久しぶりに最強13インチノート「G-Tune P3」についての記事になります
と言ってもCPUのTDPリミッターが解除されたうえ、GTX1650 Tiを新たに搭載したRazer Blade Stealthが出てきてしまった ので、最強13インチノートの座は返上してしまった感はありますが……
ちょっと残念ですが気を取り直して
以前の記事ではG-Tune P3の純粋なベンチマークをお届けしました
今回の記事では更なる性能向上を目指すべく、eGPUと接続してパフォーマンスをテストしてみたいと思います。せっかくサンボルが付いてますので試してみようというわけですね
G-Tune P3に搭載されているRadeon Vega M GHはモバイル環境としては最強クラスのGPUだと思いますが、これを上回る性能を得るためにはeGPUにどのグレードのGPUを選べばいいのか? といった点の参考になれば幸いです
また、eGPUはノート画面に映像を映す(送り返す)よりも、そのまま外部ディスプレイに映した方が性能が高いということも言われていますので、それは本当なのか!? という点も検証してみました
G-Tune P3 + GTX1070 eGPU環境でベンチマーク比較
今回選んだGPUはNvidiaのGTX1070です。もちろんモバイル版やMax-Qではなくデスクトップ版です
なぜこのGPUなのかというと、eGPUはThunderboltのフィードバックがボトルネックになって性能が低下することが知られており、本来の性能の2~3割減になると言われています。グレードでいうと2つぐらい下のGPUと同等になるイメージ
Radeon Vega M GHの性能はGTX1050 Tiを超えており、GTX1060にわずかに勝てないぐらいの性能となっていますので、eGPUの性能ダウンを考慮するとこれが最も良い勝負ができるのではないかと思いチョイスしました
あと、安かったからです(笑)
それでは行ってみましょう
3DMark Fire Strike
GPUベンチの代名詞である3DMarkのベンチを2種です。まずはFire Strikeから
GPUを比較する場合は普通Graphicsのスコアで比較し、CPUの差が出てしまう総合スコアやPhysics、Combinedは考慮しないのですが、eGPUですのでGPU以外のハードウェア構成が全く一緒ということもあり、全てのスコアを見ていきたいと思います
内蔵GPU(Radeon Vega M GH)
- Graphicsスコア:10364
- Physicsスコア:11296
- Combinedスコア:3179
- 総合スコア:8539
eGPU(GTX1070)
- Graphicsスコア:12158
- Physicsスコア:11136
- Combinedスコア:5579
- 総合スコア:10743
eGPU(GTX1070)から外部ディスプレイ出力
- Graphicsスコア:13109
- Physicsスコア:10651
- Combinedスコア:5607
- 総合スコア:11219
このような結果となりました
リザルトが見づらくてすみません。この記事の最後に全部のベンチをまとめたグラフもありますのでご容赦下さい(ToT)
やはり本来のGTX1070の性能は出ていませんが、それでも内蔵dGPU(これも変な言い方ですね笑)のRadeon Vega M GHと比べると2割ぐらいは性能向上が見込めそうです。別の言い方をするならGTX1060以下のGPUをeGPUとして使っても無意味ということになるんですかね?
ちなみにフル性能を発揮したGTX1070の平均スコアはGraphicsが18000前後・総合で15500前後ですので3~4割の性能低下って感じでしょうか
『外部ディスプレイに出力した方が…』という点については、確かに良くなってはいるものの誤差レベルにも感じられ、このテストだけではあまりよく分かりませんね
3DMark Time Spy
続いてDirectX 12世代のベンチであるTime Spyです
内蔵GPU(Radeon Vega M GH)
- Graphicsスコア:2920
- CPUスコア:4478
- 総合スコア:3080
eGPU(GTX1070)
- Graphicsスコア:4981
- CPUスコア:4487
- 総合スコア:4900
eGPU(GTX1070)から外部ディスプレイ出力
- Graphicsスコア:5120
- CPUスコア:4396
- 総合スコア:4996
このような結果になりました
こちらはVega M GHからかなりの向上が見られますね。AMDはDirectX 12世代への対応についてはかなりの自信を表明しているのですが、実際にはDirect X11の頃よりもNvidiaと差が開いているという結果に……
今どきのゲームを多くプレイする人は同等クラスのGPU(例えばGTX1650とか)であってもNvidia製のGPUをeGPUでつなぐ方が良いパフォーマンスが出る可能性があるってことですかね?
先ほどGTX1060以下をつないでも無意味かも? とか書きましたが、こういった今どきのゲーム用途であれば恩恵を受けることができそうですね
なお、フル性能を発揮したGTX1070の平均スコアはGraphicsが5500前後・総合も5500前後ですので、サンボル接続に起因する性能低下の減少幅も少し緩やかになってますね
GeekBench 4&5
続いてGeekBenchです。ComputeによるOpenCLのスコアだけを比較します
なおGeekBenchのComputeはオフスクリーンでのベンチマークとなっており、外部出力とか関係ないためそちらのスコアは載せていません
内蔵GPU(Radeon Vega M GH)
GeekBench4 OpenCL:86607
eGPU(GTX1070)
GeekBench4 OpenCL:150394
内蔵GPU(Radeon Vega M GH)
GeekBench5 OpenCL:27592
eGPU(GTX1070)
GeekBench5 OpenCL:41814
このような結果になりました。かなりの性能向上がスコアに現れてますね
GTX1070の本来のスコアがGeekBench4で160000前後、GeekBench5で45786となっていますのでeGPUでもほとんど性能低下が無いことが分かります。画面を描画する必要のないオフスクリーン動作ではボトルネックになる部分がないってことですかね?
