ちょっと前に買ったばかりのOneGx1 Proなのですが……使いづらさに我慢できず売ってしまいました(笑)
今日は私が実際に2週間弱使用して感じた不満を書いていきたいと思いますので、これから購入を検討している方の参考になれば幸いです
色々といい加減な販売形態
そもそもこの機種は購入前から不満がありました。そういうメーカーだと分かっていながら「今度こそは」と信じて買ってしまった自分が悪いのですが、購入にあたって不満だった点を書いていきます
- SDカードスロットがオミットされたことを隠して販売
- HDMIから音が出ないことを隠して販売(未だに記載なし)
- 20W TDPの誇大広告
- オマケでもらえたケースが画像と違うものだった
こんなところです。もっとあった気もしますが怒りのあまり忘れました
まず1についてなのですが、これは既に何度も書いている話です
この機種は予約販売を開始した当初、SDカードスロットが無くなったことをスペック表に記載していませんでした。しかしDiscordにてその書き込みを見つけ、公式サイトにtwitterでDMしてみたところ「SDカード機能は削除されました」との回答が……
だったら書いておけ!
という感じなのですが、さらに悪いことに公式サイトのスペック表はシレっと直されていて『誤ったスペックを掲載してしまっておりました。ごめんなさい』みたいなコメントも一切なし
すっとぼける気だったのか!? こういうところに企業体質が現われているんですよね
続いて2ですが、個人的にはこれがいちばん大きかったです
OneGx1 Proにはmicro HDMIポートが備わっているのですが、なんとこのポートは映像出力のみで音の出力ができないのです。これは不具合ではなく仕様となっています
私はドローンのインストラクターでもあるのですが、これでは授業が行えません!
仕方ないのでこんなType-C to HDMIアダプタを購入し音は出せましたが、使っているうちに何だか虚しくなってきました……
HDMIポートが標準でついているのがGPD WIN 3よりも好きな点だったのに、それが使えないのではGPD WIN 3のドックを用いて映像を出力するのと変わりません。いや、むしろそっちの方がポートが充実している分、OneGx1 Proより優れています
というわけでこの点が最も我慢が出来ず、本機をドナドナすることにした理由です
続いて3についてです。これはこのあと詳しく書きますが、OneGx1 Proは確かにBIOSの設定によってTDPを20Wに増やすことができるのですが、設定を変更しても思ったより性能が上がりませんでした。そのくせファンの音はヤバいぐらい煩くなります
ベンチを何度かとってわかったのですが、どうやらこれはUP4プロセッサに無理をさせすぎてしまっているようで、TDPを上げても結局サーマルスロットリングが発生してクロックが下がってしまうためスコアが上がらないみたいです
海外にはグリスの塗り直しやヒートシンクの換装をして冷却性能を高め熱対策が改善した報告もありますが、正直私はそこまでやる気になれませんでした
あ~あ
4についても不満なのですが、これはオマケでもらえたものなのであまり文句は言わないでおきます
思ったより性能が上がらない
続いて性能面での不満です。と言っても基本的な性能については必要十分だとは思います
問題なのは、メーカーが得意げにアピールしまくっていた独自チューニングだというcTDP 20W設定をした際の話です
BIOSから設定を変更することで本機のTDPを20Wに設定できるのですが、この設定をするとただでさえうるさいファンの音が不快なレベルまで高まります。アイドル中ですら頻繁にファンが唸ります
それでも性能がそれに見合って向上するのならまだ良いのですが、残念ながら性能は思ったより全然上がらないということが分かりました。ただ五月蠅くなるだけとか(泣)
以下、TDP15W時と20W時のベンチマーク比較になります
PassMark(CPU Mark)
TDP15W時
CPU Markスコア:9168
TDP20W時
CPU Markスコア:9366.5
これだけ見ると一見「上がってるじゃん」と思うかもしれませんが、よく見るとグラフィック性能が下がって総合スコアでも15W時に負けてしまってます
これを「20Wにすると性能が下がる」と言うつもりはありません。そうではなく、どちらも誤差の範疇であり、メーカーがいう程性能は伸びてないのかな? ということが言いたいのです
GeekBench5
TDP15W時
- シングル:1398
- マルチ:4435
TDP20W時
- シングル:1439
- マルチ:4535
こちらは若干ですが向上しています。とはいえその増加率はどちらも2%程度です……あれだけ喧伝していたのにたった2%の性能向上とか……
いやこれも誤差の範疇なんじゃないの?
と思いますよね。確かにその可能性もありますが私はちょっと別の仮説を立てました
やったことある人はご存知でしょうが、GeekBenchはとても短時間で終了するベンチマークテストです。そのためサーマルスロットリングを起こしにくく、わずかばかりとはいえTDPが向上したことによる性能アップがそのまま結果に現れたのではないか?
