AYANEO FLIP 1S DS(HX370版) 怒りのレビュー&ベンチマーク

AYANEO FLIP 1S DS レビュー ベンチマーク 初期不良 PC

AYANEO……ほんとマジでふざけるなよ?

AYANEOの2画面Windows端末、FLIP 1S DSを購入し届いたのですが、3日目にして完全に起動不可能になるのという不具合に見舞われました

これまでにAYANEOの製品を3回購入しました(AYANEO 2、Pocket DMG、FLIP 1S)が、全てで初期不良をくらっています。品質管理どうなってんだよ! それとも2日間(10時間ぐらい)は使えてたんだから初期不良じゃないと宣いますか? そうですか

AYANEOは機種を矢継ぎ早に発表し資金を募ってそれを製品製作費に充てているように思えます。ある種自転車操業みたいな。なので、既に製造が始まった製品の品質管理についてはザルで適当なんじゃないかと感じてしまいます

新製品ドヤる前に、今、客に届けないといけない製品に丁寧に向き合ってくれよ! と思わずにはいられません

この記事はレビュー&ベンチマーク記事ですが、見た目や質感などは好きなので本当は「好感触です」というレビューにまとまる予定でした。しかし初期不良で180度方針が変わってしまいました

とはいえ記事自体は故障する前から書き始めていましたし、そうでなかったとしても良いところはちゃんと「良い」と書きます。不当な批判はしません。でも、記事中にもチョイチョイ恨み言が出てくるとは思いますが、そこは許していただけると幸いです(笑)

それではいってみましょう

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購入動機

最近何かと話題のAndroid版ではなくWindows版を購入したのは、ゲーム目的ではなくPCとして利用したいからです

ちなみにAndroid版の方はAYNのTHORを注文しました。電波法の問題があるので海外でしか使いません(笑)

とはいえTHORはまだリリースされていませんのでこの記事はFLIP 1S DSの記事になります

残念ながら世のFLIP 1S DSレビューはゲーム目線(特にDS/3DS/Wii U)のレビューばかりなので、ここでは2画面Windows端末として見た場合のレビューを中心に書いていきます

ゲームに関することが知りたい場合は他の記事を見た方が良いと思います。というか上記例のようなエミュレーション目的だけならこの端末は高すぎるのでAndroid機を買う方が良いような……

Android機ならどっちがいいのというと、Pocket DSとTHORの争いで、AYANEO派の人は「THORはヒンジが不安だ」とか言ってるのよく見るのですが、ハッキリ言ってAYANEOの方がはるかにリスク不良品掴まされる高いと思いますけどね

開封&レビュー

配送・輸入消費税・梱包状態・同梱品など

いつも通りこのあたりから見ていきますが、AYANEOはアーサー氏が生放送にて、何時間も何時間もダラダラと話す中で化粧箱からドヤって見せてくれているので、もうみんな十分知っていると思います。なのでここは簡単に済ませたいと思います

今回はDHL→佐川という流れで5日ほどで到着しました。DHLの場合は通関が早く(たぶん機内事前通関?)かつ輸入消費税の支払いもクレカで事前に済ませられるので良いですね

輸入消費税はDHL手数料込みで2,870円でした

中身は相変わらずどうでもいいギフトセットが入っていたのですが、このポーチについては良い感じだと思います。薄型専用設計で気に入りました

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

そして今回もまた化粧箱潰れがあり……

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

AYANEOは化粧箱とかまでコストかけるクセにこういうところの細やかさは気にしないのかな? まあアーサーさんと現場の方では考え方が違うのでしょうから仕方ないのかもしれませんが

内容物とかはハンズオン動画が腐るほどあるので割愛しますが、充電器の仕様についてだけ触れておきます

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

デザインが凝っているのもさることながら4ポート/100Wの充電器が付属します。日本に適合した穴開きプラグでもありますのでここはグッドだなと思いました

全体的な品質と初期不良について

既に語ったとおりですがAYANEOの品質管理はクソだと思います

たった2日で完全起動不可能になってしまったのですが、サポートも休んでいて連絡が無いため仕方なく自分で分解して原因を探りました

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

分解自体は難しくはないのですが、パーツが破損しそうであまりやりたくはありません

で、最初は帯電を疑っていたのですが色々トライアンドエラーを重ねた結果、バックシェルを装着した状態では起動できないということが分かりました

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

シェルをつけなければ起動できるし、パチンとはめ込まない『甘挿し』みたいな感じにしておいても起動できます。でも、しっかり組んでしまうと起動できないのです(ToT)

これどういうことなのか私の知識ではよく分かりません。カタコトの英語で識者にも相談したのですが

  • ハンダの配線がショートしている?
  • 正しくアースできていない?
  • 機械的に設計が甘く、許容誤差が合わず挟み込みが起きている?
  • 放射耐性が低くノイズに敏感なせいでエラーになる?

