Steam Deckの限定ホワイトエディションを購入しました
なぜゲームをやらないと明言している自分がこれを購入したのかという話と、買ってみてどうだったのかという話を、GPD WIN Miniとの比較も交えながら軽く書いていきたいと思います
レビュー及び比較という体裁をとってはいますが、雑記的な記事と言えるかもしれません
と言ってもガジェオタが書く「軽く」なので、あまり一般的ではない話も多いかもしれません。一般論が知りたい方は他のレビュー記事や動画を見た方がいいと思います。この記事にはマニアックな知識を持っている事が前提な話もけっこう登場しますので……
結論だけでも先に書いておくと、Steam Deckは自分には合わないので早々に売っぱらうことにします――というような内容の記事になります
なぜSteam Deckを買ってしまったのか?
いつも壊れたラジオのように「私はゲームはやりません」、「ゲーム以外の目的から見た評価です」と前置きしながら、各種UMPCを購入してはレビュー記事を書いてきた私が、なぜSteam Deckを買ってしまったのか
それはずばり、ゲームのためです
発売当時はいざ知らず、ゲームをしないのにSteam Deckを今さら買う意味は無いですので当然そうなります
Deck発売当時は他のUMPCと比べて価格が安く、UMPCとして買う意義も無くはなかったですが、ROG ALLYの登場以降はコスパというメリットも消滅し、単に図体ばかり大きな型遅れスペックのマシンになってしまっているのが正直な現状といえるでしょう
オタクではない普通の人たちにもそうした情報は浸透してきていると思いますが、それでもSteam Deckが未だに人気があるのは以下のような理由によるものだとされています
- Windowsと違い、ハンドヘルドに最適化されたSteam OS
- 握りやすく、フルサイズのスティックとボタンレイアウトでゲームがしやすい
- 電源ボタンで簡単にサスペンド(一時停止)とレジューム(再開)が出来る
- 大型筐体+低TDPのため、発熱は控えめでファンの音も静か
- 他UMPCと違い、低TDPでも性能低下が抑えられたオリジナルAPU設計
要約すると「Windows UMPC機と違ってゲーム機のように使え、低TDPでも性能低下しない点がスペック差以上の価値がある」ということのようです。少なくとも日本の提灯レビューの多くにはそう書いてありましたし、海外にもこうした意見の方は一定数いると感じます
これらのうち1と3についてはちょっと違うんじゃないの? と思わなくもありません。なぜならこれらはSteam Deckの長所ではなくSteam OSの長所だからです。Steam OS(とほぼ同じLinuxベースのOS)は各種UMPCに入れることが出来ますので、両者に優劣はありません
また逆に、Steam DeckにはWindowsを入れられるわけですので、そういう意味ではSteam Deckが劣っているということでもありません。OSの違いで両者の優劣を語るのは、少なくとも私たちのようなガジェオタには不要な理屈となります
私はどちらの機種もWindows / Steam OSのデュアルブートで使ってみましたので、この記事はそうした視点からの評価にもなっています
OS上の優劣が無く、しかもカタログスペック的には上位のGPD WIN Mini(ちなみに8840U搭載の2024版です)を持っている私が、それでもSteam Deckを購入したのは2と4、つまりゲームのしやすさのためだということになります
GPD WIN Miniってゲームがしづらいの!?
と思われるかもしれませんが、全てはモンハンのせいためなのでした……
全てはモンハンのせい
※この章は日記要素が強いので読み飛ばし可です(笑)
きっかけはモンハンワイルズのオープンベータが開催されたことでした
あ、勘違いしてしまう方がいるといけないので最初に書いておきますが、Steam Deckでモンハンワイルズをやるのは無理ですので間違えないで下さい。私もそうした意味で買ってないですし、この記事の主旨もそうではありません
閑話休題
偶然SNSでモンハンワイルズのオープンベータを知ってしまい、ちょっとやってみるかとプレイしてしまったのが運のツキでした
私は以前モンハンワールドを買ったのですが、それまでの作品とはシステムが変わり過ぎて受け付け難く、挙句の果てに陸珊瑚の台地とかいうフィールドで迷子になってしまって、2日程度で投げ出したという過去がありました
なのでワールドの系統だというワイルズにも期待していなかったのですが
まぁ、無料だし……
と思ってやってみたところ、これが結構楽しめたんです!
