ようやく……ようやくGPD WIN Max2 2023とGPD G1が到着しました。ていうか、到着しないので佐川さんの営業所まで取りに行ってきました
GPDのINDIEGOGOはCID順ではなくプラグ(コンセント)形状ごとのバッチ発送なのですが、例によって日本は後回しとなり入手はかなり遅く、さらに悪いことに配送予定日がちょうど出張に出ている日程だったため自ら赴くはめになりました
そんなわけで入手がかなり遅れてしまいましたが、こちらはGPD WIN Max2 2023のレビューとベンチマーク記事になります
腐ってもGPDはハンドヘルド・UMPC界隈では最古参で最大手と言っていい存在ですので既に山ほどレビューも出回っていると思います。なので今さらではあるのですが、個人的に気になった点などを中心にレビューしていってみたいと思います
なおこの記事はGPD WIN Max2 2023に焦点をあてて書いています。GPD G1のことが知りたい方は間もなく公開予定のG1の記事の方をご覧ください
公開しました
開封&レビュー
まずお値段なのですが、私が出資した時点での為替レートで支払い額257,384円。関税はPCなのでかからず0円。輸入消費税が21,200円。そして代行会社(スコアジャパン)の立替手数料が1,166円でしたのでしめて279,750円でした
私はG1を最速で手に入れるためにクラファンを使ったのですが、もし日本で買い揃えていた場合、本体201,400円+G1 104,300円で305,700円でしたので、金額的にも得できている結果となったのは良かったです
製品はこのような梱包で届きました
WIN Max2とG1がまとめて梱包されています。それとOcuLinkケーブルが付属ですね
なんか黄ばんで見えると思いますが、マジで黄ばんでる緩衝材が使われていました。何だかなぁ~もう……
中身の化粧箱はこんな感じでシンプルです
で、早速ご対面なのですが
色はやっぱりガンメタパープル(?)の鈍色カラーでした
知ってたけどさ。いつまでレンダリング画像を黒色にし続けるのかと腹が立ちます。普通ならリコールものだと思うんですけどね。WIN Miniの黒色についてもどこまで信じていいのやら……
ただまあこのことは事前に知っていたので、既にAliexpressでスキンを購入してあります
私の今のメインサブPCはAlienware X14なのですが、こいつのルナライトカラーがめちゃくちゃ気に入っています。なのでWIN Max 2もこのカラーリングにしたくてマットホワイトとマットブラックを購入しました
ただ、ホワイトの色が白すぎてルナライトの上品な白さ(乳白色?)とはやはり少し違います。どちらかというとASUSのZephyrus G14の白さになってしまいそうでここはちょっと残念です
ちなみに。なんで白黒2色あるのかというと、Alienwareはツートンカラーになっていてそれがまた良い感じなため、何とか少しでも近づけようと2色購入しました
Alienwareを使ってから、黒一色とか白一色のPCは個人的にあまり好きじゃなくなってしまいました。でもこのスキンはかなりイマイチで失敗でした
付属品はこんな感じ
内容物は有名でしょうから詳細は割愛しますが、私の個体はクラファン版でACアダプタ出力は100Wとなっていました
次にディスプレイについて
ディスプレイは先代と同じGPD1001H=JDI0031=『HX101II08H』が採用されています
ということで2.5Dガラスとか言われているラウンドエッジも継続。また、ROG ALLY以外では唯一の純ランドスケープパネルも継続ですのでこれは嬉しい人もいるのではないでしょうか
たまに勘違いしている方がいますが、GPD WIN 4もWIN MiniもICチップによるローテーションと公式が公表していますので真の意味でのネイティブランドスケープパネルではありません
色域についてはやはりAlienwareはもちろんのこと、AYANEO 2にもちょっと劣っています。悪い液晶という意味ではなく普通にキレイなのですが、使い途によっては気になる人もいるんだよ~というレベルでの話ですので、普通は心配しなくてもいいとは思います
最後にメモリについて
購入時のVRAM容量は3GB、RAM速度は6400MT/sに設定されていますのでお好みで変更しておいた方がいいでしょう。私はせっかくの64GB版ということもあり、VRAM量は16GBに、メモリ速度は安定を重視してひとまず6400MT/sのままにしておきました
GPD WIN Max2 2023 ベンチマーク概要
続いてGPD WIN Max2 2023のベンチマークを行っていきます。なお、毎度毎度の注釈で申し訳ないのですが私はゲームをしませんので、実ゲームのフレームレート計測などは行っておりません
今回のベンチの条件は以下の通りになっております
- 機体は64GB RAM / 2TB SSDモデルです
- RAM速度は6400MT/sのまま実施しています
- VRAM量は16GB設定
- biosバージョンはv0.35
- AMDドライバはGPD提供のものを使用
- Windows Update及び各種アップデートを全て適用しバックグランドで余計な負荷がかからないよう対処した状態です
- Motion AssistantにてTDPを「33W」、ファンスピードを「100%固定」に設定した状態です
- 電源接続状態(非純正100W)
- G1は未接続(本体iGPU(780M)のみで実施)
- 環境温度26度前後
- 日本語環境(一部のPugetbenchのみ英語環境)
- 解像度1920×1200・拡大率100%
