7月9日、Appleがたまにやらかすサイレントアップデートにより、MacBook Air 13インチとMacBook Proの新型を発表しました
これらの製品は新型であると同時に価格帯が下げられる廉価版という位置づけになっているので、かなりコスパ良くMacデビューすることが可能となっていますが、どちらも1年経たないうちに新型のリリースとなりました
特にMacBook Proは5月に新型が発売されたばかりだったのです…
また、今回のアップデートにより12インチ版のMacBookが終売へ向かうことも決定。既にApple Storeからは姿を消しており、欲しい人は量販店に残る在庫を探すしかありません
これら諸々の情報について、まとめてみたいと思います
MacBook Proは4コアでも大幅値下げ
最も大きな変化だと思うのがMacBook Proです
今回のアップデートでラインナップの幅が広がったのですが、最も大きな変更点はTouch Bar非搭載モデルの廃止です。MacBook Proは5月にリリースされたモデルも含め、全てがTouch Bar搭載モデルとなります
これは賛否ありそうですが、気に入らない人はファンクションキー(F1~F12)の表示を固定しておくこともできますので、Appleとしては「工夫して好きなように使って下さいね」ということなのでしょう
Touch Barモデルだと高くなっちゃったんじゃないの?
と心配されるかもしれませんが、なんと逆に安くなるという神対応がとられました。この辺の値下げも5月に買ったばかりの人にはちょっとツライところですかね……
今までの最安モデルはTouch Bar非搭載モデルで2コアCPU・ストレージ128GBという構成で142,800円(税別)~でしたが、新しい最安モデルはTouch Bar搭載4コアCPU・ストレージ128GBで139,800円(税別)~となっています
何それ!? って感じですよね(笑)
表にまとめてみます
MacBook Pro 13 Touch Bar(新モデル) |
MacBook Pro 13 Touch Bar(5月モデル) |
MacBook Pro 13 Touch Bar非搭載モデル |
|
CPU | Core i5 1.4GHz(4コア) Core i7 1.7GHz(4コア) |
Core i5 2.4GHz(4コア) Core i7 2.8GHz(4コア) |
Core i5 2.3GHz(2コア) Core i7 2.5GHz(2コア) |
GPU | Iris Plus Graphics 645 | Iris Plus Graphics 655 | Iris Plus Graphics 640 |
ディスプレイ | 13.3インチ(P3色域) 2,560×1,600ピクセル | ||
メモリ | 8GB / 16GB LPDDR3(増設不可) | ||
ストレージ | 128GB / 256GB /512GB /1TB/2TB | 128GB / 256GB /512GB /1TB | |
I/O | USB-C Thunderbolt3×2、イヤホンジャック、2INマイク | USB-C Thunderbolt3×4、イヤホンジャック、3INマイク | USB-C Thunderbolt3×2、イヤホンジャック、2INマイク |
特筆機能 | Touch Bar、Touch ID、True Toneテクノロジー、バックライトキーボード | バックライトキーボード | |
無線 | Wi-Fi 5、bluetooth5.0 | Wi-Fi 5、bluetooth4.2 | |
バッテリー | 58.2Whr | 58.0Whr | 54.5Whr |
駆動時間 | 最大10時間 | ||
サイズ | 304.1 × 212.4 × 14.9 mm | ||
重量 | 1.37kg | ||
価格 | 139,800円~ | 198,800円~ | 142,800円~ ※終売へ |
カラー | シルバー / スペースグレイ |
このようになっています
率直な感想は、「5月に買った人…(´・ω・`)」です
とはいえ新モデルは外観や機能に関しては何も変わっていませんので、その点は心配する必要はありません。しかしTouch Bar無しモデルに変わって登場した新モデルはCPUの4コア化・True Toneに対応・バッテリー容量の増大と良いことづくめです。おまけに値段まで安くなっています
新モデルのCPUはTDP15Wのモデルのため
TDP28W版のCore iシリーズが欲しかったから、新モデルには興味ないし後悔してないよ
と思える方でしたら問題無いですけどね
CPUはIntel未発表の新型っぽい
面白いのが、新型MacBook Proに搭載されるCPUについてです
例によって発表されているのは「第8世代」「Core i5(又はi7)」「128MB eDRAM」「1.4GHz/3.9GHz(又は1.7GHz/4.5GHz)」という点のみとなっているのですが
これに該当するCPUが現在のところ見当たらないんです
以前の記事に書いたようなオーバークロック・ダウンクロックされているという意味ではなく、そもそも第8世代Core CPUにIris Plus 645をiGPUとして採用したモデルが存在しません
ということで現時点でモデル名は不明。従来のネーミングから考えるとCore i5-8267Uとかになるのかな?
