 | 8942 |
先ほどとほぼ同様の結果になりました
やはりCPUではX1が良い結果として表れています。それでも総合スコアがそこまで変わらないのもFire Strikeと同じ。どちらの機種であろうとほぼ同じ性能が出ると思って良さそうですかね
3DMark Port Royal & Speed Way
こちらはおまけです
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
Port Royal | 4927 | 4855 |
Speed Way | 1844 | 1804 |
こんな結果でした
レイトレーシングはGPU依存ですので差は無いわけですが、G1をGPD製品以外で使っても同じパフォーマンスを発揮してくれるのはありがたいところです
VRMark
VRはどうでしょうか
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
Orange Room | 11047 | 7471 |
Cyan Room | 3176 | 2748 |
Blue Room | 2477 | 2451 |
このような結果となりました
このベンチはリフレッシュレートにも左右されますが今回は揃えていないわけですので、単純な数字だけで比較しない方が良さそうです
DQ10ベンチマーク
意味は無い、思い出のベンチです
設定は最高品質・1920×1080・フルスクリーンです
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
スコア | 19766 | 15121 |
評価 | すごく快適 | すごく快適 |
この結果を見ると本当にベンチの方の性格がよくわかります
両者とも同じぐらいの性能のはずなのに結構な差が出ています。これは単純にCPUがIntelなのかAMDなのかという違いですね。ドラクエベンチはこういう傾向です
なのでAMDシステムでドラクエベンチのスコアが思ってたより悪かったとしても、それはベンチの問題ですのであまり気にする必要はないってことです。ベンチ大好きな私が言うのもなんですが、あまりベンチ結果に囚われすぎない方が良いということですね
今時ドラクエベンチを回す人は他にいないでしょうが笑
FF14&FF15ベンチマーク
これもベンチの傾向があって、FF14はAMDよりIntelが、さらにAMDよりNvidiaが良いスコアを出しやすいです。FF15の方はシンプルにマシンパワーが反映される印象ですが果たして……
設定は
- FF14:1920×1080・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウ
- FF15:1920×1080・標準品質・ウィンドウ
となっています
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
FF14スコア | 16316 | 13506 |
FF14評価 | 非常に快適 | とても快適 |
FF15スコア | 12198 | 11777 |
FF15評価 | 非常に快適 | とても快適 |
このような結果になりました
予想通りの結果です。なお私は実ゲームは全くやりませんので、実際にFF14をプレイする際にIntelの方がAMDよりパフォーマンスが上がりやすいのかどうかは分かりません。あくまでベンチだけの挙動なのでしょうか?
機会があったらいつか試してみたい気もしますが、たぶん一生やらないような気もします
FF14ベンチマーク(黄金のレガシー)
新しく出たので追加で実施
設定は旧バージョンと同じく1920×1080・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウ
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
スコア | 12637 | 11013 |
評価 | とても快適 | とても快適 |
となりました
GPUは全く同じなわけですから、やはりここでもIntelのおかげで良い結果を残していると言えるかと思います。ただし実ゲームに反映されてるのかどうかは分かりません
PugetBench
Adobe系アプリはどうでしょうか
OneXPlayer X1 with G1 | GPD WIN Max2 with G1 | |
PugetBench for Premiere Pro | 5369 | 5803 |
PugetBench for Photoshop | 5850 | 5650 |
PugetBench for After Effects | 768 | 711 |
このような結果で個人的には予想通りでした
動画編集のPremiereはGPUの恩恵がでかいですがRyzenが得意とする分野でもありますのでスコア的にはWIN Max2が勝っていますね
実はGPU性能がそこまで重要ではないPhotoshopに関しては、なんとiGPUの方がスコアが高いという結果になりました。Photoshop作業時はArcオンリーで良さそうですね
動画制作のAfter effectsについてやはりAMDの限界なのかスコアが伸びませんね。G1はVRAMも少ないですし、やはりNvidiaのeGPUを接続して作業するのが望ましいのでしょう。これについては5月に記事を掲載予定です
まとめ
ということで今回は、OneXPlayer X1に他社製品であるGPD G1を接続して大丈夫なのか? パフォーマンスはどうなのか? という点について書かせていただきました
結論としては大丈夫だけどトラブルに見舞われる可能性も高く、自分で対処できる人向けである、ということが分かりました。ただ、正常に動いている間はGPD製品に接続した時と同じパフォーマンスを発揮してくれることも分かったわけですので、知識のある方なら選択肢としてはアリだと思います
個人的な話をすると、私の使い方においてはiGPUでの動作時とそれほど大きな違いはないことも分かりましたので、私は一緒に持ち歩くことはしないと思います。やはり外出先でもゲームを高設定で楽しみたい人向けかなぁという感じ
X1の記事はこれで一旦区切りとなりますが、5月頃にNvidiaのeGPUを入手する予定ですのでそうしたら今回のG1との比較記事など掲載できればと思っております
それではまた~
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