8.4インチ2Kディスプレイを採用し、Intel Coreプロセッサ&メモリ16GBを搭載したUMPCであるOneMix3Sがついに手元に届きましたので、これから数回に分けてレビューを行っていきたいと思います
これまでにも当サイトで何度か記事を書いてきましたが、いよいよUMPCにも16GBメモリが搭載される時代になったのかと思うと感慨深いものがあります
レビュー1回目となる今回は、製品パッケージを含めた外観上のレビュー・使用に影響するキーボードやトラックポインタの使用感・各種インターフェースについてのファーストインプレッションを中心にお届けします
また、本機の最大の魅力である4,096段階筆圧対応のデジタイザ(Microsoft Penプロトコル)についてのインプレも掲載します
それではいってみましょう
パッケージ・製品概要
今回私はこちらのショップさんで購入しました
オフィシャルと書いてありますが、日本正規版を販売しているのはONE-NETBOOK Officialさんだけらしいので、少なくとも日本のオフィシャル販売会社ではないようでちょっと不安……
でしたが、結果としては非常に早く届けてくれてとても満足しています
商品はこのようなパッケージで届けられました
うーむ…THE☆中華な感じで非常に不安な包装です
開けてみるとこのように、最低限の緩衝材(?)に包まれていました。テープは何だか黄ばんでるゾ
不織布をぺりぺり剥がすと、中々高級感のある化粧箱が姿を現しました。かなり頑丈な箱で、叩くとカンカン音が鳴ります。これなら強度は安心できるかも
開封。日本オフィシャル商品ではないため日本語マニュアルがついてきません。しかしショップの方が気を利かせて日本語の注意書きを同封してくれていました
日本語はアヤシイ感じだけど、その心遣いは嬉しいし信頼できます
紙を取ったところ。本体の包装がなんか汚れてる……。そして箱の一部が潰れていました。こればかりは仕方ないですがちょっと悲しい
本体を避けてみました。付属品がすべて見えるようになります
こちらはACアダプタです。PDの表記があり、出力は15V2Aまたは20V1.5Aで、最大30Wとなっています
Type-Cケーブルの方は布巻きの中々高級そうなケーブルが付属しています
本体の下にある薄い箱にはマニュアルが入っていました。全ページ中国語でしたが、日本版を買う人は日本語マニュアルが付くそうです
フィルムを剥いて本体を見ていきます。やっぱり黒はカッコイイです。待っててよかった♪ 続いて裏を見てみると……
おおっ! ショップの言ってることは嘘じゃなかった!! ちゃんと技適マークが刻印されています。これで安心してネットワークにつなげていくことが可能となりました
インターフェース インプレッション
続いてOneMix3Sのインターフェースを見ていきましょう
左側面はmicro HDMIポートと3.5mmイヤホンコンボジャックが備わっています
動画でも話しましたが、HDMIポート――特に、変換を必要とするminiやmicroのポートがUSBポートの近くにあると、アダプタのサイズによっては干渉することがあるため、この配置はとてもナイスだと思います
欲を言えば背面にポートを設置して欲しかったですが、YOGAスタイルで360度ぐるりと回るOneMix 3Sはそれが難しいのでしょうね
右側面は手前からmicro SDカードスロット、USB Type-C 3.0ポート(電源兼用)、USB3.0 Type-Aポートとなっています
必要最低限とはいえ、ちゃんとタイプAポートも用意してくれているのはやっぱり助かりますね。その代わり注意点として、Type-Cポートは形状がType-Cなだけで中身はUSB3.0となっている点を知っておいた方が良いと思います
PDには対応しているので給電こそ問題ないものの、Thunderbolt3はおろか、USB3.1ですらありませんので、転送速度は最大5Gbpsとなっています
続いてキーボードを見ていこうと思ったら、何やらカバーが挟まっていました。このあたりの配慮はさすが10万円オーバーの機種だと思います
こちらがキーボードです。実測上のスペックは
キーストローク:1.1mm(誤差あり得ます)
キーピッチ:18.1mm(ほぼ誤差無いはず)
