複数回に分けてお届けしている、メモリ16GBを搭載したUMPCのOneMix 3Sのレビュー。前回のレビューはこちらです
第2弾となる今回は、実機によるベンチマークを測定し、実力を測っていってみたいと思います
ベンチマークの一部では他機種のスコアとも比較して、相対的な性能についても探っていってみたいと思います
それでは行ってみましょう
サイズ感比較
……の前に、まずは前回のレビューで書き忘れてしまったサイズ感について、他機種と比較してみたいと思います。このあたりの機種が性能的にもライバルになってくると言えますかね
比較したのはiPad miniとGPD WIN 2です
まずは縦幅を比較してみます。いちばん左がOneMix3Sですが、縦幅はiPad miniよりも少しだけ小さいことが分かります。iPad miniのアスペクト比は4:3ですので、その分の差が現われた感じと言えそうです
続いて横幅の比較です。横幅はiPad miniよりも長いことが分かります
GPD WIN 2は縦横ともに小さくてポータビリティ最高な感じですが、他2機種が8インチ級ディスプレイなのに対して6インチディスプレイとなっていますので、使用感は変わってきます
厚さの比較がこちらです。さすがにタブレットと2in1 PCを比較してはダメでしょうが、iPad miniに比べると分厚いです。手に持ったとき、iPadは「板」という感じですが、OneMix3Sは「塊」だと感じます
GPD WIN 2は上げ底にしてありますが、それを差し引いてもOneMix3Sの方が薄いですので、そのあたりは好評価です
こちらはおまけ
13.3インチのMacBook Proと、11インチのiPadも加えてみました。真ん中がOneMix3Sです。相対的に小さく感じるから不思議です
このサイズでありながら、いちばん左のMacBook Proと比較して2割減程度で済むぐらいの性能を持っているのだからPCの進歩に感心します。メモリは倍だし
OneMix3Sのベンチマーク
それでは実際にベンチマークを計測していきます。まずはライバル機種とも比較可能なクロスプラットフォームベンチから行っていきます
GeekBench4
CPUの性能を測定するGeekBench4の結果がこちらです
こうしてみると電源プランによる差は誤差程度しかないので、バッテリー駆動状態でも十分なパフォーマンスを発揮してくれることが分かりました
また、同じCPUを搭載したOneMix 2Sよりもスコアがわずかに良いのは、サイズ増大によって放熱に余裕が出来たのでしょうか? 何にせよ満足のいく結果です
ライバル機種のスコアはというと
- iPad mini(第5世代):シングル 4797 マルチ11323
- GPD WIN 2:シングル 3192 マルチ 5606
という結果となりました
こうしてみるとiPad miniの性能の高さは神がかったレベルです。TDP15WのCPUすら上回るスコアが出ているわけですので、iOSでも出来ることしかやらないならiPad miniを買う方が幸せになれるということですね
でも、Windowsでしかできない作業というものもあります
同一スペックのCPUでありながら一世代前であるGPD WIN 2と比較すると、OneMix3Sの方がスコアが良いのはさすがです。世代の差が出た感じですね(GPD WIN 2もACアダプタにつないだ高パフォーマンスで測定しました)
Ice Storm Unlimited
Ice Storm Unlimitedはオフスクリーン(描画無し)で実行されるベンチのため、Windows、Android、iOSというクロスプラットフォームでの同一の計測に対応した、GPU(グラフィック)のスコアを測定できるアプリです
GPUの描画能力と計算能力を個別に、あるいは合算したスコアを表示できるのですが、ここでは純粋な描画能力を知るためにGraphicsスコアに注目したいと思います
ちょっと見づらいですが、Graphicsスコアは74407となりました(ちなみにPhysicsは36015)。ではライバル機種はというと
- iPad mini(第5世代):Graphicsスコア 124204 Physicsスコア 27290
- GPD WIN 2:Graphicsスコア 72332 Physicsスコア 31901
という結果に。またしてもiPad miniの圧倒的なグラフィック性能を見せつけられる結果です……
OneMix 3Sの名誉のために言っておくと、Physics(計算)スコアはOneMix 3Sの方が4割程勝っていますが、こちらはCPU性能も大きく影響してきますので判断が難しいです
