iPhone 11シリーズが発売されてしばらく経ちますが、実はこのiPhone11の発売に合わせてAppleCareが微妙に変わったことにはお気づきでしょうか?
と言っても新しいAppleCare+はiPhone(旧モデル含む)の購入時にしか選択できませんので、知らないという方も多いかもしれませんね
新しく追加されたのは「盗難・紛失オプション」というもので、従来の価格プラス2,000円で、過失による損傷に加えて盗難や紛失にも保障をつけてくれるという非常にありがたいプランです
しかし他メーカーの一般的な保険が盗難や紛失に対応しない――あるいは、対応しても高額なオプション料金を取っているのは、この保険を悪用しようとする人が後を絶たないためです
「無くした」と嘘をついて新しい端末をもらい、片方を転売してしまえばほとんどタダで商品を使うことができてしまうというのは、ちょっと考えれば誰にでもすぐ思いつくことです。もちろん違法なわけですが、そういう悪さを考える人が雨後の筍のようにポコポコ湧いてくるのも事実
今回Appleがこうした保険制度導入に踏み切ったのには、iOS13で強化された機能が密接に関わっていることが予想できます
ということでこの記事では、「AppleCareを悪用しようとしてもムダだしすぐバレるからやめておきなさい」ということを、Apple端末が位置を特定できる仕組みの解説と併せてお届けしたいと思います
なぜ盗難・紛失詐欺行為はバレるのか?
Appleがこのような保障プランの導入に踏み切ったのは、悪用しようとする人がいたとしてもそれを確実に特定できる環境が整ったからだと予想できます。ではその環境(システム)とは?
結論から書くと、iOS13によって強化された「探す」機能(旧「iPhoneを探す」)の精度がかなり高まったため、およそ想定されうるあらゆるイカサマ行為を無効にできるためだと思われます
iOS13になり、これまであった「iPhoneを探す」というアプリと「友達を探す」というアプリが統合され、「探す」というシンプルな名称のアプリに生まれ変わりました
これはただ名前が変わったりニコイチになったわけではなく、機能の強化もなされています
これまでの「iPhoneを探す」でも位置の特定は可能でした
この機能は端末がネットワークに接続できる状況にないと機能しないとされています。ここでいうネットワークとはWi-Fiだけではなくbluetoothも含まれ、Appleも独自に「iBeacon」という名前をつけたbluetoothによる位置検出機能を搭載しています
この機能を自分で設定からオフにすることもできますし、そもそもbluetoothがオフだとビーコンも使えなくなるということが一般的には言われていますが、万一の事態を想定して例え機能がオフであってもApple側では端末の位置を特定できる機能は備わっていると予想することもできます
トグルでオフにすれば切れるでしょうが、こういったクリティカルな情報だけは通信してるかも? スペアナでも使って調べれば分かるかもしれませんね……
これに加えてiPhone11にはUWB(超広帯域無線通信)チップも搭載されています
詳しい説明は省きますが、これによっても端末位置を測定できるようになります。Appleの説明ではこのシステムはAirDropの精度を向上させるためのものであるとしていますが、Apple端末が別のApple端末の位置を特定できるシステムが搭載されているのだ、ということが分かります
前置きが長くなってしまいましたが……
Appleはどのような仕組みで端末位置を特定しているのかは明かしていません。しかしこれらの機能を踏まえて考えてみると、Appleからしてみれば端末の位置を特定できる手段を色々と持っているのだということが見えてきます
- iPhoneを通常使用:GNSSやネットワークの位置情報で位置を検出可能
- VPNを使う:iBeaconは暗号化されており偽装できないので、位置を検出可能
- ネットワークをOFFにする:小規模なバックグラウンド通信は止められないので、やはり位置を検出可能
- Wi-FiをOFFのうえ、モバイルデータ通信も完全な圏外で使う:それでもiBeaconやUWBにより特定できる可能性がある
- 完全な電波暗室で使う:別のApple端末を持ち込むと、そちらの端末がネットにつながった時に位置を検出
というような感じで、隠すことはほぼ不可能ではないかと思われます
iPhone盗まれたんで新しいの下さい(しめしめ笑)
大変でしたね。新しいiPhoneをどうぞ
激安で2個目ラッキー♪ さっそく電源ON!