などのアイディアをいただいたものの、現時点ではまだ解決策が見つかっていません。そもそもバックシェルはプラスチック製ですので、本当に電気的な問題なのかなぁ? という気もします

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

これはまたサポート行きになりそうです。きっとこれまで同様2か月ほど待たされることでしょう。本当もう……クソッ!

他、懸念されていたヒンジ品質・発熱問題、スピーカー音問題、さらに液晶保護フィルムを貼り付けるとデバイスを閉じられなくとされていた問題について見ていきます

私は黄色モデルを買ったのですが、実際のカラーはレビュワーさんの照明やカラーグレーディングのせいで最後までよく分かりませんでした

映えを気にして個性出してるのかもしれませんが、レビューするならフラットな色味で見せてほしいものです

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

で、実際に届いたものを確認してみると、ピュアな黄色ではなくややオレンジ寄りの黄色でした。日本人には山吹色というと分かりやすいかもしれませんね。よく言われているピカチュウカラーではないので、個人的には好きですが人によっては「思ってたのと違う!」となるかもしれませんね

報告の多いヒンジの軋み音は無し。個体によっては油の切れたようなギィギィ音が鳴るものがあるそうですので届いたら要確認だと思います

液晶ディスプレイの乱れも無しでした。これはメインスクリーンの表示がノイズのように乱れてしまうという症状です

スピーカーの異音問題も大丈夫でした。左側のスピーカーからノイズが鳴り続けるという不具合がそれなりの個体数で報告されています

これらの不具合は機種固有のものではなく個体差なのでしょうね。AYANEOガチャに外れてしまうとこうした悲劇に遭ってしまうという……。私もくらったから腹立たしさはよく分かります

私の環境でも確認できた問題点として

  • セカンダリディスプレイが超熱い
  • セカンダリディスプレイのゴーストタッチ

は他の多くの方と同様に私の個体でも発生しています

このうちゴーストタッチについてはAYA SPACEのアップデートで解消しており、私自身アップデートしたところ直ったのでとりあえずOKです。しかし画面が熱すぎるのは困りものです

体感になってしまいますが、たぶん50~60℃ぐらいありそうな感じ。触れません。しかしこの機種のセカンダリディスプレイはタッチ操作することを念頭に作られているはずです

私は別にDSや3DSのゲームはやりませんが、仮想キーボードや仮想トラックパッドは使いたいです。でも熱すぎるんです(ToT)

これから寒くなっていくとまた事情も変わるのかもしれませんが、現時点ではこの点は非常に大きなマイナスポイントだと思いました

画面についてはよくぞここまで設計したなというぐらいキレイにピッタリと重なります

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一応ちょっとだけですがギャップを設けるためのゴムもあります

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このため、液晶保護フィルムを貼れないとされているのですが、私が購入したフィルムタイプのものは貼り付けてキチンと閉じることが出来ました

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ただ、ほぼ間違いなくガラスフィルムのような厚さのあるものは不可だと思いますので購入される際は気を付けた方が良いと思います

画像には9H GLASSとか書いてあると思うのですがガラスではなく普通の薄型フィルムです。FLIP 1Sの保護フィルムはまだ日本では売ってないので海外で買いました。このへんのいい加減さが中華クオリティ(笑)

各ボタンやスティックについて

ゲームをやる方には気になるであろう部分です。私にはあまり関係ありませんが簡単に触れておきます

AYANEO FLIP 1Sのスティックは、Pocket DMGやMicro、Pocket Aceで採用されたものと同じです。かなり小さくて使いづらいです

私がやる可能性のあるシミュレーションやアドベンチャー系のゲームではあまり気になりませんので良かったですが、アクション系にはどうなんでしょうね?

