10月2日にMicrosoftの発表会が開かれ、Surfaceシリーズの新製品が大量に発表されました
- Ice Lakeを採用したSurface Pro 7
- Ice Lake採用の13.5インチSurface Laptop 3
- Ryzen採用の15インチSurface Laptop 3(オプションでIce lakeモデルもあり)
- ARM版Windowsを採用するSurface Pro X
- 9インチデュアルディスプレイ搭載のSurface Neo
- 5.6インチデュアルディスプレイ搭載のSurface Duo
このようになっていましたね。正直Appleの発表会以上にイノベーションに溢れておりとてもワクワクしました
今回の記事ではこれらのうち個人的に最も気になる「Surface Neo」にスポットを当てて、あれやこれや書いていきたいと思います
Surface新製品をざっとおさらい
本題に入る前に、これらの製品について特徴をざっとおさらいしておきます
Surface Proは念願のUSB TYPE-Cポートを搭載したことでかなり魅力的な機種に仕上がっています。しかしサンボル対応ではないのが画竜点睛を欠くという印象
Surface Laptopは順当なバージョンアップなので特に可もなく不可もなく……。Ryzen採用はビックリとも思えますが、Ice Lakeのグラフィック性能が既にRyzenに肉薄しているため、あまり驚きや購買意欲は湧きませんでした
Surface Pro Xは6年ぶりのARMコア(しかもオリジナルモデル)採用のSurfaceということで話題性はありますが、いかんせんパワー不足が心配です。駆動時間や常時ネットワーク接続は魅力ですが、あくまでも軽い作業しかしないライトユース・ビジネスユース向けでしょう
どうしてもSurface RTの悪夢が蘇ってしまうので、全然魅力的に思えないのがツラい…
しかしメモリを16GBまで載せられるので、もしかすると想像以上にサクサクかもしれません
Surface Duoは見た目はいちばん好きなのですが、OSがAndroidということで所詮は2画面の泥タブにすぎないかな、という印象を持ってしまいました。Surfaceの利点はWindowsアプリケーションがネイティブに動作することだと思っていますので……
そうした中、やや消去法的でもあるのですが最も気になった製品が、Surface Duoと同じく2画面を備えるWindowsノートPC「Surface Neo」です
このSurface Neoは、OSにWindows 10Xという2画面使用に特化したWindows10を採用することが決まっています。当然、これまでのWindowsソフトと互換性があり問題なく動作します。ただ、2画面の機能をフルに活かすにはソフト側の対応が必要ですけどね
というわけでここでようやく本題。今回はこのSurface Neoのスペックの予想と、使い勝手の予想をまとめてみようと思います
Surface Neoの特徴
Surface Neoは9インチのディスプレイを2つ搭載したモバイルノートPCです
Galaxy Foldなどと違って物理的に液晶を2つ搭載しているため、歪み等を心配する必要がないかわりに、2画面の分割地点にはヒンジが走っていて画面も2分割されているように見えてしまいます
とはいえデュアルディスプレイに慣れている方ならいつもの感覚で使うことができますので、2画面を1つの画面として13インチディスプレイとして使用することも可能なわけですが、その際のヒンジが許容できるかどうか……という点に尽きると思います。個人的には全然オッケー
これまでも2画面採用のWindowsノートはたくさんありましたが、Microsoftが「巧いなぁ」と感じるのは物理キーボードを備えている点です
libretto W100とかYoga Bookとかの2画面PCでは、キーボードをサブ液晶側に表示して使うことになったわけですが、これがまぁ使いにくいこと使いにくいこと
ちょっと使えば誰でも感じると思いますが、スクリーンキーボードで長文をタイピングするのは地獄でした。リブレットに比べればヨガブックの反応はかなりマシでしたが、押している感触がないというのは長文タイピングには不向きなんだと痛感させられました。あと、ショートカットキーとかも地獄
しかしSurface Neoは折りたたみ式のキーボードを内蔵することでこの問題を解決。普段は裏に回しておけて使いたい時だけくるっと引っ張り出してくる機構とか、ほんとに最高
どころか、そのキーボードの配置に合わせて使い方を変えられるなど魅力がいっぱいです
デフォルトではMacBook ProのTouchbar的な使い方を想定しているっぽいですね
キーボードをフロント側にずらして、液晶にはタッチパッドを表示するという普通のノートPCっぽい使い方も
2画面を13インチディスプレイとして使いたい時には、キーボードを分離して使うことも可
OSベンダーという強みもあるのかもしれませんが、これらの機構や仕組みを見た時には「考えた人天才か!」と感動しましたよ
マグネット式キーボードで裏に回しておけますが、かさ張る可能性があるのと、表側にキーボードがある状態でディスプレイを閉じられるのかは分かりません
そしてSurface Penも進化していますね。Apple、Samsungに続いてMicrosoftも背面吸着&充電を採用してくるようです
この新ペンは性能もアップしている可能性があります
Surface Pro Xの紹介において、新しいSurface Penは新世代のMicrosoft Pen Protocolを採用しており、筆圧レベルや傾き検知はそのままであるものの、レイテンシー(遅延)が減少して描き心地が向上しているということが明かされています
