前回のベンチマーク編に続いて、今度はOneGx1 Proの全体的なレビューをお届けします
ハードウェア的な面での感想、及び、実際に色々といじって使用してみた感想などが中心です。先に結論を書いておきますと、良いところもありますが自分の中では思っていたよりも使いにくいなというのが正直なところです
私はOne-Netbook製品はあまり好きではなく、はじめからあまり期待していなかったのですが、さらにそれを下回ったという意味ですのでちょっと注意した方がいいかもしれません
購入を考えている方は、自分が重視する点をハッキリさせておいたほうがいいと思います
開封~ファーストインプレッション
まずは内容物をチェックしていきます
今回届いたものがこちら。私が購入したのは4G LTEモデルで、キャンペーンにて無料でもらえたコントローラーとケース、さらに別途購入した純正ペンが入っていました。付属品については後述します
本体外箱です。質感はまずまず
パカッと開けると、日本版だからなのか日本語の注意マニュアルが入ってました
その下に本体。GPD WIN Maxよりかなり小さく感じます。これは良い所です
本体の下にはいつも通りマニュアル類と充電器が入っています。相変わらず箱はつぶれてました。うーんこの
こちらが充電器なのですが、結構デカいわりに45Wまでの出力しかありませんので注意して下さい。OneGx1 Proは最大60W PDに対応してるのに付属充電器がそれ以下とかどういうことなの……
ちなみに隣に写ってる白いのはAnkerの30W充電器です。どうせ60W充電できないなら、持ち運びはこういう小型のGaN充電器の方がいいかと思うのでひとつ持っておくといいかもしれませんよ
付属のケーブルは布繊維織り込みタイプでした。嵩張るけど耐久性は安心できそう
クイックスタートマニュアルと保証書も日本のものでした。逆にオリジナルの保証書等は入ってなかったので同梱物もグローバル版とは違うようですね
本体天面です。発売前には「指紋が付きにくい」とアピールされていて、先行レビューからは「て言ってたけど指紋付くじゃん!」と言われていた本機ですが、実際のところ、OneMix 3とかよりは指紋が付きにくくなってると感じました
とはいえそれでも結構付くんですけどね(笑) 以前が酷かったのでそれよりは改善されています
裏面です。技適の印字はありますが、中国語のラベルがちょっと…かなり嫌です。気にならない人は全然いいんでしょうけどね
背面です。Type-Cが2つあって印字が異なっていますがどっちも同じです。USB4.0で、どちらでも充電できるしサンボル接続も可能です。他、USB3 Type-Aが1つとイヤホンジャックがあります
海外ではこの背面ハニカム構造の排気口をカットすることで排熱性を高めている方がいらっしゃいます。つまり、この構造はあまりうまく排熱できないってことです。後述してますが、この機種ファンの音がかなり大きいのはこのせいもあるかも
左側面です。ほとんど詐欺同然だったSDカード問題ですが、発表時にあった「TF」という表記(TFはSDカードのことです)は製品版ではシレっと無くなっていました
右側面にはmicroHDMI端子のみがあります
日本語キーボードです。非アイソレーションという点は最高で、まだ誤爆も多く慣れが必要ですが個人的にはGPD WIN Maxよりも満足度は高いです。ただDELキーの位置はいただけないです
あとキートップ及び周辺フレームは、天板よりも指紋が激しく付きます
ディスプレイです
ベゼルはまぁまぁ細いので満足。倍率はデフォルトでは200%になってますが大きすぎるので変更推奨。ただ100%だと老眼オッサンな私にはキツイので150%に落ち着きました。つまり1280×800相当ということで、GPD WIN Maxと同じですね
付属品・オプションについて
キャンペーン以外では有料別売りなので、付属品というかオプションですね
まずコントローラーです。こんなケースが付属します
こちらが中身
手触りはシルキーでボタンの感触も悪くないですが、十字キーが分離してるのはちょっといただけません。この辺はやっぱGPDの方が遥かに良いですね
このコントローラーは評価がイマイチで海外の方は既にNintendo SwitchのJoycon互換品を使う方向にシフトしているようです。私的にはもうしばらく使ってみてもいいかなという気がしています
裏面には技適番号が印字されてます。これは日本版だけかな? 底面のフタを開けると充電口がありますので、Type-Cケーブルにてここから充電します
使う時もわざわざ自分で電源を入れなければいけません。この辺やっぱりイマイチですね
続いてペン(デジタイザ)です。6A電池を入れて動作するタイプですね。筆圧は2048段階です
まず、私てっきり黒色だと思い込んでいたのですがシルバーが届いたのはちょっとガッカリでした。全然本体に合ってません。大体、何だこの赤ラインは……
後で使用感のところでも書きますが、このペンは使いみちを見出すのも難しかったので特段買わなくてもいいのではないかというのが私の感想です
続いてケースです。「おまけ」とか書いてあって失笑してしまいました
まず言いたいのは
公式サイトに載ってる画像と違うじゃん!