サムスティックキャップを付ければ少し良くなりますが、キャップを付けた状態では本体を閉じることができませんのでゲーム中だけ付ける感じになりそうですね

あとこのスティックは経験上変色しやすいです。私は黒色スティックの黄色モデルなので問題ないのですが、レトロカラー版の方は気を付けたほうがいいと思います

次にボタンについて

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

ボタンは小さく間隔も狭いタイプになっています。評価の高いDMGのボタンと並べて撮ってみましたが、見た目以上の差を感じました。これもアクション系では誤爆が怖いような気がします

押し心地は浅いですが、コクッという感触でフィーリングとしては悪くないと思いました

Dパッドも同様で少し小さめですが、こちらは特に操作しづらい感じは受けませんでした

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押し心地はやはり浅くコクッという感触のあるタイプ

これらボタンとDパッドは高級なマウスのクリック感に似ていると思いました。安物のカチカチではないです。高級マウスの「コクッ」というあの感触です

その他のハードウェアについて

ゲーム以外のハードウェアについても簡単に触れておきます

まず光学式トラックポインタですが、これは正直使い物にならないと感じました。反応が悪く意図通りに動かせないのでかなりイライラします

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

ただこれは、他の機種で使った時にも同じ感想を抱いたのでAYANEOのせいではなく、光学トラックポインタというもの自体がこんなもんなんだと思うしかないかなと思います。ちなみにプッシュ式で、左クリックはタップだけでなく押し込みも可能です

次に音質(スピーカー)ですが

これは文章で伝えるのは難しいので世に溢れるレビュー動画を見ていただいた方が良いかと思いますが。よく言われるようにあまり良いものではありません。音もそれほど大きくないです

最後に各ボタンなのですが、これはよく出来ていると感じました

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1番と2番はいわゆるスタートセレクトボタンです

そして3番なのですが、これが非常に良く出来ています。セカンダリディスプレイインタラクションボタンで、詳細は次項にまとめますが、これがあるおかげで2画面をかなり便利に使っていくことが出来ると感じます

4番はいわゆるXbox/Steamボタンであるホームボタン

5番は音量ボタンで、ハンドヘルドとしては当然なのかもしれませんが物理ボタンとして存在しているのはありがたいです

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6番は指紋センサー兼用の電源ボタンで、横にはステータスインジケーターも見えています

7番が先ほども言った光学トラックポインタ

8番はAYA SPACEを起動するためのボタンですが、ここでいうAYA SPACEというのはメインスクリーン右サイドにフロートしてくるいつものAYA SPACEのことで、サブ画面のユーティリティではありません。これについても後述します

9番はデスクトップボタンとされていますが、デフォルトではウインドウのオープン/最小化に対応したボタンになっていました

一部のボタン類はキーマッピングも可能で好きな機能に変更することも可能です。このあたりもっと詳しく解説したかったのですが、デバイスが起動不能になってしまったので今はこれ以上書けません。クソッ!

スタイラス(タッチペン)について

DS/3DSで使いたい方が多いせいかこの点を気にする人が多いようですが、本体のみで小型のWindows機を使うためという意味でもスタイラスは考慮すべき点かと思います

知らない方が結構多くてビックリしたのですが、この機種はDS/3DSのタッチペンは使えません。そもそも方式が違っており、DS/3DSのタッチペンが感圧式なのに対してこの機種やその他多くのスマホ等は静電容量式のタッチパネルになっているからです

それだけDS/3DSが古い機種で、もうオッサンにしか馴染みがないのかもしれませんね

でもエミュレーターを使いたいという方であれば本体を持ってるはずなのに知らないとは……? 「あれれぇ~、おかしいぞぉ~?」という小僧の声が聞こえてきそうです。どうやってそのROMゲットしたの、と(笑)

閑話休題

そして当たり前ですがデジタイザのペンも使用できません。EMR(wacom proペンとかsamsung Sペン等)もAES(MPPのSurfaceペン等)も、もちろんApple Pencilも全て使えません

ということでこの機種で使うにはスマホ等で使う一般的な静電容量パネル用のペン、いわゆるタッチペンを使うことになります

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私が試してみたのは上記の通りです

この中でいちばんのおすすめはダイソーの『スリムタッチペン』です。画像右端の黒い小さいやつ。店舗で探しやすくするためパッケージも写しときました

圧倒的に小型軽量でペン先も細く、WindowsのUIを操作することもどうにかできるレベルでした

ペン先の細さで言えば左端のアクティブスタイラスの方が勝っているのですが、こちらはやはりデカイ、重い、電池が必要というデメリットがあるため簡便さでは劣ってしまいます