本当は解像度を2560×1600の拡大率150%で実施したいところなのですが、比較参考用の6800U機(AYANEO2)と合わせるためこのようにしております
TDP上限にはまだ余裕がありますしメモリ速度もBIOSから7500MT/sにできますのでベンチ番長を目指すならまだまだ上のスコアも狙えますが、今回は『大半の方が普通に設定するであろう状態のスコア』として見ていきたいと思います
GPD WIN Max2 2023 ベンチマーク
それではいつものベンチマークセットを回していきます
先述の通り比較参考用としてAYANEO2のスコアも掲載しています。性能差については知識として既に知ってはいますが、手元にある実機でどのぐらいの差が出るのかはちょっと楽しみです
PassMark(CPU Mark)
いつも通り、まずは全体的なパフォーマンスをざっくりと見ていきます
GPD WIN Max2 2023 33W |
AYANEO2 33W |
|
PASSMark | 7567 | 6660 |
CPU Mark | 27301 | 21357 |
2D Mark | 790 | 826 |
3D Mark | 7675 | NA |
MEMORY Mark | 2765 | 2397 |
DISK Mark | 35775 | 40855 |
PASSMark(総合スコア)ではGPD WIN Max2 2023が大差で勝ってますがこれは、AYANEOの方が3D Markテストでエラーとなり実施できずスコア無しとなったためです
実際にはCPU Markが向上した以外は勝ったり負けたりなので、機種としてそこまで大きな使用感の違いはありません
GeekBench 5&6
GeekBench 5と6を実施
これも毎回書いてるようで申し訳ないのですが、GeekBenchは実行時間が短く単純なクロック・コア数・世代(プロセスルール)で良いスコアが出てしまいがちなので参考程度が良いと思います
じゃあ何故やるの?
と思われるでしょうが、世の中に蔓延るニュース記事やレビュー記事はほとんどGeekBenchスコアを掲載していますので、それらと比較出来た方がいいのかなぁ…と思って毎回実施しています(笑)
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
GeekBench5 シングルコア | 1839 | 1486 |
GeekBench5 マルチコア | 10442 | 8044 |
GeekBench5 GPU(OpenCL) | 38002 | 31377 |
GeekBench6 シングルコア | 2453 | 1880 |
GeekBench6 マルチコア | 11419 | 8633 |
GeekBench6 GPU(OpenCL) | 31252 | 26691 |
数値だけを見るなら、6800Uと比較してCPU性能は25~30%程度の向上。GPU性能は20%程度の向上となりました
先にも言った通りあくまで参考程度ですが、とはいえ前世代からの確実なステップアップはあると考えて良いのかもしれませんね
CINEBENCH R23/2024
今回からR20をやめ、R23と2024を実施していきます。よりCPU性能をじっくり見れるのではないかと期待します
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
CINEBENCH R23 シングルコア | 1736 | 1392 |
CINEBENCH R23 マルチコア | 13813 | 10387 |
CINEBENCH 2024 シングルコア | 98 | 76 |
CINEBENCH 2024 マルチコア | 778 | 550 |
こうして見るとやはりCPUの性能向上も無視できないレベルである感じですね。RDNA2→RDNA3へのGPU性能の進化の方が注目されていた7040シリーズですが、なかなかどうしてCPUの性能アップも良い感じですね
もちろん、GPDとAYANEOの機種の違いもありますので単純なAPUの差というわけではありませんが
PCMark10
実使用時の各種用途における快適性をある程度探るために実施
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
Essentials | 10489 | 10096 |
Productivity | 9709 | 9041 |
Digital Contents Creation | 8673 | 7912 |
総合スコア | 6878 | 6432 |
あまり変わりませんね
これはその通りで、正直6800Uでも7840Uでも体感上のサクサク感というか性能感というか、そういった部分は大差ないと思います
なので価格が激下がりしている各メーカーの6800Uを搭載した旧モデルを買うというのも、判断として全然アリだと感じます
PugetBench
個人的なテストで恐縮ですが、私がメインで使用するAdobe系ソフトのベンチ
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
PugetBench for Premiere Pro | 326 | 303 |
PugetBench for Photoshop | 1159 | 956 |
PugetBench for After Effects | 786 | 624 |
順当にスコアアップしています。こちらについてはG1接続でどれだけスコアが伸びるのかという意味合いでのベンチになってますので、今の段階ではどうのこうのありません
UMPCであってももうだいぶ前からPhotoshopぐらいなら全然問題ないですし、Premiereなんかの動画編集でもクリップにも拠りますが軽い編集なら全然いけちゃいます
