13インチ級ノートPCとして現行最強クラスの性能を持つ、マウスコンピューターのG-Tune P3(DAIV 3N)
とはいえRazer Blade Stealth GTX 1650やMSI Prestige 14とは拮抗している性能ですので、明確に『最強13インチノートPCだ』と言い切ることはできません
しかしG-Tune P3のメリットとして、macOSを動かせる可能性が高いという点が挙げられます。CPU・GPUの関係で、RazerもMSIも今のところmacOSを動かすことは難しいので、非常にニッチながらもアドバンテージであると言えます
もしこのスペックでmacOSが動くのなら、最新モデル(Mid2019)のMacBook Pro 13を遥かに超えるグラフィック性能を持つことになります。と言うか、MacBook Pro 16の最上位グラボ(Radeon Pro 5500M)とほとんど同じ性能なのです
13インチの筐体サイズに16インチのグラフィック性能を持ったMacBook――まさに、真のMacBook Pro 13となるわけですので、どうにか動かしてみたい! と胸が高鳴ります
ではいつものを書いておきます
Mac OSをMac以外のハードにインストールするのはライセンス違反となる可能性があります。この記事を参考にされたとしても、全て自己責任となり当サイトでは一切の責任を負いません
- 当たり前ですが、Macを持っていない人が不正にMac OSを入手することは違法です
- Macを持っている人には、OSの複製は認められています。ただしバックアップのために限るというのがAppleのライセンス条項となっています
- ゆえにMac以外にMac OSをインストールする行為はAppleのライセンス違反となる可能性が高いようです(現状はAppleにお目こぼしをしてもらってる状態)
- 今回の記事の話は全て夢の中の出来事ですよ~
ご確認のほど、よろしくお願い致します
Hackintoshの夢は見れたのか?
と前置きをしたわけなのですが……結論を先に書くと今のところ成功しておりません
とはいえまだ1週間程度しか試行錯誤していませんので諦めたわけではありません。1週間程度というのは、未知の機種(しかもノートPC)に対してHackintoshを試みる期間としては全然短いです。今のところの手ごたえとしては
不可能ではなさそうだけどだいぶ難易度の高い機種な気がするなぁ
という感じです。たぶん膨大なトライアンドエラーが必要になりそうな感じ
しかしながら仕事で使い始めなければならないリミットが来てしまったので、試行錯誤はしばらくお休みしなければならなくなってしまいました……
さらに追い打ちをかけるように、新型のMacBook Pro 13インチ(14インチになるという噂も)がもうすぐリリースされそうだという噂が飛び交っています。まず間違いなくIce lakeないしComet LakeのCPUが搭載されると思います
そうすると他の第10世代CPU採用ノートでもHackintoshが可能になるのがほぼ確実なわけで、G-Tune P3の唯一無二のアドバンテージが無くなってしまいます。これを知って一気にテンションだだ下がりで、あまりやる気が無くなってしまいました(涙)
ただまあ試行錯誤している時間はやっぱり楽しいので、時間がとれたら改めて挑戦は続けたいと思ってはいます
失敗という名の 悪夢事例集
この章が要るかどうか迷ったのですが(笑)
もし万一、私と同じ夢を見たいと思っている人がいましたら、以下の方法ではうまくいかなかったことを確認しましたので、挑戦する際に試行時間の節約になるかもしれません
前準備
実にオーソドックスな手順として、まず最初にハードウェア構成とBIOS(UEFI)の設定項目などをチェックします
ハードウェア構成はデバイスマネージャーやCPU-Z・GPU-Z等で調べます
と言ってもこの機種の場合それらはほとんど分かっています。今回は時間が無かったので、とりあえず最低限動けばいいやということであまり調べずに進めることにしました
一応書いておくと
- CPU:Kaby Lake-G
- GPU:Radeon Vega M GH / Intel HD 630
- チップセット:HM175
ですね。Wi-Fiは動かないのが確実で調べる必要が無いですし、LANはありません。サンボルはゆくゆくは動作させたいですが、とりあえずはブートさせることを目標として「Disabled」でいくことを決めています
グラフィックについては、Hackintoshではこの機種のようなデュアルGPUはサポートしていませんので、Intel HD630かRadeon Vega GMのどちらかで動けばいいやというスタイルです(片方を選んだらもう片方は無効にしないといけないため排他となります)
オーディオだとかヒューマンインターフェース(タッチパッド)等も後回しとし、とにかくまずは動けばいいやというところから始めました
BIOSに関してはあまり設定項目がありません
とりあえず変更したのは
- 「Advanced」→「Thunderbolt(TM) Configuration」→「Thunderbolt(TM) Support」→「Disabled」
