まずはじめにお断りしておきますが、私は絵がヘッタクソです。謙遜ではなく、本当に小学生レベルだと思います
ですのでプロ級のイラストレーターの方とか、いわゆる『絵師』さんと言われるような方達と同じ目線からのレビューは期待薄です。あくまでも、お絵描きが好きな一般ピーポーが、Surface Book 2やiPad proなんかと比較した描きやすさをレビューする記事だとお考え下さい
さて
初期不良があったため、販売店に返送してからこのレビューをお届けするつもりですと前回書きましたが、販売店の対応がスローリーなためまだ手元に機体があります(怒)
ということで予定を繰り上げて検証を行ってみたわけですが、そんな理由から
- ペーパーライクフィルムはまだ貼ってない
- Photoshopもクリスタも体験版を使用
という環境でのテストとなります。使用期限やファイル保存の制限はありますが、お絵描きに関してはどちらも製品版と全く同じに使えるわけですので影響はないはず。なのですが、補足としていちおうお伝えしておきます
ちなみに、使用しているペンは純正ペンと同じ仕様(Microsoft Pen Protocol)のSurface Pen現行最新モデルです
では行ってみましょう
OneMix 3S + Photoshopでお絵描きを試す
結論から言うとこれはイマイチでした
近年のPhotoshopはMicrosoftが推し進めるデジタイザの統合規格であるMicrosoft ペンプロトコル(Windows Ink)にデフォルトで対応していますが、描き心地がいいとは言えません
筆圧も傾き検知も効くのですが、何だかつっかえるような印象があります。筆圧の出方も滑らかなカーブではなく、ドバっと出てドバっと痩せる印象です
Surface Book 2も全く同じでしたので、恐らくMicrosoft ペンプロトコルとPhotoshopの相性なのではないかと疑っています
Surfaceであれば、専用アプリから筆圧感度などを設定できますがOneMix 3Sにこのアプリを入れてみても動いてくれませんでした
後はペンの設定データ(.datファイル)とかを編集すると改善するという噂もありますが、私はそこまでの情熱が湧きません。そこまでしないと快適に絵が描けないというのは手間かなぁ、と感じちゃいます
ペンの追従性は、描画されるまでの遅延は感じるもののスキャン精度は悪くないように思います
高速グルグルもカクついたり途切れたりすることなく、きちんと反応していました
続いて視差について試してみます
このような見本を用意し、それをなぞる形で線を引いていきます。線が見えてしまっているとそれを頼りに描いてしまうので、レイヤーの不透明度を0%にして見えない状態で、あくまで見本だけをなぞるようにして線を引きます(ポインタは見えちゃうけど、そこはなるべく見ないように笑)
なぞり終わったあと、不透明度を100%に戻してみた画像がこちら
ズレてる……
見かけ上とはズレて描かれてしまうことが分かりました。特に下段の方がズレがひどく、線がつながっていないことが分かります
実は描いているとき、チラチラとペン先ポインタが見えてしまったのですが、実際のペン先とけっこうズレてるなぁというのも感じました
このあと解説しますがクリスタではこの視差がかなり改善していましたので、おそらくPhotoshopとの相性なんだろうと思われます
次に実際に簡単な絵を描いてみます。当サイトのマスコット(?)キャラクター『ごろいど君』を描いてみました
鉛筆による下書き。尻ボタンがデフォルトで消しゴムとして動作するのは便利です。あと、2本指ジェスチャーでの拡大縮小・回転も滑らかで、このあたりは好印象です
ペン入れ。何か線がヨレヨレしてますが、たぶんこれは自分のせいです
色塗り。下地は塗りつぶしツールですが、多少シャドウ/ハイライトをのせて、指先ツールでなじませたりしてみました。
描き終わってみた感想としては、iPad Proのようなダイレクトに紙に描いてる感は味わえないけど、ポインタを見ながら描けばそれなりに描けるというものです。昔から板タブとか使ってる人は抵抗無いんじゃないでしょうか
簡単な絵しか描いてないので当然かもしれませんが処理のもたつきも無いですし、指先ツールでガシガシぼかしていくのもスムーズでした
線がヨレヨレしてる件については、自分のせいか機体のせいか判別できませんでした。すみません
OneMix 3S + CLIP STUDIO PAINTでお絵描きを試す
続いて、今やすっかりお絵描きソフトNo.1の座を不動のものとしたクリスタで試していきます
このソフトは線の補正機能などもありますので、さっきみたいにガタガタになることは無いと思うのですが……
筆圧検知、傾き検知ともに良好です。筆圧検知は手振れ補正が効いていることによるごまかしも多少はあるでしょうが、傾き検知の精度は純粋にPhotoshopよりも上だと感じました
続いて追従性チェック。例のグルグルです
こちらも滑らかですが、これに関してはPhotoshopも滑らかだったのでどっこいどっこいといった感じです。クリスタもフォトショも遅延は多少ありますが、絵を描いていてそこまでペン先を高速で動かすこともそうないと思いますので問題ないレベルかと
続いて視差チェックのため、見本なぞりをやってみます。条件はさっきと一緒で、レイヤーの不透明度を下げて見えなくした状態でなぞります
Photoshopではダメだった下段の視差が改善しています。なぜこのようになったのかは分かりませんが、角の交点もほとんどはみ出してないですし、視差が抑えられたと言えるのではないでしょうか
さっきと同じステップを踏んでいきますので、次は簡単な絵を描いてみます
鉛筆の下書き。尻ボタンは消しゴムとして動作しますが、たまに反応しないことがありました。あと、拡大縮小や回転のジェスチャーはPhotoshopの方が滑らかですね。OneMix 3Sのスペックの問題なのかな?