After Effectsについてはまだちょっと重いのもありますが、それ以前に小さい画面では操作性の面で厳しすぎるのが悩ましいところですね(笑)
Fire Strike(3DMark)
ここからはGPU(iGPU)の性能を見ていきます
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
Graphics Score | 8175 | 7709 |
Physics Score | 23133 | 21433 |
Combined Score | 2957 | 2606 |
総合スコア | 7573 | 7009 |
5~10%程度の微増という感じでしょうか
3DMarkテストはベンチ番長さんたちが競っているところでもありますので、この機種のもっといいスコアを見たことあるという方も多いかもしれません
この章の冒頭にも書いた通り、まだ設定を詰める余地は色々と残っていますが今回はあくまで通常使用の範囲でのベンチマーク結果であるという点をご承知おき下さい
Time Spy(3DMark)
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
Graphics Score | 2854 | 2509 |
Physics Score | 8728 | 7736 |
総合スコア | 3174 | 2791 |
Fire Strikeと同系統の結果ですね。詰めた方だとPhysicsスコアが10000に迫り、総合スコアが3600オーバーぐらいまではいけるみたいですね
Port Royal(3DMark)
iGPUには不要なテストと言えますが……
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
総合スコア(Graphics Score) | 1635 | 1216 |
このベンチだけは6800Uと比較して目に見えてフレームレートが上がっていました。と言っても30FPSとか全然でないのでカクカクである点は同じです
Speed Way(3DMark)
同じく不要なテストというか、無茶だとは分かっていますが……
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
総合スコア(Graphics Score) | 476 | 402 |
こちらでは数値こそ向上してますが、ハッキリ言ってどちらも超遅カクカクで見た目の差はありません。まあ無茶なテストですので仕方ないですよね
VRMark
GPDがIndiegogoのリプライで「VRゲームもいけます」みたいな返答してて苦笑してしまいましたが、VRMarkで確かめてみます
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
Orange Room | 3501 | 3359 |
Cyan Room | 2742 | 2635 |
Blue Room | 774 | 669 |
うーん……これで「VRもオッケー♪」というのはちょっと詐欺じゃないかという気がしなくもないですがどうなんでしょうね
ドラクエ10ベンチマーク
もはや不要と分かっていてもやりたくなってしまう思い出のベンチマーク
設定は1920×1080・最高品質・フルスクリーン
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
スコア | 12506 | 10303 |
評価 | すごく快適 | すごく快適 |
このベンチをやってる間ふと思い立って、昔書いたGPD WINとGPD WIN 2のレビュー記事を読み返してみました
GPD WINの方は1280×720・通常品質で3000ちょいぐらいのスコアで、「大健闘だと思います」とか書いてあって、WIN 2の方は1280×720・通常品質で6000ぐらいのスコアが出ていて「素晴らしい結果が出ました!」とか書いてありました(笑)
こうして振り返るとUMPCの性能向上には驚かされるものがあり感慨深かったです
FF14ベンチマーク
設定は1920×1080・高品質(デスクトップPC)・ウィンドウです
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
スコア | 5486 | 8384 |
評価 | 普通 | 快適 |
これ、何だかおかしなことになってしまいました。3回実行して3回とも同じようなスコアでしたのでたまたまではないようです
設定が良くないのかと思ってTDP変更したりGPU固定したりMotion Assistantをオフにしてみたりとか色々やったんですけどダメでした。6800Uでは問題なかったので7840U(あるいはドライバ)特有の相性問題か、それともこの機種の問題か、はたまた私の個体の問題か……
出張のため現状突き詰めて調べることは出来ていませんので、このスコアは参考にしないで下さい
FF15ベンチマーク
設定は1920×1080・標準品質・ウィンドウです
GPD WIN Max2 2023 33W | AYANEO2 33W | |
スコア | 3632 | 3136 |
評価 | 普通 | 普通 |
こちらについては順当なスコアが出ています
CrystalDiskMark
最後にSSDとmicroSDカードスロット・SDカードスロットのテストです
私のもとに届いた64GB / 2TBモデルに搭載されていたSSDはWestern DigitalのWD Blue SN580でした。これはかなり嬉しい!