- 「Advanced」→「USB Configuration」→「Legacy USB Support」→「Auto」
- 「Security」→「Secure Boot」→「Disabled」
- 「Boot」→「Fast Boot」→「Disabled」
- 「Boot」→「CSM Configuration」→「CSM Support」→「Enabled」→「Boot option filter」→「UEFI only」
という感じです。これが最適解かどうかは分かりません。色々試す前に時間が無くなってしまったので、もう少し工夫の余地はあるような気もしています
macOSインストール
今回試したのは以下の方法です。ちなみにOSのバージョンは、同系機種で成功が報告されているMojaveです
- Cloverを使いインストールメディアを作成
- Hac Miniツールを使いインストールメディアを作成
- Unibeastを使いインストールメディアを作成
- SSDに直接インストールする方法
まずはラップトップにインストールする手法として、tonymacx86でもオフィシャル(?)な方法とされているClover Boot Loaderを使ったインストールです
使用するKextやDriver、config.plist、Patchなどいくつか試してみました
- CPU・GPUが同シリーズのHades Canyon向けの設定
- CPUが同シリーズでGPUは微妙に違うけどラップトップであるXPS 15 2in1向けの設定
- Intel HD630ラップトップ向けの汎用設定
という感じなのですが、どれも途中で止まってしまってインストーラーまでたどり着けませんでした
-vオプション(Vervose)でも起動しても同じですね
代表的なもの以外のエラー内容の意味や16進数の表示を理解できるほどは詳しくないですのでひとつひとつ調べていってみたところ、ルートデバイスの問題だったりカーネルパニックを起こしていたり再起動ループがかかったりと原因はマチマチでした
当然ながらUSBメディアの変更(USB2.0/3.0)や、ポート側にもハブをかまして2.0にするなど試していますがこれも全てダメ
やはりconfig.plistの設定やパッチの試行錯誤にかかっていそうです。Hades Canyon向けの設定とXPS15向けの設定を組み合わせることでいけそうだとは思うのですが時間がかかりそうですね
あと、Hades CanyonはiGPUは無効にしてRadeon Vegaを動かした実績がありますが、XPS15の方はiGPUでしか動かした実績が無いようなので、もしかしたらRadeon Vegaは諦めないと動かないなんてこともあるかもしれません
次にHac Miniツールを試しました
Hac Miniツールは先述のHades Canyonのための専用Hackツールで、CloverではなくOpenCoreをベースにしたブートローダー/パッチ/ユーティリティがセットになった便利ツールです
私もOpenCoreを使うのはこれが初めてだったのですが、Cloverとほとんど同じように使えて便利でした
しかし残念ながらこれも失敗……。というか根本的な問題として、ブートローダーがうまく動かない(表示されない)ことが多いのがちょっと残念でした
これはOpenCoreの既知の問題らしく、その場合には最初のメーカーロゴ画面でAltキーを連打するとブート画面に入れるのですが、判定もシビアで中々イラっとします
OpenCoreの仕組み自体はCloverと大差ありません。EFIの中にKextやDriverを入れていき、config.plistを設定するというものになっています
デフォルトのままではダメでしたので、KextやDriverなどあれこれ入れ替えたりしてみたのですが今のところ成功には至ってないです。仕組み自体がCloverと同一なので、Cloverでダメだった設定がこちらでは上手くいくなんてことは無いってことですね。無念……
続いて「絶対無理だろうなぁ~」と思いつつ
汎用向け設定で、とりあえずインストーラーまではたどり着けることの多いUnibeastを試しましたが、これですらインストーラーに到達することは叶わず、でした
Unibeastの設定を詰めるのはCLoverの設定を詰めるのと大差なく意味がないと思ったので、これは1回試しただけですぐにやめています
最後の、SSDにインストールする方法はちょっと特殊です
薄い可能性ではありますが、NVMeとの相性によってインストールできないのではないか? という疑念を潰しておくため、G-Tune P3の標準SSD(ADATA製)に実機のMacを使ってOSをインストールしてみました。結果、無事にインストールでき起動もできることを確認しました
これをG-Tune P3に戻してもブートローダーの設定がダメなので起動できないのですが、逆に言えばClover boot loaderの設定がうまくいけば(つまりインストーラー画面にたどり着けるようになれば)、とりあえず内蔵SSDのmacOSを起動することは出来そうだということが分かりました
