※11月1日 正式なリリースを受けて記事を修正しました
DJIが新たなMavicを投入するという噂が出ております
今度のMavicはミニサイズのMavic Mini
DJIは以前にも小型のMavicをリリースしたことがあります。それがMavic Air。しかしこの機種は小型であるがゆえのスペック不足と、Mavic 2がすぐにリリースされたという不運が重なってあまり評価されていません
そんな過去があるにも関わらず、DJIはなぜMavic Miniをリリースする(噂ですけど)という方針をとったのでしょうか?
私は実際にドローン業界に身を置く立場ですが、だからこそ感じる『今後のドローンのあまり良くない展望』というものがあります。そのあたりが深く関わっているのではないかな? と感じましたので、今回ちょっとした雑記として書かせていただきたいと思います
Mavic Miniの噂とスペックについて
とはいえこの記事を読んで下さっている方の中には
お前の駄文なんぞどうでもいいから、Mavic Miniの情報よこせ!
という方も多いでしょうから、先にMavic Miniについて現時点で判明している情報を紹介しておこうと思います
この情報はDrone DJ が公開したもので、「正確性については(直前での仕様変更も含めて)100%ではないが、仕様書の内容はかなり詳細である」としています
話半分以上に聞いておいても、それなりに信頼できそうというニュアンスで書かれています
で、肝心のMavic Miniの情報についてなのですが、最初に特長をまとめると
- SparkもしくはMavic Airを置き換えるものとなる
- Sparkよりも高性能でMavicを名乗れるだけの性能になっている
- プロポがある(同梱か別売りかは不明。たぶん別売り)
- 重量245gでFAA登録が不要(残念ながら日本の航空法では適用対象)
- 3軸ジンバルを採用した4K/30P撮影が可能なカメラ(1/2.3インチCMOS)
- 最高時速50Km/h、18分の飛行時間
- Lightbridgeではなく新しいWi-Fi通信方式を採用し、最大通信可能距離は5Km
という感じ。魅力的な数字が踊っていますが……
その他のスペックについては一覧で紹介したいと思います。比較用にMavic AirとSPARKのスペックも載せておきますね
11月1日追記
日本版の正式スペックが判明しましたので表を修正してあります
Mavic Mini | Mavic Air | Spark | |
サイズ | 140×140×53mm | 168×184×64mm | 143×143×55mm |
重量 | 245g(日本199g) | 430g | 300g |
飛行可能時間 | 最大30分(日本18分) | 最大21分 | 最大16分 |
飛行速度 | 46.8Km/h | 68.4Km/h | 50Km/h |
通信可能距離 | スマホ最大100m プロポ最大4Km(日本では2Km) |
スマホ最大80m プロポ最大4Km(日本では2Km) |
スマホ最大100m プロポ最大2Km(日本では500m) |
通信方式 | 拡張Wi-Fi | 拡張デュアルバンドWi-Fi | 拡張デュアルバンドWi-Fi |
ジンバル性能 | 3軸、0°~-90°(拡張20°~-90°) | 3軸、0°~-90° | 2軸、0°~-85° |
カメラセンサーサイズ | 1/2.3インチ CMOS | 1/2.3インチ CMOS | 1/2.3インチ CMOS |
レンズ性能 | 焦点距離24mm(35mm換算) f2.8 |
焦点距離24mm(35mm換算) f2.8 |
焦点距離25mm(35mm換算) f2.6 |
画素数 | 1200万画素 | 1200万画素 | 1200万画素 |
動画撮影性能(最大) | 2.7K/30P、フルHD/60P | 4K/30P、フルHD/120P | フルHD/30P |
対応ファイル形式 | JPEG、MP4 | JPEG、RAW(DNG)、MP4、MOV | JPEG、MP4 |
測位システム | GPS、GLONASS | GPS、GLONASS | GPS、GLONASS |
特筆機能 | 障害物検知システム、ビジョンセンサー(前方と下方のみ) | 障害物検知システム、ビジョンセンサー(前方、後方、下方) | 3次元認識システム(前方)+ビジョンセンサー(後方) |
このような感じになっています
スペックシートだけ見ていると、Sparkの一部にMavic Airの機能を搭載した強化バージョン、という印象を受けますね。ちなみに形はTHE・MAVICという感じです
Sparkと比較して4K/30Pの撮影が可能になりジンバルも3軸となったことで安定撮影が可能そうですが、それならRAW撮影機能は搭載して欲しかったというのが正直なところです
それとジンバルピッチがSparkと同じで-85°までというのも気になります。写真測量などには使いにくそうですね。まあ元々のスペックが測量向きじゃないので必要ないのかもしれませんが……
重量が軽くなったことでSparkよりも飛行可能時間が伸びましたが、軽くなったことで風にどれだけ耐えられるのかという新たな不安も浮かんできます(耐風能力は風速スケールレベル4まで(8m/s)と明かされました)
サイズはこれだけ違いますが……うーん
このような感じで、従来のMavicシリーズに求めているようなスペックをMavic Miniにも求めてしまうとガッカリしてしまう部分もあるとは思いますが、今現在Sparkを検討していて「手軽さが魅力だけどあともう少しだけスペックが良ければなぁ……」という方にとっては魅力的な製品になるかもしれません
発売時期は今年の第4四半期だと予想されており、クリスマスシーズン前に発表されるのではないかと言われています
値段については不明ですが、おそらくSparkと同程度の価格帯になると思われます
11月1日追記
日本のみ、航空法の制限を受けない199gで販売されることが決定しました。軽くなった分はバッテリー容量が削られ、フライト可能時間は減っていますが機能などはそのままです
販売は11月中旬から。価格は本体価格が46,200円。フライモアコンボが59,400円です
小型ドローンに望まれていること
ということで、Mavic Miniはそれなりに魅力的ではあるものの、今存在するMavic 2等と競合するようなスペックを持った製品ではありません。ドローンとしては入門用でしょう
ではなぜDJIはSparkを置き換え、Mavic Miniをリリースする方針を固めたのでしょうか?