あまりCPUを酷使せず単純にグラフィック性能を必要とする作業をする場合(主に軽量ゲームですかね)は、GPD WIN 2の方が快適になるのではないかと思われます
ドラクエベンチ
ここからはGPD WIN 2との一騎打ちとなります
はじめに、軽量級ゲームの代表としてドラクエXベンチを実施してみます。なぜ今さらドラクエベンチなのかというと、私の手元にあるGPD WIN 2のベンチリザルトがドラクエとFFしか無いからです……
それ以外のベンチについては比較ができませんので、OneMix3S単体ベンチとして後程行っていきたいと思います
結果はこのようになりました。なお、GPD WIN 2との解像度の違いによる不公平がなくなるよう、一時的にOneMix3Sの解像度を変更してあります
ではGPD WIN 2のスコアがどのぐらいなのかというと
こちらがGPD WIN 2のスコアです
2割近くGPD WIN 2の方が勝っていますね。ディスプレイ解像度も合わせ、ゲーム設定条件も同一にしているのですが、やはりゲーム用にチューニングされているというのは伊達じゃないようです
では比較のためではなく、マシンのスペックを活かす&今どきの解像度ということでフルHDで測定したらどうなるのかと試した結果がこちらです
うーん……やはりCore mの性能では、軽量級ゲームであったとしてもフルHDでのプレーは少し厳しいものがありそうですね
ただし動作中のベンチも見てましたが、それほどカクツキは感じませんでした。このベンチの様子は動画も公開してますので参考にしてみて下さい
FF14ベンチ(蒼天のイシュガルド)
次に、DirectX 11世代のベンチということでFF14ベンチを実施します
これまた一世代前のベンチで恐縮ですが、GPD WIN 2と比較できるのはこれしかないのです…。ということで設定もGPD WIN 2に合わせて1280×720、高品質(ノートPC)、フルスクリーン、DirectX11で測定しています
UMPCにとってはやや重量級とも言えるゲームですが、その結果はというと
こんなスコアとなりました。うん、重いです。ベンチ中もカクカクでした。ライバルのGPD WIN 2はというとこちら
GPD WIN 2も快適とは言えませんが、それでも性能は2割ほど上回っています。ここでもやはりグラフィック性能の差が現われた感じとなりましたね
では、こちらのベンチでも”今どきの設定”ということでフルHDを試します。既にダメダメだろうという予想はついてると思いますが……
こちらについても動画がありますのでカクツキ具合を知りたい方は参考にしてみて下さい(笑)
うーん…。FF14のしかも蒼天のイシュガルドでこれですので、グラフィック性能にはあまり期待しない方が良さそうですね
ちなみにゲーム系のベンチをやっている時に気づいたのですが、スピーカーが思ったよりも悪くない感じでした。厚みのある音というわけじゃないんですが、素直な音が出ていてそこまでチープさは感じませんでしたよ
CINEBENCH R15&R20
ここからは比較対象のない、OneMix3Sの純粋なベンチとなります
まずはCPUとGPUの性能を測定するCINEBENCHです。特にCPUの測定の正確さには定評がありますので、そちらに注目して見ていってみたいと思います
このようなスコアとなりました。8100Yのスコアとしては平均的な値なのではないかと思います。シングルコアのスコアはこちら
シングルコア性能は平均よりもやや良い(?)結果となりました。放熱がしっかりしているのかな? ただ、少し負荷がかかるとけっこう気になるぐらいの音でファンが回り始めるのは評価が分かれるところかもしれません
CINEBENCHは最近新しいバージョンであるR20が登場しましたので、こちらでも測定してみます。と言っても私も試すのは初めてで、あまり良し悪しは分からないのですが
このようなスコアとなっていました
Fire Strike
続いてはかつての重量級ゲーミング向けベンチマークとして知られるFire Strikeです。既に重量級とは言えなくなっていますが、ネット上に情報が溢れていますので比較しやすいのではないかと思います
このような結果に。こちらはちょっと見づらいのでスコアを書いておくと
- 総合スコア:805
- Graphicsスコア:896
- Physicsスコア:4035
となっています。予想通りですが奮わないスコアですね。繰り返しになってしまいますが、グラフィック性能に期待してこの機種を買ってはいけませんね
