OneMix 3Sの実機レビュー第3弾です。前回までで外観・ファーストインプレッション・ベンチマークによる性能の検証を行いました
今回からはより実践的な使い勝手の検証ということで、手始めに画像編集や動画編集をはじめとしたクリエイティブな作業が可能なのかどうかを調べてみたいと思います
そもそも普通にオフィス程度にしか使わないならメモリ8GBでいいわけですので、ここが快適でないとわざわざOneMix 3Sを選んだ意味が薄れてしまうことになります
クリエイティブな作業の代表格(笑)であるAdobe様のソフトを使用して、画像編集・RAW現像・動画編集・動画制作・アニメーション制作に使われるソフトをテストしてみます。使用するソフトはこちら
- Adobe Photoshop CC 2019
- Adobe Illustrator CC 2019
- Adobe Lightroom CC 2019
- Adobe Animate CC 2019
- Adobe After Effects CC 2019
- Adobe Premiere Pro CC 2019
おまけでDavinci Resolveも試してみます。ただし、作品を仕上げる時間は無いので、負荷をかけてどこまで耐えられるかというのを見ていくつもりです
それでは順番に試していってみましょう
画像編集(Photoshop)
まずは需要が多い上に、メモリ容量が影響してくる作業であるPhotoshopを使った画像編集を試してみます
NVMeですのでアプリの起動はサクサク高速でストレスは全く感じません。出だし好調です
はじめに、負荷をかけるため4600万画素(72dpi)の写真を50枚レイヤーに分けて重ねた状態で、移動・拡大・縮小を行ってみました
重ねてるとはいえ、下のレイヤーは描画されてないのでリソースを食っていないようです。50枚重ねた状態でも2枚だけ重ねた状態でも、CPU使用率は変わりませんでした。画像を変形したりフィルターを適用したりした際に、CPU使用率が60%程度まで上がりファンが回ります
パペットワープによる変形やフィルター種「油絵」といった重い処理をサイズの大きな画像(8300×5500ピクセル)に適用していますが、もたつくことなく作業できています
いちばん重くなったのはブラーをプレビューしている時で、この時はCPUの使用率が80%を超え少しカクツキました。エフェクトの適用処理自体はそれほど時間がかからず終了します
作業内容にもよるのでしょうが、少なくとも私が日常的にやるような2400万画素程度の画像を複数切り貼りしたり、色調を補正したり、好みのレイヤー効果やエフェクトを適用する――といった作業では全く問題無さそうなことが分かりました
それと、画像編集から少し脱線しますが……
Photoshopと言えばイラスト制作でも使われますが、ペンの描き心地は中々良かったです。何の設定も無くペンを認識し、筆圧もちゃんと効きます
ただしこれはMicrosoft Pen プロトコル(いわゆるWindows Ink)に対応したバージョンのPhotoshopじゃないとダメで、古いバージョンのPhotoshopの場合はWintabドライバを入れる必要がありますので注意して下さい。精度も悪くなってしまいますが仕方ないですね……
うまく写真を撮れなかったのですが、ホバーの効きがよく線の始点や終点を合わせやすいです。メジャーで測定したら5mmほどは浮かせても効いているようでした
ベクター画像編集(Illustrator)
イラレは推奨環境がメモリ16GBとかなっているソフトです。私自身があまりイラレを使わないこともあってか、あまり重いと感じたことはないのですが、使い方の問題なのかもしれませんね
そういうわけで、負荷のかかる作業というものがいまいちイメージできなかったのですが、ググってみると「画像を多用する」「アピアランスを多用する」といったことで重くなるという意見が見つかりました
ということで試してみたのがこちら
んー…書いてあった通りアピアランスを使用したテキストをたくさん配置してみたんですけど、まるで重くなる気配が無いです。一応さっき使った大きいサイズの画像も配置してみたりしたんですけどね
メモリ使用量は確かにちょっと多めですけど、あまり負荷はかかってない感じ。パスの変形を行う際には、CPU使用率が少し上がるけどすぐに元に戻りますね
バリバリのデザイナーさんだと違うのかもしれませんが、私はあまりイラレを使わないということもあり、全く問題なく使っていけそうです
RAW現像(Lightroom)
RAW現像はCPUの性能+メモリ量が重要だと言われています。Lightroomを使用して、50枚のRAW写真を現像するのに必要な時間を測定してみました
