海外の皆さんはとっくに手に入れていたので今さら感があるのですが……
ようやくOneGx1 Proの日本版が届きましたので、GPD WIN Maxと比較してチェックしていってみたいと思います
今回は純粋なベンチマークの比較を行う記事です。読むのがめんどくさいという方は、最後のまとめに一覧表がありますのでそちらをどうぞ
外観や使用感について知りたい方は以下の記事の方をどうぞ
OneGx1 Pro VS GPD WIN Max ベンチマーク
いつものように諸々のベンチマークをお届けします
Tiger LakeのIris Xe GPUはGTX1050(Max-Q)程度の性能があると言われていますが、丁度いいことにGTX1060(3GB版)を搭載したeGPUがありますので、こちらを接続したスコアも併記しておきます
サンボル接続のeGPUはパフォーマンスが2割ほど落ちますので、ほぼGTX1050と同じぐらいのスコアとなるはずです。つまり、内蔵GPUでもeGPUでもグラフィックスコアに大差なければIntelの言っていることもホラじゃないということになるわけですが、果たして……
PassMark(CPU Mark)
まずはCPUの性能バロメーターであるCPU Markです
CPU Markスコア:9168
このようになりました
その他スコアは以下になります(OneGx1 Proのディスプレイは縦画面がデフォルトのため、3D Graphicsテストはエラーのため実行できませんでした)
- CPU Mark:9168
- 2D Graphics Mark:559
- 3D Graphics Mark:
- Memory Mark:2696
- Disk Mark:9060
- 総合スコア:4486
と言ってもこれだけだとよく分からないと思います。ライバルのGPD WIN Maxのスコアがこちらですので比較してみましょう
CPU Markスコア:9820
GPD WIN Maxのスコアの方が高いです。以前に予想した通りでした
これまで当サイトを読んで下さっている方には耳タコかもしれませんが、OneGx1 ProのCPUは第11世代Core-i7とはいえ低電圧版のUP4(旧Yプロセッサ)です。なので、省電力版(Uプロセッサ)のGPD WIN Maxよりはやっぱり処理能力は劣ってしまうんですよね
OneGx1 Proは世代が1つ新しいうえに、メーカー独自のチューニングでcTDPを20Wまで高めていると言っていたので期待していましたが、残念ながら予想通りの結果となってしまいました
と言っても体感できるレベルではなく、誤差の範疇だと思って大丈夫ですけどね
GeekBench 4&5
続きましてGeekBenchです。そろそろ4の測定はやめてもいいかな? と思うのですが一応やってみました
なおGeekBenchは世代が新しくコア数が多いCPUほど数値が高く出やすいという特徴がありますので、参考程度にとどめた方が良いと思います。マルチプラットフォームで比較できるのでその点は有難いんですけどね
GeekBench4
- シングル:6172
- マルチ:19854
- OpenCL:55067
4C/8Tの第11世代なので実力以上のスコアが出ているように感じます。GeekBench 4は本当に旧世代のベンチなので最新のCPUを処理するアルゴリズムが正しいのか分かりませんので、ほんと参考程度にして下さいね
GeekBench5
- シングル:1398
- マルチ:4435
- OpenCL:16522
こちらも世代ゆえのスコアの高さが出ていますが、OpenCLのスコアの高さはスゴイです。誤差レベルではなく、今までのiGPUとは比べ物にならないスコアが出ています。やはりTiger Lakeの魅力はiGPUにあると思って良いでしょう
GPD WIN Maxのスコアは以下の通りです
GeekBench4
- シングル:5325
- マルチ:16393
- OpenCL:38185
GeekBench5
- シングル:1202
- マルチ:4129
- OpenCL:4538
第10世代(Ice Lake)なうえにCore-i5という点が評価に現れているのか、こちらのベンチマークはOneGx1 Proに全体的に劣っていますね。誤差レベルと思いますがOpenCLは大差ですね。この結果に関しては正しいと感じます
CINEBENCH R20/R23
続いては、ヘンテコな評価が出にくく純粋なCPU性能を正しく測定してくれると評判のCINEBENCHです。こちらはついにR15を卒業し、現行のR23と前世代のR20で比較します
R23は今まで通りのシングルテストも出来ますが、デフォルトだと規定時間(10分)ベンチを回し続ける仕様に変わったのでムラが少なく、より正確に測定できるんですよね~
CINEBENCH R23
- CPUスコア:3412pts
CINEBENCH R20
- CPUスコア:1393pts
このようになりました。対してGPD WIN Maxのスコアはこちら
CINEBENCH R23
- CPUスコア:3449pts
CINEBENCH R20
- CPUスコア:1554pts