ってことです。公式サイトは茶色の部分も黒になっていたのに届いたのはこれ。この茶色が使われてるケースはOneGx1が出た時にプレゼントされてたケースなんですよね
どう見ても使いまわしです。本当にありがとうございました
全く使う気になれませんでしたので、開封すらせずそのまま倉庫行きになりました。代わりに、元々持っていた8インチタブ用のケースを使うことにしましたがなかなかいい感じです
最後に保護フィルムについてです
上記画像は私が貼り付けたハーフグレアフィルムなのですが、ちょっと注意というか、よく分からない点があります
分かりづらいかもしれませんが、どうもこの機種、デフォルトの状態で既に保護フィルムが貼ってあるようなのです。これがスクリーン破損防止用のフィルムなのか、それともメーカー・代理店がサービスで貼ってくれたものなのか不明だったので剥がすことができませんでした
結局私はこのフィルムの上から先のハーフグレアフィルムを貼りました
この状態でもわりと発色は良いですしタッチ操作もペン操作も問題ないのですが、保護フィルムの使用を考えている方は予めどうするか決めておいた方がいいかもしれません
全般的な使用感
では本題(?)となる、実際の使用感あれこれについてです
ディスプレイのサイズ感について
まず、7インチで1920×1200ピクセルという解像度がどうなのか? という点についてなのですが、これは予想通り小さいです
と言ってもディスプレイ設定で倍率を150%にしておけば通常使用はもちろんのこと、近年のほとんどのソフトで倍率に従って拡大されますので見づらさは調節できます
逆に、時々ですがHD解像度では足りない場面が出てきますので、そうした際だけ倍率を100%に戻すことで柔軟に対応可能となりますので、ディスプレイについては評価が高いです
ネットブラウジング、動画鑑賞、SNS等のライトユーザーの方はこの点それほど心配しなくて大丈夫だと思いますよ
ライトユーザーがこの機種買うのか!?
キーボード(テキスト入力のしやすさ)について
続いてテキスト入力についてです。wordでの文章入力、ブログ更新、そしてリモートデスクトップでのキー操作を試してみました
結論としては「慣れは必要だけど打ちやすい」です
配列が特殊でキーピッチも狭いですがこれはUMPCの宿命です。文章入力ではミスタッチもまだ多い(特にPキー)ですが、いつもの日本語配列なので『括弧』とか間違えることはないですし、ブログ更新で多用する『ダブルクォーテーション』なんかも打ちやすいので助かります
半角/全角キーも良い感じですね
リモートデスクトップ時も母艦側と配列が同じなのでかなり使いやすくなりました
欠点を挙げるとするならDELキーがBSキーの直上に無いのでミスしやすいっていう点と、トラックポインタを切っておかないとタイピング時に誤作動しまくって使い物にならないってことぐらいでしょうか
トラックポインタは「Fnキー」+「~キー」でオフにできます
ペン(イラスト描画含む)について
これは買って失敗でした
今までのOneMixシリーズと違ってディスプレイが背面にぐるっと回るYogaスタイルにならないため、使いにくいなんてもんじゃありません
画面がここまでしか開きません。当然ペンで押せば本体は奥へ倒れます。ですので利き手と反対側で画面を押さえながら描くしかありません
筆圧の効きもイマイチだと思いました。ただこれは先に説明したように、デフォルト(?)の保護フィルムが影響している可能性もありますので何とも言えません
遅延はなく描き心地自体は悪くないです。マシン自体の性能の高さのおかげと思いますが、だからこそ惜しいです。あ、視差はけっこうあります
ポインティングディバイスとしても使いにくく、正直なところ活用する場面が全く思いつきません。このまま倉庫行きになりそうです
4G LTE通信について
これはオプションで選択している方だけになってしまいますが、4Gの通信も試してみました
2スロットあるわけですが、SDカードは使えません。DSDSにも対応してません。単なる使いまわしです。このメーカーはほんと、こういうとこなんだよなぁ……
ただ、このおかげで海外ではSDカードを使えるようにしたという猛者もいるらしいですが……
SIMカードを入れる場所・向きはこうです。試しにSDカードも入れてみましたが当然認識しませんでした(笑)
ちなみに使っているのはdocomoのギガ放題(4G)SIMです
では早速スピードテストを
うーん……? このSIMの性能や時間帯から考えると遅い気がします。このSIMはいつもiPadに入れて使ってるのですが、iPadに戻してほぼ同時刻に測定してみると
Oh… 全然速度が違うじゃないですか。OneGx1 Proでモバイル通信すると遅いですよ(ToT)
まだ分解できていないのでハッキリとは分かりませんが、恐ら使われているLTEモジュールがあまり良くないモデムなんでしょうね。キャリアアグリゲーションの有無の差なのかなと思いました
あと、OneGx1 Proはdocomoバンドは1、3、19とカバーしていますが21、28は非対応ですのでそのあたりも関係あるのかな?
