(修理から)帰ってきたAYANEO FLIP 1S DSを確認してみた記録

AYANEO 不具合 PC

初期不良で修理に出していたAYANEO FLIP 1S DSが帰ってきました

この記事は自分へのメモ・備忘録というか戒めで、あまり読んでいただく方に向けたものではないかもしれません。この記事を読んでいただいて分かるのは

  1. AYANEO製品を買うことのリスク
  2. 環境(主に気温)によるAYANEO FLIP 1S DS ベンチマークの比較

の2点かと思いますので、もしこうした点に興味がありましたらお読みいただければと思います

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AYANEOで買った製品全部初期不良(笑) いや、笑えない

私はこれまでに3回AYANEO製品を買っていますが、そのすべてで初期不良品を掴まされています。そこで、もしまた今後

この製品いいじゃん!

と思うデバイスが発表されても、もう二度と買わないようにするための自分への戒めとしてこの文章を残しておきます

別にメーカーを誹謗中傷したいわけじゃないので事実をありのままに書きます。良いところは良いし悪いところは悪いと書きます。でも、悪いところが圧倒的に多い! つまりはそういうことなのだと思います

今回のAYANEO FLIP 1S、手元に届いた翌日からまともに起動できなくなりました(詳しくは過去記事をご覧ください)

9月2日に届いて、それからメールのやり取りを交わして修理に出したのが9月17日でした。相手に届いたのが9月20日。それから音沙汰はなく、修理完了の連絡が来たのが10月23日、手元に帰ってきたのが10月28日です

修理期間は約1ヶ月ですが、手元にない期間は1ヶ月半、使用できなかった期間全体として考えるとほぼ丸2ヶ月に及びます。リスクを冒してクラファンで早期購入したメリットは完全に消え失せています

こんなことになってしまっている根本原因として、まずサポート体制の悪さが挙げられます。AYANEOサポートは1日に1通しかメールを返してくれません。メールが届いて即座に返信しても、その返事が届くのはまた翌日です。しかも土日はお休み!

そのせいで初期不良の連絡をしてから実際に修理に出すまでだけで2週間もの時間が無駄にかかっているのです

修理に送り返した後も何の連絡もしてきません。受領の連絡もないし進捗報告もないです。だから3週間程度経過したタイミングで進捗伺いをします。今回の場合だと10月9日にメールしました。その際に返ってくる返事はいつも同じで

あなたのデバイスは修理部門に引き渡されました

という定形文だけです。ハッキリ言ってすごい不安

言っても今までは10万円台の製品(AYANEO2とPocket DMG)だったのでまだいいですが、今回のFLIP 1S DSには25万円ほど支払っているのでツライです。ていうかこの価格帯の商品を扱うならそもそも出荷前の品質管理ちゃんとしてくれよと思わなくもありません

AYANEO製品にはパッケージの中に『検品合格証』が同封されているのですが、実は最近、この合格証はただ入れているだけで実際には検品してないのでは? ということが言われています

Discordにて、部品不足でAYANEO商品がめちゃ遅延して届いたユーザーさんから報告があり合格証の日付が2ヶ月以上前だったそうです。「部品が無くて作れなかったはずなのにどうやって2ヶ月も前に検品したの!?」というわけです

こうした適当さは随所に感じられ、例えば今回の不良の原因やどのような修理を実施してくれたのか尋ねたのですが

Power FPCの不具合

という一言しか返ってきませんでした

いや、だからその何が不具合でどういう修理をしたのか訊いてるんですが? しかしそれを突っ込むとまたその2~3往復のやり取りだけで2~3日(土日を挟めば4~5日)も余計に日数が取られてしまうため仕方なく追及を諦めました

返ってきたデバイスは今のところ症状は出ていませんが、まだ再発した時のためにも詳細を知りたいんですけどね……また1日1通限定の不毛な長期間やり取りをするのはうんざりです

AYANEOは目に美しい・耳障りの良い魅力的な製品を発表してくれていることは事実でしょう。ソフトウェアの見た目や機能も優れてます。ライバルメーカーと比較して、より洗練されているし性能もかゆいところに手が届く商品が多いと思います

しかしそこに注力しすぎていて、実際に製造販売する段になると途端におざなりになってライバル以下の最低品質のメーカーになってしまっているように思えます。だからAYANEOの評価はネットでも両極端なのかなと

