はじめましての方も、いつもありがとうの方も、こんにちは
りんごロイド( @appleroidcom)です
リピーターの方はご存知かと思いますが、ドローンインストラクターが私のメインの仕事です
ドローンもだいぶ認知されてきたとはいえ、まだまだ一般の方にはよく分からない世界だったりするわけですが、私がよく質問されたり、授業で教える際に生徒さんの関心が高いのが
ドローンを飛ばすうえで守らなければいけない法律
これですね
調べても硬い感じの解説ばかりが目につきましたので、日ごろの講義の経験を活かして
できるだけシンプルに! だけどドローンを使う上で必要な内容は全て網羅している
という解説記事を書いてみようと思いました
「シンプルだけど網羅」、というのは矛盾していますので、まずはポイントをシンプルにお教えして、その後に詳細解説をするという形にしてみました
時間が無い方はポイントだけ押さえて
しっかり学びたい方はその後の補足も読んでみて下さいね
ここでお話しする内容は、現在ドローンスクールでレクチャーされている内容とほぼ同じです
私が内実を知っているのはJUIDA、DJI CAMP、DPAだけですが、そのどれでも同じ内容で解説しています
考えてみればこれは当たり前。だって「法律」なんですから
スクールによってコロコロ内容が違っていたらおかしな話です(笑)
というわけで、別に著作権とかがある話ではありませんので(テキストそのまま載せるとかは問題だけど)ばっちり解説することが可能な内容となっています
むしろドローンの普及のためにも、「スクールに通えない人・通いたくない人」に対しても等しく正しいレクチャーを行っていくべきことであり、ドローン管理団体やドローンスクールが利益のために独占していい内容ではない
と、私は思っています
自分で自分の食い扶持を減らしていくスタイル! ですね(笑)
なるべく分かりやすく解説していくつもりですが、それでも
お前は何を言ってるんだ?
と感じることがあるかもしれません
そんな時は遠慮なくご質問・ダメ出しいただければ補足していきますので、お付き合いいただければ嬉しいです
ドローンに関連する法律一覧と概要
手っ取り早く概要を知りたいという方のために、まずはドローンを飛行させるうえで覚えるべき、あるいは、気にするべき法律をサクッとご紹介したいと思います
- 航空法
- ドローン禁止法(無人航空機等飛行禁止法)
- 地方自治体条例
- 道交法(道路交通法)
- 民法
- 個人情報保護法
- 軽犯罪法
- 電波法
- 外為法(外国為替及び外国貿易法)
- 産廃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
- 刑法
以上です(!)
え~、こんなにあるのかよ! と思うかもしれませんが、法の解釈によってはもっと増える可能性もあります
通常想定されるフライトで気を付けるべきなのが、これら11個の法律・ルールかなぁ…と思い挙げさせていただきました
まず、上段のふたつ「航空法」と「無人航空機等飛行禁止法」は、ドローンに対して直接的にルールを定めていますので、絶対に覚える必要があります
ドローン使用における、様々な禁止事項などを規定しています
その下の「地方自治体条例」についてですが、これは自治体によってルールがあったり無かったりすするものの、やはり直接的に「ドローンの飛行を禁ずる」と定められているルールになります
「道路交通法」以下の項目については直接的に『ドローンは~』みたいな条文はありません
でも、ドローンを使っていくうえで間接的に関わってくる可能性の高い法律になっていますので、ドローン運用における関連法規とみなされることが多いです
これらについて、ひとつひとつ解説していきますね
もちろん法律を全部覚える必要はありません
ドローンに関連する部分だけをピックアップして解説していきますのでご安心を
航空法
ドローンを飛ばすうえで避けては通れない、大切な法律のひとつがこの航空法です
航空法は、関連する省令や審査要領など細かく分けることができますが、ここではグダグダと細かい説明しません
これだけ知っておけば法律違反にならないよ、という部分だけをポイントとして解説します
ここでは最低限のこととして以下のことだけ学びましょう
- ドローン(無人航空機)の定義
- 飛行禁止空域
- 飛行の方法
- 飛行申請について
- 2019年に追加される内容
すぐに暗記できると思いますよ
グダグダが知りたい方はポイント(オレンジ枠)の後に続く説明を読んでみて下さい