いずれにしてもこれだったらテザリングで使う方がマシです。4GモジュールはそのうちSSDと交換して外してしまおうかと思います
HDMIから音が出ない問題について
これはまだハッキリと究明できていないのですが
バグ(?)なのか意図的にオミットされているのか不明ですが、何とOneGx1 ProのHDMI接続では音が出なくなっています!
Discordでこの書きこみがあって
そんなまさか。どうせこの人のケーブルかディスプレイの問題でしょ。おま環おつw
とか思ってたら、私の環境でも音が出ませんでした。まさに『人を呪わば穴二つ』ってやつです
これはかなり致命的な問題だと思うのですがOne-Netbookさん、どうなんですかね!?
とはいえまだ断言はできません。OneGx1 ProのHDMIポートはマイクロ仕様となっているため、私は接続する際に変換アダプタをかませているからです
ケーブルとディスプレイは2種類ずつ試してどっちもダメでしたが、もしかしたらこの変換アダプタの相性という可能性も1%ぐらいはあります。なので別の変換アダプタ(もしくはmicroコネクタを備えたケーブル)を試してみて、それでもダメだったらまた追記しようと思います
ちなみにDiscordにも解決策は書かれておらず、Type-C接続のHDMIアダプタを買った方がいいよというのが唯一の解決策となっているようです
それにしても酷いです……
処理能力と騒音・発熱について
細かなスペックは前回のベンチマーク編を見ていただくとして、ここでは体感上の処理速度と騒音について書いてみます
まず処理能力についてですがこれは特に不満はありません。cTDPが高く設定されていることもあって、UプロセッサのノートPCを使っているのと同等以上にサクサク動きます
ただ、重い処理を開始した瞬間に少し動きが引っ掛かるというか、ごくわずかフリーズしたようにカクつくことがあるのはちょっとモヤります。まだ買ったばかりなのでバックグラウンドでWindowsのセットアップが動いていたりするのでそのせいかもしれません。参考程度に
発熱については季節もあってか今のところ全く気になっていません
それに対して気になるのが騒音問題です
GPD WIN Maxの時も音について不満を書きましたが、OneGx1 Proのファン音はそれ以上に煩いと感じます。たぶんCPUに無理させすぎてしまってるのではないかと感じます。そりゃ、元々9WのCPUですもんね
スリープから立ち上げた時、ヘビー級の処理をさせた時はもちろんのこと、アイドル時にも突然「ブォォォォッ!」と鳴り始めることがあってビックリです
今、OneGx1 Proを置いた部屋の隣の部屋にて音楽を流しながらブログを書いているのですが、誇張ではなくマジでファンの音が聞こえてきます(笑)
そんなファンですので、電車での使用はやめたほうがいいと思います。ソーシャルディスタンスの今だったら大丈夫なのかな? 一応「Fnキー」+「2キー」でファンを静音モードにすることも可能ですが……
目的別に感じた使用感
続いては具体的な作業で感じた使用感についてです。いつもならイラスト制作もここに入ってくるのですが、先に書いた通り使い物にならないので今回は試していません
※この章については今後も順次追加していく予定です
ゲーム(STEAM)での使用感
この機種は何といってもゲーム目的で購入を考える方が多いですよね
私はあまりゲームはやらないのですが、モンハンだけはちょこっとやりますので今試してみました
まずコントローラーについてなのですが、これにはちょっと不満があります
ご存知の方も多いでしょうが、OneGx1のコントローラーは穴にボコッとはめたあと奥にカチッと押し込んでロックするという機構です。そのためコントローラーだけを持つと、接続部に本体の重さが全てかかるようになっていて、爪が折れそうで不安になります。接続部の爪はただのプラスチックですので……
本体底面まで指先を回し込んで重さを支えてやらないとたわみますので、それがプレイしにくさにつながるかもしれません
ゲームについては、解像度を1280×800まで落とし、グラフィックを低設定にしておけばほとんどずっと60FPS付近でプレイすることが出来ました。7インチなので解像度を落としても粗くは見えませんので満足です
ゲーム(エミュレーター)での使用感