例えばエレコムのやつみたいに、最近の静電容量対応アクティブスタイラスならもうちょっと細いものもあります

絶対ないと思いますが、例えばこの機種で動画編集をするとかDTMするとかBlenderいじるとかする場合には、非常に細かなUIの操作をするためにアクティブスタイラスじゃないと不可能という場面はあるかもしれません

ただしデュアルディスプレイで作業しなくていいのであれば、下画面をトラックパッドモードにしさえすればいいわけですので、このあたりは各人の使い方によって感想が変わる部分かと思います

セカンダリディスプレイの扱いについて

最も気になる方が多いであろうこの点を見ていきます

まず率直な感想として、初代よりも大型化したとはいえやはり4.5インチ画面でWindowsは厳しいものがあるなと感じました。使い方を工夫しないと宝の持ち腐れになるかもしれません……上に書いたようにタッチペンを用意する必要も出てくるでしょう

ただ、Android版のPocket DSと違って1080Pの解像度があるのは不幸中の幸いです。いくら5インチでも1024×768ピクセルという解像度では、今のWindowsでは使い物にならなかったでしょうからこの点はAYANEOの英断だったなと思います

ベンチのところでも書きますが色域もPocket DSと比べてかなり良いです

さて

この機種はWindowsですので、当たり前ですが下画面は普通のディスプレイです。そこにスタートアップアプリとして登録されているAYA SPACEが自動的に表示され、よくあるこの画面になります

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ですので当然ですがAYA SPACE自体を普通にマウスで操作することもできます

このAYA SPACEの特徴として、必ず最前面に表示される仕様になっているようです。ですので他のアプリやウィンドウを単に下画面に移動させただけだとAYA SPACEに隠れてしまって見えません

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ブラウザがアクティブなのにAYA SPACEに隠れて見えない

そこでAYA SPACEの機能「Smart Dual Screen」で下画面に持ってくれば良い

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のですが、それ以外にも、先ほど紹介したセカンダリディスプレイインタラクションボタンを押すことで、AYA SPACEメインのサブ画面か普通のセカンダリディスプレイかを切り替えて使うことができます

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

AYA SPACEを一発で最小化できるうえに、アプリ自体はまだ動いてるのでもう一度ボタンを押せばすぐにアプリのUIに戻れます。タイムラグもほとんど無いです

これはかなり気が利いてると思います。逆にこのボタンが無かったらストレスがヤバかったと思いますが、本当にこの機能を物理ボタンとして搭載してくれているのは有難いです

ということで私のように「普通の2画面Windows PCとして使いたい」と思っている方も、何ら不便なく使えますので安心して下さい。ただし画面はめちゃ小さいですけど(笑)

ユーティリティ(AYA SPACE)について

そんなAYA SPACEですが、主にゲーム向けといえる機能が多いものの、シンプルに2画面を便利に扱うためのツールも含まれているため少し掘り下げてみます

なおここで触れるAYA SPACEとは、サブディスプレイに表示される二画面を便利に使うためのユーティリティのことを指しています

他にAYAボタンを押すことで表示できるいつものAYA SPACE機能もありますが、こちらについては目新しいことはないので割愛させていただきますが、例えばバイパス充電を有効にしたい場合などはこっち側にありますので、どの機能がどこにあるのかは早めに確認しておくと良いと思います

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

他、ゲームなどのアプリをフリーズしておけるIce Seal機能もこちらの方から使うことになります

さて

2画面向けの機能としてはまず、仮想トラックパッド&仮想キーボードが備わっています

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仮想トラックパッドはゴーストタッチがあるうちは完全ゴミで使い物になりません。早々にAYA SPACEをアップデートし、不具合を解消すれば光学式のトラックポインタよりも使いやすいですので便利かなと思います

閉じ方が分かりにくいのですが、上部にあるバーをタップすると閉じることができます

続いて仮想キーボードですが、これは出来が良いと思いました

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

一般レイアウトのほか、スマホのような文字入力重視のミニサイズキーボードに切り替えたり、ショートカットやユーティリティキーに特化したキーボードに切り替えたりすることが可能です

また、上部にメニューがあると思うのですがこちらから各キーボードの切り替え以外に、テーマの変更や振動の強弱設定なども可能となっています。右端の矢印タップで簡単に閉じられます