【追記】8257Uで、Apple専用モデルであることが明かされました。i7の方は8557Uです
まあネーミングは完全な勘ですが、クロックの低さからTDP15W版のCore iでありながらIrisを搭載する特殊なコアであることは確実です
第8世代でTDP15WのCore i5ですと、動作クロックが1.6GHz/3.6GHzの8265Uが最も性能的に近いです。このCPUのPassMarkスコア7,900程度。また、GPUについてはIris Plus 640のスコアが1,400程度でIris Plus 650のスコアが1,600程度となっています
ここから予想するCPU/GPUのPassMarkスコアは
- CPU:7,500程度
- GPU:1,500程度
ではないかと思われます。これまでの廉価モデルであるTouch Bar無しモデルと比較すると、グラフィック性能は微増ですがCPU性能は1.8倍程度向上したことになりますね
28W版のMacBook Proと比べると、CPU・GPU共に3割程度性能が下がることになります(注1)が、その代わりにTDPが下がったうえにバッテリー容量が増えていますので、動作時間は最も長いMacBook Proとなりそうですね
※注1:28W版のスコアはCPU11,000程度、GPU1,900程度となっています
MacBook Airも値下げしたけど、スペックは……
続いてMacBook Air 13インチモデルなのですが、こちらも微妙に良くなった点があります。改善点は以下の2つ
- True Toneに対応
- 値下げ
というところ
今までは134,800円(税別)~という値段でしたが、この度の値下げによって119,800円(税別)~の購入が可能となりました
いちばん安くMacデビューできるじゃん♪ サンボルも付いてるしTrue Toneだしこれに決めた!
と思ってしまいがちですが、正直言ってそれはおススメしません
MacBook Airに搭載されているCPUは1.6GHz/3.6GHz駆動の第8世代Core i5であることが明かされています
これを見て
同じCore i5だし、世代も同じだし、クロック数もほとんど同じだし…
MacBook Proとほとんど同じ性能なんだな
と勘違いしてはいけません。両者は全く性質の違うCPUです
Appleが公開しているスペックから、MacBook Air 13 2019に搭載されているCPUは100%間違いなくCore i5-8210Yというプロセッサです
MacBook Airに搭載されているCore i5またはCore i7は、実はCore iとは名ばかりのCore mプロセッサとなっています
Core mプロセッサはPCを軽めの用途に使いたい方向けの低消費電力プロセッサで、ファンレス可能で静音・長時間駆動が可能・低発熱といったメリットがありますが、その代わりに性能はガクッと下がってしまいます
近年のCore mプロセッサはかなり動作の快適性も上がってきていますので、一般的なネット・動画の閲覧、オフィスの使用等は全く問題ありません
しかし、スペックだけを見て「MacBook Proとほとんど同じように使えるのかな」という想いを抱いてしまうととても後悔することになりますので、その点気を付けて下さい。よくあるのは動画編集とかをやりたくなった時、スペック不足に気づくというパターンですかね…
ちなみにMacBook AirはThunderbolt3に対応していますのでeGPU(外付けGPUボックス)によるグラフィックの強化が可能です。しかしCore mという非力なプロセッサが足かせとなってしまい、eGPUを使用しても編集がそれほど快適になりません
そのあたりの点も注意して選択した方が良いですので、使用目的をしっかり検討することをおススメします
MacBook 12インチは終売
2017年以降、新型が出ていなかった12インチのMacBook。昨年秋にMacBook Airが出た時に「ヤバいかな?」と薄々感じてはいましたが、予想通りとうとう終売の日を迎えてしまいました
Appleとしては12インチMacBookを使用していたユーザーに、13インチMacBookを使っていって欲しいという狙いがあるようです
12インチは小型軽量でポータビリティは最高でしたが、インターフェースがUSB Type-Cひとつな上に、Thunderbolt3にも非対応でしたので、マシンとしての使い勝手はMacBook Airの方が遥かに勝っています
これはもう、仕方ないのかもしれませんね
まとめ
ということで、特に5月にMacBook Proを買ったばかりの人にとっては非常に厳しいサイレントアップデートとなりましたが、それ以外の方にとってはとても魅力的なモデルが登場したなぁという感じです
まあ、最近は高級路線にシフトしすぎてしまっていた感がありましたので、今回の値下げや性能に対してのお得感は「かつてのMacBook Proが帰ってきた」と感じさせてくれるものだったとも思います
この記事でざっと見た通り、同じ13インチモデルでありながら性能差がそれぞれ設けられているわけですが、実際に使用したうえで感じる性能差は
MacBook Air <<<< MacBook Pro 新モデル < MacBook Pro 5月モデル
ぐらいな感じです
それではまた~
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