ドローン(無人航空機)の定義
日本におけるドローン(無人航空機)は以下のように定義されています
固定翼機・回転翼機・滑空機・飛行船であって、構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により操縦が行えるもの(200グラム未満の重量(本体とバッテリーの合計重量)のものを除く)
※航空法より抜粋
要約すると
200グラム以上の空を飛ぶもので、操縦できる航空機がドローン(無人航空機)だよ
となります
ポイントは以下の3点
- この定義に当てはまる機体は、このあと解説するルールを守らなければいけない
- プロペラガードは重量に含まなくてOK
- マルチコプターだけじゃなくて、飛行機もヘリもグライダーも対象
これだけ覚えておけば大丈夫です
以下は補足なので、しっかり学びたいという方だけ読んでもらえればOK
200グラム以上の機体はドローン=無人航空機扱いとなり、このあと解説する飛行禁止空域や飛行の方法を守らなければいけません
しかし200グラム未満の機体であれば、これらの制限に縛られずにフライトさせることが可能となるのです
例えばこちらの機体
ドローンの代名詞とも言えるPhantom4 Proですが、こちらは当然無人航空機の定義に該当します
ところがこちらの機体
DJIが販売代理を行っているRYZETECHのtelloは、航空法の200グラム以上という定義に当てはまりませんので、ドローンではないのです
ドローンじゃないなら何なの?
というと、法律上は「模型飛行機」という扱いになります
Phantomとtelloは、どちらも同じようにバッテリーもモーターもカメラもついているのに、telloの方だけが「模型」というのは何だか変な感じがしますが、法律上はそのように区分されているんですね~
その分かれ目が機体重量なのです
続いて、あまり無いケースですが機体重量はギリギリ200グラム未満なんだけど、プロペラガードをつけちゃうと200グラムを超えてしまう! という場合
例えばこちらの機種
航空法ギリギリの199グラムを狙って作られたということで話題になったDobbyという機種ですが、プロペラガードをつけてしまうと200グラムを超えてしまうということで物議を醸したことがあります
この点について、現在では航空局の見解が出ており、プロペラガードは重量に含まなくて良いということになっています
Dobbyに限らず、どの機種でも同様ですよ
200グラム超えたくないからあえてプロペラガードをつけない! なんていう運用をされてしまうほうが結果として危険が増しますので、このあたりの判断は妥当だと思います
最後のヘリや飛行機については補足するまでもないでしょうが、複数枚の羽のついたマルチコプターだけではなく、飛行機もヘリもグライダーも飛行船も全部、法律上ではドローンになります
というか、そもそも法律にはドローンという言葉は出てきません
全て「無人航空機」で統一されています
ドローン=無人航空機である! と、しっかり覚えておいて下さいね
飛行禁止空域
航空法では無人航空機の飛行を禁止する空域(場所)を、3か所設定しています
こちらの図を見たことがある方も多いのではないでしょうか?
これらの場所での飛行は禁止となりますので覚えておきましょう
- 空港周辺
- 地表高度150メートル以上の上空
- 人工集中地区(DID)
ここで覚えておきたいポイントは以下の3点
- 空港周辺とDIDの場所は国交省の地理院地図など、地図サービスでしっかり確認
- 150メートル以上とは、ドローンが飛んでいる地点の地表からの高度
- DIDの場合は、自分の土地でも飛ばしてはダメ
- これらの場所を飛行させるには、申請して飛行許可を得る必要がある
これだけ押さえておけばとりあえず大丈夫です
以下それぞれについての詳細解説となります
まず「空港周辺」についてなのですが、ここでいう空港とは成田空港とか関西国際空港というような一般的な空港だけを指すわけではありません
法律における空港というのは、国土交通大臣が認可している飛行場・離発着場のことを言います
民間飛行場やヘリポートであっても、大臣が認可をしていたらそこは空港です
公共施設の屋上のヘリポートなど、一見しただけでは分からないようなところに思わぬ空港が潜んでいたりもしますので、地図サービスの使用は絶対に必要です
ついでに「空港”周辺”」って、何? ということも補足しておきます
空港というものは航空機の離発着がありますよね?