ただ、個人的にちょっと残念だった点もあります

私はJISレイアウトの外付けキーボードを使用しているのですが、仮想キーボードを使用した際にはやはり英字配列のキーとして表示されてしまいます

例:JIS配列の場合、「Shift」+「2」キーでダブルクォーテーションですが英字配列の場合には@になります。仮想キーボード上には@と表示されたままですが、実際に仮想キーボードで入力すると「”」が出力されます

つまり、物理的に英字キーボードを接続してキーボード配列設定をJIS配列にした場合と同じことが起きる、ということです

まあ仕方ないですね

ちなみに、ミニサイズキーボードを使用するとスマホと同じように@などの記号キーが単独で表示されるのですが、これを押した場合にはきちんと表示通りのキー出力となりますのでこの点は良かったです

AYANEO FLIP 1S DS レビュー

その他概要として、サブ画面下部にタブがありますがここから様々な機能にアクセス可能です

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モニター機能ではアクティブウィンドウに応じてFPS表示の有無が自動的に切り替わります。パフォーマンスタブではプロファイルの設定変更が可能です。クイックアシストは便利機能が集まっているのですが、ここに特殊キーが設定されているのも良いと思います

残り2つのタブ、アプリのショートカット登録タブの機能は分かるでしょうし、スマートディスプレイタブは先ほど説明済みのため割愛します

これら機能の切り替えがゼロレイテンシーと言っていいほどスムーズで、タップ(クリック)だけでなくスワイプでも行き来できるなど、良い意味でWindowsっぽくないです、スマホのように扱えるので、まだちょっとバグはありますがこのアプリは本当に優秀だと思います

本当になぜソフトウェアは優秀なのにハードウェアの品質管理はクソなんだろう……

FLIP 1S DS(HX370/64GB版)実機ベンチマーク

続いてベンチマークを計測していきます

今回eGPU接続でのベンチについてはまた別記事に回すことにしましたので、ここでの趣旨は

同じHX370を搭載しながらTDP54Wまで可能なGPD DUOと比較して本機の性能がどうなのか?

という点になります。奇しくもデュアルディスプレイである点も同じですので比較対象として良いのではないかと思います

どうも、CPUやGPUが同じだとそれだけで同じ性能だと思ってしまう方がかなり多いようです

これはそう仕向けているメーカーのせいでもあるのですが、実際にはどれだけのリソース(電力)を注げるか? それに伴う発熱を適切にさばけるのか? という点で、同じCPU/GPUであっても性能は全然違ってくるのです

ただ、ベンチに入ってく前にいくつか前置きを

OcuLinkが無いことについて(読み飛ばし可)

上に書いたようにeGPUを接続してのベンチマークは別記事に回しますが、前モデルのFLIP DSには備わっていたOcuLinkが本機には搭載されていません

このことについて懸念が無いわけではないのですが、その代わりに今回は違ったアプローチから見ていってみたいと思います

そもそもThunderbolt接続がOculinkよりも性能で劣ってしまうのは転送速度の違いによるものなのですが、これを40Gbpsと63Gbpsの違いだと思っている方が結構いますが、実はそうではありません

TB接続の場合にはPCIeデータ転送以外にも様々な通信が必要になるため、システムが予めそれらの帯域を確保するためのプロトコルが存在し、これがeGPU使用時のオーバーヘッドになってしまいます

それをトンネリングすべく、言ってみればシステムを騙すためのUSB4エンクロージャーを使用した手法がちょっと前から話題になっており、これによってOcuLinkに匹敵する(少なくとも純TB接続よりも確実に高速に動作する)性能を発揮することが出来るとされているのです

AOOSTARのeGPUドックがこの裏技(?)を採用したことでユーザーの間で話題となり、その後DIYでも同じことが可能だということが判明してきたとされています。フランケンシュタインとか呼ばれてますね(笑)

これが事実ならOcuLinkポートを採用していない点がガッカリポイントにならないことになります。しかもOcuLinkでは不可能なホットプラグまで可能になるというオマケ付き♪

この点を少し突っ込んで確認するため、今回eGPU使用については別記事とさせていただきました

その別記事、本当は同時公開したかったのですがFLIP 1Sが壊れましたのでしばらくおあずけとなります。すみません

なお、別記事で詳しく書きますが、USB4エンクロージャーなら何でもいいわけではないので、真似しようと思う場合には製品選択に注意して下さい

ベンチマーク環境について

当サイトをよく読んで下さっている方にはおなじみの言葉かもしれませんが、私は貧乏です

提灯レビューをしたくないのでメーカーや代理店からの商品提供・貸与は一切受けておらず、全て自腹で買っています。純粋にガジェットが好きだから、生活費を削って好きなガジェットを買い漁っているオタクです

