主にビジネスユースを想定し長年愛されているレッツノートPCに、新モデルとなるQVシリーズが登場します
このモデルは4コアCPUを搭載した2in1PCとして世界最小であることを謳っており、他にもいくつか魅力的なポイントが見受けられる機種にまとまっているようです
実はこの製品について記事を書くつもりは全く無かったのですが、昨日TwitterでOne-Netbook(しかも公式)が
レッツノートQVシリーズがクアッドコア搭載2in1モバイルノートで世界最小でいられる期間は非常に短いかもしれませんね
とかいう勘違いツイートをしていて腹が立ったので、騙されてしまう人が出てしまわないように記事を書いてみようと思いました
世界最小・クアッドコア搭載2in1ノートPCとは?
まず、レッツノートQVのセールスポイントである『世界最小4コア搭載モバイルノート』とはどういうことなのか、ざっくりと解説したいと思います
細かく書きすぎるとライトユーザーが混乱するためこのような表記になったのだと思いますが、正しくは
『世界最小・Intel Uシリーズクアッドコアプロセッサ搭載 2in1ノートPC』
となります。この表記を割愛したがためにOne-Netbookのような勘違いする輩が出てきてしまうのだと思いますので、パナソニックももう少し正確な謳い文句を掲げた方が良かったのかもしれませんね
Intelがラインナップしているモバイル向けプロセッサで4コアのCPUは、4コア4スレッドのAtom、4コア8スレッドのCore i-Yシリーズ(実質Core m)、そして4コア8スレッドのCore i-Uシリーズが存在します(Atomはディスコンだけど……)
レッツノートQVはこの中では最も性能の良い、TDP15WのCore i-Uシリーズを搭載した2in1ノートPCとして、世界最小となっているわけですね。このクラスのCPUは第8世代から4コア化され、レッツノートQVに採用されているのも第8世代CPUとなっています
それに対してCore i-Yシリーズは第10世代CPUから一部のモデルが4コア化されました。One-NetbookがイキッているOneMix3 Proに搭載される4コアCPUというのは、このYシリーズとなっています
Core i-Yシリーズ(旧Core m)は、4コア化され確かに性能は向上しています。しかしCPUの能力はかなりTDP(主に電圧)に左右されますので、TDPの低いCore i-Yシリーズの場合だと、たとえ世代が新しくてもよりTDPの高いUシリーズほどの性能は期待できません
大昔のCore i5-4200Uとかにだったら勝てるかもですけどね
アプリがマルチコアに最適化されてる場合でも、2コアのUより4コアのYの方が勝る場合もある
イキっていたOneMix3 ProとレッツノートQVを比較
では、奇しくも同じYOGAスタイルを採用した2in1PCである両者を比較してみたいと思います
Let’s Note QV |
Let’s Note QV プレミアムエディション | OneMix3 Pro | |
CPU | Core i5-8265U(4C/8T) 1.6GHz / 3.9GHz |
Core i7-8665U(4C/8T) 1.9GHz / 4.8GHz |
Core i5-10210Y(4C/8T) 1.0GHz / 4.0GHz |
TDP | 15W | 7W | |
iGPU | Intel UHD Graphics 620 | Intel UHD Graphics | |
dGPU | 無し | 無し | |
メモリ | 8GB LPDDR3 | 16GB LPDDR3 | 16GB LPDDR3 |
OS | Windows 10 Pro | Windows 10 Home | |
ディスプレイ | 12インチタッチ 2880×1920 3:2アスペクト |
8.4インチタッチ 2560×1600 16:10アスペクト |
|
ストレージ | 256GB SSD NVMe | 512GB~2TB SSD NVMe | 512GB SSD NVMe |
インターフェース | USB3.0 Type-A × 3 USB3.1 Type-C(Thuderbolt3対応) × 1 SDカードリーダー HDMIポート アナログVGA端子 有線LANポート イヤホンジャック |