特に固定翼機は斜めに離発着を行いますので、空港の直上をドローンの飛行禁止エリアにするだけではリスクが残ってしまうことになります
ですので空港においては、敷地内だけではなくその周囲のエリアについても、安全マージンとして飛行禁止エリアが設けられているのです
このエリアは制限表面と呼ばれ、決められた式に基づいて算出されています
もちろん自分で計算する必要なんてありません。地図サービスで確認すればOKです
次は150メートル以上の上空についてです
これは海抜でも、離陸地点からの高度でもなく、ドローンが飛んでいる場所の地面からの高度になりますので注意が必要なケースがあります
よくあるのはこんなケース
・ビルの屋上から飛ばす
・山の頂上から飛ばす
・谷を渡る
これらのケースでは、たとえ自分ではドローンの高度を変えていなかったとしても、結果的に150メートル以上の高度になってしまう場合がありますので注意して下さい
最後は「人口集中地区」について。「DID」という呼ばれ方をされることも多いです
人口集中地区は国勢調査の結果によって算出された人口密度の高い地域のことを言います
このエリアに該当してしまう場合、例え自分が所有・管理する土地であってもドローンを飛行させることは禁止となりますので注意して下さい
DIDの調べ方は先ほどの空港周辺同様、地図サービスを使うのが最も便利だと思います
地図サービスはいくつかありますが、おすすめは無料で使えて国交省管轄で信頼度も高い国土地理院地図です
↑こちらのリンクには、国交省のページと同じようにDIDと空港周辺をオーバーレイして表示できるよう設定しておきました。ご利用ください
これらのルールは絶対に禁止なわけではなく、飛行申請を行い許可をもらうことで飛行可能となります
また、これらのルールが適用されるのは全て屋外においての場合であり、屋内飛行の際は不問となりますので自由に飛ばすことが可能です
飛行の方法
先ほどは禁止している空域(場所)でしたが、今度は飛行の方法についてです
「この方法で飛ばしなさい」、あるいは、「この方法で飛ばしてはダメです」、ということが6個決められています
- 日中での飛行をさせなさい(夜間飛行の禁止)
- 目視の範囲内で飛行させなさい(目視外飛行の禁止)
- 第三者や第三者の財産から30メートル以上の距離を空けて飛行させなさい
- 催し物上空では飛行させてはいけません
- ドローンに危険物を搭載してはいけません
- ドローンから何かモノを落としたり切り離してはいけません(物件投下の禁止)
いっぱいあって嫌になってしまいますね(笑)
ということで、最低限押さえておくべきポイントも多めになっています
- 日中とは日の出から日没までの時間のことを指す
- 目視の範囲内は機体が見えていて、且つ、機体の向きが判別できる状態のこと
- 自分自身や自分の財産に関しては30メートル離さなくてもOK
- 催し物とは不特定多数の人が同一の目的で集まってきた場合を指し、自然集合はOK
- 危険物には農薬も含まれる
- 紙吹雪や、農薬などの液体といった軽いものであっても、物件投下は禁止
- これらの方法で飛行させるには、申請を行って飛行承認を得る必要がある
なかなか厳しい項目が多いですが、最低限これらを守れていれば航空法に抵触しない方法でドローンを飛行させることが可能となります
まず「目視の範囲内での飛行」についてなのですが、これは様々なケースが考えられます
よくあるのはドローンを遠距離まで飛ばす場合でしょうか
例えばPhantom4程度の大きさのドローンの場合だと、100メートル以上離れてしまうと機体は豆粒以下程度にしか見えず、機体の前後左右を判別できません(マサイ族並に視力の良い方は見えるかも)
この状況は目視外飛行にあたりますので禁止です
最近はDJIなんかだと「最高5km先まで飛ばせます」とか言っていますが、航空法においてはせいぜい100メートル程度しか飛ばせないということになるんですね
さらに、ドローンが障害物のカゲに隠れてしまうようなケース
これもドローンが目視できていませんので禁止です
目の前の建物の裏側に回りこませる――なんていう、よくありそうな飛行内容も実は、目視外飛行にあたりますので禁止だったのですね
さらにさらに、フライト中にドローンではなく、ドローンのカメラの映像を見ながら飛行させる行為も目視外飛行にあたります(こういう飛ばし方をFPV飛行といいます)
フライト中はタブレットの画面を凝視せず、機体の方をしっかりと見ていないとダメですので注意して下さい
30メートル以上の距離の確保についてはかなり厳しいルールとなっています
自分自身であれば問題ないのですが、第三者自身や第三者が管理・所有する家・車などの財産から30メートル以上の距離を確保してドローンを飛ばさないといけないというのがこのルールです
周囲30メートルの範囲に、自分のもの以外何もない・誰もいない空間なんてあるのでしょうか?