いわゆる『ガチャ』に当たった人はライバルメーカーより優れていると思うでしょうし、ガチャに外れた人は、その後のサポート体制の悪さも含めてライバルメーカーより劣っていると感じるのでしょう

ちなみに私は主要3社の製品全てで初期不良にあたったことがあります

ONEXPLAYER(One-Netbook)はこれまでたしか5製品前後買っていて初期不良が1回。GPDはたぶん10製品程度買っていますが、初期不良が1回だけありました。同じ「中華デバイス」と括られますけど、3回中3回というAYANEOの初期不良率の高さは際立っていると思います

ただ、AYANEOが優れていると思うのは、修理の際の配送体制です

ONEXPLAYERでは配送手配を自分でさせられました。配送会社の指示は無かったと記憶してますが、私の環境的にUPSを選んだ覚えがあります。初期不良であるにもかかわらず往路の送料は負担させられました

それに対してAYANEOはFedexの集荷を手配してくれます。また、修理完了品を送り返してくれた時にはDHLを使ってくれたので返送も早かったです。もちろん往復どちらも送料はかかりませんでした

送料無料の修理品だから4PXあたりを使われても仕方ないかと覚悟しているわけですが、今のところAYANEOからそうした激安配送会社が使われたことは無いのでこの点は評価できるかと思います

ちなみにGPDに関しては交換部品を送ってもらって自分で修理しただけなので分かりません。部品を送ってもらう時の送料は無料だったと記憶しています

ということで、時間はものすごくかかるもののAYANEOに修理を依頼すること自体の難易度は低いのでその点は安心です

しかしそれを差し引いても、初期不良確率の高さ(私の運が悪いだけかもですが)、修理を受けてくれるまでの無駄なやり取り時間、修理期間も長い、故障の内容や修理内容が曖昧、とどうしても悪いところが多く目についてしまいます

これがAYANEO製品を購入するリスクです。ガチャに当たった人はGPDやOXP製品を買うよりハッピーになれるけど、外れた場合には地獄。しかも外れる確率もGPDやOXPよりも高いとなっていますので、日ごろの行いが良い人じゃないとちょっと怖いメーカーかなと思います

運の悪い自分は今後二度とAYANEO製品を買ってはならない!

と心しておかねば。例えばNextⅡとかFLIP 11とか今後も自分の欲しくなりそうな製品が予定されているけど、買いたくなった際にはこの記事を見て思いとどまるようにしなければ、です

ちなみに

日本は多くの諸外国と違って正式代理店があるわけですので、どうしても欲しければハイビーム――つまり天空で購入するようにすることを強くお勧めします

値段は高いしリリースも遅いけど、リスクと天秤にかけた時に国内代理店の手数料はそれほどひどいものではないと感じます。リスクの高いAYANEOでは尚更ですね

今回私が買ったFLIP 1S DSイエローのように、日本未発売モデルが出てしまうとすごく悩ましいですが(汗) しかし自分よ、今後は日本未発売モデルについては潔く諦めるべし!

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク

前章は読んでいただく方に何ら寄与しないほとんど愚痴文章になってしまいましたが、この章ではベンチマークをまとめますので多少は参考になるかも?

ベンチは前もまとめたじゃん

と思われるかもしれませんが、修理の前後で何か変化があるのかという確認と、前回は思っていたよりも結果が奮わず「これは真夏の酷暑下のせい!?」という感じだったので、気温が安定している今の季節に改めてベンチを回すことでこの機種の一般的な環境下での性能を改めて確認するのが目的です

今回のベンチマーク環境は以下の通りです

  • 機体はHX370 / 64GB RAM / 2TB SSDモデルです
  • RAM速度 7500MT/s(デフォルト)
  • AMDドライバはAYANEO提供(プリインストール)のものを使用
  • VRAM 16GB設定
  • Windows 11 24H2 Windows Updater全適用済み
  • AYA SPACEにてExtremeモード(TDP 28W、FPSリミットなし、電源設定パフォーマンス優先)のデフォルト状態で計測
  • CPU/GPUクロックはフィックス(固定)、Smart TDPオフ、CPUターボはオン、ファン速度はフロート(可変)。これらもAYA SPACE Extremeのデフォルト
  • 電源接続状態(非純正65W)
  • 環境温度18℃前後
  • 日本語環境
  • 解像度1920×1080・拡大率125%

