先日Panasonicのフルサイズシネマカメラ『LUMIX S1S』が来る? という記事を書きましたが、その噂通り本当にフルサイズシネマカメラが発表されました
ただし名前はLUMIX S1Sではなく、LUMIX S1Hです
この記事の中で「こんな感じだろうなぁ」とスペック予想なんかもしていたわけですが、その予想が当たっていたのか外れたのかも含めて、発表されたLUMIX S1Hのスペックと詳細について迫っていきたいと思います
先に結論から書くと、LUMIX S1Hは私の予想を上回ってくれた注目のカメラでしたが、残念なポイントもあったのでした
LUMIX S1Hのスペックと撮影動画
今回はそのスペックの全てが発表されたわけではないのですが、現時点で判明しているものを記載していきますと
- フルサイズ初、6K24P動画撮影
- 16:9アスペクト比なら5.9K30P動画撮影可能
- 10bit色深度(4K60Pフルサイズとしては世界初)
- 録画時間無制限(機体温度に依存)
- 14ストップ+という広いダイナミックレンジ
- V-Logに対応
このようになっています
ついにフルサイズ機としては初めて、6K撮影可能な機種が登場しました!
書き込みが間に合うのかなと心配になりますが、恐らくSDカードはUHS-Ⅱ以上、推奨はUHS-Ⅲとかになるんでしょうね
フレームレートは6K撮影時で24fpsとなっています
シネマカメラということで24P撮影ができればOKという考え方も分かりますが、最近のハイフレームレート信仰のせいでちょっと物足りなく感じてしまう方もいるかもしれませんね。また、スローモーションを表現したい際には困るかもしれません
そんな方のため(?)なのか、『アスペクト比が16:9なら』という制限はあるものの、5.9Kというほとんど6Kに近い解像度で30fpsでの撮影も可能となっています
色深度についてはLUMIX S1と同じ10bitとなっています。ただしあちらは外部レコーダーにHDMIスルーにて録画する場合の話なのに対して、LUMIX S1Hはカメラ単体で対応するとしています。これはフルサイズデジカメとして世界初であり、パナがアピールしているポイントのひとつです
今回の発表では外部レコーダーについては言及されていませんが対応はほぼ確実だと思いますので、さらにフレームレートや対応する色深度が増えてくれることにも期待したいです
そして、シネマカメラの名に恥じないよう、動画撮影時間の制限を設けていない点も嬉しいポイントです。EUの規制の関係で動画録画時間に制限を設けているメーカーも多いですが、LUMIX S1Hは最初からシネマカメラを名乗っていますので元々制限をかけるつもりは無かったのでしょうね
ダイナミックレンジの広さは14+ストップを実現しており、これはパナの4K撮影専用機材である「VARICAM」と同水準です。ちなみにLUMIX S1もファームのアップグレードでこの水準を実現するとしています
今回、センサー性能や高感度性能は明かされていませんが、このダイナミックレンジを実現するためにはやはり低画素に振った高感度番長となっている可能性が高そう。最低でもLUMIX S1と同等以上の高感度耐性は確定ですね
V-Logへの対応は予想通りというか、シネマカメラを名乗る以上は当然のスペックだと思います
メーカーがサンプルとして公開してくれているフッテージがありますので貼っておきます。見る限りではかなり良さそうに感じますが……
ファーストインプレッションと予想スペックの答え合わせ
今回の発表を受けた感想について、前回の予想を交えながら考えてみたいと思います。予想が当たっていたということは言い換えれば『期待通りだった』ということになるわけですが果たして…?
前回の記事で予想したスペックがこちらです
LUMIX S1S(仮称)予想スペック | |
総画素数 | 1680万画素 |
有効画素数 | 1620万画素 |
ISO感度 | 100~204800 |
拡張ISO感度 | 50、409600 |
動画形式 | AVCHD/AVCHD Progre/MPEG4-AVC/MP4(H.264、H.265)/RAW動画 |
最大フレームレート | 4K/60p、フルHD/240P |
撮影形式 | V-Log同梱 12bit HLG 12bit |
画素とISO感度については明かされていませんが、14+ストップというダイナミックレンジの広さから考えて、低画素高感度路線というこの予測は当たっていたと言えると思います。素晴らしい!