FF14ベンチ 蒼天のイシュガルド DirectX 9
ここからはゲームのベンチマークです
今回はFFベンチをやってみました。ドラクエベンチもやったのですがこのクラスのGPUになるとスコアが頭打ちで載せる意味が無いので今回は見送ります
内蔵GPU(Radeon Vega M GH)
高品質(ノートPC)1280×720 DirectX 9:7426
eGPU(GTX1070)
高品質(ノートPC)1280×720 DirectX 9:7290
eGPU(GTX1070)から外部ディスプレイ出力
高品質(ノートPC)1280×720 DirectX 9:17600
これは・・・!
妙な結果となりました。eGPUをそのままノートPCの画面に映した時には内蔵GPUと大差ないというかむしろ負けてますが、外部ディスプレイに出力した時には信じられないほどスコアが向上しています
実際にゲームをやるとなるとノートPCに映すより外部出力したほうがはるかに良いパフォーマンスになるってことでしょうか? 逆にノートPCの画面に映像を映す場合だと、GTX1070クラスですらVega M GHには勝てないということなの??
ただこのソフト自体古いベンチマークですしDirectX 9動作ですので結果がおかしいという可能性も十分にあると思います
FF14ベンチ 蒼天のイシュガルド DirectX 11
ということでもう少し新しく、DirectX 11にて同様のベンチを実施。負荷ももう少しかけてみます
内蔵GPU(Radeon Vega M GH)
最高品質 1920×1080 DirectX 11:7831
eGPU(GTX1070)
最高品質 1920×1080 DirectX 11:7379
eGPU(GTX1070)から外部ディスプレイ出力
最高品質 1920×1080 DirectX 11:13427
このような結果に
うーん…やっぱりさっきと同じですね。eGPUと接続しただけだと内蔵GPUに勝てませんが、外部出力すると大幅に性能向上します
ちなみに本来のGTX1070であれば15000強のスコアが出るテストですので、そう考えるとeGPU単体での7400弱というスコアはいくらなんでも低すぎです。このベンチソフトはいつもそうなのですがVRAMが3GBしか認識されてないようだったりと色々おかしいです
リザルト表記のバグなのかどうか分かりませんが、とりあえずFF14をやる人はeGPU使用時は外部出力した方が幸せになれるのかもしれません(!?)
FF15ベンチ
先ほどと同じくAPIはDirectX 11ですが、もう少し検証したかったのでFF15ベンチもやってみました
内蔵GPU(Radeon Vega M GH)
通常品質 1920×1080:スコア4371 評価普通
eGPU(GTX1070)
通常品質 1920×1080:スコア6140 評価快適
eGPU(GTX1070)から外部ディスプレイ出力
通常品質 1920×1080:スコア6410 評価快適
んー…多分こっちが正しいんでしょうね
FFはNvidiaに有利でAMDは少し苦手と言われていますのでその分内蔵GPUとeGPUに差が開いてしまったのかなと感じます
ただ、これが正しいとすると外部ディスプレイに出力すれば性能のロスを多少緩和できると言われている点に関してはあまりメリットが感じられないとも言えそうですね
まとめ
ということで今回はG-Tune P3の内蔵dGPUであるRadeon Vega M GHと、eGPU接続したGTX1070でベンチマークを比較してみました
自分でもいいんだか悪いんだかよく分からなくなってきましたので、最後にグラフでまとめてみます(拡大してご覧ください)
こうして見ると、ちょっと結果のおかしいFF14ベンチは考えないとしても、GTX1070クラスのGPUであればわずかですがほとんどのテストでRadeon Vega M GHを上回っていますのでeGPUを使う意義はあると言っていいのかもしれません
現行のGPUで考えると、RTXシリーズであればどれを買っても内蔵dGPUの性能を超えてくれると思います。eGPUで使っても確実にパフォーマンスはアップするでしょう
しかしGTXの場合、GTX1660 Tiであれば大丈夫でしょうがGTX1660以下になりますと性能的にGTX1070を下回っていますので、もしかするとVega M GHに負けてしまう可能性があり注意した方がいいかもしれません
そしてもう一点の「eGPUを直接外部ディスプレイに出力するとパフォーマンスが上がる」という点に関してなのですが、これについては確かにそういう傾向が見られるものの、ゲームやアプリによって変わってくる――と考えていいのではないでしょうか?
その点に期待しすぎると、ソフトによっては外部出力だろうがノートPCモニターへのフィードバックだろうが大して変わらず性能低下してしまう可能性もありそうですので注意が必要ですね
今回はこんな感じです。また時間を見つけて色々試すつもりですので、気づいたことがあったら追記したいと思います
それではまた~
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