Power Visionが販売する最高にキュートなドローン「PowerEgg」に次世代モデルが登場しました。その名も「PowerEgg X」
大きさがだいぶ変わっているので純粋な後継機というのは違うのかもしれませんが、1か所を除いて全ての性能がパワーアップしていますので、実質後継機と言ってもいいのかもしれません
今回は、初代モデルを未だに愛好している私が、初代との比較を交えつつ製品の特徴などを探っていってみたいと思います
どうしても一点だけ、我慢ならない部分があるのですが果たして……
PowerEgg Xの特徴
PowerEggシリーズは、Power Vision社が発売する空撮用ドローンです
卵型の愛らしすぎるフォルムから変形してドローンになる様は可愛いものが好きな人にはたまらないギミックだと思います。もちろん後継機となるPowerEgg Xでも健在です
新モデルには『これでもか!』という程の機能が盛り込まれています。それらはこの後解説しますが、いちばんの大きな変更点は機体サイズの大幅な小型化でしょう
新モデルは、プロペラ対角寸法は427.5mmと中々の大きさですが、重量が862gと大幅に軽量化しています。PowerEggの弱点の一つが大きく重すぎる本体でしたので、これは嬉しい変更です。付属ケースに持ち手がないせいで余計重く感じるんですよね
PowerEgg Xではそうした心配とはサヨナラできそうです。それでいて飛行時間は延びていますので中々どうして大したものだと思います
なお後述するようにプロペラは取り外しができるのですが、その際の寸法は165×100×100 mm、重量は522gとさらにコンパクトになります
その他の新機能も魅力的なものが目白押しです
- 4K/60P撮影に対応
- H.265コーデックに対応
- 障害物検知センサーを搭載
- その他飛行性能の底上げ
- AIカメラモード搭載
- ハンディジンバル撮影モードを搭載
- 音声合成技術を搭載(世界初)
- 雨天飛行、水面着水に対応(オプション)
と、モリモリの内容となっています
撮影機能の進化については順当なバージョンアップですので特段説明は必要ないかと思います。4K/60PとかH.265/HEVCというのも今となっては特に珍しくもありませんね
あと静止画の方がようやくRAWに対応しました。形式はたぶんAdobe DNGだと思います
障害物検知センサーについては「ようやくか」という印象が拭えませんが嬉しいポイントです
前方と下方にそれぞれデュアルビジョンセンサーカメラを搭載し、20メートル以内の障害物を検知して飛行できるだけでなく、着陸時も障害物を検知して安全に着陸できるとしています
飛行性能底上げも嬉しいところ
最大フライト可能時間は30分に増大。耐風能力も小型化したにもかかわらず前モデルの8.9m/s(ビューフォート階級4以下)から10m/s(ビューフォート階級レベル5以下)へとアップしています
画像伝送能力も1080Pのライブビューで6kmまでに増大していますが、日本ではHD画質で3kmまでとなる点には注意して下さい
その次の「AIカメラモード」って何? という感じですが、PowerEgg Xに搭載されている精密顔認識機能がこのような名称で呼ばれています
このシステムにはディープラーニングが採用されており、継続的に顔認識精度を向上させることができるそうですが詳細は不明…。話半分で聞いておくとしても、私にはあまり使いみちが分かりませんでした
メーカーの説明を読むと、この顔認識はカメラのFOV(78.4°)以上の170°という超高レンジで対象者をロックし続けフレーミングができたり、フレームアウトしてしまった際にも情報を記憶しておき、再びフレームインした際に自動的にロックを再開する、といったような機能があるようです
うーん、説明を読んでもさっぱり魅力的に見えません(笑)
画像を見る限りだと、追尾撮影だけでなく三脚部を持って手持ちのジンバルに載せたカメラのようにも使うことができそうなのは良いかもしれません
それともう一つの機能である「ジェスチャー認識機能」の方はちょっと面白そうです。顔認識同様、使用者のジェスチャーを記憶しそれを用いて撮影、追尾などの自動アクションが行えるそうです。どこまで設定できるのかは不明ですが、中々ユニークな機能だと思います
その次の「ハンディジンバル撮影モード」はもっとユニークです
なんとPowerEgg Xは、プロペラをオミットし本体の丸い部分だけにした状態でハンディストラップや手持ちグリップを取り付けることで、ハンディビデオカメラや折りたたみ式のミニ三脚を取り付けたビデオカメラのように使用することができるというものです
これは欲しい!