他のAdobeソフトでもそうでしたが、同系のソフトを使った時Adobeのソフトの方がパフォーマンスが上がりやすいです。その辺はさすがAdobe様、って感じなんですかね
ペン入れをしてみました。なんかまた線がガタガタに。アル中じゃないのに(泣)
色塗りです。さっきと一緒でベタ塗り+ハイライト/シャドウの付与の後、ぼかしツールでぼかしています。作業のしやすさはPhotoshopと変わらないのですが、Photoshopと比べてパームリジェクションの効きが甘いような気がしたのが気になります。ちょっとイライラしました
描き終わってみた感想として、手振れ補正のおかげなのかもしれませんがPhotoshopよりも線が滑らかに描ける印象です。特に筆圧や傾き検知の精度はこちらが上かなと思いました
その代わりジェスチャー操作がイマイチ反応が悪かったり、尻ボタンの反応やパームリジェクションの無反応など、ちょっとイラっとすることも増えました
ということでクリスタの方がしっかり描けそうですので、最後にちゃんとした絵をひとつ描いてみようと思います(あくまで私レベルでですが)
私の大好きな天野明さんの絵の中から、PSYCHO-PASSの狡嚙さんを描いてみます。模写…というかほぼトレースですが(笑)
そんなに大きな画像じゃなく、フルHDを縦向きにしたサイズで72dpiです。つまりweb用であり、印刷等には厳しい解像度ということになります
ところがこの程度の画像サイズでも、後半は動きが少しモッサリしてきてしまいました。レイヤーは10枚ちょっと。うーん……意外とOneMix 3Sが非力なのかな
私がふだんクリスタを使わないので、どのぐらいマシンパワーを食うのか基準が分からないのですが、このぐらいは余裕だと思っていたのですけどね
ただ画像のタスクバーを見てもらうと分かりますが、Photoshopを裏で同時起動しています。その負担もあるかもしれません。でも、メモリ16GBなんだからこのぐらいの負荷には耐えてほしいところです
まとめ
ということで2つのソフトで絵を描いてみたわけですが、私の感想としては
絵を描くならやっぱりiPad Proで描くのがいちばんかな
ですかね。ただ、iPadだとデスクトップ版のPhotoshopもクリスタも使えないわけですので、使い慣れたソフト・環境でお絵描きしたいという方にとってはありなのかもしれません
私のようなド素人でもある程度正確に模写というかトレースできましたので、絵心のある方でしたらステキな作品も作れると思います
良かったなと感じた点は、線を引く時に本体をクルクル回して描きやすい方向から線を引けることでしょうか。以前からある8インチ級お絵描き級タブの利点でしたが、それらと比べると遥かにスペックが上回っていつつ同じように使えるため、かなりサクサク描けます
気になった点はパフォーマンスの低下ですかね。今回ほとんどYOGAモードで作業したのですが、本体がかなり熱くなっていたのが気になりました
YOGAモードにすると、本体底面にディスプレイの裏側がかぶさるわけですが、このせいでうまく吸気できていないのではないかと思います
密着しないようにゴム足がついてますし、机に置いてるのと条件は一緒じゃん! と思うかもしれませんが、比べると明らかに熱いです。何でなのかちょっと分からないのですが、表面積とかの問題なのかなぁ
そろそろまとめます
第8世代コアとメモリ16GBによって、8インチ級端末でもかなり快適に絵を描くことができるようになったなと感じます。スペック的には、これで仕上げまで行うことも不可能ではないでしょう
ただ、ペンのズレもありますし画面も小さいですので、拡大しながら細かく仕上げていくという作業工程になると思います。ですので、デスクトップとか大型ノートで同じ作業をするよりも、作業時間はかかってしまうと思います
私自身これまでお絵描き端末を、Vivo tab、Cube i7、Surface Proシリーズ、raytreak tab、Surface Book 2と使ってきましたが、持ち運びの便利さとスペックのバランスから言って、間違いなくOneMix 3Sが最もストレスフリーに使えます
ちょっと高いのが玉に瑕ですが、サブ機でありながら色々やれる端末をお探しの方は検討してみてもいいのではないでしょうか?
それではまた~
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