NVIDIAが展開するクラウド型ゲーミングサービスGeForce NOWのクローズドベータテスト締切が今月末に差し迫ってきました。私ももちろん申し込み済みです
このGeForce NOWをはじめ、近年ではGoogleのStadiaだとかMicrosoftのxCloudだとか、色々なクラウドゲーミングサービスの名前を聞くようになった方も多いと思います
そうなると色々な疑問が湧いてきますよね。そもそもの仕組みは? パソコンにゲームをインストールしなくてもいいってこと?? っていう根本的な疑問はもちろんのこと、他にも
- 必要なマシンスペックは?
- ネット環境が無いと遊べないの?
- ネット回線の要求速度は?
- 遅延は無いの? ゲームになるの?
- どんなゲームでも遊べるの?
といった具合。あと今回のGeForce NOWに限って言えばソフトバンクとの協業ということになっていますので
- ソフバン回線じゃないと使えないの?
- Yahoo!のなんかのサービスに入る必要があるの?
といった疑問もありそうです
今回の記事ではこれらの疑問について、今現在分かっていることをサクッとお話ししていってみたいと思います
そもそもクラウドゲーミングサービスって、何?
ではまず、根本的なお話しから
近年のPC向けゲーム、特に大作ゲームというのはおしなべて要求スペックが高くなっています。3Dでのリアルタイムレンダリングが当たり前になり、そのクオリティもまるで競うようにどんどん高まっていった結果、PCに求められる要求スペックもとても上がってしまっています
その結果として、おそらく一般的なユーザーが持っているであろうPCではゲームの要求スペックに足りず、ゲームを楽しむためには(ほぼ)専用のPCを用意しないといけないという状況が生まれてしまいました
今はノートPC向けのプロセッサの性能も上がっていますのでCPU処理能力は何とかなるケースが多いのですが、グラフィック性能についてはノートPCはもちろんのこと一般的なデスクトップでも全然足りないというのが実情です
さらに1フレームを追求するようなゲーム種になると、フレームレートは高ければ高いほどいいということになり、その結果としてコンシューマー向けとしては最上級のグラフィックカードが必要になってしまうということも少なくありません
2019年11月現在、一般向けの最上級グラボはRTX2080Tiというカードになりますが、これが15万円前後はしてしまいます。システム全体の値段ではありません。グラフィック機能を向上させるパーツだけでこの値段が必要になってしまうのです
……まあこれは極端な例で、実際にはもう少し低いスペックのグラボでゲームを楽しんでる方が多いのも事実ですがそれにしても追加投資は必要ですし、逆に、よりスペック志向の方の場合ですとこのグラボを2枚使ってSLIを組んでいたりもします
せっかくパソコンを持っていても、これではゲームを楽しむ以前にゲームをプレイする環境が無い! というユーザーも多いわけです
そこで考え出されたのがクラウドゲーミングサービスという仕組みです。ザックリ言うと

ゲームはネットのむこう側にある高性能なマシンで動かして、ユーザーは操作コマンドや結果をネットでやり取りする
という仕組みになります。リモートデスクトップをもっと専門的にしたようなイメージを持ってもらえればいいと思います
ユーザーは普通にコントローラーを持ち、クラウドゲーミングサービス越しにゲームを操作します。実際にゲームが動いているのはネットのむこう側のPCで、その結果をリアルタイムでネット越しに返してくれるというわけですね
これによってユーザーは、ネットにつながりさえすれば安物のノートパソコンとかであっても、RTX2080 Tiが必要になるようなゲームを楽しむことができるということになるのです
ちなみに先ほどから低スペックのPCでも――というような言い方をしてきましたが、クラウドゲーミングサービスがターゲットにするのはスマホやタブレットユーザーも多分に含まれます
これらのデバイスは今ではかなり普及していますので、こうしたユーザーがソシャゲをやるかのように、通勤通学中などのすきま時間に大作ゲームをプレイする、というような利用も期待されています
ということでクラウドゲーミングサービスをざっくりまとめると
となるわけです
必要なネット回線やマシンスペックは?
ネット回線さえあれば低スペック端末でも楽しめることが分かったわけですが、それでは誰でも楽しめるのかというと必ずしもそうとは言い切れません。『どんな端末でもできる』という意見を何回か見たことがありますが、厳密にはそうではないと思います
おそらくサービス側も『どんなマシンでも楽しめる』という点をアピールしたいと思われるので、必要スペックは非公開な部分が多いのですが……
まず、いずれのサービスにしても、クラウドゲーミングサービス自体のクライアントを立ち上げる必要はあります。このクライアント自体の要求スペックを満たしていないと、当然サービスを受けることはできません
例えばStadiaではChromeを使ってクラウドゲーミングを楽しむわけですが、Chrome自体が満足に動かないPCではサービスを受けることは困難になります
CPUが大昔のセレロンだとか、メモリが1GB未満しか搭載されていないという人には厳しいものとなります