この条件を満たしてドローンを飛ばせる場所は日本にはほぼ無いと思いますので、申請を行って飛行承認を得ていないと、実質ドローンを飛ばせる場所は皆無に近いということになります
ぐぬぬ……!
次は「催し物上空」についてです
催し物は不特定多数の人が特定の行事・イベントのために集まった場所のことを言います
お祭り、花火大会、コンサート、学校行事、会社行事、冠婚葬祭などなど、挙げていくとキリがありません
一方で海やテーマパークなどは、不特定多数の人がいるものの、特定の行事やイベント目当てで集合したわけではなく、自然に人が集合したようなケースは催し物には該当しません
でも海岸でライブイベントがある、とか、遊園地でヒーローショーがある、といったことで人が集まっている場合にはそれは催し物となります
このあたりの境い目は結構曖昧だったりしますので、不安な方は国交省航空局に詳細を伝えて判断を仰ぐのが良いと思います
続いて「危険物輸送の禁止」です
ここでいう危険物とは、凶器・火薬・爆薬・毒物・劇物などが該当します
輸送とありますが、厳密にはドローンに搭載することが禁止。つまり、どこかへ運ぶわけではなくても、ドローンに搭載したまま飛び回ること自体が禁止となっています
普通の人は納得できるルールかと思いますが、これで困るのはドローンで農薬散布を行いたい農家の方ではないかと思います
農薬は劇物指定がされていますのでドローンへの搭載は禁止です。注意して下さい
最後の「物件投下の禁止」ですが、これもお役所らしいというか融通のきかない法律となっています
どれだけ低空を飛んでいようがどれだけ軽いものであろうが関係ありません。ドローンから何かモノを落とす行為が全て禁止されています
高度20センチから落とすのでもダメ。紙吹雪みたいな軽いものをまくのもダメです
また、液体をまき散らす行為も物件投下にあたります
先ほどの農薬散布はもちろん物件投下にあたりますし、夏場に水を撒いてあげるというような行為も物件投下ですので禁止されています。注意して下さい
飛行禁止空域と同様、飛行方法のルールも絶対に禁止なわけではなく、飛行申請を行い承認をもらうことで可能となります
また、飛行方法についてもルールが適用されるのは屋外においての場合であり、屋内飛行の際は夜間飛行でも目視外飛行でも、何でも自由に行うことが可能です
スポンサーリンク飛行申請について
飛行禁止空域と飛行の方法を見ていただいて
ドローン飛ばせる場所なんて無いじゃないか!(怒)
と思ったかもしれませんが、これらは絶対に禁止なわけではありません
飛行の許可・承認申請を行い認可してもらうことで、これらの制限を超えてドローンを使っていくことができるようになっています
ポイントは以下の4点
- 飛行申請を行えば航空法で禁止されているフライトも可能になる
- 申請にドローンのライセンスなどは不要で誰でも行える
- 10時間以上の飛行実績があること、などの審査基準があり、自己申告である
- 申請の際には、ドローンの保険(任意保険)に入っていないと厳しい
以上を踏まえて申請を行い、許可・承認がもらえれば飛行可能となります
以下は詳細補足です
飛行申請の概要については別記事で細かく解説していますが
技術の発展を阻害しないように特別申請ルールが設けられているのが航空法の特徴です
完全に禁止しちゃうとドローンが廃れてしまうので、申請してくれれば認めますよ、となっているわけです
飛行禁止空域を飛ばしたい場合には許可を、禁止されている飛行の方法を行いたい場合には承認を得ることになりますが、手続き自体は同じ方法となります
手続きは紙ベースの書式で行う方法と、DIPSというオンラインサービスを使って行う方法の2種類があります
こちらについても先ほど紹介した別記事で解説していますので具体的な手順はそちらを参考にして下さい
飛行申請はドローンのライセンスは不要で誰でも行うことが可能となっていますが、認可をもらうには諸々の条件もあります
ざっくり言うと【安全運用体制が構築できており、パイロットは飛行経験があり、知識も技能も備えていること】というのが申請を行える条件です