※修理前との比較も兼ねているため、設定は修理前と同じにさせていただいています

PassMark(CPU Mark)

前回も書きましたがこのベンチマークにおいて本機種のようなポートレート液晶機種の場合、3D Markのスコアが正しく計測できないことがあります。それに引きずられて総合スコア(PASSMark)も不正確ですのでそれ以外を見ていきます

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Passmark

修理後/秋口 修理前/真夏
PASSMark 10848 9508
CPU Mark 28951 28820
2D Mark 1037 1017
3D Mark NA NA
MEMORY Mark 2706 2683
DISK Mark 18701 13055

このような変化がありました

……というか、変化ありませんでした。それもそのはずで、酷暑のせいだとばかり思っていたCPU温度100℃到達が、涼しくなった今でも発生しています。確実にサーマルスロットリングを起こしているでしょう

とはいえ、100℃に達する頻度は下がったのと、酷暑時には90℃に達していたGPUが75℃前後で済むようになっているので、気温が下がったことによる改善は実感できます

でもこのPCはかなり熱に弱いように感じます。それを裏付けるように、静音時でもファンの音がうるさい!

CrystalMark Retro

このベンチも3D計測が正しく行えませんので、それに伴う総合スコアも正確ではない点に注意して下さい

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Crystal mark retro

修理後/秋口 修理前/真夏
All 28121 27135
CPU(シングル) 15924 15459
CPU(マルチ) 140263 135449
ディスク(read) 38961
570
40135
553
ディスク(write) 46540
1549
44469
1511
2D(テキスト) 10639 9606
2D(スクウェア) 17929 17015
2D(サークル) 16456 15767
2D(イメージ) 17660 16389

このような結果で、これも微増だけど誤差の範囲で変化なしと言ってもいいでしょう

このPCがHX370機にしてはベンチ結果がいまいち奮わないのは、そもそもの設計的に熱処理が苦手だからという疑いがますます強くなってきますね

GeekBench 5&6

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbenchAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbenchAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbenchAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク geekbench

修理後/秋口 修理前/真夏
GeekBench5 シングルコア 1983 1947
GeekBench5 マルチコア 11446 10990
GeekBench5 GPU(OpenCL) 41653 40238
GeekBench6 シングルコア 2731 2658
GeekBench6 マルチコア 12666 12362
GeekBench6 GPU(OpenCL) 31680 31807

これまた誤差程度で変化なしです

CINEBENCH R23/2024

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク cinebenchAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク cinebench

修理後/秋口 修理前/真夏
CINEBENCH R23 シングルコア 1968 1885
CINEBENCH R23 マルチコア 15186 14738
CINEBENCH 2024 シングルコア 112 109
CINEBENCH 2024 マルチコア 883 859

こちらも誤差程度の微増で変化なしです

特にマルチコアスコアがHX370機としては低く気になるのですが、思えばTDP 28Wで試すのはこの機種が初めてでもあるのでこんなものなのかもしれません

PCMark10

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク PCMark

修理後/秋口 修理前/真夏
Essentials 9354 10565
Productivity 8941 9520
Digital Contents Creation 8676 9076
総合スコア 6442 6954

こちらは誤差程度の微減となりました(笑)

Fire Strike(3DMark)

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Fire Strike

修理後/秋口 修理前/真夏
Graphics Score 8280 8227
Physics Score 22871 23995
Combined Score 2928 2775
総合スコア 7616 7493

これも変化なしですね

28WのHX370機としては低いかなと思っていたのですが、異常な値というほどでもないのでこれがこの機種の実力なのでしょう。HX370は元々cTDPのレンジが15-54Wですので、54Wまで使用できる機種と比べると低くなってしまうのですね

涼しくなったら改善するかと思っていたのでちょっと残念

Time Spy(3DMark)

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Time Spy

修理後/秋口 修理前/真夏
Graphics Score 3118 2592
Physics Score 8836 8801
総合スコア 3453 2898

前回のグラフィックスコアは異常だと思っていたので、ようやく普通(ちょっと低めだけど)と言ってもいいスコアとなって良かったです

やっぱり気温の影響も少しはあったのでしょうか

Port Royal&Speed Way&Steel Nomad(3DMark)

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Port RoyalAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Speed WayAYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク Steel Nomad