もちろんひとつは単純に『Sparkがリリースされてから時間が経っているから』ということが挙げられると思います。しかしそれ以上に大きいのではないかと感じるのが
「普通の人はドローンを買わない」から
これなのではないかなと感じます
私も仕事柄、色々な人からドローンについての質問を受けることがあります。そうして話していて感じるのは「興味はあるんだけど買わないだろうなぁ」ということ
カメラと非常に似ているのですが、写真を撮ることが好きな人であっても多くの人は
- 高い
- 大掛かりな荷物
- 手軽さ(機動性)がない
ということにすごく拒否反応を示すような印象を受けます
近年はSNSの普及などもあって、多くの人がより良い写真を撮りたいという想いを抱いています。しかしそのために大掛かりな用意をしたり、大きな出費をすることは嫌なのです
例えば写真だったら、スマホを使うよりも一眼レフや高級コンデジを使う方が機能も画質も良いことはみんな何となく分かっています。でも、その出費と準備を嫌うのですね
これが完全にドローンにも当てはまります。しかもドローンはカメラと違って、法律やルールがつきまとってくるため、より一層敬遠されやすいという実情があります
じゃあ法律に縛られない小型の機種でいいじゃないかというと、その程度のスペックであればSNS映えする写真は撮れないので、やっぱり「いらない」となってしまい、結局買うことは無いんですよね
そこでDJIはドローンをより身近で手軽なものにすべく、小型で持ち運びやすいうえにルールに縛られず、それでいて満足のいく写真が撮れる機種というものに注力したのではないか……今回のMavic Miniにはそうしたメーカーの想いをものすごく感じます
実際Mavic MiniはFAA登録が必要となる0.55ポンド(250g程度)を下回る重量になっている点からも、こうした狙いを感じることができます
Mavic Miniは売れるのか?
ではそうしたメーカーの狙い通りにMavic Miniはヒットするのでしょうか?
私の個人的な予測では「売れないだろうな」というのが率直な感想です
メーカーは勘違いしているかもしれませんが、2,000gのドローンだろうが200gのドローンだろうが、普通の人は持ち運ぶのが嫌なのです。ドローンを持ち運ぶというのは撮影のための『準備』であり、そうした準備(手間と言い換えてもいい)は受け入れられ難いと感じます
逆にそうした『準備』を厭わない人はガチな人ですので、大きくても重くてもいいから性能の高いものを求める傾向にあります。ドローンのようなガジェット界隈やカメラ界隈では、特にそうした傾向が強いように思います
こうした事情から、売れない・受け入れられないだろうと予測しています。特に日本においては結局航空法の制限(200g未満)をクリアーしてないわけですから、より受け入れられ難いと思います
どうすれば一般の人にも気軽にドローンが使えるようになるのでしょうか?
これはもう、スマホがドローンに変形するしかないと思っています。ギャグみたいな意見ですがマジです
例えばこんなような感じで
モーターとプロペラは収納されていて、「空撮したい!」と思った時にプロペラを展開して気軽に飛ばして撮影できる……みたいな感じ。背面カメラも当然可変にします
映像はApple Warchみたいなウェアラブルデバイスで見られるようにすれば、普段身に着けているものだけで空撮が行えるようになります
もちろん、操縦や撮影などの操作(アプリの操作とか)はどうするのか? という問題はあります。ウェアラブルデバイスだと映像の受信は問題無いでしょうが、送信することは困難だと思います。かと言ってプロポを別で持ち歩くのは絶対に受け入れられないでしょう
この点をどうクリアするか、私には分かりません(というか思いつけるなら特許取ります笑)のでメーカーさんに期待したいところです
ただこれも一部の特殊な機種だけでは厳しいはず。AppleやSamsungがこぞって搭載した! ぐらいのインパクトが無いとダメだと思います。普通の人にとってはメーカー・ブランドがとても大事ですのでね
まとめ
ということで今回はMavic Miniの噂についてと、そこから考えるドローンの今後についてを記事にさせていただきました
ドローンは身近になったようで実はまだまだ一部の人の間だけのものです。そしてこの状況はたぶん今後も変わらないでしょう。カメラを知らない人はいないでしょうが、全員がカメラを持っているかというと持ってない人が大半ですよね。ドローンもそれと同じです
冗談みたいですがマジな話で、スマホだけで空を飛ぶ! ぐらいのインパクトが無いと、ちょっとドローンが普通の人の間に浸透していくのは厳しいのではないかな、と感じています
お手軽と高性能は相反するものなので中々難しいとは思うのですが、今後の技術の進歩に期待したいですね
それではまた~
参考サイト様
コメント
極論過ぎて草
そもそも持ち運ぶのが200gでも2000gでも
持ち運ぶ行為自体手間って極論過ぎ。
旅行とか写真とか好きな人にとって200gで
多少大きくても全然苦じゃない荷物でしょ。
自分も全然カメラとかよくわかんない
人ですがsparkもってます。
結局みんな最初どんなものかわからなくて
始めるなら重量とかどうでもよくて
手頃に始められる価格が問題でしょ。
重量とか一番どうでもいい
たさん
コメントありがとうございます
誤解させる書き方になってしまっていましたかね。申し訳ありません。この記事でいうガチ勢とはおっしゃる通り「写真の好きな人」を指します。同じ意見ということですね
重量がどうでもいいかはそれこそ人によると思いますよ。それもまた色々な意見があっていいと思います