この点についての証明は自己申告となり、ドローンスクールの修了証などは不要です
一応申告の際にライセンスの所持を宣言したり、ライセンスのコピーを提出することは可能ですが、もっていないとダメということはありません
それから、こうした許可や承認を得るためには、ドローンの任意保険への加入はほぼ必須と言っていいレベルになっています
DJI製のドローンは機体の代金に1年分の保険加入料が含まれていて、購入して簡単な手続きをすればすぐに保険に加入することができるので便利ですね
商売上手だなと思います(笑)
2019年改正 航空法の変更点
今年航空法が変更になりますので、この章の締めとして変更点を紹介しておきます
新たなルールとして追加されるのは以下の2点です
- 飲酒状態での飛行の禁止
- 事故報告の義務化と、立ち入り検査の開始
以前から守るべきであると言われていたものの、義務ではなかった部分が法律になります
補足説明は不要かと思いますが、事故報告については義務となることに加えて、今後は警察や航空局による事故の際の立ち入り調査や関係者への聞き取り調査が行われるようになります
ドローン禁止法(無人航空機等飛行禁止法)
航空法と並んでドローンの飛行を直接禁止することを制定しているのがこちらのドローン禁止法になります。正式名称は無人航空機等飛行禁止法
覚えておくべきポイントはこちらです
- 国の重要施設・対象の外国公館等・対象の原子力事業所の敷地と周囲300メートルを基準としたエリアはドローンの飛行を禁止
- これらの場所を飛ばしたい場合には、公安委員会に「通報」という手続きを行う
- 2019年に「基地周辺」が新たな禁止エリアとなる
以上を守って飛行エリアに注意するようにしましょう
以下が詳細解説です
この法律の特徴は具体的な飛行禁止場所を特定していることです
指定されたエリアと、その周囲300メートルを基準としたエリアはドローンの飛行が禁止となります
以前、首相官邸にドローンが落ちた事件等を踏まえて新設された法律なんですね~
具体的に見ていきましょう
まず、国の重要施設
代表例として皇居・国会議事堂・首相官邸・政党事務所・最高裁判所・省庁などが該当します
次に外国公館等
これは主に大使館になります
そして原子力事業所
こちらは主に原発(原子力発電所)が該当します
いずれの場合も、全てが該当するわけではなく、その施設が法律の対象になっているかどうかによって変わります。例えば、同じ政党事務所であっても小さな事務所は該当しない、などです
ドローンやアプリによっては禁止エリアを教えてくれるものもありますが、意外と、そこが禁止エリアなのかどうか分からなかったりすることもあると思います
もちろん一覧は公開されてはいるのですが、調べるのが大変であれば直接公安委員会に確認してみるのがスピーディーで確実ではないかと思いますよ
ちなみに、これらの場所を飛行させたい場合には、先ほど話に出た公安委員会に届け出ることで飛行可能となる場合があります
こうした手続きのことを「通報」と言います
通報と言っても電話するわけではなく、書面を提出する形となります
最後に。このドローン禁止法も今年改正され、飛行禁止エリアが増えますので説明しておきます
新たに追加される禁止エリアは「基地上空」です
自衛隊基地や米軍基地などが該当します
また、一時的に一部空港を禁止エリアとする場合が出てくるようになります
ずっとではなく一時的なものなのですが、ある一定期間、該当する空港周辺の飛行をドローン禁止法によって禁止する、というものです
たとえ航空法上での飛行許可を持っていたとしても、この期間はドローン禁止法によっても飛行が禁止されるため、ドローンを飛ばせない――ということになるわけですね
これはラグビーワールドカップや東京五輪を見据えての変更だと言われており、主にテロ対策のためだそうです
※5月24日に国会で可決され、6月13日施行となりました
ドローンと地方自治体条例
航空法とドローン禁止法の解説はめちゃ長かったですが、山場は超えましたのでここからは短いです(笑)