ですのでエアコンをつける余裕がありません(ToT)

そんなわけでこの猛暑でもエアコンをつけずにPCいじりをしているのですが、冬場にとったベンチマークと比較して、現在の気候では性能が5~7割程度にまで低下していることを様々なPCで確認しています。CPUもGPUもどちらもです

また、eGPUも同様に性能低下を確認しています。そもそも私が使っているのはポータブル機ですので、据え置きのeGPUと比べると冷却性能は犠牲になっています

酷暑で計測した今回のベンチマークスコアは製品の性能を正確に測るものになっていません。高温環境においての性能として見た方がいいと思いますし、絶対的な性能指標ではなく相対的な性能指標として参考にしてみていただけたらと思います

  • 機体はHX370 / 64GB RAM / 2TB SSDモデルです
  • RAM速度 7500MT/s(デフォルト)
  • AMDドライバはAYANEO提供(プリインストール)のものを使用
  • Windows 11 24H2 Windows Updater全適用済み
  • AYA SPACEにてExtremeモード(TDP 28W、FPSリミットなし、電源設定パフォーマンス優先)のデフォルト状態で計測
  • CPU/GPUクロックはフィックス(固定)、Smart TDPオフ、CPUターボもオフ。これらもAYA SPACE Extremeのデフォルト設定です
  • 電源接続状態(非純正100W)
  • 環境温度35℃前後
  • 日本語環境
  • 解像度1920×1080・拡大率125%

それでは確認していってみます

ディスプレイ色域測定

まずディスプレイの色域を測定します

AYANEO FLIP 1S DS 色域AYANEO FLIP 1S DS 色域

メインディスプレイ サブディスプレイ
sRGB カバー率 100% 100%
DCI-P3 カバー率 100% 95%
Adobe RGB カバー率 93% 91%
NTSC カバー率 91% 87%

このような結果でした。非常に良い結果で嬉しいです

この点がPocket DSと比較した明確なアドバンテージで、サブディスプレイの性能に明確な差があります

エミュ目的の方にとっては5インチパネルの方が良いのだと思いますが、ゲーム以外で使いたいWindows機として見た場合には、最低でも1080Pという解像度と色域が重要になりますので、これはFLIP 1Sの方を選んで大正解だったと思います

PassMark(CPU Mark)

続いてPassMarkです

ここからは同じAPUを搭載したGPD DUOとの比較でまとめていってみます。先述の通り、全てのテストにおいてAYANEO FLIP 1S DS:TDP28Wに対してGPD DUO:TDP 54Wとなります

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク passmark

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
PASSMark 9508 8717
CPU Mark 28820 38238
2D Mark 1017 1259
3D Mark NA 9154
MEMORY Mark 2683 2834
DISK Mark 13055 35491

このような結果となりました。やはりTDPの差が出ているようですが、それより何よりやっぱり気温がヤバすぎます。性能低下エグイです

他のテスト含め、CPU温度が簡単に100℃に達するのを何度も見ました。GPUの方は負荷がかかっても90℃程度だからまだマシ(!?)なのか

でもそれらを差し引いても高性能ゴリゴリマシンだとは思わない方が良い感じですね。HX370と言っても様々です

ちなみに3D Markのスコアが計測できていないのはポートレート画面を使用したPCで良く起きる現象になっています。のでこのスコア及びそれが関係するPASSMarkスコアは比較しないようにしてください

CrystalMark Retro

こちらのベンチも3D計測が正常に行えていませんのでご注意下さい。ハンドヘルド機あるあるです

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク crystalmark retro

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
All 27135 29340
CPU(シングル) 15459 16109
CPU(マルチ) 135449 190782
ディスク(read) 40135
553
39593
670
ディスク(write) 44469
1511
41945
2496
2D(テキスト) 9606 13409
2D(スクウェア) 17015 21972
2D(サークル) 15767 19522
2D(イメージ) 16389 21735

こんな結果です

やっぱり性能は下がってますね。AYA SPACEのプロファイルをカスタムしてあげればもっとスコアを伸ばせるでしょうが、今の気温では厳しいですし収穫逓減であまりメリットも無いでしょうから、ベンチのため以外ではあまり意味もないかな?