ワイルズのベータは3日間で4時間ぐらいしか出来なかったのですが、この4時間である程度操作にも慣れ
もしかして今ならモンハンワールドもやれるんじゃね?
と思って、モンハンワールドをはじめから再プレイしてみたところ……出来る、出来るぞっ!! ていうか面白い!! となってしまい、すっかりハンター生活が始まってしまいました(笑)
しかしそれにはちょっと悩ましい問題もあったのです
ワイルズをやったのもワールドを進めていったのもメインのデスクトップPCです。その時に使用していたコントローラーはこれ
8bit doのコントローラーです。手元にこれしかなかったし、本腰を入れてプレイする気はなかったので深く考えずにこれで始めたのですが、ハンター生活を重ねるにつれてこのコントローラーでの操作が体に染みついてしまっていたようです
その後、ハロウィンセール(?)でアイスボーンまで追加購入しプレイ時間が長くなっていくに従って、すきま時間にもやりたいと思うようになったため、GPD WIN Miniにもモンハンをインストールしました
が、GPD WIN Miniのコントローラーレイアウトがモンハンやるのにすごくやりにくいのです
ボタン及びDパッドとスティックが横並びなのはギリで許せるとしても、右スティックとボタンの配置が逆なんです。こいつは厳しい、無理っ! これはGPD WIN MiniのPCBの都合でこうなってしまっているそうで、Discordでも不満が挙がっていたところです
当時のゲームをやってない自分には「ふーん」程度のやり取りでしたが、自分で体験してみて初めて不満の理由が実感できました
ちなみに以前にレビューした同社のGPD WIN Max 2ではちゃんとアナログスティックが内側にありますし、その他のONEXPLAYERとかAYANEOとかは縦型かつ正しい(右スティックがABXYボタンの下にある)レイアウトです
が、これらの機種はすでに手元にありません……。ここ数年ゲームなんてやらなかったので、ゲームプレイのやりやすさは度外視で、現在手元に残った機体がGPD WIN Miniだけになっているのです
いつも自分のレビュー記事でも書いてることですが、使用目的によってその機種の評価は激変する――ということを改めて実感しました
ということでモンハンワールドがやりやすいだろう機体を新たに買うことにしたわけですが、なぜROG ALLYや他のスレートタイプの機体ではなくSteam Deckにしたのかというと、前の章で書いたように、提灯レビュワー達が
「ゲーム機のように使える!」とか
「Valveが作った安心感」とか
「デカくてもゲームがやりやすい筐体」とか
「Windows UMPCとは全然違う快適性」とか
絶賛しているので、そこまで言うなら信じてみよう・嘘か本当か確かめてみよう、と思ったからです。もし本当だったら、モンハンのためだけに買う自分にとってはまさにドンピシャの機種ということになりますのでね
ここまで『提灯レビュワー』呼びしていることから分かると思いますが、結果的に彼らの書いている内容は嘘……とは言わないまでも、誇大表現、欺瞞、あるいは「個人差がある」といった類のものでありました
だからSteam Deckは自分には合わないので売り払うハメになったのです
私のような被害者を出さないためにハッキリと書いておきますが、スペックを抜きにしてもSteam Deckが他のWindows UMPCよりゲームがやりやすいのかどうか、買う価値があるのかどうかは『人による』と思います
Steam Deckが他のUMPCと比べて特別ゲームプレイしやすいなんてことはないと思います。少なくとも私にはそう思えませんでした
これから購入を考えている方は、当記事を含めたネット上の各レビュー記事を鵜呑みにせず、自分のプレイしたいゲーム種、環境(慣れているコントローラー形状等)、自身の知識レベルなどと照らし合わせて、公式サイトの解説や画像から判断することを強くおすすめします
Steam Deck OLED VS GPD WIN Mini(Steam OS)
前の章では無責任な記事を書くレビュワーへの怒りが漏れ出してしまいましたが……(汗)
気を取り直して、ここからは冷静に両者の使用感の違いと、どこが良かったのか、どこが気に入らなかったのかを書いていきたいと思います
ただしこれも先の章で書きましたが、このレビュー自体もあくまで私の主観ですので全ての方に当てはまる感想ではないことでしょう。鵜呑みにしないよう、ご自身に当てはまるかどうか咀嚼して参考にして下さい
OSの使用感
繰り返しになってしまいますが、OSの使用感に違いはありません