というわけで、別のCPUテストも行ってみました
CINEBENCH R20/R23
TDP15W時
CPUスコア:1393pts
CPUスコア:3412pts
TDP20W時
CPUスコア:1405pts
CPUスコア:3959pts
古いバージョンであるR20では差がありませんがR23では20%程スコアが伸びました。もちろんこちらの方が新しいぶん正確でしょう
CINEBENCHも最長10分設定で回したのですが、このぐらいの時間でもサーマルスロットリングは起きてないってことですかね
PC Mark10
TDP15W時
- Essentials:8844
- Productivity:4838
- Digital Contents Creation:3890
- 総合スコア:3943
TDP20W時
- Essentials:8463
- Productivity:5817
- Digital Contents Creation:3844
- 総合スコア:4116
Productivityが向上しているので総合スコアも微増です。が、Productivityはオフィス用途を想定したベンチとなっていてここが向上しても正直あまり嬉しくありません
PCの基本性能を測るEssentialsと、最も向上してほしい3D描画や動画編集等のコンテンツ制作に関するDigital Contents Creationでは15W時より低いスコアとなってしまいました……
PCMark10はかなり長時間のベンチですので、サーマルスロットリングが発生したのでしょうか?
こうしていくつかCPUベンチを回してみましたがその向上率は最後のCINEBENCH R23を除いて「誤差なのかな?」と思う程度にしか上がりません。体感で性能が向上したと感じられる場面も皆無でした。それよりも明らかに増大したファンの音の方が100倍気になってしまいます
こんな程度が、メーカーが声高に叫んでいた自慢の機能なのか!?
グラフィックはどうでしょうか? ユーザーもメーカーも、CPUよりGPUの性能を向上させるためTDP増に期待しているはずなのですが
Fire Strike
TDP15W時
- Graphicsスコア:4170
- 総合スコア:3701
TDP20W時
- Graphicsスコア:4261
- 総合スコア:3753
これまた誤差程度にしか上がってない…だと……? 悲しい結果です。が、これはGPUよりCPUがボトルネックとなってスコアが伸びてない面もあるかと思います
スクショを撮り忘れてしまったのですが、3DMarkベンチは実行中のクロック速度や温度をグラフで表示することができるようになっています。それを確認するとやはり、ベンチ中何度かクロックがガクッと下がっているタイミングがありました。サーマルスロットリングを起こしているのは間違いありません
やっぱUP4のCPUに無理させすぎなんだろうなぁ~
って感じです。結局ここに行きつきますので、cTDPを20Wに設定する必要性が感じられないということになってしまいます。もしくは海外の方のようにヒートシンクを換装してサーマルグリスを塗り直すことまでやれば恩恵もありそうですが
Time Spy
これ以上載せる意味もない気がしますがせっかく実施したので(笑)
TDP15W時
- Graphicsスコア:1203
- 総合スコア:1327
TDP20W時
- Graphicsスコア:1207
- 総合スコア:1331
ついに、微増……とも言えない誤差の範疇になってしまいました。20Wにした意味なし!
ドラクエ10ベンチマーク
TDP15W時
- 評価:14085
- スコア:すごく快適
TDP20W時
- 評価:13221
- スコア:すごく快適
とうとう下がった(笑) とはいえドラクエ10ベンチはある程度以上の性能のPCに対してはカンストしてしまって正しく測定できない項目があるようで、あまり意味のないベンチとなってますので参考程度に
FF14ベンチ
TDP15W時
- 評価:とても快適
- スコア:5531
TDP20W時
- 評価:とても快適
- スコア:6723
こちらはグラボの性能をダイレクトに反映すると言われているFF14ベンチですが、こうしてみると2割ほど向上しています。体感では分からないですし評価が変わったりもしてないのですが、いちおう効果アリと言っていいのではないかと思います
FF15ベンチ
TDP15W時
- 評価:動作困難
- スコア:1779
TDP20W時
- 評価:重い
- スコア:2009
これが今回のベンチ中、最も変化のあった結果です。「動作困難」という評価だったものが「重い」に変わりました! まあギリギリなんですが……
ということでGPU性能については2割ほどの性能向上が見込めるようです
が、3DMarkベンチのようにCPU性能も同時に求められるような処理をする場合にはサーマルスロットリングが発生して15W時と同等、あるいはそれ以下の性能しか発揮できなくなる可能性が高いというのがちょっとツライところではあります
ここまで見ていただいて分かったかと思いますが、パワーリミット設定を変更しても「え、それって誤差じゃないの?」という程度にしかスコアに現れませんし、体感で違いを感じることは不可能なレベルです
それでもまだcTDP20Wに魅力を感じますでしょうか? 私は……無理でした(泣)
まとめ
というわけで、こうしたことが引き金となってサヨナラすることになってしまったOneGx1 Pro
改めて書いてみると買う前に分かりそうなことばかりで、私が馬鹿丸出しだったと言わざるをえません。思えばOneMix3の時に「二度と買うか!」と思ったはずなのに……今度こそはともう一度メーカーを信じて馬鹿を見てしまいました
書きながら思い出したのですが他にも「キーボードには指紋がつきやすい」とか、「トラックポインタが操作性クソなうえに誤作動しまくってイライラする(オフにはできるけど)」とか、まだまだ書き落とした不満はありそうです
とまあ言語化しようとすると難しいのですが、手放したいちばんの理由は2週間使ってみて
あ、こりゃダメだ。自分には合わないや
と強く感じたというのが全てなのかなと思います
みなさんもお買い物は計画的にされるよう注意して下さいね。私ほどのマヌケはそうそういないかもしれませんが(´;ω;`)
それではまた~
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