TDP 28Wですら微妙で、バランスプロファイル(TDP 15W)運用が良いような気もします

GeekBench 5&6

経験上GeekBenchは酷暑でもそれほど性能低下がみられなかったベンチマークなのですが、今回はどうでしょうか?

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbenchAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbenchAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbenchAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbench

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
GeekBench5 シングルコア 1947 2172
GeekBench5 マルチコア 10990 14020
GeekBench5 GPU(OpenCL) 40238 55458
GeekBench6 シングルコア 2658 2941
GeekBench6 マルチコア 12362 14609
GeekBench6 GPU(OpenCL) 31807 42272

うーん、想像していたよりスコアが下がってました

たぶんこれは気温のせいだけではなくクロックを抑えていることによるスコアなのだと思います

CINEBENCH R23/2024

CINEBENCHは酷暑下では50%程に低下したのを見たこともありますが

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク CINEBENCHAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク CINEBENCH

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
CINEBENCH R23 シングルコア 1885 2036
CINEBENCH R23 マルチコア 14738 22078
CINEBENCH 2024 シングルコア 109 116
CINEBENCH 2024 マルチコア 859 1186

こんな感じでこちらは逆に思ったより下がりませんでした

2024のマルチコアでは600ポイント台になったのを見たことあったので今回もそうかと思っていたのですが……

PCMark10

総合的な使用感を見られるこのテストではどうでしょうか

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク PCMARK

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
Essentials 10565 10967
Productivity 9520 9941
Digital Contents Creation 9076 11444
総合スコア 6954 7718

やはりTDPが低い分グラフィック性能に差が出てDigital Contents Creationのスコアが開いてますね。これは当然の結果だと思います

しかし一般利用を想定したテストは検討しているようで、ホームユースやオフィスユースであれば快適な使用感となりそうでその点は安心ですね

Fire Strike(3DMark)

ここからGPU主体のベンチに入っていきます

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Fire Strike

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
Graphics Score 8227 9818
Physics Score 23995 29027
Combined Score 2775 3378
総合スコア 7493 8995

ん~やっぱ厳しいですよね。CPUもGPUも奮いません

これなら8840U版でいいじゃん! というのは言いっこなしということにしないと悲しくなりそうです

Time Spy(3DMark)

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Time Spy

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
Graphics Score 2592 3562
Physics Score 8801 9814
総合スコア 2898 3938

うーん……

もちろん気温のせい、TDPのせいということもあります。もっと涼しい時期にTDPを上げてクロック設定を見直せばスコアは伸びることでしょう

しかし例えば同じTDP域ではるかに良好な結果を出してくれるLunar Lakeなんかと比較してしまうとちょっと悲しくなってきます

Port Royal&Speed Way&Steel Nomad(3DMark)

マシンの性能を考えるとあまりやる意味がないのですが参考情報としてこれらのテストも実施しました

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Port RoyalAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Steel NomadAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Speed Way

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
Port Royalスコア 1261 1926
Speed Wayスコア 339 569
Steel Nomadスコア 447 575

こんな感じです

VRMark

このベンチはリフレッシュレートが関連する項目がありますが、今回はメイン画面側(120Hz)で実施した結果となっています

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク VRMarkAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク VRMarkAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク VRMark

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
Orange Room 3613 4264
Cyan Room 2715 2752
Blue Room 719 1014

こんな感じです

このうちCyan Roomがリフレッシュレートに影響されますが、GPD DUOの60Hzパネルに対してAYANEO FLIP 1Sは120Hzのため、このテストだけ拮抗した結果となっています

上記理由によるものですので、実際には全てのテストで劣っているという結果となります

ドラクエ10ベンチマーク

設定は1920×1080・最高品質・フルスクリーンです

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク DQベンチ

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
スコア 13862 17150
評価 すごく快適 すごく快適

ここまで軽量級のゲームであれば気温もTDPも問題にならないですね

FF14ベンチマーク(黄金のレガシー)

設定はいつも通り、1920×1080・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウです

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク FF14ベンチ

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
スコア 3659 6778
評価 設定変更を推奨 やや快適