動画形式については、残念ながらがRAW動画への対応という予想は外れてしまいました。技術的に厳しいということは無いようにも思えるのですが……。SONYほど露骨ではないにせよ、パナも動画専用機材も販売しているわけですので、ある程度差別化というか格差をつけるのは仕方ないのかもしれませんね
フレームレートについてもこれまた予想通りでした。しかし6Kまで対応してくれるというのは嬉しい誤算です。外部レコーダーを使えばあるいは8K対応もあるかもと予測していましたが、カメラ単体で可能とは……さすが【動画のパナ】です!
V-Log対応も当たっていましたが色深度は10bitということで、こちらはちょっと残念……
たしかにフルサイズセンサーの一眼ムービーは魅力的なんですが、シネマカメラを名乗る以上は『RAW動画と12bit深度は実現するだろう・してほしい』と強く願っていたところですので、ここが叶わなかったのは個人的に大きなマイナスポイントだと感じてしまいます
その代わり(?)に搭載されている目玉機能が6K撮影ということですが、この点に果たしてどれだけ需要があるのでしょうか……。あまり6Kでパブリッシュする必要性があるシチュエーションが思いつきません
4K動画を作成する際にトリミングやパンといった編集を行えるようにできるというメリットはあると思いますけどね
これなら個人的にはBlackMagic DesignがリリースしているPocket Cinema Camera 4Kの方が魅力的に思えてしまう、というのが正直なところです
Pocket Cinema Camera 4Kなら、マイクロフォーサーズセンサーではあるものの、RAW動画撮影&12bit深度撮影に対応していますので
何よりも値段が全然違いますし、レンズを買い揃えるのもフォーサーズマウントの方がかなり安くつくというのも助かりますね(笑)
LUMIX S1Hの発売日とお値段
LUMIX S1Hはまだ発表されたばかりで、正確な発売日は決まっていません。しかしメーカーは『2019年秋に製品化』を目途に開発することを発表しています。パナのカメラは発売予定日から大幅に遅れるということが無いイメージですので、今年秋~冬にはしっかりとリリースされてくれそうです
加えて、発売日と同じく気になるのがお値段ですよね
LUMIX S1Hと同じシネ一眼として人気のパナソニック製GH-5S(マイクロフォーサーズマウント)が、おおよそ30万円前後の実勢価格で登場しました。現在は23万円程度に落ち着いています
それに加えて同じLUMIX S1シリーズであるLUMIX S1Rが初登場時50万円近い価格で登場したことから考えると、LUMIX S1Hも50万円~55万円程度の価格で登場するのではないかと予想します
高い……
「ちょっと動画を楽しみたい」という方がポンっと出せる金額ではないですよね。ハイアマチュアからプロの方をターゲットに想定しているのでしょうが、なかなか厳しいものがあります
ちなみに非公式ながら価格は4,000ドルであると記しているサイトもあり、日本独自の上乗せを考えると50万円程度という予想はかなり現実味がありそうです
無理して買ってもRAW動画が撮れるわけではないですし、色深度もLUMIX S1と同じ10bit止まりですし、これはますますBMDのPocket Cinema Camera 4Kが魅力的に見えてきます。何と言っても17万円ぐらいで買えますのでね。同じ予算で3台買えます(笑)
まとめると
LUMIX S1Hは多くの「世界初」を実現した、まさにモンスター級の動画向け一眼レフだというのは間違いないと思います。今後詳細が発表されたらさらなる驚きが待っているのかもしれません
しかし突き抜けてしまった方向は実用的な部分とはちょっと違っているなぁと感じるのも事実であり、実際に活用していける場面があまり思い浮かばないカメラかなぁとも思いました
スペックを見ているとニヤニヤできますが、それだけで終わってしまうと言いますか……
これで値段がそれなりであれば買ってから活用方法を見出したいと思えるところなのですが、50万円級の機材となると、やはり自分にとって絶対的に必要な要素を持っていない限り購入は迷ってしまうよなぁ、というのが私の感想です
私がお金持ちだったら気にせず買えるんですけどね…(ToT)
購入された方の作例を楽しみに待ちたいと思います。それではまた~
参考にさせていただいたサイト様
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