となりました。打鍵感はヘニャヘニャしていてあまり良くはないですが、このサイズであることを思えば仕方ないかと思います。UMPCと”快適なキーボード”は最も同居が難しい部分かと思います
それよりも気になったのは、キートップの質感です。シルキーと言うんでしょうか……なんかサラサラとしてるんですが、これがめっちゃ指紋付きます
本体自体マットブラックなので多少指紋は付きますが、その比ではありません。本気でキーボードカバーやキートップシールの導入を検討しています。うーむ
初期設定
この項目は解説不要なほど簡単でした。シングルランゲージ版(しかも中国語)に悩んでいた時代が懐かしいです
OSの初期言語こそ英語でしたが、Windowsのセットアップ直後の画面ですぐ日本語を選ぶことができます。全く問題無いと思います
ちなみに私はこの時キーボードもトラックポイントも効かないという中華ガジェットトラブルあるあるに巻き込まれましたが、タッチ操作で切り抜けました(笑)
キーボードとトラックポイントは、再起動・ドライバの状態の確認・物理的な対応(蓋の開閉でON/OFFしたり、YOGAモードと通常モードを切り替えたり)をしたら直りました
ディスプレイ インプレッション
ディスプレイについての所感ですが……可もなく、不可もなくといった感じというのが正直なところです
OneMix3Sは2Kディスプレイを搭載しているわけですが、それにしては普通だなぁという印象です
色の破綻などは無いですし輝度も十分だとは思うのですが、やはりMacやSurface、Galaxyなどと比べると何か違う感じがします。感覚的な話ですみません
色は割と素直に出ているのではないかと感じました。よくありがちな色温度を下げてぱっと見を良くするみたいなこともしていない印象です
IPS液晶ですので視野角は普通に広いです。それと、私の感覚ではガラス面と液晶が近いように思われ、ダイレクトボンディングなのではないかと感じました
ダイレクトボンディングは液晶とガラスの間の空気を無くすことで物理的な距離を近づけると同時に屈折もなくし、視差を起こしにくくする技術です
ただ、実際にペンで描いた時には視差を感じたのでやっぱ違うかもですが
それからOneMix3Sの液晶には1点注意しておくべきポイントがあります。それは、OneMix3Sに採用されている液晶パネルのリフレッシュレートが56Hzであるという点です
リフレッシュレートは1秒間に画面を何回描き換えるかという指標になります。近年の一般的なPCだと60Hz(1秒間に60回の再描画)なのですが、OneMix3Sはそれよりも低くなっています
また、近年の高性能デバイスによる高リフレッシュレートに目が慣れている方は、ブラウザのスクロール時など少しカクカク感じる……かもしれません
私は目が悪いので意識していなければ全く気になりませんが、人によっては注意が必要です
操作性 インプレッション
この点については今後、より詳しいレビューを掲載していきますので今回はざっくりとお伝えします
キーボードの操作性については先ほど書きましたので、まずは光学トラックポイントについて
光学式のトラックポイントは予想通り細かい作業は難しそうです。と言ってもデジタイザ搭載機ですのでペンを使ってもいいですし、Touch Mouse Pointerアプリを入れることで、操作性は大きく上がりそうです
トラックポイントがタップ操作に対応している点は好印象でした
続いて360度回転させてタブレット形状にできるYogaモードについてです
今どきこんなに分厚いタブレットも無いでしょうが、サイズ感といい重量といい、電車の中で使用することも可能なサイズだと感じます
let’s Note RZシリーズと同様、キーボードを背面に回すと自動的にキーボード操作がロックされます。クルリとするだけで誤入力を防いでくれますので使い勝手はいいです。画面の向きも自動で変わります
続いてディスプレイの開閉とファンの関係です
GPD WIN 2と同様、OneMix3Sも蓋を閉じるとファンも止まってしまう仕様となっていますので、熱には注意が必要となります
最後にペンについてです
OneMix3Sは、マイクロソフト・ペン・プロトコルに対応しています。そのためこの技術に対応したスタイラスであれば何でも使うことが可能となっています。というかこの技術自体が、乱立するデジタイザ界を統合しようとマイクロソフトが始めたものですので、そうでなくては困りますよね