GPD WIN MiniにはSteam OS(のフォークしたOS)を入れてありますが、これはほぼ全ての点でSteam DeckのOSと同じです。ですので使用感・快適性に差は皆無です
使ったことある方はご存じでしょうか、どのぐらい同じかというと、Steam Deckを初回起動した時に表示されるツアーチュートリアル
↑がそのまま表示されるぐらい、完全に同じOSです
そこに電源ボタンは無ぇっ! って感じですよね(笑)
当然ですが電源ボタン押下での一時停止/再開にも対応しています。GPD WIN Miniのようなクラムシェル機の場合は、蓋の開閉でもスリープ/レジュームが可能です
また、Windowsでプレイする時よりも発熱が抑えられますので、ゲームプレイ中は熱くなりやすいGPD WIN Miniでも熱さを感じることが無くなります
ファンの音に関しては、意識して差を聞き分ければGPD WIN Miniの方がファンが小型なぶん聞こえる気もしますが、Windowsでの使用時ほどは回らず普通に使う上では聞こえないと思います
ただしこれら熱と騒音はSteam Deckと同じTDP 15Wまでで使用した時の話です。それ以上はモンハンでは不要であり、現時点では未使用のため未確認となってますので注意して下さい
※Steam Deckと違ってTDPは15W以上まで上げられます
ということでSteam OSで使用していくうえでは、両者に優劣はありません
が、先に書いたように私はWindowsとのデュアルブートで使っています。Windowsで使う際には差が出てきます。言うまでもなく、GPD WIN Miniの方が圧倒的に使いやすくSteam Deckは非常に使いにくいです
と言ってもこれはSteam Deckのせいではありません。WindowsというOSはキーボードを使用することが前提になっていますので、他のスレート型のUMPC(ゲーミングハンドヘルド)は、おしなべて皆こうした評価になります
ただ一点、Stema Deckのスライドパッドに関してはかなり良いです
正直驚きました。Windowsでの使用時でもハプティックス(触覚)フィードバックがあり、動作も滑らかで直感的な使用が可能です。スライドパッドだけで見たらGPD WIN Miniのスライドパッドとは月とすっぽんレベルで勝っています
が、しかし。それでもキーボードの有無はWindowsにおいては如何ともしがたい差ですので、両者を比較するとGPD WIN Miniの方が優れているという評価になります。GPD社が他社と違い、頑なにキーボード搭載機を作り続ける理由が分かりますね
以下は個人的な見解なので参考程度にしていいただきたいのですが
Steam Deckを買う人でそんな人はいないだろうとは思うのですが、もし「Steam Deckをデュアルブートではなく完全にWindows化して、普段使い機兼PCゲームもWindows上でやる」、みたいに考えている人がいたらそれはやめた方がいいと思います
Steam DeckのメリットはSteam OSが最初から使えるという一点であり、Windowsのサブ機が欲しくてゲームもWindows上でプレイするのであればROG ALLY Xあたりが向いていると思います
逆に、「Steamゲーム機メインだけど、たまにはWindowsも使いたい」みたいな方であって、PCに不慣れでWindows UMPCにSteam OSを入れる知識が無いという方であれば、素直にSteam Deckを買う方が幸せになれるかもしれません
使用割合にもよるでしょうが……例えばSteamゲーム95%、Windows利用5%程度とかであれば、わざわざデュアルブートせずとも、Steam Deck上で、USBメモリやSDカードからWindows to goで動かすのが簡単でいいのではないかと思います
ディスプレイの比較
まず画面サイズの差(7インチvs7.4インチ)ですが、これはほとんど気になりませんでした
老眼? と思うほど目が悪い私ですが、0.4インチ大きいSteam Deckの方が見やすい! なんてことはなかったです。ちょっと期待していただけにこれは残念でした。一見Steam Deckの方がだいぶデカいように見えますが、ベゼルの大きさなのですね
一方で、画面の色域については圧倒的にSteam Deckが勝っています
Steam Deck OLED |
GPD WIN Mini | |
sRGB カバー率 | 100% | 97% |
Adobe RGB カバー率 | 94% | 73% |
DCI-P3 カバー率 | 100% | 73% |