法律ではありませんが、各自治体が独自に定める条例によってドローンの飛行が禁止されている場合があります
例えば東京都条例では、全ての都立公園・庭園でのドローン飛行を禁止しています
これらの場所ではドローンを飛ばすことができません
勘違いされがちなこととして、飛行申請を行い許可や承認を得ている方。こうした方であっても、条例で禁止されている場合には飛ばすことができませんので注意して下さい
飛ばしたい場合には公園の管理者による許可を得る必要があります
ポイントをまとめるとこちら
- その地区が条例によってドローンを禁止していないか調べる必要がある
- 航空法の飛行許可を持っていてもダメなものはダメ
- 飛ばしたい場合には公園管理者の許可を得る必要がある
ドローンと道交法
道交法がドローンに関係あるの? と思われるかもしれませんが、場合によっては道交法違反となってしまうケースがありますので注意が必要です
ポイントはこちら
- 道路上を飛行させる場合には警察署長の許可が必要である
- 守ってない人も多いが、守らなくていいわけではない
ざっくり説明しますと、道交法の中に「道路を使用したり、危険を及ぼすような行為を行う者は道路管理者(警察署長)の許可を得なければならない」というものがあります
ドローンを飛ばす行為はこれに該当してしまう可能性が高いため、道路に影響を及ぼしてドローンを飛ばす場合にはその町の警察署長さんに許可を貰ってからフライトさせて下さい
影響を及ぼす行為とは以下のようなケースです
・ドローンで道路上を横断する
・ドローンを道路上で離発着させる
・道路に沿ってドローンを飛ばす
道路上を横断というのはかなりあり得るケースですので、毎回許可をもらいに行くのは結構めんどくさいですが、法律上はそのように規定されています
本当にみんな守ってるの?
というと……守ってない人が多いのも事実です
40キロ制限の道路なのにみんな50キロで走っちゃってる、みたいな感覚ですね
でも、守らなくていいということではありませんのでしっかりと把握しておく必要があります
ドローンと民法
民法も、ドローンを飛ばすうえで厄介な法律です……
ポイントはこちら
- 第三者の所有する土地上空を勝手に飛ばすことは民法違反になる
- 飛ばしたい場合には土地所有者の許可が必要
- 正直、守ってない人も多いが守らなければいけないルール
- 証拠とともに訴えられ、裁判に負けると不法行為認定。賠償金を支払うことになる
これまたざっくり説明します
民法において土地の所有権というものが認められており、この「土地」とは地表面だけでなく地下及び上空も含まれる、という考え方がなされています
ですので誰かの所有する土地上空を、勝手にドローンで飛行させることは不法侵入にあたります
この日本に、誰のものでもない土地なんてあるのでしょうか? 無いですよね
つまりドローンを飛ばしたかったら、土地所有者の許可は毎回とらなければいけないということになってしまいます
本当にみんな守ってるのかというと……守ってない場合も多いです
証拠が無いと裁判で負けないから、というのがその理由だそうです
でも、守らなくていいというわけではありませんので勘違いしないよう注意して下さい
民法違反は犯罪ではなく不法行為ですので罰則はありませんが、その代わりに相手方に賠償金を支払う必要が出てきます
ドローンと個人情報保護法
ドローンは良くも悪くも色々なものが見えてしまうツールです
そのためプライバシーに十分注意しながらフライトさせる必要があります
ポイント
- 画像や映像を第三者に渡したり公開したりする際には、個人情報に十分配慮する
- ナンバープレート、住居の外観、洗濯物ですらプライバシーとなってしまうことがある
- 生中継機能は使うべきではない
まず、ドローンによってはSNSと連携した生中継機能がありますが、専門家の立場として、これは使うべきではないと思っています
映りこんでしまった人が後から訴えてきたり、自分ではその気がなくてもプライバシーを侵害するものを映してしまったとき、生中継では取り返しがつきません