今どきそんな人いるの!?
と思うかもしれませんが、これが結構いるんですよね。仕事先でそうしたスペックのPCを使っている方、意外と多く目にします
また今回の話の発端であるGeForce NOWに関してはもっと要求スペックが高いです。こちらの方は
- OS:Windows7 64bit以上/mac OS 10.10以上/Android5.0以上
- メモリ:PCに関しては非公開/スマホ2GB以上
となっていますので、XPやVista時代のPCを使っている人は厳しそうですね。スマホに関しても、メモリ1GBとかの激安スマホやタブレット、2015年以前の端末の方は厳しいかもしれません
また、意外とハードルが高いのがネット回線についてです
GeForce NOWでは、最低必要回線速度が15Mb/s、推奨回線速度が25Mb/sとなっています。環境にも左右されるとは思いますが、これではモバイル回線で朝夕のラッシュ時にプレイするのはちょっと厳しそうと言わざるを得ません。5Gが本格的に始まればまた違うんでしょうけどね……
どんなゲームを楽しめるのか? 遅延は無いのか?
これも気になるところですよね~
今現在発表されている内容によると、ここがGeForce NOWの大きな利点と言える部分です
GeForce NOWは他のクラウドゲーミングサービスと違い、Bring Your Own Gameというサービス方式となっています
他のクラウドゲーミングサービスは、そのサービス内で動作が認められていたり、あるいはそのサービス内で購入できるゲームしかプレイできないのに対して、GeForce NOWであれば自分の好きなゲームをインストールして楽しむことができるようになっているのです
つまり、PC用のゲームであればどんなゲームでもプレイ可能である
ということになります
言ってみればネットのむこう側にゲーミングPCをレンタルしたようなものであり、そこを自由に使えるというわけですね(ゲームに限って、ですけど)
GeForce NOWには『動作可能タイトル』というリストがありますがこれは『動作確認済みタイトル』のようなもので、相性問題を除けばオールオッケーなのはとても魅力です
例えばリストの中にモンハンワールドが含まれていなかったとしても、モンハンワールドを自分でインストールして楽しむことができる、というような感じです。これは他のサービスとは一線を画す大きなメリットですね
それと気になる遅延についてですが、これは他のサービスと同様『ほとんどネイティブ(実機)にプレイするのと同じ感覚で遊べる』と言われております。つまり普通の人は遅延を感じない、ということです
ほとんど、というのは例えば1フレームを争うようなFPSや対戦格闘の場合ですと、わずかな遅延が致命的になるケースもあるでしょうが、e-sportsのプロ級でない限りは大丈夫だ! というのがメーカーの言い分となっています
GeForce NOWに関してはまだベータテスト前なので分かりませんが、Stadiaに関しては確かにこの大言通りの動作性であったとする意見が多いようです。ただしWi-Fiの場合は解像度の低下や遅延を感じたとする意見もあります
有線接続が可能な自宅などでしたら、ほぼ実機同様に楽しめそうですね
なぜソフトバンク? 契約しないとダメなの?
GeForce NOWに関してはこの部分も疑問ですよね。日本のアライアンスパートナーがソフトバンクになったわけですが、そうすると

遊ぶためにはソフトバンク回線じゃないとダメなのか!?
という疑問が湧いてきますが、結論から言うと全く関係ありませんので安心して下さい
家の回線がYahoo光とかじゃなくてもいいですし、モバイル回線についてもdocomoやauの方でも楽しめます
もともとソフトバンクとNVIDIAはAI関係の業務等で連携しており、その流れで今回のゲームサービスも開始したという経緯となっていますので、ソフバンの回線が必須である! というようなことはありません
しかしソフトバンクは5Gを普及させていくためのコンシューマービジネスの一環である、ということも公言していますので、今後ソフバンやYahoo!ユーザーが割引を受けられたり、何か贔屓されるようなサービスは導入される可能性は無いとは言い切れません
いずれにしてもGeForce NOWが使えないということは無いはずですので、その点は安心して大丈夫でしょう
まとめ
ということでまたダラダラと書いてしまいましたが、GeForce NOWをまとめると
- 遊ぶためには15Mb/s以上(推奨25Mb/s以上)のネット回線が必要
- PC用のどんなゲームでもインストールして楽しめる
- PC/mac/Androidで楽しめるが、大昔のPCや激安スマホの人は無理かも
- 遅延は気にならない程度だけどe-sportsプロ級だと耐えられないかも
- ソフバン回線じゃなくても誰でも遊べる
ということになります
あとは値段が気になるところですが、できれば月額1000円以下に抑えてくれると嬉しいところですね
そしてこれはNVIDIAが公言しているわけではないですが、ほぼ間違いなくゲーム以外のものはインストールできないと思われますので、例えばPremiereやAfter Effectsといった動画編集ソフト、あるいはMayaや3ds Maxといった3DCG作成ではクラウドの恩恵を受けることは難しそうです
ゲームだけを楽しむならいいのですが、こうした用途に使いたいならやっぱりゲーミングPCは必要だというのは変わらなそうです。と言ってもそれならゲーミングPCじゃなくてワークステーションを使うべきと言われそうですけどね
それではまた~
関連サイト
コメント