今回より新連載を開始します。題して
iPadを最高のモバイルPCにする!
iPadを活用することでどんな小型ゲーミングPCでも到達できない「小型高性能モバイルPC」にすることも不可能ではありませんよ
※ちなみに「マウス」という語句で来て下さっている方が多いようです
マウスのことだけ手っ取り早く知りたい方は、3章目の「マウスが使えるようになる?」をご覧下さい
iPadはPCの代わりになるのか?
これまで色々とモバイルPCを物色してきましたが、やはりどれも「帯に短し襷に長し」な印象が拭えませんでした
小型であれば性能が足りない、解像度(及びアスペクト比)が不十分、放熱的に厳しい等
ある程度大型(13.3型~狭額縁の14型ぐらい)で妥協しても、重い、グラボの放熱が追い付かない、アスペクト比が悪い(縦が短い16:9が主流なので・・・)といった具合です
そんなとき誰もが(?)考えるであろうことは
「iPadがサイズの割に性能もいいし解像度もいいし完璧なんじゃね?」
ということなのではないでしょうか?
現行iPad Proが採用するA12Xコアは、CPU性能が第8世代コアi7 Uシリーズを凌駕しています
また、グラフィック性能はMX150以上(最近の、高クロック版でメモリ4GBのMX150には負けています…)
ノート版のGTX1050に肉薄する性能ということで、普通のノートパソコンを超えています
こうしてスペックだけ見ると、たしかにパソコンの代わりになりそうな気がしてきます
でもちょっと待った!
確かにiPadはアプリも充実してきており、一般の方には十分になってきていますが、クリエイター目線で見ると厳しいところがあるのも事実
クリエイター系の方々がよく使うソフトと、それらに対するiPadでの代替アプリを見てみましょう
メインソフト | 最も良い(と思う)代替アプリ | 代用度 |
Adobe Photoshop |
Affinity Photo |
☆☆☆☆ |
iPadだけで完結できると言っても過言ではないぐらい高機能
イラストを描くという観点では他にもProcreateやメディバンペイントがあり、ほぼPC代用できると言って差し支えないレベル
メインソフト | 最も良い(と思う)代替アプリ | 代用度 |
Adobe Illustrator |
Affinity Designer |
☆☆☆☆ |
フォトショやイラレは人によってよく使う機能に差が出るので一概には言えないけど、個人的に使う機能は必要十分
ベクター画像を扱うなら他にコンセプトなどもおススメ
メインソフト | 最も良い(と思う)代替アプリ | 代用度 |
Adobe Premiere |
LumaFusion |
☆☆☆ |
かなり頑張っているけど直感的な操作を求めるあまり痒いところに手が届かない感じ。大量のフッテージを扱うのが管理面で厳しい部分もある
ピナクルスタジオやcutecutなんかも同じ感じ
メインソフト | 最も良い(と思う)代替アプリ | 代用度 |
Adobe AfterEffects |
無し(´;ω;`) | ☆ |
基本的に代替アプリ無し…
映像に効果を与えるだけならいくつかある(Magistoなど)けど、AEでやりたいことの1/100も出来ない感じで実質選択肢無し。厳しい分野
メインソフト | 最も良い(と思う)代替アプリ | 代用度 |
Steinberg Cubase |
Cubasis2 |
☆☆ |
一昔前と比べればかなり便利になった♪ 極めればCUBASISだけで曲も作れるよ。でも、本格DTMとして見ると、サードパーティー製ののVSTプラグインを自由に入れられないのは致命的
メインソフト | 最も良い(と思う)代替アプリ | 代用度 |
Autodesk 3dsMAX |
Shapr3D |
☆☆ |
モデリングだけで見ればそれなりのことはできるけど、結局はCADというカテゴリなので、MAXやMayaの代用には厳しい。と言っても他に代替アプリも無い、ツラい分野
メインソフト | 最も良い(と思う)代替アプリ | 代用度 |
Pixologic ZBrush |
FORGER |
☆☆☆☆ |
モデリングやるならむしろこっちが素晴らしい仕上がり! 筆圧にも対応しているので、ほぼZBrushと同じような感覚で扱えるよ。Apple Pencilの性能の良さを考えるとむしろこっちが使いやすいぐらい
こんなイメージでしょうか
ここでいうメインアプリは私の場合なので、人によって違うと思います
例えば「PremiereじゃなくてFinalCut使ってる」とか、「CubaseじゃなくてProtools使ってる」という具合。その場合は適宜読み替えて下さい
多分、評価はそれほど変わらないと思います
こうしてみるとデザインという分野ではiPadもかなり仕事に使えるようにはなってきてますが、それ以外の分野はもう一歩といった感じが拭えません
そして、べた褒めしているアプリでも☆5はつけていません。それは何故かというと、iPadの仕様上どうしても叶わない側面があるからです
iPadではマウスが使えない!