RAW画像はα7sで撮影したものですのでサイズはそれほど大きくありません(4240×2832 pix)。50枚の合計サイズは617MBとなっています
ストップウォッチにて測定したところ、50枚の現像に要した時間は1分49秒でした。すごく単純に考えるなら1枚の現像にかかる時間は2秒ちょっとということになります
速いのか遅いのかよく分からんて感じですが私の使い方ではストレスを感じなさそうです
また、週刊アスキーさんがMatebook X Proにて100枚RAW現像をテストした記事 が参考になりそうです
こちらの記事によると、Lightroom Classicにてα7R3のRAW画像(7952×5304)100枚をRAW現像した際にかかった時間は8分53秒48だそうです。データ総容量は4.5GBにものぼったそうです
ということでOneMix3Sでも同様の「カラー自動設定」にて同様にタイム測定してみました
結果は2分32秒23。現行のLightroomと比べてLightroom Classicの方が少し時間がかかるのですね。これは初めて知りました
先ほどのアスキーさんの結果と比較してみると、アスキーさんの画像は縦横ほぼ2倍の4倍の画素数を持っています。そして写真枚数も倍ですので、負荷は8倍かかっているということになります
ですので今回の実測値を8倍してみるとおよそ20分となります。つまり、仮にアスキーさんと同じRAW画像が用意出来たとしてOneMix3Sで同じことを行うと、20分かかるということですね
Matebook X Proの方が倍以上速いですが、あちらは4コアの第8世代Core i7を搭載していますので、この差は仕方ないかなとも思います
アニメーション制作(Animate)
個人的にこれには期待しています。アニメーション作成はもちろんですが、私はイラレを使わない代わりに、ベクター画像を作成する際にもAnimate(旧Flash)を使っているからです
軽い作業であればあまり負荷のかかるソフトではないですが、作業のしやすさに直結するプレビューの快適性をチェックしてみました
簡単なボールがはずむアニメーションを作成してみましたが、HD画質でもプレビューはサクサクです。もちろんもっと複雑な作品を作ろうとすれば重くなっていくのでしょうが、とりあえず旧来のFlash程度の使い方であれば問題なさそうということが分かって良かったです
ただしスタイラスとの相性が悪いのは相変わらずですので、その点はちょっと残念でした。ブラシはいいのですが、鉛筆ツールとの相性が悪く描画できないこともしばしばです
スポンサーリンク動画制作(After Effects)
ここから動画編集・制作です
厳しいだろうなと思いつつもまずはAfter Effectsから試していってみたいと思います
4K 30fpsで、テキストをマスクにしてフラクタルノイズを適用し、エクスプレッションで制御して揺らめきを与えます。加えて、パーティクルで飛び散る星を表現
それほど重量級の作業ではないとはいえ、Core mでは厳しいだろうと思っていたのですが……これが思いのほか快適です! プレビューもさくさくしてるし、このぐらいの作業ならOneMix3Sで外出先で行うことも可能そうです
軽めといっても4Kですから、予想以上に優秀だと感じます
この30秒の4K動画をMOVでレンダリングするのにかかった時間は2分55秒でした。動画編集用の素材としてアイキャッチやタイトルアニメーションを作るぐらいだったら、出先の空き時間でOneMix3Sでチョチョイと作ることも不可能では無さそうです
この結果はとても嬉しいです
動画編集(Premiere)
After Effectsが予想以上にいい働きをしてくれたのでこちらも期待したいところですが……
あぁ……やっぱりこれはダメですね。4K60Pで撮影したドローン映像ですが、プレビュー中のコマ落ちが気になりこれで作業するのは厳しいです
ただプレビューするだけでこの有様で、トランジションをかけると完全なコマ落ち状態となってしまうため、エフェクトのデュレーションが適切なのかどうか、全く判別がつきません
4K編集をOneMix3Sでやるのは諦めた方が良さそう
ところがフルHD編集でいいのであれば、話は多少違ってきます
フルHDで編集すると、ただプレビューするだけならコマ落ちはほとんどしなくなります。トランジションを加えるとそこからカクツキが始まり、しばらくコマ落ちしますが次第に落ち着いていくといった印象
4Kはハッキリ「無理」と断言できますが、フルHDの編集でいいのであれば我慢できないレベルではないかなとも思いました
最後にAfter Effectsの時と同様、レンダリングの時間を計測してみたいと思います。動画内容によっても変わりますができるだけ先ほどの条件に似せて、30秒、4K 30fps、高品質のMOVにて書き出したところ、1分28秒でレンダリングすることができました