Surface Neoのペンがこれと同等なのかどうかは不明ですが、ペン形状を見る限り同じものに見えますので期待していいのではないかと思います。もし同じものだとしたら、新しいペンの名称は「Surface Slim Pen」となります
気になるスペックについては発売日が来年のホリデーシーズン(つまり1年以上先)なこともあってあまり明かされていません。これは2画面に特化したアプリの開発期間を開発者側に提供するためとされていますが、唯一明かされているのが『プロセッサには積層型SoCであるLakefieldを採用する』という点です
このLakefieldというのは一体何なのか? そして、具体的にはどの程度の性能・どういったメリットが期待できるのか? といった点を解説していきたいと思います
Lakefieldの特徴と性能について
Lakefieldは今年の初め頃にマイクロソフトが発表した新しいSoCのコードネームです
このSoCの最大の特徴は、これまでのSoCが平面的に(横に並べて)各ダイをレイアウトしていたのに対して、3次元的(つまり縦に積み重ねるような形)にダイを配置することを可能にした3次元積層パッケージ技術「Foveros」を用いて作られているということです
詳しく書いてもつまらないと思いますのでざっくり書きますが、Lakefieldは3層構造になっていて上から
- メモリ
- CPU・GPUといったメインのダイ
- I/Oやキャッシュなどのベースダイ
という構造をしています。メモリまでもがSoCに内蔵されているわけなのですが、これらのものが搭載されていながらサイズは12mm四方という小ささとなっています。なぜ縦方向に積み重ねるのかというと、その方がロジックボードを小型化できるから
LakefieldはIntel初の3次元積層SoCとなるわけですので、積層型の恩恵を最大限活かせるよう、モバイル向けのSoCになっているようだと予想できます
Foverosテクノロジーが全てモバイル向けという意味ではなく、あくまで今回のLakefieldがモバイル向けという意味です
そんなLakefieldですが、こちらはIntel初となるハイブリッドCPUでもあります
何がハイブリッドなのかと言いますと、Ice Lakeと同じ10nmプロセスルールのSunny Coveコア(Big CPU)が1つと、同じく10nmプロセスルールで消費電力の低いAtomベースのコア(Small CPU)が4つというハイブリッド構成となっています
これによって、CPUパワーが求められる作業ではBig CPUを用い、軽い作業を行う際には消費電力の低いSmall CPUを用いることで、よりバッテリー持続時間を長く出来るという仕組みになっているわけですね
これらのCPUのクロック数やSoCのTDPは分かっていませんが、L2キャッシュが1.5MB(Big CPUは占有ミドルキャッシュで512KB)、L3キャッシュにあたるラストレベルキャッシュが4MBとなっています。この3次キャッシュ量はIce LakeのCore i3(Core i3-1000G1/G4)と同じですので、CPU性能も同程度なのではないかと予想しています
しかしながらグラフィックに関しては上位のCore i5/i7と同じくEU数64基であることが分かっています。詳細は不明ながらIrisの名が冠されるほどの性能を持つ可能性もありますが、Gen 11 “LP” Graphicsという表記となっているため、同じものではなく省電力向けにチューンされたiGPUなのだろうと思われます
ということでまとめてみると
- Lakefieldの性能はIce LakeのCore i3モデル程度?
- 性能を必要としない作業ではよりバッテリー持続時間が延びると思われる
- マルチコアに最適化されているアプリでは、通常のIce Lakeよりもパフォーマンスは劣る?(シングルコアのため)
- グラフィックに関しては上位のIris Graphics並だが、LP表記があるため性能は下がっていると思われる
といった感じになると思われます
これがそのままSurface Neoの予想性能でもあると言えますので、Surface Pro 7よりはスペック的に劣るだろうけど、使用用途によってはほとんど同じように使っていくことも可能そう。また、本体サイズがSurface Proよりも小さいが、省電力コアの働きによってバッテリー持続時間は同じようなレベルを維持できるのではないか…と期待できます
より詳しく知りたい方は公式動画をご覧ください。先ほど言ったキャッシュ量やEU数64基のグラフィックというのも、この動画から確認できます
まとめ
ということで今回は、Surface Neoに採用される予定のLakefieldについて、どんな程度の性能なのかという点を考えてみました
今回予想したのは
- Ice Lakeのi3モデルと同程度かやや劣るぐらいの性能なので、Surface Proには性能で劣りそう
- バッテリー持続時間は同じレベルを維持してくれそう
- グラフィックはサイズ以上の性能を発揮してくれそう
という点でした。あくまで何の根拠もない、現時点で分かっている数値からの予測ですので悪しからず……
本文中にも書きましたが、Surface Neoの機構というか機能はイノベーションを感じてすごくワクワクしますので、今回予想したよりもスペック的に厳しいものがあったとしても多分購入すると思います
発売は来年末なのでまだまだ先の話なのですが、値段も20万円オーバーになってしまうような気がしていますので、今からお金を貯めておくにはちょうどいいかもしれません(笑)
それでは今回はこのへんで。またよろしくお願いします~
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