より正確に測定できると言われるCinebenchですと、やはりGPD WIN Maxの方が誤差レベルですが性能的には上なようです。やっぱり『パワー』つまり『電力』は正義です
PCMark10
お次は、より現実での利用に近い形でマシンの総合的な性能を測定するPCMark10です
- Essentials:8844
- Productivity:4838
- Digital Contents Creation:3890
- 総合スコア:3943
このような結果となりました。GPD WIN Maxではこんなスコア
- Essentials:8533
- Productivity:5182
- Digital Contents Creation:3807
- 総合スコア:3958
各項目においてほとんど差がないことが分かりますね。つまり、ベンチとかではなく実際に両者を使用した時、処理能力という意味で使用感に優劣を感じることは無いってことですね。私も実際いじってみてそう感じています
このテストでは、OneGx1 ProのDigital Contents Creationがあまり伸びてないのはちょっと予想外でした。いくらGPUが進化したと言っても、実使用ではやっぱりdGPUには敵わないってことなんでしょうか……
Fire Strike(3DMark)
というわけでここからはTiger Lake最大のウリであるGPU性能を見ていきますが、最初にお断りをしておきます
GPDのデバイスは解像度が低いため、そのままだとOneGx1 Pro等の今どきのPC(解像度フルHD以上の機種)に比べて良いスコアが出やすくなっています。ので、ここからはOneGx1 Proの解像度をGPD WIN Maxと合わせて(1280×800)行っています
これで条件は対等ですが果たして……?
まずはお馴染みFire Strikeからです。加えてここからはeGPU接続時との比較も併せて行ってきますよ
OneGx1 Pro iGPU(Iris Xe 96EU)使用時
- Graphicsスコア:4170
- 総合スコア:3701
このようになりました。IntelのCPU内蔵GPUでこのスコアが出るようになったのかと、ちょっと感慨深いものがありました
GPD WIN Maxのスコアと比較してみましょう
GPD WIN Max
- Graphicsスコア:2641
- 総合スコア:2483
Ice LakeのGPD WIN Maxと比べると、OneGx1 ProのGPUは1.5倍程度の性能があることが分かりますね。Intelの言ってる通りです
最後に、GTX1060 3GBを搭載したeGPUの性能がこちら
OneGx1 Pro eGPU(GTX1060 3GB)使用時
- Graphicsスコア:10493
- 総合スコア:9033
こうしてみるといくらTiger LakeのiGPUが強化されたとはいえ、やはりまだまだ外部GPUには敵わないってことのようです。ローエンド~ミドルエンドぐらいのGPUにも勝てないようですので、まだまだNVIDIAやAMDのお世話になることになりそうです(笑)
性能重視の人はやっぱりdGPU搭載のノートPCを買った方がいいと感じます
Time Spy(3DMark)
やはりiGPUじゃこんなもんなのかという感じですが、より負荷の高いTime Spyも行っておきます
OneGx1 Pro iGPU
- Graphicsスコア:1203
- 総合スコア:1327
こんな感じです。カックカクでしたが、UMPCでスコア1000を超えているだけで大したものだと思います
GPD WIN Maxのスコアは以下
GPD WIN Max
- Graphicsスコア:771
- 総合スコア:874
最後にeGPUのスコアです
OneGx1 Pro eGPU
- Graphicsスコア:3513
- 総合スコア:3486
GPD WIN Maxの時も同じことを書いたような気がするのですが、メーカーは「AAAゲームが動く!」とか言ってますが、やはりそれは無理
Directx12世代のグラ重視のゲームは、かなり設定を落とさないと快適にプレイできるとは言い難いのではないかと思いました
ドラクエ10ベンチマーク
ゲーム系ベンチに入っていきます
OneGx1 Pro iGPU
- スコア:14085
- 評価:すごく快適
ちょっと意外。てっきりカンスト(20000前後)まで行くのかと思ってましたがいまいちスコアが伸びませんでした。うーん……?
GPD WIN Max
- スコア:すごく快適
- 評価:11919
OneGx1 Pro eGPU
- スコア:21258
- 評価:すごく快適
OneGx1 Proの方がGPD WIN Maxよりも2割ほど良いスコアとなりました
とはいえスコアに差はあれど、どれであろうと「すごく快適」にプレイできるのは確実ですので、このクラスのゲームをやるつもりの方は何の心配もいらないと思います
ただしファンの音はうるさいので、人前でやるのは注意です
FF14ベンチマーク
ついに蒼天のイシュガルドを卒業して、現行ベンチの漆黒のヴィランズに変更しました(笑)
OneGx1 Proのリリース前に『疑惑のスコア』と呼ばれてたベンチですが、果たして1万近いスコアは出るのでしょうか?