完全な無人地帯で使うのでもない限りは、生中継はやめておきましょう
プライバシーの保護対象となる物は、「え、そんなものまで!?」という親告側の主張がまかり通ってしまう可能性があるのも怖いところです
表札やナンバープレート、住居の様子のアップなど、個人を特定できてしまうものについても、できる限り映さない・公開しないことが大事だと思います
どうしても映す必要がある際には、きちんと本人の同意をとりましょう
これらの行為は、ネットに公開するというような「不特定多数の目につく」形で公開してしまうことでプライバシー侵害となり、個人的な撮影であれば問題ないケースも多いです
個人による違反は民法違反に。
そして、個人情報取扱事業者が違反してしまうと個人情報保護法違反となります
ドローンと軽犯罪法
先ほどの個人情報保護法と似ているのですが……
- 人が衣服をつけないでいる場所の様子を密かに撮影してしまうと軽犯罪法違反となる
- わざとは言語道断として、温泉街などを飛ばす際には、過失による映り込みにも注意が必要
勝手に撮影して不特定多数に公開してしまうのが民法や個人情報保護法の違反ですが、こちらのケースでは公開せずとも撮影しただけで違反となってしまう可能性があります
軽犯罪法の中に、通常人が衣服をつけないでいる場所を密かにのぞき見たものは罰するというルールがあります。いわゆる、のぞき・盗撮ですね
わざとやったわけじゃない、過失についても処罰されるのかは意見が分かれるところかと思います
が、それがわざとじゃないことを証明するのは至難の業だとも思いますので、特に露天風呂があるような温泉地のフライトなどの際には十分気を付ける必要があります
ドローンと電波法
ドローンは電波を使用する機器ですので、電波法のことも意識しておく必要があります
ポイント
- よく分からない格安ドローンについては技適の有無に十分注意する
- 全く同じ製品でも、海外モデルは技適を取得していない場合がある
- 基本的に送信機の改造は行わないようにする
- レーサー機でよく使われる5GHz帯のVTXの使用は免許が必要
ドローンというのは高いものです
一方でネット通販を見ていると、メジャーなドローンと同じような形をしたドローンが格安で売っていたりします
ドローンはじめてだし、これでもいいかなぁ
と思ってしまいがちですがちょっと待った!
それらは日本の技適(技術適合認証)を受けていないドローンである可能性があります
技適を取得していないドローン(というか無線機器全般)を使うことは電波法違反となりますので、大手製品ではない海外からの輸入品みたいな謎のドローンを使う際には、そのドローンが技適を取得しているかどうかしっかり確認してから購入するようにして下さい
また、全く同じモデルであっても海外版では技適を取得していないケースがあります
例えば以前に私が使っていた3DRのSOLOというドローンがそうでした
総務省に直接確認した結果、例え内部構造が全く同じだったとしても、技適を取得していない(表示のない)機材を使うことはダメだとはっきり言われてしまいましたので、海外輸入の際には注意が必要です
それから送信機の改造は基本的には行わない方が良いです
電波法には様々なルールがありますが、例え技適を取得していたとしても周波数帯やアンテナの出力によってはやはり免許や届け出が必要になってしまうケースがあります
あなたが何の届け出もなくドローンを使えているのは、2.4GHzかつ空中線電力1W以下という電波法の規定を満たしている機材だからこそ、免許も届け出も不要で自由に使えているのです
「安定性格段向上! 最適化アンテナ」とかいうような製品を買ってしまってアンテナをつけかえてみたら、実はそれは電波法に適合しない製品で違法だった…… なんてことがあり得ます
知識をお持ちの方なら良いと思いますが、あまり電気や電波に詳しくない方は交換するのをやめておきましょう
それと、少数派とは思いますがドローンレーサーを目指したいという方
こうした方は無線の免許取得がほぼ必須となります