このSSDはまだ発売されたばかり(7月か8月だったような)で、発送の遅延が無かったらたぶん間に合わずBiwinになってしまっていたことでしょう。BLUEシリーズでは初めてPCIe4.0に対応していますが、低発熱性をウリにしているため速度は抑えめというNVMe SSDです
一方、計測に使用したmicroSDカードはどちらのスロットも以下のもの
となっています
本体SSD |
SDカードスロット |
micro SDカードスロット |
|
SEQ1M Q8T1 Read/Write | 4237.15 / 4161.45 | 99.13 / 80.32 | 99.03 / 81.16 |
SEQ1M Q1T1 Read/Write | 3998.92 / 4109.66 |
99.13 / 88.46 | 99.15 / 88.49 |
RND4K Q32T1 Read/Write | 757.99 / 649.12 |
14.43 / 3.17 | 14.35 / 3.21 |
RND4K Q1T1 Read/Write | 61.18 / 204.81 | 13.94 / 3.11 | 13.83 / 3.15 |
しっかりWD Blue SN580としての速度が出ています。PCIe 4.0接続のNVMeの中では速度が遅いですがこれが発熱を抑えるための特徴なんですね。速度と発熱の関係は小型PCでは特に無視できなくなっていきますのでこれは非常に満足。今回いちばん嬉しかったところかもしれません
SDカードの方はまぁ普通ですね
ご存じの方も多いと思いますがWIN Max 2 2023モデルではSDカードスロットとマイクロSDカードスロットを“同時に”使うことはできませんのでご注意下さい
前モデルのWIN Max 2なら使えるけどバグも多いので、どっちが良かったのかは難しい問題ですけどね
まとめ
ということで今回はファーストインプレッション的なレビューとベンチマークをお届けしました
64GB版にしたことと、G1との同時出資だったことが重なり部材不足から散々待たされることになってしまった今回。巷では「64GBとかマジ不要(笑) 32GBでも十分過ぎなのに無知乙(笑笑)」なんて意見も見かけますよね。不要なもののためにムダ金払って入手まで最遅になったのかと
今回私が64GB版を購入したのはDTMでも使ってみようかと思ったからです。CPU性能もまずまずですし、さらにこれだけのメモリがあればプラグインを多用しまくっても実用的に使えるのではないかとちょっと期待しています
私のメインDAWであるCubaseのドングルも不要になってモバイル機でもDTMしやすくなりました。私はどちらかというと打ち込み主体なのでオーディオインターフェースの問題もありません。打ち込みやミキシング作業が外で出来るだけでもすごく嬉しいです
無用かどうかは自分の使い方が決めるのです。だからあまり人の意見を気にし過ぎない方がいいと思います。どんな使い方をするかはその人自身にしか分かりませんからね
私の場合には『必要』なわけですが、そうしたDTMや動画編集など実使用でのレビューについてはまた追記、もしくは別記事で書ければいいかなぁと思っています
とはいえ、使いづらければ価値が高いうちにさっさと売ってしまいたいという思いもありますので、試用の時間がどれだけとれるかにかかっています。それまではスキンシールも貼らないようにしないとです(笑)
G1の記事についてはこちらからどうぞ
それではまた~
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