盗まれたって言ってたiPhone、あなたの家にあるみたいですケド?
というような感じで起動した時点(ネットにつないだ時点)で位置を特定することが可能になりますし、たとえWi-Fiやモバイルデータ通信のトグルをオフにしていても、他のApple端末がiBeaconによりその端末の位置を特定し、Appleに送信することで、どこにあるのかは分かってしまいます
4~5についてはAppleが位置情報を特定できない可能性が残っています。これらの状況下で、第三者含めて絶対にApple端末が近づかない状況を作れれば位置は特定できないでしょう
しかしそんなことをしてiPhoneを手元に置いておく意味はあるのでしょうか?
例えば『ネットはいらないけどカメラが高性能だからそれだけ使いたい』と思ったとしても、屋外に出れば通信がオフでもiBeaconやUWBによって位置は割り出されてしまいます。その高性能なカメラで撮影できるのは、電波暗室内にあるものだけ……無意味ですよね
アルミホイルでレンズ以外をグルグル巻きにすれば平気かもしれませんが、そこまでして使いたいかなぁ? という感じ。画面も覆われているのでアングルの確認もできませんしね
『動画プレイヤー・音楽プレイヤーとして使いたい』という場合も、使えるのは完全に圏外の空間だけ。そもそもそれらの用途でよければ、1万円以下の激安端末でも十分にまかなうことができます。AppleCare+でも加入料と免責額は必要ですので、どう考えてもそっちの方が高くつきます
以上のような理由から、紛失を偽装して新たな端末をもらうことは不可能ですし、完全に通信を遮断して使おうとしても活用方法が無いということになります。そして何度も繰り返しますが完全な犯罪行為でもあります
オークションとかで転売しようとしても通電した瞬間に一瞬でバレますので、絶対にやらないように注意して下さいね
iOS12にダウングレードしたら……
では、「探す」機能が無い(旧来の「iPhoneを探す」しかない)iOS12にダウングレードしたらどうなるのでしょうか?
iPhone11はデフォルトのOSがiOS13のため、ダウングレード自体ができないようになっています。しかし同じように「紛失・盗難プラン」に対応しているiPhone XRやiPhone8は、ストアから届く状態はiOS13ではあるものの、古いバージョンにダウングレードすることが可能となっています
これならいけるのではないか? と、一瞬考えてしまうかもしれません
が。iOS13の「探す」に比べると精度は劣るものの、iBeacon自体は以前のiPhoneにも搭載されていますので、これも99.9%バレるものと思われます。ただし旧モデルにはUWBは搭載されておりませんので、そういう意味ではiPhone11よりは見つかりにくいとも言えるかもしれません
それでも、iPhoneを通常想定されるような使い方をした場合に、一瞬でバレてしまうという点では同じです。iOS13及びiPhone11は、それらがさらに強化されたという感じであり、旧OSや旧端末のセキュリティもかなりのものであることに変わりありません
まとめ
こういう悪用を考える輩って、1台は売っ払ってもう1台を手元に残しておくみたいなことを考えるものだと思います。売り払ったiPhoneはまず間違いなく通常の使われ方をされるはずですので、悪事はその日のうちにバレてしまうものと思われます
Apple製品はリセールバリューが高いこともあって
ほとんどタダでiPhone11買えるんじゃね?
みたいなことを思ってしまう人もいるかもしれませんが、Appleも「十分に対策できる」と考えたからこその制度導入だと思われますので、絶対に悪用はしないで下さいね
それではまた~
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