NTSC カバー率 | 92% | 69% |
GPD WIN Mini 2024はユーザーのわがままに応え、ネイティブランドスケープかつVRRに対応するためにROG ALLYと同じ液晶を採用しました。これにより色域という点では2023モデル以下になってしまったわけです
その代わりにWIN MiniのSteam OSからもVRRを有効に出来ますので、その恩恵はあったと言えるのかもしれませんが……
対してSteam Deck OLEDはその名の通り有機ELであり、それもかなり良いパネルを使っているようで色域はかなり広いです。P3はもちろんのことAdobe RGB、NTSCのカバー率もかなりのものとなっていました
しかしゲーム目的の場合にはこの差があまり気にならなくなります
これも当サイトでは毎度書いてますが、ゲームは基本的にsRGBの色空間で表現されますのでsRGBのカバー率が100%であれば問題はないはずです
他のゲームをやらないので確かなことは言えませんが、少なくともモンハンワールドアイスボーンにおいてはそのようで、ゲームプレイ中の見え方に差はほぼ感じられませんでしたので、ゲームしかやらない人はそこまで気にしなくても良いのではないかと思います
デュアルブートを考えている方は、使い道によってはStema Deckのディスプレイに優位性を感じられるかもしれません
ただしSteam Deckはメモリが16GBしかなくAPUも6800U相当ですので、動画編集には不向きでしょう。画像編集やRAW写真現像等には良いかもしれません
スピーカーの比較
数値で示せないため普段はここに言及しないのですが、あまりにも違いがあったため今回は書きます
スピーカーに関しては天と地ほどの違いがあります。Steam Deckの方が圧倒的に優れています。音質も音圧も音量も拡がりも、全てです
オーディオマニアが、素人には分からないようなスピーカーの差をドヤることがありますが、それとはまったく違う次元の話で、おそらくこれは幼稚園の子が聞いても聞き分けられるぐらい差があると感じました
Steam Deckが神ってる品質、というよりはGPD WIN Miniがかなり悪い品質である、といったことなのかなと感じます
Windowsならこれを緩和するためにFX Sound等のイコライザーアプリを使用するわけなのですが、LINUX版は現時点では存在しない(?)ようです。一応LINUXにもPulseEffectsという有名なアプリがありますが、未使用のため未評価。あくまでも素の状態での差だとご理解下さい
音質を気にするゲームをされる方は、Steam Deckを購入する方が幸せになれる可能性が高いかもしれません
コントローラー部の比較
本記事の『肝』の部分です
まず改めて言っておきますが、これはあくまでもモンハンをプレイした場合の感想です。また、
「WIN Miniがやりにくい」とかほざいてるのは、グリップ付けてないからじゃねぇの?
と思われるかもしれませんが、持ってます
グリップを付けても付けてなくてもやりにくかったことを確認したうえでの感想となっていることを最初に明言しておきます
さて、まごうこと無く、まさにこのために買ったSteam Deck。どれだけゲームがやりやすいのか試させてもらおうか、と喜び勇んでプレイしてみたのですが……
や り に く い
めちゃくちゃやりにくいです(ToT)
当サイトによく来ていただいている方であれば以前の記事でも読んでいただいたかもしれませんが、このやりにくさはRazer Edge Proで味わったプレイしにくさと全く同じだと感じました
すなわち、コントロール部の左右が遠すぎる、かつ、ボタン類やスティックといった操作部が中央ではなく上部に集中しているため違和感を感じてしまう、といった点です
また、ABXYボタンの左下にアナログスティックがあるという配置自体はいいのですが、なぜかその操作もすごくやりづらいです。スティックが高すぎるのかと思って計ってみましたが、普段使いのコントローラーと差はないようでした
正直なぜこう感じるのか分かりません。今でもなぜなのか正確には分かっていませんが、もしかしたら本体サイズがデカく、スティックもフルサイズのものが備わっているのに、ABXYボタンだけが携帯機のように小さく間隔も狭い、という点が違和感につながっているのかもしれません……
とにかく、GPD WIN MiniではやりづらかったモンハンがSteam Deckでは快適に出来るだろうと期待していただけに、このショックはかなりデカかったです
で、しばらくガッカリした後に、至極当たり前のことに思い当たりました
慣れてないからじゃね?