OneGx1 Pro iGPU
- 評価:とても快適
- スコア:5531
あれれ~おかしいぞぉ~?? 確かに設定は『高品質(デスクトップ)』としてありますが、その代わりに解像度は1280×720まで下げてあるのに、謳われていたスコアの半分ぐらいしか出ませんでした
快適にプレイできるとかできないとかいう問題以前に、そうした宣伝方法(誇大広告)をメーカーが行っていたという事実が残念です
GPD WIN Max
- 評価:快適
- スコア:4573
GPD WIN Maxでは評価が一段階下がりますね。やっぱゲーム利用であればOneGx1 Proの方が向いていると言っていいかもしれません
OneGx1 Pro eGPU
- 評価:非常に快適
- スコア:12969
ソフトとeGPUの相性なのか、ゲーム側からグラフィックを設定できなかったので、OS側のグラフィック設定でeGPUを使用するようにしました。そのため画像では「Iris Xe」となっていますが実際にはGTXを使っています
ていうか、これを悪用すればiGPUのリザルトを捏造できるってことですね。発売前にメーカーが公開してた画像はまさか……(ゴクリ)
FF15ベンチマーク
絶対厳しいですが、FF15ベンチも一応やっておきましょう
設定はベンチマークのデフォルトのまま、標準画質・1920×1080、ウィンドウモードにて実行しています
OneGx1 Pro iGPU
- 評価:動作困難
- スコア:1779
動作困難だそうです(涙)
GPD WIN Max
- 評価:動作困難
- スコア:1337
これと比べるとちょっとは良くなってるんだけど、結局無理なことに変わりないってことですね
OneGx1 Pro eGPU
- 評価:やや快適
- スコア:5318
ミドルローエンドのグラボでもいいのでeGPUを導入すれば、設定によっては楽しむことは出来そうです
CrystalDiskMark
最後に、ストレージの速度を測定するCrystalDiskMarkを実行しますが、またまた先にお伝えしておくことがあります
私は4G LTEモデルを買ったので該当しないのですが、実はOneGx1 Proの1GBモデルを買った方はこの速度がイマイチ伸びない可能性があります
1TBモデルというのは名ばかりで、実際には512GBモデルにM.2接続の512GB SSD(2242)が増設されているだけというのが実情なのですが、この増設された方のSSDがPCIe接続のはずなのにSATA接続程度の速度しか出ないという噂があります
私は試せませんのでウソか本当か分かりませんが結構な報告がありますのでマジなんだと思われます(ロットやモデルの違いにもよるかも)。また、自分で別のM.2242 NVMe SSDを買って換装すれば解決するので心配はいらないのですが、一応その点注意して下さい
ここで測定しているスコアはあくまで、基板にハンダ付けされている正規SSDの速度になります
お、遅い……
いや、そりゃあHDDとかSATA接続のSSDよりは速いですけど、そろそろPCIe 4.0の速度がスタンダードになりつつあるこの時代にこの速度って……
OneGx1 Proは自社開発のSSDとなっていて、基板にハンダ付けされているので交換することも不可能となっているため嫌でもこのストレージを使うしかありません。うーん
GPD WIN Maxはこの点、OneGx1 Proよりも優秀でした
One-Netbook社は見た目ばかりアピールして、こういう内部的に重要な部分の性能をないがしろにする姿勢が昔からあるのがちょっと残念ですね
TDPの変更について(2月1日追記)
コメントで
TDP20Wの状態でのスコアを知りたい
と書いていただいたのでこれを追記しました
実は私、勘違いしておりまして、OneGx1 ProのデフォルトTDPは20Wだと思っていたのです。これはDiscordにそう書いてあったからなのですが、念のためBIOSを覗いてみると
15Wに設定されてる!?
ということが分かりました。日本版だけの仕様なのか分かりませんが、これではデフォルトTDPが20WのGPD WIN Maxと五分の条件とはなりませんので、取り急ぎCPUのテストとしてCINEBENCHを。GPUのテストとしてFF14を回しました。ご迷惑をおかけしてすみません
ちなみにTDPの変更方法は以下の通りです
本体を起動したら「DELキー連打」でBIOSに入ります。「Main」タブの下の方に「Power Limit」がありますので、その数値を「20000」に変更することでTDPを20Wに引き上げることが可能です
ノーマルBIOSは制限がかかっているので25000とか数値を入れてもそれは意味無いそうです。この制限を突破できる制限解除版BIOSもありますが、あまり効果は無いという噂です
では結果を見ていきましょう
CINEBENCH R23(15W)
3412 pts
CINEBENCH R23(20W)
3959 ts
おお! 2割弱程性能が向上しています。ファンの音はクッソうるさいですが、それと引き換えにGPD WIN Maxを超えるスコアを出してくれました。TDPを上げることで、CPU能力は確実に向上することが分かりましたね
ではGPUの方はどうでしょうか
FF14(15W)
- 評価:とても快適
- スコア:5531
FF14(20W)
- 評価:とても快適
- スコア:6723
これまた2割ほど性能が向上しています!