このような結果でした

このベンチも経験上、酷暑ではスコアがガクッと下がるのを色々なPCで確認していますのでこの結果もやむなしかなと思います

しかしゲーム向けを想定している機種でこのスコアはいかがなものかという気もしなくもありません

FF15ベンチマーク

設定は1920×1080・標準品質・ウィンドウです

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク FF15ベンチ

AYANEO FLIP 1S DS GPD DUO
スコア 2673 4610
評価 やや重い やや快適

うーん……さっきもそうでしたが同じAPUとは思えないほど差がありますね

CPUやGPUの型だけでは・ネットに転がるベンチマーク結果だけでは、そのPCの性能は分からないのだなぁということが再確認できたので良かったと思うことにしないとですね

CrystalDiskMark

搭載されているSSDと、microSDカードスロットの速度を計測します

計測に使用したSDカードはこちらになります

AYANEO FLIP 1S DS crystaldiskmarkAYANEO FLIP 1S DS crystaldiskmark

本体SSD
microSDカードスロット
SEQ1M Q8T1 Read/Write 5458.76 / 5208.86 93.41 / 82.39
SEQ1M Q1T1 Read/Write 2976.96 / 3159.78 92.86 / 84.44
RND4K Q32T1 Read/Write 246.17 / 186.25 9.55 / 3.51
RND4K Q1T1 Read/Write 32.75 / 59.42 8.37 / 3.61

こんな感じでした

2230サイズなので速度控えめなのは仕方ないのですが、それにしてもランダムリード/ライトの遅さが少し気になりますね。実用上気になるかどうかは本体壊れて確かめられませんけど(泣)

まとめ

ということでこの記事ではAYANEO FLIP 1S DSについての所感とベンチマークを書かせていただきました

初期不良のムカつきは一旦置いておくとして

見た目も愛らしく非常に満足度の高い機種だと思います。ただ、その個性を活かしきるためには明確な目的も必要だと感じます

私がデュアルディスプレイを使いたいのは、例えば動画編集をしていてUIとプレビュー画面を別にしたいとか、3DCGを制作していてシェーダーエディターやノードエディターを別にしたいといった使い方になるのですが、それをやるにはこの画面は小さすぎます

画面が小さいことは最初から分かってたわけで完全に自分のせいなんですが、それでもやっぱツライです……

悩ましいのが、このフォームファクタを活かすにはやはりDSや3DSのエミュレーションが最適だと思われるのですがそれにはAndroid機の方が良いだろうと思われることです。なんといっても値段が全然違いますので

HX370も8840UもS3スリープに対応してませんので休止状態で運用するのが基本になると思います。しかしゲームをやるとなるとスリープ運用する観点から考えてもAndroidの方が良いような気がします

ソフトウェアの出来がよいだけに余計に悩ましいですね。Android版ならこのぐらい当たり前だと思いますが、Windows機でありながらAndroidのように扱いやすくしてくれたおかげで、Windows機のメリットを活かしつつスマホのように使っていけるのは大きなメリットだとも思いますし

あと、HX370版を買いましたが異常気象のせいもあって全くその恩恵を受けられていません。これなら10万円以上安い8840U版で十分だったかなと思います。ただ8840U版は黄色が無いんですよね

ちなみに8840U版は再販無しと言われていますが、いちおうAliexpressでは普通に注文できます。届くかどうかは不安ですが欲しい方はそちらを狙ってみるのもありかも? しれません

それにしても酷暑でここまでPCの性能が低下するというのは驚きです

もちろん夏場はなんか重いなとか、ファンがうるさいなと感じることは以前からありましたが、夏と冬とで2回ベンチマークをとって比較したことって無かったんですよね

でも今年はあまりの暑さのせいかどのPCも挙動がおかしくなってしまって「これは変だぞ」とベンチを計測し直してこれほどの性能差が生じてしまうことを実感しました

単純にCPUやGPUの型式だったり、あるいはネット上に転がっているベンチの結果などからそのPCの性能を図ることはできないんだな、分かった気になっちゃダメなんだなと改めて気づかせてもらうきっかけになりました

環境それぞれ人それぞれ。レビュワーが「この機種すごい」とか「この機種ダメ」とかゆーちゅーぶで宣ってるのは全く鵜呑みに出来ないってことですね

文句言う前にエアコン付けろよ貧乏人

と思われるでしょうが、それはおっしゃる通りですね

最後くり返しになりますが、AYANEOの品質管理は本当にひどいですので、それでも買いたいなら国内代理店で買うことを強くおすすめします。その方がまだダメージが少ないでしょうから

それではまた~

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