ということで、デスクトップでのプレイをやめてSteam Deckだけでプレイするようにしてみました。すると思った通り徐々に慣れてきて、ファーストインプレッション時と比べるとだいぶまともにプレイできるようになってきました。とはいえ普段のコントローラー程ではないのですが……
また、ふとこんなことも思いました
ひょっとしてGPD WIN Miniも慣れればある程度やれるんじゃないだろうか?
ということで今度はGPD WIN Miniだけで遊ぶ日を設けて試してみたのですが、すると思った通りクエストを数回繰り返すだけである程度遊べるようになってきました!
もちろんこれも普段使いのコントローラーと比較すると違和感はあるのですが、ハッキリ言ってこの違和感はGPD WIN MiniでもSteam Deckでもどちらでも大差ありません
つまり何が言いたいのかというと
ゲーム(モンハン)がしやすいのかどうかは、そのハードに慣れているかどうかであって、Steam Deckだから特別ゲームがやりやすいということは、少なくとも私の場合には無い
と気づいたということです。Steam Deckだけで遊び続けてればプレイしやすいでしょうし、GPD WIN Miniだけで遊び続けてれば、やっぱりそれはプレイしやすいのです。当たり前ですけどね
いや、ゲームのプロの人とかだと意見はまた違うのかもしれませんが、つまりはそれこそ人それぞれだということであり「Steam Deckだから他UMPCより遊びやすい」みたいな意見や表現は違うんじゃないの? ということです
期待しちゃったんだぞ、ちくしょう……
ということで購入を検討されている方は、普段使っているコントローラーとの差や、違和感が生じても乗り越えていけるのかどうかという点を考慮して判断するのがいいのではないかと思いました
ゲーム性能の比較
UMPC含む一般的なPCとちょっと考え方が違い、ゲーミングハンドヘルドにおける性能とは、「どこまでのゲームが楽しめるのか」という上限性能のほかに、「どこまで性能を落としても満足いくゲーム性能が発揮できるのか」といった、下限性能とでも呼ぶべき点にも注目する必要があると思います
なぜなら小型ハンドヘルド機はバッテリーが小容量である場合がほとんどで、加えてゲームしかしないわけですから、いまプレイ中のゲームが快適に動作する以上の電力を食わせるのは、動作時間を短くするだけの無駄な行為でしかないからです
これを比較してみます
モンハンでログイン直後の画面にて、60fpsを維持できるのはTDPをどこまで下げたところなのか? を比較してみました。グラフィック設定はどちらも最低、1280×800、フルスクリーンです
GPD WIN Miniの画面が小さく表示されているのは、条件を揃えるためにゲーム内設定から1280×800のフルスクリーンにしているせいで、実際にはちゃんと全画面で遊べます
結果はこのような感じです
Steam Deck OLED |
GPD WIN Mini | |
60fpsを維持できるTDP | 11W | 9W |
システム全体の消費電力 | 16.4W | 18.3W |
バッテリー容量 | 50Wh | 44.24Wh |
単純計算による動作時間概算 | 約3時間 | 約2時間24分 |
もちろんプレイ中のシチュエーションによって消費電力は刻々と変わりますが、同一シチュエーションにおいての比較であれば条件はほぼイーブンでしょう
単純比較ではありますが、結果としてはGPD WIN Miniの方が下限側にも余裕があり、TDPを2W下げた状態で同一性能が発揮できることが分かりました
一方でシステム全体の消費電力で比較すると、Steam Deckの方が低電力であることが分かります
この差は恐らく、ディスプレイ解像度の違い(ゲーム内解像度は800Pですが、パネル自体は1920×1080個のピクセルがあるわけですので、当然そのぶん電力は食います)、リフレッシュレートの違いからくるものでしょう
消費電力を抑えたいのであれば、デスクトップモード(余談ですがデスクトップもSteam Deckと同じKDE Plasmaです)からディスプレイ設定を落とせば、完全にSteam Deckと同等かそれ以下の消費電力で済ますことも可能です