ノートPCの場合インストール時にも色々とエラーを吐くことがありますので、OSのインストールはリアルMacにSSDを外付けしてやってしまった方が楽かもしれませんね
ちなみにSSDを取り外すのは簡単です
裏面10か所のネジを外します。プラスネジなので精密ドライバーが1本あれば大丈夫です
蓋を開ければもうSSDが見えていますのでネジをプラスドライバーで外します。これだけです。SSDの換装も超簡単ですね
余談ですが蓋の裏側にはサーマルパッドが貼られています。こういう配慮は嬉しいです
G-Tune P3 + macOSという夢なら見たのでベンチマーク
というわけなので残念ながら今のところHackintoshの夢は見れていません。しかしこのまま目を覚ましてしまうのもつまらないので、別の夢を見てみることにしました
困った時のVMWareです
Hackintoshの1万分の1ぐらいの労力でmac環境が出来上がりますので、時間ができるまでとりあえずこれで我慢することにしました。まあVMWareだったらRazer Blade Stealthとかでも全く同じことができるのでこの機種を買う意味は無いんですけどね(笑)
インストール方法はこの辺の記事が参考になるかもしれません
上記の記事はMojaveですが、せっかくVMWareで動かすのですから最新版のCatalinaを入れてみました
G-Tune P3(というかKaby Lake-G)でのCatalinaを使ったHackintoshは全く事例がありませんので私には多分不可能そう……。でもVMWareならそれが簡単にできちゃうのがメリットですね
ということで、いくつかベンチマークをとって、リアルMacbook ProやWindowsでの動作時と比較してみます
所詮は仮想マシンですので、ネイティブ動作のHackintoshと結果はちょっと違うと思いますが、時間ができたら再挑戦ということでひとまずこれでお茶を濁しておきます
GeekBench 4
まずはGeekbench 4です。軽めのベンチなので省電力コア(Uシリーズ)でも良い結果が出やすいため、実機と比べて低いスコアが出そうな部分ですが果たして……
- Single-Core Score:5093
- Multi-Core Score:16644
という結果でした。十分なスコアだと思います
同じベンチをWindowsで実行した時のスコアはどうかというと
- Single-Core Score:4332
- Multi-Core Score:13704
となっていましたのでネイティブWindowsでの実行時よりも1.2~1.3倍程スコアが良いです。CPUのリミッターを振り切るように動いてしまったのでしょうか。燃えないか心配ですね(笑) 旧バージョンのベンチなので、スコア自体がおかしい可能性も若干あるかもしれませんが
ちなみにリアルMacBook Pro(それぞれ最新モデル)のスコアは
【MacBook Pro 13(Mid2019)i7-8569U モデル】
- Single-Core Score:5405
- Multi-Core Score:19067
【MacBook Pro 16(Late2019)i7-9750H モデル】
- Single-Core Score:5041
- Multi-Core Score:23380
という感じです。スコアはGeekBench4 Result でいちばん上に表示されてスコアを引用させていただきました
GeekBench 5
GeekBench 4は古いベンチなので、現行バージョンのGeekBench 5も実行しました
- Single-Core Score:1024
- Multi-Core Score:4018
という結果。これまたまずまずのスコアです
Windowsで同テストを行った時のスコアが以下
- Single-Core Score:1049
- Multi-Core Score:3729
というスコアですので誤差は10%程度。ネイティブWindowsでの動作時とほとんど一緒と思って良さそうですね。GeekBench 5になってより正確性が増したと言っているのは本当なのかもしれません
では参考のリアルMacBook Proのスコアはというと
【MacBook Pro 13(Mid2019)i7-8569U モデル】
- Single-Core Score:1205
- Multi-Core Score:4419
【MacBook Pro 16(Late2019)i7-9750H モデル】
- Single-Core Score:1075
- Multi-Core Score:5607
というスコアでした。先ほどのGeekBench 4もそうでしたが、最新モデルのカスタムオプションCPUとほぼ同等の性能ですので大健闘ではないかと思います
CINEBENCH R15
続いてCINEBENCHです
先ほどのGeekBenchはオフスクリーンによるテストですが、こちらはオンスクリーンでゴリゴリとレンダリングしていきますので、より正確なCPUパワーが計測できそうです