ドローンモード時と同様、3軸ジンバルを活かしたヌルヌルな撮影が可能ですのでかなり魅力的です。ちょっと本体がデカいのは気になりますが許容範囲内ですね
さらに世界初の機能として、リアルタイム同期録音機能を備えています。これはドローンが録画している映像に、モバイル端末側のマイクが拾った音声を自動で合成して同期を実現するというものです
これまた何に使うのかイマイチ分からない機能なのですが、例えば実況中継やカット割りのメモを吹き込むなどの際には輝く機能なのかもしれません。私は……無くてもいいです(笑) あ、でもハンディモードでビデオカムのように使うなら必要になるのかぁ
最後に紹介するのはこれまた中々魅力的な機能です
PowerEgg Xは防水機能を持たせることが可能で、雨天時の飛行に加えて、水面着陸用のフロートを装着することで水の上にもランディングが可能になります
Power Visionは水中・水上ドローンにも力を入れていますので、ウォータースポーツや水にまつわる調査業務などで使用する際の両者のシナジーに期待してこのような機能を持たせたのかもしれません
このようにあらゆる点がパワーアップしたPowerEgg Xですが、値段の方は99,900円(税込)と、まさかの10万円切りでリリースされています。ただし水空両用にしたい場合にはオプションの防水パーツが必要となりますので、そちらがセットになったWizard版ですと146,900円(税込)になってしまいますが……
というわけでここまでは良いところばかりをあげつらってきましたが、最後に悪い点も書いておきたいと思います
小型高性能化を果たしたうえに撮影性能までアップさせた代償として、センサーサイズが1/2.8インチという豆粒以下のセンサーに変更されています。これはツライ……iPhone並です
ビデオカメラがこのぐらいのサイズのセンサーを使っていたりもしますので、ハンディカメラとしても使えるならビデオカメラと同等のセンサーなのは仕方ないのでは? と思う気もしなくはないですが、PowerEgg Xはビデオカムと違い単焦点レンズです
ビデオカムのセンサーが小さい理由の一つに、小型レンズ・小型筐体を維持しつつ30倍程度のズームを実現するため、といった納得のいく根拠があります。しかしPowerEgg Xは単焦点のくせに豆粒センサー……。写りもたかが知れているのではないか? と思ってしまいます
ついでに、これも画像だけで判断するべきではないと思ってはいるのですが、レンズもピンホールカメラのような極小レンズとなっています。これで満足な光学性能が得られるのでしょうか……
実機を触ってみないと断定はできませんが、PowerEgg Xはそのギミックやドローンの飛行を楽しみたい人には魅力的かもしれませんが、撮影性能を求める人は購入をちょっと待った方がいい機種なのではないか、というのが率直な感想です
ちなみに撮影性能がイマイチなのは初代も同様であり、PowerEgg Xが初代PowerEggより劣るという意味ではありません。DJIのドローンあたりと比較して、という意味です
初代PowerEggとPowerEgg Xの比較表
続いてPowerEggの初代と二代目を一覧表で比較してみたいと思います。個人的に優れていると感じる方を赤文字にしています
初代PowerEgg | PowerEgg X | |
サイズ(プロペラ対角) | 448mm | ドローン時:427.5mm カメラモード時:165×100×100 mm |
重量 | 2,100g | ドローン時:862g カメラモード時:522g |
飛行可能時間 | 23分 | 30分 |
最高時速 | 46.8km/h | 64.8km/h |
最大到達距離 | 5km(日本はたぶん2.5km。実測で500m前後) | 6km(日本は3km) |
最大高度 | 4,000m | 4,000m |
測位方式 | GPS、GLONASS | GPS、GLONASS |
カメラセンサーサイズ | 1/2.3インチ | 1/2.8インチ |
レンズ画角(35mm換算) | 15mm | 27mm |
レンズF値 | f2.8 | f1.8 |
画素数 | 1,200万画素 | 1,200万画素 |
静止画ファイル形式 | JPEG | JPEG/RAW |
動画最大性能 | 4K/30P、フルHD/60P | 4K/60P、フルHD/120P |
コーデック、ファイル形式 | H.264、MP4/MOV | H.265/HEVC |
ジンバル性能 | チルト:0~-90度 パン:105°~-155° |
チルト:20°~-90° パン:55°~-55° |
独自機能 | モーションコントローラー | ビジョンセンサー(前方×2、下方×2)、防水機能(オプション)、AIカメラ、ハンディモード |
このような感じです
完全に初代PowerEggを食ってしまっていますね。初代が勝っているのは価格面でのメリットだけです。あとは一応、ジンバルの可動範囲でしょうか
個人的には、今から初代を買うという選択肢はナシですね~
まとめ
こうしてまとめてみると……ディスった部分もあるもののやっぱり欲しいですね(笑)
私は水中ドローンのPowerRayも持っているので、湖での撮影を空から水中からと組み合わせた映像作品なんか作ってみたいです
ただ最初の方にも言ったように撮影性能にはあまり期待できない気もするので、もうしばらくは様子を見てみようかと思います
ちょっとまだ分かりませんが、購入したらレビューなどお届けできればと思っています
それではまた~
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