実時間の3倍ですので、出先でクライアントさんに確認してもらってその場でレンダリング→納品、みたいな使い方はちょっと厳しそうですね
動画編集その2(Davinci Resolve)
最後におまけとして、Davinci Resolveでも動画編集を試してみます
Davinci Resolveは非力なマシンでは4K編集するのが非常に厳しいのですが、最近バージョン16のベータ版が登場しており、4K編集にかなり最適化されてきています。私もかつて試しましたが、安定性はともかくとして4Kを編集するだけならかなり軽くなったと感じました
ということでこちらでも4K編集とレンダリングを試してみたいと思うのですが
お、重い……
コマ落ちというか、もはやフリーズレベルです。編集が可能とか不可能かとかいうレベルじゃないですね。最初の読み込みの時点で既に激重です。操作自体も固まるので、いつアプリが落ちやしないかと不安になります
Davinci Resolveはメインメモリ容量よりもGPU性能よりも、とにかくまずグラフィックメモリ容量が多くないと話にならないというソフトですので、これは仕方ないかもしれません
一応レンダリングもしてみました。条件はさっきまでと一緒です
……フリーズしました。まさかのレンダリング不可能という結果に orz
トランジションのところで止まってしまってレンダリングをすることが出来ません。やっぱり限界突破してしまっているってことなんでしょうね。仕方ないのでトランジションを無しにして、その他の条件は同一でもう一度レンダリングしました
結果は8分59秒。遅い……そんなに激しく画面が変化するシーンでもないのに。30秒の動画を書き出すのにこの時間というのは、現実的に使っていくのはほぼ不可能といっていいでしょう
結論として、OneMix3SでDavinci Resolveを動かすのは諦めた方がいいということになりますね。無念
ただ、解像度の低い動画を編集するのであればいけると思いますので、せっかく無料でかなり高度なことまで出来るソフトですし活用できるといいですね
まとめ
ということで、OneMix 3Sにはかなり無理をさせてしまった今回の検証
最後の動画編集はともかくとして、それ以外の作業であれば予想以上に快適に使っていけそうなのは意外でした。特にAfter Effectsの軽快さは感動モノだったと思います
動画編集についてもDavinciはアレでしたが、それと比較するとPremiereはかなり快適だったとも言えます。やっぱりAdobeって優秀なんだなぁ。だてに高いお金をとってないですね
GPD WINなんかと違って、8.4インチという画面サイズがかなり作業しやすいことも分かりました。こうしたソフトはメニューが煩雑で文字が小さいのですが、8.4インチもあるとちゃんと項目名を読むことができます
そういった意味では使い勝手はいいですし、4K編集をしないのであれば出先でもある程度満足いくレベルでクリエイティブなことをやっていけるのではないかと思いました。無茶苦茶させなければ満足度は高い、って感じですね
次回はお絵描きかDTMか、どちらかのレビューをお届けしたいと思っています
それではまた~
コメント
ぜひともDTMがどれくらい快適にできるのか、レビューお願いします!
通りすがったさん
コメントありがとうございます
しかしごめんなさい~。発熱問題が我慢できなくてOneMix 3sは既に処分してしまっております……
これまでの経験と実際にマシンを触ったレスポンスからの感想(予想)だけお答えしておきます
メモリが16GBあることに加えてストレージもそこそこ高速ですので、重量級のプラグインでも意外といけそうです
私が使っている重量級プラグインというとERECTRI6ITY、Trilian、THE Grand3などになりますが、単独でロードすることは大丈夫です
また、ERECTRI6ITYにこれまた負荷の高いAmplitubeのようなギターアンプシミュレーターをかましても意外といけます
しかし重量級プラグインの同時使用は厳しいですし、実際にはこれらと併用してリバーブ系のエフェクトもかけると思いますので、そうなってくるとCPUがちょっといっぱいいっぱいになるかと思われます
楽曲のスケッチ程度の使い方であったり、こまめなバウンスをしたりトラックをフリーズしていけばマスタリングまでいけるかもしれません
持っている時にしっかり検証すれば良かったですね。すみません
あと、上記とは全然別の問題になりますが結局オーディオインターフェースが別途必要になりますので、出先で小さいという利点を活かすのは難しいかもしれません
ASIO4ALLを使えばいちおういけますが……