過去記事でも何度か触れているのですが、この度水中ドローンPowerRayを購入しました
実は私にとってPowerRayは二度目の購入であり、過去にもWizard版という最上位グレードを購入したことがあります。その時の購入価格は25万円ほどだったと思います
しかし、思ったほどの満足感が得られず、まだ高く売れるうちに売ってしまおうとすぐに手放してしまったという苦い記憶があります
ところがこの度、メーカーが次世代機開発へ舵を切ることを受けて従来品の大幅な価格改定が行われました。新たに買い直したのはエクスプローラー版という、以前のWizard版から少しだけスペックが下がるものになるのですが……
なんと、59,800円(税込)で購入することができました! PowerVisionさん、ありがとう
この価格帯でありながら4Kカメラにチルト固定撮影モードを備えているのは、ライバル機からは考えられない超廉価です
レビューはインプレ編と実使用編の2回に分けてお届けしますが、今回は製品のスペックや外観、ポイントなどを抑えたインプレ編として解説していきたいと思います
PowerRayの開封~付属品など~
ドローンに慣れている方はご存知でしょうが、ドローンはそのほとんどが中国製となっています。ですので品質もピンキリなのですが、PowerVision社はドローンメーカーの中ではかなりデザインや品質、サービスを充実させようとしているメーカーだということが商品から感じられます
こちらが梱包用の外箱です。頑丈な段ボールで梱包されていて、中も保護用の段ボールが入っているので配送時の故障の心配はかなり緩和されています。非常に好印象
化粧箱はこんな感じ。DJI製品並みの質感で非常に所有欲は高いです。さすが、元々は20万円という価格帯で売られていただけのことはあります
裏面です。良いデザインですね
化粧箱を開くとこのようなケースが顔を覗かせます。Wizard版はキャリー付きのハードケースでしたが、エクスプローラー版はPhantom4のような硬質スチロール製の両開きのケースです
ハッキリ言って、こちらの方が取り回しがしやすく使っていく上で便利だと感じます
裏面です。エンボス加工によってどちらの面に何が入ってるのかが一目でわかる親切設計となっています
「PowerRay」と書かれた面は、このように本体を固定して収納することができるようになっています
「Accessories」と書かれた面は、アクセサリーをまとめて収納することが可能となっています。別売りのPowerSeeker(魚群探知機)も一緒に収納できるようになっているのは親切
PowerRay本体詳細
それではPowerRay本体を詳しく見ていきます
相変わらずこの会社のドローンはデザインは満点ですね
PowerRayはWizard版でもエクスプローラー版でも本体性能は全く同じです
違うのは、内部に組み込まれているSDカードの容量が32GBか64GBかという違いだけ(交換不可)。カメラの質が落ちたり、耐水深性が変わるということはありませんので、そういった意味でもエクスプローラー版はコスパが高いです
画像から分かる通り、上下移動を司るスクリューは1基だけとなっています。そのため、チルト固定撮影は可能ですが、チルトホバリングは出来ないようになっていて、そのあたりがGLADIUS MINIやBW SPACEと違う点ですので注意して下さい
カメラは最大で4K25Pで撮影可能なカメラが搭載されており、画角は35mm換算で約20mmとかなり広角のレンズが採用されています
ライトはカメラを挿む形で左右に配置されていて、明るさの調整も可能です。2灯合計で最大900ルーメンの明るさを誇りますが、最近の水中ドローン事情を考えると少々暗めです
透明度の高い水中であれば問題ありませんが、濁っていたり暗い水中ではライトを増設するなどちょっとした工夫が必要になるかもしれません
またPowerRayには電源ボタンというものが存在せず、背中にちょこんと突き出した充電・通信ポートにプラグを接続することで自動的に電源が入る仕様となっています
こちらは背面ですが、電源が入ったり充電中は背ビレにあたる後方インジケーターが青く光ります
メインスクリューは左右に配置されていますので、その場での方向転換も可能。最高速度は1.5m/sですが、プロポでコントロールしますので当然細かな速度調整可能です
PowerRay付属品詳細
続いて付属品の紹介・解説を行っていきます
まずこちらが、操縦に使用するプロポです。空中ドローンのPowerEggとほとんど同じものなのは、コスト削減なのでしょうね
プロポにはスマホ・タブレットを取り付けることが可能ですが画像にある通りネジによる取り外し式ととなっています。手で回せるネジなので問題は無いのですが1点だけ大きな不満が
スマホを固定したい際に取り付ける補助ホルダーの取り付け・取り外しはプラスの精密ドライバーが必要になります。この点はいただけません。PowerEggはスプリング式でどちらもワンタッチで付けられるのに……
特に船の上などで精密ネジをつけたり外したりするのは至難の業ですので、その撮影中は「スマホだけ使う」とか「タブレットだけ使う」と割り切らないと、途中での交換は難しいと思います
気を取り直して――PowerRayはプロポを使わずコントロールすることも可能となっています
こちらはベースステーションという、ドローンとの通信を司る通信端末です
仕組みとしては『ドローンとベースステーションを有線で接続し、映像や操縦信号を送受信する』というものになっているのですが、このベースステーションに対してスマホやタブレットだけを無線で接続するか、それともスマホ+プロポをどちらも無線で接続するか、といった自由な運用が可能となります
プロポを使わない場合はアプリに表示されるバーチャルコントローラーで操作することになります。他にVRモードによって機体の向きをコントロールすることも可能です
こちらがドローンとベースステーションを接続するテザーという通信ケーブルです
Wizard版の時はテザーの扱いに悩まされ結局ホースリールを改造して巻き付けていたのですが、エクスプローラー版のこの仕様は現場でもかなり使いやすかったです