今回は現行モデルのSurface Penを使用しました
4096段階筆圧の効果のほどは不明ですが、現行モデルのSurface Penが持つ傾き検知機能は、OneMix3Sで試した際にしっかり効いていました(Windows Inkで検証。その他の検証はもう少しお待ち下さい)
肝心の描き心地・使用感なのですが、正直なところ微妙です……
と言ってもこれは、デフォルトで貼り付けてあった液晶保護フィルムの軋みがひどく、引っ掛かってしまってペンが滑らなかったせいかなとも思っています
ペーパーライクフィルムを買ってありますので、貼り変えた後、お絵描きレビューとして改めて検証してみたいと思っています
初期状態について
続いてOneMix3Sの初期状態について見ていきたいと思います
まずはシステム情報
このような感じになっています。メモリ16GB、分かっていても嬉しいですね。マルチタッチは激安ガジェットにありがちな5点タッチではなく、10点マルチタッチ対応です
Windowsのライセンス認証もきちんと通っていますね。初期状態のWindowsのビルドナンバーは1803です
ストレージ容量はこちらです。初期状態で348GBの空きがありました
「あれ? 少なくない?」と思われるかもしれませんが、デフォルト状態でパーティションが切られており、データ用としてDドライブが作成されていてこちらに100GBの容量が割り当てられています
空き容量は合計で448GBとなります
プリインストールアプリはこんな感じで、怪しいソフトは一切なし。このあたりは中華製品のいいところ。国産機のデフォルトアプリの多さは本当に酷いですものね
続いて画面について
デフォルトのディスプレイ設定はこれで、なんと250%スケーリングとなっています。最近のiPhoneのRetinaが3倍拡大ですので、それに寄せてきたのかもしれませんがWindows機でこのスケーリングは狭すぎます。スマホじゃないんだから……
しかし100%に拡大するとこんな感じで厳しい…。特に老眼の方にはツライかと思われますね
スケーリング・解像度の両者を色々といじくってみたのですが、解像度は2560×1600のままでスケーリングを125%(フルHD+)にするのが私の場合には使いやすそうでした
人によって様々だと思いますので、ご自身に合わせて設定されると良いと思います
キーボードが効かなくなる不具合(?)について
初期設定のところでも書きましたが、キーボードが効かなくなる不具合が発生。しかもそれが再現性がありましたので報告しておきます
私の環境だけかもしれませんが、電源投入直後やスリープからの復帰直後にこの現象が発生することを確認しました
どうも、Yogaモードにした際にキーボードが無効になるというプロセスが悪さをしているようです。解決策は2つあって
- タッチ操作にてサインインする(パスワードはソフトウェアキーボードで)
- サインイン画面でYogaモードにして再び元に戻す
のどちらかの対応をすると直ります。ごくまれにディスプレイの開閉だけで直ることもあります
ソフトウェア上の問題なのか、それとも加速度センサーが悪さをしているのかの判断はつきません。ショップは30日間は初期不良として交換に応じてくれるらしいので、固有の問題であるなら交換をお願いしようかとも思っています
まとめ
ということで今回はOneMix3Sのファーストインプレッションをお届けしました。ちなみに今回の解説記事のほとんどは動画でもレビューしていますのでよかったらご覧ください
全体的に想像通りの機体が届いたわけですが、何だかワクワク感がそこまで湧いてこないというのが率直な感想です。なぜなのか、自分でも分かりません
はっきり悪いところがあるわけでもないのですが、無条件に驚くような素晴らしさがあるわけでもないから…かもしれません。『上手くまとまった機種』ということなのだと思うんですけどね
と言ってもまだ開けてチョコチョコいじっただけですので、ベンチマークや実生活での使用をしていく中で評価もまた変わってくる可能性も高いです
ひとまずは色んな用途でどれだけ使っていけそうなのかをテストして、新たなレビュー記事としてお届けできればと思っています
それではまた~
次のレビューはこちらです
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