ドローンレースで使われる映像伝送装置(VTX)は5GHz帯の電波が使われているのがほとんどです
一部2.4GHzの電波を使っているものもありますが、それは少数派です
なぜかというと、2.4GHzの通信には遅延が出てしまい、ゼロコンマの世界で勝負するドローンレースでは満足に使用できないからなんですね
そのため、より遅延の少ない5GHzのVTXが用いられています
ドローンで5GHz帯の電波を使いたい場合には、趣味の方であればアマチュア無線4級以上の免許が必要です。レーサーなどの趣味ではなく、お仕事でこの周波数を使いたい場合には、陸上特殊無線技士3級以上の免許が必要となります
ドローンと外為法
非常にニッチな分野なのでほとんどの人は気にしなくてよいかもしれません
- 特定のドローンを一部の外国や団体に販売しようとする場合は経済産業大臣の許可が必要
- 該当する可能性があるのは、フライトコントローラーや赤外線カメラ
主に企業が該当する法律だと思いますが、日本から一部の外国や一部の組織に、勝手にドローンを販売してしまうと外為法違反となる可能性があります
ただし全てが違反になるというわけではなく、そのドローンが外為法で規制する特定技術を使っているか? 販売先は規制する国や団体か? といったように、条件によって変わってきます
特定の技術とは主にセンサーを内包した飛行制御装置(フライトコントローラー)や、赤外線カメラなどが該当します
一般の方には少し縁遠い法律かもしれませんね
ドローンと産廃法
ドローンを失くしてしまった場合、あるいは処分しようと考えている際に気にする必要が出てくるのがこの産廃法です
- ドローンを墜落・紛失してしまった際、放置してしまうと不法投棄になってしまう
- 事業で使用したドローンは、処分の際には産廃扱いとなる
ドローンを山の中に墜落させてしまった! もしくは、海に落としてしまった!
こうした、回収が困難なケースがあると思うのですが、これをそのまま放置してしまうと「不法投棄」にあたってしまいます
万一こうした事故を起こしてしまった際には、必ず土地の所有者や管理者に連絡を入れ事情を説明することと、発見時にはきちんと回収する意思があることを伝えましょう
また、お仕事でドローンを使われた方がドローンを処分しようとする際には「産業廃棄物」という扱いとなります
産廃は一般ごみには出せませんので、産廃業者に引き取ってもらう必要があります
ドローンと刑法
刑法までドローンに関係あるの!? と驚いてしまいますが、場合によっては刑法違反となってしまう可能性がありますので注意が必要です
- 電車・汽車・艦船の往来に危険を生じさせた場合には刑法違反となってしまう
- わざとじゃなくても罰則がある(わざとの場合は罪が重くなる)
刑法の中に往来妨害罪というものがあります
この法律によって、電車や船の往来に危険を生じさせたものは罰するという規定があるのですが、わざとじゃなく過失であったとしても罰則を科す、過失往来危険という条文があります
わざとじゃなくても処罰を受けてしまうため、線路や船の航路付近を飛行させる場合には、万に一つのことも無いよう慎重にフライトさせる必要があります
まとめ
以上が、「覚えておくべき、ドローンとそれに関連する法律」になります
シンプルにと言いながらかなり長文の記事になってしまいましたが、まずはポイント(オレンジで囲った箇条書きの部分)だけでも覚えてもらえれば大丈夫です
あとは時間を見つけて少しずつ勉強していってもらえたらと思います
見せしめ的な意味もあるのだと思いますが、ここのところドローン(特に航空法)による違反行為で、書類送検など処罰される人が増えている印象があります
今回解説させていただいた法律をしっかりと覚えていただいて、安全で楽しいドローンライフを過ごしていただけたら嬉しく思います
他にも、ドローンを使う中で注意すべきことや飛行申請の概要、具体的な手続き方法なども解説していますので、良かったらそちらの記事もご覧ください
それではまた~
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