諸般の事情により画像は載せられず詳細も書けませんが(笑)
計量エミュが動くのは当然として、CitraやRPCS3でもゲームを起動して60FPS付近で遊べました。ただしゲームのシチュエーションやゲーム種類によっては全てがサクサクというわけではないと思いますので、場合によっては設定をつめる努力も必要かと思います
あと、先ほど書いたコントローラーの強度が不安という問題があります。私は今回シミュレーションで試したのであまり気になりませんでしたが、アクションゲーや音ゲーだとちょっと気になるかもしれません
エミュについては近日中にもう少し追記したいと思います
ドローンフライトシミュレーターでの使用感
仕事でも使用するドローンフライトシミュレーターも試してみました
まずDJI Flight Simulatorですが、これは全然ダメですね。起動はしますが操縦を始めるとFPSがひとけた台に下がってしまうことも多く、全く練習になりません。設定は全て最低設定にしているのですがそれでも無理でした
続いてレーシングドローンのシミュレーターであるVelociDroneです
こちらはFPSは申し分ないのですが、レーサー機の細かなスティック操作はやはりゲームパッドでは厳しく私は無理でした。練習になりません
ただ、プロポを接続すればサクサク動くわけですのでそういう意味では使いみちもありそうです
動画編集での使用感
動画編集でも試してみました
今回はAdobe系ソフトをインストールするのが間に合わなかったので、Davinci Resolveにて4K動画の編集をしてみました
編集中のプレビューはかなり快適に見ることができて、簡単な編集ならこれでいけるかなと感じました。これ系のソフトでは1920×1200という解像度が活きてきます(老眼にはツラいですが)
クリップを多少切り貼りしてトランジションをかけ、52秒の4K映像を作成。これをレンダリングしてみたところ、3分半ほどで書き出すことが出来ました。FXを使わずシンプルなトランジションだけでこれですので、書き出しまでこのマシンでやろうとするのはあまりおススメできないですかね
例えば出先でクライアントさんにササっと編集して見せ、演出のイメージを説明するぐらいには使えそうだと思いました
Officeの使用感
wordの使用感は先に書いた通りですが、ExcelやPower Pointも使ってみました
Excelについては、解像度の高さを活かしてシートの視認性を高めようとすると、今度は老眼が邪魔して視認性が下がってしまうというジレンマがあり、GPD WIN Maxと比べてあまり優位性を感じませんでした
Power Pointはスライドの作成ではなくプレゼンでの使用感ということになりますが、これは処理能力の高さもありかなり使いやすかったです。高速ページ飛ばしとかよくやってしまうのですが、固まることなく動いてくれました
まとめ
取り急ぎでまとめたところもあるので何だか不十分な記事となってしまってゴメンナサイ
OneGx1 Proは早くも2月6日に一般販売開始されるそうですので、その前にザックリとでもお伝えできればとまとめさせていただきました
もっと性能的なことが知りたい! という場合にはベンチマーク記事もありますのでこちらもよろしくお願いします
この記事で書いてきた通り、正直不満は結構あります。ありますが、UMPCに全てを求めることが間違っているとも言えますので、自分が重視するポイントを絞って、その点が希望を叶えてくれそうだと思えたのなら買っても後悔はないかと思います
私にとっては『小型』であることと『日本語キーボード』であること、『非アイソレーション』であること、『ディスプレイ解像度が理想的なこと』というのが決め手です。ゲームをやらないというのも大きいのだと思います
インターフェースI/OはGPD WIN Maxの方が優れていますし使いやすいです。それに細かいところまで気を利かせて作ってくれていると感じますので悩ましいのですが……今後はGPD WIN Maxではなくこちらの機種を使っていくつもりです
さよならMax、今までありがとう(ToT)
GPD WIN 3が5月に届きますので、そうしたらまたこの機種と比較してみたいと思っています
それではまた~
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