体感上差があるかと言われると正直なところあまり感じられないのですが、私のようにベンチ結果だとかFPSのわずかな向上に嬉しくなれる方にとっては意義がある設定なのではないかと思いました
まとめ
ということで今回はまず、各種ベンチマークをお届けしました
予想通り、CPUの性能ではGPD WIN Maxに負けているけどGPUの性能は1.2~1.5倍程度の性能を持っている機種だということが確認できました
CPUについても「負けてる」とは言っても誤差の範囲でほとんど差は感じられませんので、あまり気にしなくて大丈夫そうというのは嬉しいところです。また、TDPを20Wに引き上げればCPU性能でもGPD WIN Maxを上回ることも可能となっています
正確に言うと、GPD WIN Maxの方はまだBIOSであと一段階TDPを上げられる状態で使ってますので、また結果は変わるかもしれません。でも普通の人はBIOSいじらないと思うのでそのまま計測させてもらいました
今回のベンチ結果については、読むのがメンドイ方のために以下に一覧表もまとめておきました
最初からこれだけでいいだろうがぃ!
と言われてしまいそうですが参考になれば幸いです
OneGx1 Pro iGPU(Iris Xe 96) |
OneGx1 Pro eGPU(GTX1060 3GB) | GPD WIN Max | |
CPU Mark | 9168 | ― | 9820 |
GeekBench 4 | シングル:6172 マルチ:19854 OpenCL:55067 |
― | シングル:5325 マルチ:16393 OpenCL:38185 |
GeekBench 5 | シングル:1398 マルチ:4435 OpenCL:16522 |
― | シングル:1202 マルチ:4129 OpenCL:4538 |
CineBench R20 | 1393 pts | ― | 1554 pts |
CineBench R23 | 3412 pts | ― | 3449 pts |
PCMark10 | Essentials:8844 Productivity:4838 Digital Contents Creation:3890 総合スコア:3943 |
― | Essentials:8533 Productivity:5182 Digital Contents Creation:3807 総合スコア:3958 |
Fire Strike | Graphics:4170 総合:3701 |
Graphics:10493 総合:9033 |
Graphics:2641 総合:2483 |
Time Spy | Graphics:1203 総合:1327 |
Graphics:3513 総合:3486 |
Graphics:771 総合:874 |
ドラクエ10 | 評価:すごく快適 スコア:14085 |
評価:すごく快適 スコア:21258 |
評価:すごく快適 スコア:11919 |
FF14 | 評価:とても快適 スコア:5531 |
評価:非常に快適 スコア:12969 |
評価:快適 スコア:4573 |
FF15 | 評価:動作困難 スコア:1779 |
評価:やや快適 スコア:5318 |
評価:動作困難 スコア:1337 |
GPUの性能向上に喜ぶ反面、それでもまだ力不足を感じたというのも正直なところです
ヘビー級のゲームやヘビー級の作業(動画編集・動画制作とか?)をしようと考えている人は、過度な期待はしない方がいいかもしれませんのでご注意ください
eGPU接続時とのスコアの開きを見て分かる通り、そうした用途の方は素直にdGPUの搭載されたノートPCを買う方がいいと思います
使用感等を知りたい方は以下の記事もよろしくお願いします
。外観や使用感が知りたい方は以下の記事の方をどうぞ
それではまた~
コメント
Onegx1proの方は
デフォルトのTDP15と
噂のTDP20の性能の違いとか
気になりますね。
匿名さん
コメントありがとうございます
書いていただいた件についてなのですが、実はOneGx1 ProはデフォルトTDPが20Wに設定されていますので、既に限界まで頑張ってこのスコアとなってますDiscordにはこれを更にブーストさせるための2つの方法が公開されています
が、これをやってもパフォーマンスが向上しないと既に先人達が試していますので、残念ながら効果は見込めないようですそのうち試してみようとは思ってますが
2月1日追記
すみません。今確認したら日本版だけなのか分かりませんがpowerlimitが15Wに抑えられていました
20Wに変更した状態でいくつか試してみましたので記事に追記します
間違った回答をしてしまってすみませんでした
どうでもいいことなんですが
ストレージテストのとこ
OneGx1の1GBモデルと表記されています。
さすがにこれじゃあ化け物になっちゃいますよ
ゆずぽん塩味さん
ご指摘ありがとうございます。修正しました
誤字ってけっこうやっちゃって自分では気づきにくいので、こうして教えてもらえると助かります
ありがとうございました