ちなみにWizard版はテザーの長さが70m、エクスプローラー版は50mという違いがありますが、20m長いからといってそれほど大きなアドバンテージはありません。50mで足りないなら70mでも足りないことがほとんどです
しかもテザーは別売りであとから70mのものを買うことが可能ですので、そういう意味でもWizard版の優位性は非常に低いです
続いてこちら、本体のお腹の画像なのですが赤枠のところに蓋が付いているのが分かるかと思います。これはVertical Prop Coverという、藻や海藻をスクリューに巻き込まないためのパーツです
と言っても単なるフタと結束バンドなのですが、以前私がWizard版を買った時はこれも付いていませんでした……。恐らくユーザーのレスポンスなどを受けて追加されたアクセサリーなのでしょうね
実際、藻の生えた湖底にお腹をすって進んでも絡みつきませんでしたので、取り付ける意義はあると感じます
最後にこちら、充電器になります。PowerRay本体、ベースステーション、プロポを同時に充電できるようになっています
求められる電力は100V 1.6Aですので160W。幸いにもPowerEgg同様、私の所持する
こちらのモバイル電源でコンセントと同じように充電可能でした(Anker製品は出力が足りないのでコンセントより時間がかかりますので注意)
PowerRayのスペックをライバルと比較
今回激安で購入できたPowerRayですが、ライバル機と比べてあまりにも劣っているのでは意味がありませんので、スペック比較を掲載しておきたいと思います
PowerRay エクスプローラー版 |
BW Space Pro | GLADIUS MINI | |
センサーサイズ | 1/2.3 CMOS | 1/1.7 CMOS:4Kモデル 1/1.8 CMOS:4Kズーム 1/2.8 CMOS:フルHD |
1/2.3 CMOS |
焦点距離(35mm換算) | 20mm | 20mm:4Kモデル 18mm-55mm:4Kズームモデル 35mm:フルHDモデル |
20mm |
解放F値 | f2.8 | f1.4:4kモデル f1.4 – f2.9:4Kズーム f2.0:フルHD |
f2.8 |
撮影形式 | MP4 4K/25fps MP4 フルHD/60fps JPG/1200万画素 |
MP4 4K/30fps:4K・4Kズームのみ MP4 フルHD/30fps JPG/1200万画素:4Kモデル2機種 JPG/213万画素 |
MP4 4K/30fps MP4 フルHD/120fps JPG・RAW(DNG)/1200万画素 |
ストレージ | 32GB | 64GB(全モデル共通) | 無し(microSDスロット) |
動作可能時間 | 最大4時間 | 最大5時間 | 平均1.5~2時間 |
バッテリー容量 | 6400mAh 4セル 94.72Wh |
9600mAh 3セル(多分) 106.56Wh |
5,000mAh 3セル(多分) 55.5Wh |
最大速度 | 秒速1.5m | 秒速1.5m | 秒速2m |
最大深度 | 30m | 100m | 100m |
スクリュー | 水平2/垂直1 | 水平2/垂直2 | 水平2/垂直3 |
ライト性能 | 900ルーメン (450ルーメン×2) |
2,760ルーメン (1,380ルーメン×2) |
2,400ルーメン (1,200ルーメン×2) |
サイズ | 465×270×120 mm | 430×330×130 mm | 385x226x138 mm |
重量 | 3.8Kg | 3.9Kg | 2.5Kg |
価格 | 59,800円 | 118,800円:フルHDモデル 162,000円:4Kモデル 237,600円:4Kズームモデル |
158,800円 |
かつて、過去記事でも一度比較してみました
こちらの記事でも書いた通り、性能だけでみればPowerRayはライバル機種と比べて最も劣っていると言えます。発売自体2年前ですし仕方ないんですけどね
しかし価格を含めて比較してみると、評価はガラリと変わります
BW Space Proの4Kモデルは最もカメラ性能が良いです。ほぼ同じ価格帯のGLADIUS MINIは機体性能とカメラ性能どちらも高レベルで人気なのも頷けますが、共に16万円程度の出費が必要となります
PowerRayは、それらよりも多少性能が劣ってしまうとはいえ、10万円も安いのです!
10万円分もの性能差があるのかというと全然そんなことは無く、価格差で考えればせいぜい3万円~5万円程度のスペック差だと思いますし、使えないレベルでダメかというと全然そんなことはありません
BW Space ProのフルHDモデルなら価格的に競合するとも言えますが(それでもお値段2倍)、本体性能はともかくカメラ性能はおもちゃとなっています。1/2.8インチセンサーで35mm画角で213万画素の静止画って、トイカメラレベルですので「撮影」という観点で見ると圧倒的にPowerRayが勝っています
ライトの暗さはやや気になりますが、こちらの記事で解説したように外付け改造する気力があれば5000円程度追加出資で2,900ルーメンの明るさを手に入れることも可能です
まとめと実写サンプル
私もこれまではGLADIUS MINIかBW Space Proを買う方向で考えていたのですが、この圧倒的なコスパの良さに惹かれて、かつてガッカリしたPowerRayをもう一度買い直す決心がつきました。実際に買い直した今、感じていることは
60,000円ていう値段から考えたら、神デザインの神性能!
という感想です(笑)
こちらは先日試し撮りをしてきたものになります。梅雨の合間の曇り空なうえ、水も濁って透明度も低くロケーションとしてはイマイチ……
しかも静止画ではなくフルHD映像からのキャプチャなのであまり良い映りではありませんが、この価格帯でこれだけ見えて使えるのであれば非常に満足度は高いです
実写サンプルは次回のレビューや映像作品なんかでも公開していく予定です。次回は使用感のレビューを中心にお届けしますので、良かったらそちらも読んでいただけると嬉しいです
それではまた~
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