これに尽きると思います
オフィス系やプログラミング系の仕事と違い、クリエイション系のソフトはマウスが無いと厳しい場面が山ほどあります
なぜiOS12でマウスが使えるようにならなかったのか悔しくてなりません(アプリの最適化等が必要なので仕方ないのですが…)
マウスがあると無いのでは生産性が全然変わってきます
覚悟を決めて、上記で紹介したような「iOSアプリだけで完結する!」ぐらいの気構えで臨めばいけるのかもしれませんが、現実はiPadで作ったファイルをPCへ持っていって仕上げるというフローになっていることがほとんどで、iPadだけで仕事を完結させることは厳しい現状があります
じゃあやっぱり、ある程度の不満には目をつぶって高性能なモバイルPCを買うしか無いのか?
と諦めてしまいがちですが一筋の光明が見えました。それが
リモートデスクトップを使うこと
です
結局自宅のデスクトップマシンが最強なわけですので、これが外出先でも自在に扱えたらモバイルPC問題は全て解決します
でもリモートデスクトップって不安もありますよね
- 遅延は?
- 通信量・通信料は大丈夫なの?
- マウスやキーボードはちゃんと使えるの?
- シャットダウンしたり、起動したりはできるの?
- インターネット回線(WAN)で扱えるの?
- 有線LANじゃなくて無線LANなんだけど?
などなど…。しかし、きちんと調べていってみるとこれらの疑問はほとんど問題ないことが分かりました!
現在私は出張先からiPadのリモートデスクトップでメインPCに繋ぎ、重い動画編集などを行っています。使い終わったらちゃんとスリープにして電気代にも優しい運用をしていますし、また起動したくなった時にも外出先から電源ONして再び使う、というような運用をしています
連載第2回ではリモートデスクトップについての解説と、各アプリの特長をご紹介したいと思いますので、興味ある方は引き続き読んでいただけると嬉しいです
ちょっと待ったー!
この記事では「iPad」って連呼してるけど、Androidや小型PCからリモートデスクトップでつなぐことも可能だよ!
iOSユーザーじゃない人でも全く同じように運用ができるから、安心して参考にしてみてね
というか実はiPadよりもAndroidやUMPCの方がより完璧な超高性能モバイルPCにできたりします・・・。そのあたりのことも次回以降の連載で詳しく解説致します
次のステップはこちらです
2019年 iOS13でマウスが使えるようになる!?
ここのところガジェット界で話題のネタがこちらです
私の予想を結論から言いますと
iOS13ではまだ無理だと思う
ですね
マウスでiPadを操作している動画もニュースサイトによく掲載されていて、観たことある方も多いと思いますが、あの動画って何も最近リークされたものじゃなくて2年前から公開されていた動画ですので間違えないようにして下さい
しかもこれ、Appleではなく、Githubのユーザーの方が開発した「PointerKit」っていうシステム(アプリ?)のデモ版の様子です
ただこの方はその後Appleの社員になったというのは面白いところですけど(笑)
AppleがiOSにマウスを対応させるのはほぼ確実だと言われていて、実際に開発中だというリークも出てきています
これはMacとiOSで同じアプリが動作するように(当面はiOSアプリをMacに、になりそうですが)というAppleが推進しているプロジェクトであるMarzipanを見据えた動きではないかと見られています
でも、今じゃないと思います
恐らくiOS14で対応してくるのではないかと期待していますが果たしてどうなることか……
ちなみにマウス(トラックパッド含む)が使えるようになるのは当面iPadのみでiPhoneはしばらく対象外だろうという予測が出てきています
また、マウスはBluetooth接続ではなくUSB接続(TYPE-C)が必要とも言われており、当面はiPad Proでしか使えない可能性があります
「Lightning端子をUSBに変換すればいけるんじゃないか?」
とも思ってしまいますが、iOSは同じOSであってもハードウェアによって挙動が変わりますので、単純に変換ケーブルをかましただけだと無理な可能性が高いと思います
いずれにしても期待が膨らみますね
私の予想を裏切ってWWDCでiOS13からマウス対応が発表されてくれたら神なのですが
【6月4日追記】
iOS13(iPad OS)において暫定的ですが有線マウスに対応することが判明しました。あくまでもオプション扱いで、正式対応はiOS14以降になりそうという予想は当たっていたわけですが、暫定的ながら使えるというのは予想外で嬉しいポイントです。詳細は以下
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