修理後/秋口 修理前/真夏
Port Royalスコア 1708 1261
Speed Wayスコア 511 339
Steel Nomadスコア 544 447

これらのベンチでも全体的に微増となりました

想像していたほどではないですが、やはり気温が下がったことでパフォーマンスがごくわずか向上したのかなと思います

FF14ベンチマーク(黄金のレガシー)

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク FF14

修理後/秋口 修理前/真夏
スコア 3369 3659
評価 設定変更を推奨 設定変更を推奨

このような結果に

前回は酷暑のせいだと思って見落としましたが、気温の下がった今さすがにこれは異常です

ここまでの異常事態を見てようやく気づきました。これはAYANEO FLIP 1S DSの熱処理が弱いとかどうこうの前に、デフォルト設定(プリセット)がおかしいのではないかということに

この機種をちゃんと(自分がHX370機に望む性能で)使いたいと思ったら、デフォルトのプリセットを使ってるだけじゃダメで、適宜調整していかないとマズそうだぞ、ということが分かったわけです

詳細は次章で

FF15ベンチマーク

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク FF15

修理後/秋口 修理前/真夏
スコア 3011 2673
評価 普通 やや重い

こちらは微増でした

AYA SPACEの調整は必須なのか?

前章のベンチマーク確認中に予想外の事実が判明しました。それは

AYA SPACEのプリセット設定はクソあまり良くないのでは?

ということです

AYANEO FLIP 1S DS ベンチマーク FF14

例えばこれはプリセットから設定を微調整して出したFF14ベンチの結果です。スコアを見ると、上にまとめた3369から5299に大幅に改善してますね

この時のTDP設定はなんと15Wです! AYA SPACEの設定を適切(?)に調整してあげることで、15Wが28Wに大差で勝つということが起きているわけです

より細かく言うと、ゲームにおいて優先度の低いCPUのベースクロックを下げたうえでフロートに変更。反対に優先度の高いGPUはクロックをオートにしたうえでフィックスで固定

AYANEO FLIP 1S DS

このように設定することで、TDPリミットを15Wに引き下げたにも関わらずFPSを大幅に改善することができました

これはもちろんFF14というゲームアプリにとってどのぐらいCPU/GPUのバランスをとるのが良いのだろうかと考えた結果の微調整となります

使用するゲームやアプリによってどのぐらいCPUとGPUが重視されるかのバランスは違うでしょうから、HX370機を買った恩恵をしっかり受けたいのなら適宜調整していく必要があるっぽいということが分かったわけです

なぜこのようになってしまうのか分かりません。自分で予想した通り、熱処理が苦手なせいで一般的なプリセットだけではうまくバランスがとれないということなのでしょうか……

もちろん未調整でも前世代(8840U/780M)と同等の性能は出るわけですので、一般的にはそれでも良い・気にならないという人も多いだろうとは思います。しかしこの機種には8840Uモデルも存在していて、価格差が10万円ほどあるわけです

10万円余分に支払ったのに性能はほとんど同じですというのじゃあ、やっぱりちょっとモヤってしまうというのが今の率直な気持ちです

今回取り上げたベンチの結果、FF14以外はそこまでおかしな数値のものは無かったように思いますが、もしかしたらこれらの結果もプリセット使用ではなく最適な設定をしてあげればまた違った結果が出てくるかもしれません

あくまでも購入直後そのまま使うだけの場合でのベンチ結果として捉えていただければ幸いです

ちなみにCPU重視のソフトについては今のところ調整してもあまり改善が見られていません。これはハードウェア的にCPUの方がより温度が上昇しやすいせいなのかもしれませんが……何か分かったら追記します

まとめ

ということで今回は、初期不良をくらったAYANEO FLIP 1S DSが戻ってきたことをうけての、AYANEO製品を購入することへのリスク(愚痴?)と、正しい状態(故障してない・気温が適温)でのベンチマークをまとめてみました

恨み言から始まった記事ではありましたが、ベンチマークを取っていく段では予想とは違った結果や事実が明らかになってきて個人的に面白かったです

こうした実験・検証が出来るのは無事に修理から帰ってきてくれたおかげです。時間はかかったけどちゃんと直してくれたことには感謝しないとですね

でも金輪際AYANEO製品は買いません(泣)

次回はこれも故障のせいで棚上げになってしまっていた、AYANEO FLIP 1S DSとeGPUに関する記事を公開予定です

それではまた~

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