結果はこちら
- CPU(Single Core):166cb
- CPUマルチ:780cb
となりました
Windowsでの同テスト時のスコアは
- CPU(Single Core):174cb
- CPUマルチ:784cb
となっていますので、仮想マシン上ではありますがCPUの性能をほとんどフルに発揮できていることが分かります
実機MacBook Proの参考スコアの方なのですが、CINEBENCHにはリザルト検索が無いためNotebookcheck 様のスコアを引用させていただいております
【MacBook Pro 13(Mid2019)i5-8279U モデル】
- CPU(Single Core):166cb
- CPUマルチ:757cb
【MacBook Pro 16(Late2019)i9-9980H モデル】
- CPU(Single Core):184cb
- CPUマルチ:1362cb
という感じでした。これまで同様、参考スコアもCore-i7で揃えたかったのですが残念ながらそこまでは無理でした。すみません
CINEBENCH R20
CINEBENCHも現行バージョンはこちらのR20ですので、同様に実行しておきます
- CPU(Single Core):413cb
- CPUマルチ:1919cb
となりました。これはかなり良いスコアだと思います
Windowsでの同テスト時のスコアは
- CPU(Single Core):423cb
- CPUマルチ:1847cb
となっていますので、やはり仮想マシン上でもCPU性能をフルに発揮できているということになりそうです。誤差はギリギリ許容範囲……かな?
実機MacBook ProについてはNotebookcheck様も実施されていないテストのようですのでスコアがありません
ネットで画像検索して数値をメモったものはあるのですが、色々見ているうちにどこのサイト様のスコアか分からなくなってしまったのでそのまま載せることはできません
おおよその数値を載せておきますので参考程度に見てみて下さい。ちなみに良い方にサバを読んでますので、本来はこれよりも少し低いスコアでした
【MacBook Pro 13(Mid2019)i7-8569U モデル】
- CPU(Single Core):415cb
- CPUマルチ:1810cb
【MacBook Pro 16(Late2019)i9-9980H モデル】
- CPU(Single Core):460cb
- CPUマルチ:3240cb
AmorphousDiskMark
最後におまけとしてストレージ速度を計測しておきます。CrystalDiskMarkそっくりなUIがステキなAmorphousDiskMarkです
このような結果になりました。実機Windowsでの計測時が以下ですので
シーケンシャルRead/Writeで半分程度の性能になってしまっていることが分かります。ランダムはもっと悪いですね。これは他の機種でVMWareを使った時も同じですので、仮想マシンの特性なのでしょうね
実際に使った感じでは他のところでモッサリするのでディスクの遅さはあまり気になりません(泣)
まとめ
ということでタイトルの「Hackintoshの夢を見るか?」という問いには
まだ見られてない
というアンサーになってしまいました。デスクトップ(特に自作)に比べてノートPCはやっぱ難しいですね。ごくたまにノートPCでスパッと行ってくれる機種もあるのですが、残念ながらこの機種は違ったようです
ただ、望んだものとは違いますが別の夢を見ることはできました。VMWareによる夢ですね
VMWareであれば最新のCatalinaも何の苦労もなく入るし、サウンドもWi-Fiも完璧に動作するなどメリットが大きいです。ただ、その代わり大きなデメリットとしてグラフィック(VRAM)の問題があります
ベンチ結果にもグラフィック関係のスコアが一つも無かったかと思いますが、VMWareで動かしたmacOSはハードウェアのGPUを認識できません。Radeon Vegaどころか、内蔵グラフィックすら認識しないのです
ハードウェアの構成に因らず一律で仮想GPUとなり、128MBのビデオメモリが割り当てられるのみとなります。metalもOpenCLもOpenGLも動きません。GeekBenchのConputeベンチやCINEBENCHのOpenGLを計測していないのはそういうわけです
というかこの仮想GPU、動画再生支援すら効きません。YoutubeとかをフルHD画質で観るのすら厳しい……。4K視聴は夢のまた夢です
こうしたことを考えると、やっぱりどうにかもHackintoshの夢を見なくては! という気持ちになってきます。そもそもdGPUを使ってmacOSを動かすというのがこの機種の最大の目標だったはず
ブートローダーの設定を試すだけなら、すきま時間でチョコチョコやれるかもしれないのでまったりと頑張っていきます
それではまた~
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