USB3.0 Type-A × 3 USB3.1 Type-C(Thuderbolt3対応) × 1 SDカードリーダー HDMIポート アナログVGA端子 有線LANポート LTE対応 nanoSIMスロット イヤホンジャック |
USB3.0 Type-A × 1 USB3.0 Type-C × 1 micro SDカードリーダー micro HDMIポート イヤホンジャック |
無線 | Bluetooth 5.0 Wi-Fi 5(IEEE802.11.ac)まで対応 |
Bluetooth 5.0 Wi-Fi 5(IEEE802.11.ac)まで対応 |
Bluetooth Wi-Fi 5まで対応?(未表記) |
サイズ | 273 × 209.2 × 18.7 mm | 204 x 129 x 14.9 mm | |
重量 | 949g | 969g | 659g |
このようになっています
OneMix3 Proはイキる相手を間違えてる気がしますね(笑)
これがIce Lakeだったらまだ戦えた気もしますが、同じ14nmプロセスのAmber Lakeじゃあ勝負になってません。使いみちがまるで違っていて、OneMix3 Proはあくまでカバンに忍ばせておくサブ機です。One-Nebookさんは早いとこツイートを削除すべきですね
あと、発熱問題なんとかしてから言って下さい。5WのCPUでアチアチだったのに、何の改良もせずガワ使いまわしで7WのCPUに載せ替えても地雷としか思えません
本題に戻って
レッツノートQVの方はさすが、世界最小を謳うだけあってフットプリントの小ささは魅力的ですね。と言ってもSurface Proとそれほど大きな違いがあるわけではないので(しかもあっちはIce Lake!)、ふおおおお! っと魂が奮えるほどの感動はありません
しかしI/Oポートの豊富さは魅力です。これぞレッツノートという感じですね
サンボルにも対応していますので、eGPUによるグラフィックの底上げも可能となっています。カスタムモデル限定となりますがSIMスロット搭載でLTE通信に対応させることもできますので、この点も人によっては大きなアドバンテージかもしれませんね
ディスプレイも進化しています。高解像度かどうかはどうでもいいのですが、液晶アスペクト比が3:2というのは個人的にはめっちゃ惹かれるポイントで、作業がしやすそうだなと感じます
ただレッツノートのディスプレイは、ビジネスユースを想定しているからなのかあまり発色や色再現性がよくないというのが通例です。画像編集・動画編集などにはむかないのではないかと予想しています
同じYOGAスタイルを採用するRZシリーズと違って、レッツノートらしいクルクルタッチホイールを採用しているのも嬉しいポイントです。この縁のところをクルクルしてスクロールするのが病みつきになるんですよね
一方で残念だったのがキーボード
キーピッチ19mmを確保してくれたのは嬉しいのですが例によって横だけで、縦のキーピッチは狭まっています。そのうえでアイソレーションタイプのキーボードが採用されていますので、ちょっとタイピングはしづらそうに思えてしまいます
SVシリーズは非アイソレーションという従来のスタイルを維持しているので、ぶっちゃけそっちの方が魅力的だったりしますね。メーカーもその点が分かっているのか、QVシリーズの製品ページにはキーボードの紹介がほとんどありません。意図的に隠している風ですらあります。他のモデルはめちゃキーボードアピールしてるのに……
まとめ
ということで今回はひょんなことからこちらの記事をまとめるに至りました
こうして書いていますが、私はこの機種にはちょっと食指が動きません。確かに小型なのですが、これだったらIce Lakeを採用した新Surface Proの方が、ほとんど同じサイズ感でグラフィック能力ははるかに高いですので魅力的に思えます
それとレッツノートは価格が最大のネックです……
品質・信頼性を価格に照らしてみた際のコスパは悪くないのだと思いますが、性能対価格で考えてみるとぶったまげるぐらいコスパが悪いです
製品としてはとてもいいものだと思いますので、パナソニックさんはどうかもう少し価格を抑える努力をしていただけたらと思います
それではまた~
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