PCMark 10
お次はPCのトータル性能を測定できるPCMark 10を実行します
こちらの結果となりました。見えづらいのでスコアを記載しておきます
- 総合:2840
- Essentials:6508
- Productivity:5097
- Digital Contents Creation:1876
念のため項目の意味を解説しておきますと
項目 | テストの内容と意味 |
Essentials | アプリの起動速度やブラウザの快適性、ビデオチャットの使用等で、PCの基本的な快適性を探る項目です |
Productivity | 特にOfficeソフトに焦点を当て、業務利用における快適性を探るための項目です |
Digital Contents Creation | 写真編集・動画編集といったクリエイションに影響する性能を検証する項目です |
Core mとしては中々のスコアが出ています。メモリが多いのが効いている印象ですね
一般的な利用・業務利用であれば、このあと検証するストレージの速度も相まって非常に快適に使っていけるのではないかと思います
ただ、GPUが弱くDCCのスコアが低くなっていますので、画像編集程度ならともかくとして動画編集に使っていくのは厳しいと言わざるを得ないですね
基準が無いと分からん! という方もいるかもしれませんので、メジャーメーカーの機種のスコアを参考として載せておきますね(参考値なのでスコアは凡そです)
【上位機種参考】Microsoft Surface Pro 6 Core i5(4コア)モデル
- 総合:3400
- Essentials:7000
- Productivity:5250
- Digital Contents Creation:2800
総合スコアがずいぶん違うように思うかもしれませんが、ボトルネックになっているのはGPUだけで他の性能はほとんど差がありません
クリエイティブなことをしない = GPUを使わないのであれば、第8世代4コアのCPUと比較しても引けを取らないスコアですので十分ではないでしょうか?
3DMark 11
Fire Strikeをやったのでこれはやらないつもりだったのですが、別PCで動画エンコの待ち時間が出来てしまったので暇つぶしに実施しました(笑)
結果はP1394となりました。全スコアのうち9%よりも良いスコアともあります。つまり、100台の競争として考えた時90位~91位あたりということになります
ゲーミングマシンやワークステーションで実行する人も多いですので、それほど悲観するスコアではないです
CrystalDiskMark
最後にSSDの速度を計測するCrystalDiskMarkを実行してみます
OneMix3SはPCIe接続のSSD、いわゆるNVMeですが、M.2タイプではなく基板に直付けされています。そのため換装は不可能ですので注意して下さい。まあ512GBあれば困ることもないと思いますが
結果はこのような感じに
最近は第4世代PCIeが登場し、Readで5,000MB/s出る時代になっていますが、Core m-8100YのPCIeは第3世代となっています。さらにレーン数も不明ですのでディスクの性能だけというわけではないのでしょうが、NVMeとしては決して速くない……むしろ、遅い方のストレージとなっていますね。特にWriteが遅いです
とはいえこのスペックのマシンでそこまで高速の読み出し速度を求められることは無いでしょうし、実際に使っていて遅さを感じる場面は今のところありません
あまり神経質になりすぎなくていいかと思います
あ、念のため補足。HDDとか普通のSSDと比べたら圧倒的に速いですので安心して下さい
まとめ
ということで今回はベンチマークを中心にレビューをお届けしました
今回バッテリーのテストはできていないので、それについては実施したらこの記事に追記したいと思います
次回はいよいよ実践的なレビューを行っていきたいと思います。画像編集や動画編集からになるか、それともお絵描きからになるかは分かりませんが、今回のベンチである程度性能の予想がついたのでどこまで耐えられるか……楽しみです
ちなみに、通常のライトユース(オフィスとかネット閲覧とか動画閲覧とかブックリーダーとか)をするには必要十分のスペックを持っていますので、そうした方はレビューなど待たず買ってしまった方が幸せになれると思いますよ
それではまた~。次のレビューはこちらです
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