他、コア数の違いやメモリタイミングの違いも消費電力差に表れるでしょうが、コアを無効にしたりメモリのクロックスピードを落とすとTDPの『下限性能』もまた変わってくると思われますので、本記事では検証しません
これまた単純計算での比較になりますが、ログインして棒立ちし続けるというゲームプレイにおいて(そんな遊び方はありえないでしょうが)、GPD WIN Miniでは18.3W/44.24Wh=2.42時間のプレイが可能なのに対して、Steam Deck OLEDでは16.4W/50Wh=3.04時間のゲームプレイが可能と言えます
当然ですがシチュエーションが変われば消費電力は変動し、使用可能時間はもっと短くなる可能性が高いですが、戦闘中でも拠点以下で済むケースもありますので一概には言えません
ということであくまで単純計算からではありますが、TDP自体はGPD WIN Miniの方が低くできるものの、全体的な消費電力とバッテリー容量の差から、実際にはそれでもSteam Deckの方が30分程度は長くプレイできそうである、といった結果となりました
たった30分? それもと貴重な30分? どう判断するかは人によって違うと思いますが……
またも余談ですがROG ALLY Xが評価されているのはこの点で、なんとバッテリー容量が80Whもあります。Windowsで使う限りはバックグラウンドプロセスも走るため恩恵を受けづらいですが、Steam OSを入れるのであればかなりプレイ時間を伸ばすことができます
まとめ
ということで今回は、モンハンワールド アイスボーンを楽しむことを期待して買ってしまったSteam Deck OLEDホワイトエディションについて書かせていただきました
色は良いんですよ
Aliexpressあたりで売られているカスタムシェルのホワイトと違って、純白ではなくわずかにアイボリー気味なボディとか、グレーがかっているボタンやスティックなどはキレイな筐体だなと思います。好きな見た目だし質感とかは満足感高く、所有欲を満たしてくれると感じています
でもなぁ
モンハン以外のゲームはやる予定はありません。モンハンワイルズも遊べるならSteam Deckでのプレイに慣れていけるよう時間をかけてもよかったのですが、スペック不足からDeckでワイルズは遊べないので、いまこの時に、モンハンワールドアイスボーンが快適に遊べるかどうかが全てなのです
残念ながら結果はやりにくかった。慣れればだいぶマシになるけど、それはGPD WIN Miniでも同じだった、というわけです
であるならば、Windowsでの使用時の利便性、ポートの豊富さ、解像度の差、基礎スペックの高さから、やはり手元に残すのはGPD WIN Miniの方かなと判断せざるを得ませんでした
本文中には書きませんでしたが、実はSteam OS自体の動作の機敏性もGPD WIN Miniの方が勝っています。Stema Deckは起動時や電源ボタンを押しての一時停止/再開にわずかに遅れがありますが、GPD WIN Mini(というかOS自体の動作)は、よりスムーズだったりします。機能もカスタムOSの方が豊富です……
別にSteam Deckをディスりたいわけではないのでこのあたりのことはこれ以上は書きません。画面のキレイさとかタッチパッドには感動させてもらったし、中華UMPCより良い機種だと感じられる方も多いんだろうなぁ、とは実感しました
でも、サヨナラです
海外と違い日本の代理店(KOMODO)は、購入後14日以内であっても開封済みの製品は返品不可とのことなので仕方ないから売ることにします
たぶん2~3万円ぐらい損が出てしまうでしょうが、それは勉強代だと思うことにします。あとは一時でも所持できたことに対する対価? かな。レンタル代と比べてかなり高価な気もしますが……
この記事も含めてですが、皆さんはどうか無責任なレビューに惑わされないように自身の環境や要件を吟味して考えて、失敗しない満足な買い物が出来るといいですね
それではまた~
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